デジモンアドベンチャー 選ばれてない子供   作:noppera

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泊から帰ってきました。
学校対抗のスマブラ大会が面白かったです。
今回は短めです。


第22話 クールビューティーミケモン!

 

「………うあ?」

 

 僅かに体が揺れる感覚と顔に当たる強い日差しで俺は目を覚ました。

 ボーっとする頭で周囲を見渡すと、どうやら俺はメカノリモンのコックピットの中にいるようだった。

 

「……オハヨウゴザイマス」

 

「あぁ……あんまり聞きたくないんだが、あの後どうなった?」

 

 コックピットの内部からメカノリモンの声が聞こえてきたが、心なしか小声で喋っているようだった。

 そして俺があの夜にどうなったかをメカノリモンに聞いた。

 ウィッチモンとの空中戦の後、嘔吐して気絶した俺は先輩達にいたく心配されたそうだ。

 ……まぁそりゃそうなるだろうな。

 その後、気絶した俺はウィッチモンの住んでいる研究所に運び込まれ、魔方陣で封印されていたドアの向こうで看病されたらしい。

 先輩達もウィッチモンのせいで船が燃え落ちてしまったので、ウィッチモンの研究所に寝泊まりしたようだ。

 その翌日、ハグルモンを庇った時に漏れ出たエネルギーから受けた電撃のダメージが大きかったのか、コックピット内部の高温がまずかったのかは分からないが、俺は翌朝になっても目を覚まさなかった。

 未だ目を覚まさない俺を心配して、先輩達は俺が意識を取り戻すまで出発を遅らせようとしたが、昨日の船の大炎上がかなり目立っていたし、今まで張ってあった結界も破れてしまったのでエテモンに見つかる可能性が高いとウィッチモンに説明されたらしい。

 結界を復活させられないかをウィッチモンに聞いたが、実はあの結界はウィッチモンが張ったものではなく、元々研究所に張ってあったものだと言ったそうだ。

 ウィッチモンがあそこに入れたのも偶々結界の弱くなっている部分を見つけたことによるもので、ウィッチモンの見解によれば弱体化の原因は長い年月放置されていたことによる風化らしい。

 しかし弱体化してもあの結界は一級品のものだったらしく、長い年月ずっと放置しても持続していたことも驚嘆ものだと言う。

 だからあの時、あの結界は貴重なのにって怒っていたのか……

 結界が修復できないということがわかり出発を急ぐことになったので、先輩達は俺をメカノリモンに乗せて連れて行くことに決定、早朝の出発から暫くして今に至る。

 ちなみにウィッチモンもエテモンに見つかるのを嫌って早々に荷物をまとめてあの研究所をあとにしたらしい。

 

「ウィッチモンカラノ送リ物ガアリマス」

 

「え?……これの事か?」

 

 コックピット内を見渡すと、黒猫の顔の形をした手のひらサイズの鏡が置いてあった。

 

「ソレハウィッチモンニ直通デ繋ガル通信機デス」

 

 詳しく話を聞くと、ウィッチモンは何でもすると言った約束を守るためにいつでも連絡をとれるようにこの通信機を俺に持たせたらしい。

 ウィッチモンって結構律儀な奴だな。

 ちょっとはこちらの都合も考えてほしいとウィッチモンは言っていたものの、基本的に連絡をすれば飛んできてくれるようだ。

  ちなみにウィッチモンが認めたのはメカノリモンだけということで、ウィッチモンはメカノリモンのパートナーである俺にしか通信機のことは伝えておらず、先輩達は俺が通信機を持っていることを知らないそうだ。

 

「ふ~ん。じゃあさっそく通信を……」

 

「……今ハヤメテ置イタ方ガイイカト」

 

「なんで?」

 

「外ニ聞コエマス」

 

 その言葉を聞いて、外にいる先輩達に俺が起きたという事を伝えないといけないなと思ったが、メカノリモンの言葉が気になった。

 

「何かまずいのか?」

 

「武之内サンガオ怒リデス」

 

 俺の正面にあるモニターが起動し、先輩達がメカノリモンの前方を歩いている姿が映し出された。

 同時に外の会話も聞こえて来た。

 

「まったく、信人君はまたあんな無茶をして……」

 

「でも、彼も必死だったんですよ」

 

「ハグルモンを庇ったのは咄嗟のことだったかもしれないけど、火事になっている船に飛び込むことはないでしょう?」

 

「それは……」

 

「しかもあんな状態で帰ってきて……どこか怪我したのかと思ってほんとに心配したのよ!」

 

「……ま、まぁあの状態はたしかに心臓に悪かったですね」

 

「でしょう?起きたらちゃんと言っておかなくちゃ」

 

「……あぁ、こりゃまずいな」

 

 空先輩は大層ご立腹なようで、泉先輩もがんばってフォローしてくれたけど最終的には押し切られてしまった。

 もうちょっと頑張ってほしかったよ泉先輩……

 まぁ冷静に考えればたしかにあの時燃える船の中に入る必要はなかった。

 あの時はなんか妙に興奮していて、何となく燃える展開にしたかったから突っ込んじゃったけど、あのまま船の上部で滞空して攻撃していればウィッチモンを炙り出すことができただろう。

 そちらの方が安全に立ち回ることができたかもしれない。

 ……あぁ、反論の隙がなくなってしまった。

 これはほとぼりが冷めるまで狸寝入りしていた方がいいかもしれない。

 

「……メカノリモン!信人君はまだ起きないの?」

 

「た、頼むメカノリモン……」

 

「……マダ睡眠中デス」

 

「そう……分かったわ」

 

 画面の向こうの空先輩はメカノリモンに声を掛けた時はお怒りの表情だったが、メカノリモンが俺のわがままを聞いてまだ寝ていると答えると、心底心配した表情で俯いてしまった。

 ……そういう顔されると罪悪感がやばいんですけど。

 俺がどうしようどうしようとメカノリモンの中で悶々としていると、前方にいた先輩達が足を止めて紋章の使い方について話し始めた。

 太一先輩とアグモンはその中にはいなくて、画面の向こうでかなり先行しているのが見えた。

 

「……レーダー探知!八神サンノ足元デス!」

 

 メカノリモンが警告を発した直後、前方を歩いていた太一先輩が悲鳴を上げ、クワガーモンが砂の下から姿を現した。

 アグモンが≪ベビーフレイム≫をクワガーモンに放つが、まったく効いた様子はない。

 

「援護シマスカ?」

 

「いや、グレイモンに進化すれば勝てるだろう。太一先輩にまかせよう」

 

 クワガーモンだって成熟期、グレイモンに進化すれば互角の戦いができるだろう。

 進化できればの話だが……

 

「……様子ガ変デス」

 

「あぁ、何で進化しないんだ?」

 

「援護シマス、≪トゥインクルビー……レーダー探知!」

 

「≪ピットボム≫!」

 

 太一先輩とアグモンが進化できずにクワガーモンになすすべがないところに、どこからともなく飛んできた爆弾がクワガーモンを吹き飛ばした。

 駆けよる先輩達と一緒にメカノリモンも太一先輩が倒れている場所に歩いて行った。

 

「君たち、選ばれし子供なんでしょ?危なっかしくて見ていられないッピ!」

 

 メカノリモンが追いつく間に話は進んでいたようで、ミミ先輩の手に抱えられている丸いピンクの小さい体と白い羽をを持ったデジモン、ピッコロモンが先輩達に辛辣な言葉を浴びせていた。

 先ほどの太一先輩を助けてくれたのはピッコロモンのおかげだ。

 ピッコロモンの強烈な批判はデジモン達にも向けられていて、先輩達やデジモン達はピッコロモンのものいいに嫌気がさしているようだ。

 

「君たちよりもそこの君と君、そしてその中にいる子供の方がよっぽど強いッピ」

 

「お、俺か?なんだお前、見る目あるじゃねぇか」

 

「………」

 

 ピッコロモンはドラコモンとメカノリモンを指名して褒めると、ドラコモンは満更でもないという表情でピッコロモンに対する認識を変えたらしい。

 しかしなんでまた俺がピッコロモンに気にいられたのだろうか?

 館でゲンナイさんにあった時もできる奴だとか言われたしな……

 

「でも他の君たちはダメダメだッピ!よって、今日から君たち私の元で修行するッピ!」

 

「修行?」

 

「なんですの、それ?」

 

「特にそこの君!君たちはスペシャルメニューで猛特訓だッピ」

 

「す、スペシャルメニュー?」

 

「猛特訓?」

 

 いきなり修行をするというピッコロモンの言葉にみんなを代表して空先輩とテントモンが困惑する声を上げ、さらにスペシャルメニューだと言われた太一先輩とアグモンはどこか嫌そうな声を上げた。

 

「それと、そこの君たちは私の友人に修行をつけてもらうッピ」

 

 ピッコロモンの言うそこの君たちというのはどうやら俺とドラコモンとメカノリモンのことらしい。

 となると先輩達と別行動になるわけだから、通信機の事を秘密にしたままウィッチモンと連絡を

とりやすくなるな。

 まぁ別に言ってしまってもいいんだけど、ちょっとこんなこともあろうかと的な演出をしたいので今は黙っておく。

 知らせなくても特に問題はないだろう。

 

「……ちょっとメカノリモンの中にいる君、返事くらいするッピよ」

 

「あ、信人君は今ちょっと寝ていて……」

 

「ん?遠くから様子を見ていたときは中で起きているのが見えたッピ?」

 

「………へぇ~」

 

 あぁ!あのピンク玉余計なことを!

 カメラを確認すると、アニメでは怒りマークが頭に付いていそうな顔でメカノリモンに向かってくる空先輩の姿が映っていた。

 あわあわとする俺を尻目に、空先輩は持ち前の身軽さでメカノリモンを登り、そしてハッチをノックした。

 メカノリモンは何故か素直にハッチを開き、俺の慌てる姿は空先輩の眼前に晒されることとなった。

 

「あ……お、おはようございます、空先輩!いや~今日はお日柄もよく、こう、穏やかな気分になったり……しませんかね?あは、あははははは……」

 

「信人く~ん………そこに直りなさああぁぁい!!」

 

「す、すいませんでしたああああああ!!」

 

 その後すぐに俺は空先輩から説教を受けることになった。

 

……………

………

……

 

 空先輩の説教はピッコロモンの結界の入り口にたどり着くまで続き、俺はメカノリモンから降りて歩きながら聞いていたので今は結構疲労が溜まっている。

 ピッコロモンが結界に穴を開けて中に入ると、先輩達もおっかなびっくりしながらピッコロモンの後を付いていった。

 結界の中に広がるジャングルに目を奪われたり、結界の外で走っていたエテモンのトレーラーの姿に驚いたりしつつも、ジャングルを抜けてピッコロモンの家の麓まで辿り着いた。

 麓ということなのでまだ家にたどり着いたわけではなく、今目の前にある長く長く続く階段を

上りきったところにピッコロモンの家がある。

 この途方もない階段を前に先輩達は不満を漏らし、俺も疲労の溜まった体でこれはきついな~と考えていた。

 

「言い忘れていたけど君たちとはここで一旦お別れだッピ」

 

「俺達もここを登るんじゃないのか?」

 

「君たちに修行をつける私の友人はこのジャングルに住んでいるッピ。もうすぐここに迎えに来るッピ」

 

「えぇ~!?信人君だけずる~い!」

 

「いや、俺にそんなこと言われても……」

 

 俺もこの階段を上らされるかと思いきや、俺達に指導してくれるデジモンはジャングルにいるという事なので、登らなくてもいいみたいだ。

 そのことでミミ先輩に文句を言われたり、他の先輩達も黙ってはいるが俺の方を羨ましそうに見てきた。

 そうしていると、木の上を何かが動くような気配がした。

 

「あ、来たようだッピ」

 

「……遅くなってごめん、ピッコロモン」

 

 ジャングルの木の上から颯爽と飛び降りてきたのは、俺がデジタルワールドに来て初めて夜を明かした日に襲ってきたブラックテイルモンと同じく、原作に登場したテイルモンと同じような姿をした猫型デジモンだった。

 テイルモンが白猫、ブラックテイルモンが文字通り黒猫をモチーフにしたデジモンなら、今降りてきたデジモンは三毛猫が元になっているような姿をしていた。

 

「紹介するッピ!私の友人のミケモンだッピ」

 

「……私はミケモン、よろしく」

 

 名前からしても三毛猫をモチーフにしたのはたしかなようだ。

 紹介されたミケモンは落ち着いた声で答え、その仕草などからクールでもの静かな女性という印象を受けた。

 

「高倉信人だ。こちらこそよろしく頼む」

 

「え~、こんなちっこい奴で大丈夫なのかよ……」

 

「おいドラコモン、失礼だろ」

 

 俺とメカノリモンは礼をしてミケモンにあいさつしたが、ドラコモンだけはミケモンが修行の教師役という事に不満のようだ。

 ピッコロモンも友人をこんな風に言われて怒るだろうと思ったが、ピッコロモンはドラコモンとミケモンを見ながら静かに笑っているだけだった。

 当のミケモンはドラコモンの一言に気にした様子もなく、ドラコモンとメカノリモンと見比べて、ドラコモンに……

 

「……あなたの方が弱い」

 

「な、何だとおぉ!?」

 

 正面から弱いと言い放った。

 もちろんこの一言にドラコモンは怒ってミケモンに食って掛かるものの、ミケモンは涼しい顔でドラコモンの剣幕を受け流している。

 ミケモンは女性なのにかなり肝が据わっているようだ。

 

「やっぱり君はミケモンにまかせた方がいいようだッピ。さぁ、君たちはボサッとしないでここを登るッピ!」

 

 今までミケモンとドラコモンの掛け合いを見ていた先輩達はピッコロモンに促されて階段を上り始めた。

 ちなみにテントモンが飛んで行こうとしたところ、ピッコロモンの槍で叩き落とされて説教を受けていた。

 

「私の家はこっち。付いてきて」

 

「っておい!ちょっと待てよ!」

 

 ドラコモンを相手にしてられないと思ったのか、ミケモンは下りて来た時と同じく颯爽と木の上に登り、そのまま家にあると思われる方向に飛び移っていく。

 ドラコモンも俺達を置いて木の上にいるミケモンを追いかけて行ってしまう。

 

「……まぁ付いていくか」

 

「ソウデスネ」

 

 俺達も追いかけっこをしているミケモンとドラコモンの後追ってジャングルを進んで行った。

 

……………

………

……

 

「ふっ!……着いた」

 

「てめぇ、そこから降りやがれ!」

 

「……スタミナだけはある」

 

「スタミナだけじゃねぇぞ!」

 

 ドラコモンとミケモンの掛け合いを見ながら俺達はミケモンの家を眺めた。

 ミケモンの家は立派な昔ながらの日本家屋といった外見で、ジャングルの中に切り開かれた庭の中には松や池まであり、池の中には見事な模様を持った錦鯉が泳いでいる。

 ……まさかミケモンはこいつらを食べたりしないよな?

 

「……あなた、失礼なことを考えなかった?」

 

「い、いや何でもない」

 

「……まぁいい。修行について説明する」

 

 ミケモンは身軽な身のこなしで今度は木の上からメカノリモンの上に飛び乗った。

 

「メカノリモン自体については言う事はない。問題はあなた」

 

「俺?」

 

 ミケモンは眼下のメカノリモンに視線を向けた後に、そのさらに下にいる俺に顔を向けた。

 

「メカノリモンは操縦できるデジモンだと聞いた」

 

「どうもそうらしい。でもオートモードがあるから、それでいいんじゃないか?」

 

「オートモードには内部コンピュータで様々な制御が必要なはず。それではメカノリモンの性能を完全に引き出せないと思う」

 

「そうなのか?」

 

「ハイ。昨日、ウィッチモンノ飛行中ニ攻撃ガ出来ナカッタノハ、ウィッチモンノ飛行ニ付イテ行ク事ニ処理ガ精一杯ダッタカラデス。攻撃ニ処理ヲ割ク余裕ガアリマセンデシタ」

 

 なるほど、思い返してみるとたしかに昨日の空中戦ではメカノリモンがウィッチモンに攻撃を仕掛けたのは、最後にウィッチモンが油断したときの一回だけだ。

 それまではウィッチモンの攻撃を避けるだけだった。

 

「操縦だけでもあなたができれば、メカノリモンの内部コンピュータの処理を攻撃に割くことができる。攻撃の精度や威力も上がるはず」

 

「そうか、つまり俺がメカノリモンを操縦できるようになれってことだな」

 

「そう、短い時間だから高望みはしない。安全に飛行できるようになればいい」

 

 とりあえず俺とメカノリモンは飛行訓練をするとして、ドラコモンはどうするのだろうか?

 

「メカノリモンの操縦は私の専門外、そっちのことはメカノリモンに聞いて。そして、あなたは私と組手」

 

「おう!願ってもねぇぜ!」

 

 どうやらドラコモンはミケモンが面倒を見てくれるようで、ドラコモンはその言葉を聞いていきり立っている。

 そしてミケモンも多くは語らず、メカノリモンからドラコモンの前に飛び降り、さっそくドラコモンとの修行に入るようだ。

 

「……来て」

 

「言われるまでもねぇ!」

 

 ミケモンの小さな声を皮切りに、ドラコモンは勢いよくミケモンに向かって突っ込んでいく。

 血気盛んなドラコモンに対して、ミケモンはあくまで冷静にドラコモンの突進をジッと見つめている。

 

「もらったぁ!≪テイル……≫」

 

「甘い」

 

「おおう!?」

 

 ドラコモンは尻尾を振りかぶってミケモンの体に打ち付けようとするが、ミケモンは尻尾の根っこを掴んで後ろに投げ飛ばした。

 ドラコモンは助走をしてかなり勢いが付いていたので、ミケモンの投げ技でかなり勢いよくミケモンの後方へと吹っ飛ばされた。

 

「ぐわぁ!?チィ!≪ジ・シュルネン≫!」

 

 しかしこのままドラコモンも黙ってはいなかった。

 地面に叩きつけられた後に素早く体勢を立て直すと、今度はビーム弾による遠距離攻撃でミケモンに攻撃をした。

 

「読める」

 

 ミケモンは小さいながらもよく通る声で呟くと、驚きの跳躍力を見せて空中に退避した。

 ビーム弾はミケモンの立っていた位置に着弾して砂煙が起こり、重力に引き寄せられたミケモンもその中に姿を消した。

 

「あ、やっべ。どこにいるかわかんねぇ……」

 

「考えなし」

 

「な!?いちいち癪に障るやろうだ!」

 

「あ、おい!それはまずいんじゃ……」

 

 ドラコモンは自分で起こした砂煙のせいでミケモンを見失い、さらに砂煙の中から聞こえて来たミケモンの挑発を受けて、ドラコモンは相手の位置を確認できないまま砂煙の中に突っ込んで行ってしまった。

 敵の位置を把握できないまま突っ込むなど悪手に他ならない。

 

「≪肉球パンチ≫!」

 

「ぐわぁ!?」

 

 案の定、それからすぐにドラコモンはミケモンの攻撃を受けて砂煙の中から吹き飛ばされてしまった。

 砂煙が晴れると、そこには未だダメージを受けていないミケモンの姿があった。

 

「……何をしているの?」

 

「え?」

 

「操縦訓練は?」

 

「あ、あぁ。じゃあやるかメカノリモン」

 

「ハイ」

 

 ミケモンとドラコモンの戦いをボーっと眺めていた俺達は、ミケモンに割ときつめの声で促されて弾かれるようにして動き始めた。

 ミケモンの物言いは静かだが、実は結構な鬼コーチなのかもしれない。

 ピッコロモンもドラコモンはミケモンに任せて正解だとか言ってたし……とりあえずまた叱られない内にさっさと操縦訓練を始めてしまおう。

 俺はメカノリモンの腕に乗せてもらってメカノリモンの頭上に下り、ドーム状のハッチを開けてコックピットに入った。

 

「デハマズ、オートモードヲ切ッテクダサイ」

 

「分かった。たしかこれだったな……」

 

「ハイ。マズ操縦桿ニツイテ説明シマス」

 

「あぁ。よろしく頼む」

 

 こうして俺とメカノリモンは操縦訓練に入った。

 ……ちなみに、俺がメカノリモンでまともに歩けるようになったのは1時間後だった。

 

……………

………

……

 

「ちょっといつまで待たせるのよ!?早くネットワークを復旧させなさい!」

 

「それが、砂漠地帯でケーブルの断線が相次いでいまして……」

 

「恐らく、昨日発見した豪華客船を選ばれし子供達がコカトリモンから奪い、滅茶苦茶な航路で走ったことが原因かと……」

 

「船の進路上のケーブルが轢かれたってわけね?キーッ!船の進路やケーブルの繋ぎ方考えたの誰だと思ってんのよ!?」

 

「そ、それはエテモン様が……」

 

「そうよ、あちきが夜なべして考えたのよ!しかも船があんなんじゃ、豪華客船で行くサーバ大陸横断ツアーができなくなったじゃない!子供達めぇ~、もう許せないわ!」

 

「まったくもってその通りです」

 

「ネットワークが役に立たないんじゃ仕方ないわ。エアドラモンを飛ばして代わりに索敵させなさい!」

 

「は、はい!しかし、あいつらは数が少なくて砂漠全体を索敵させることは……」

 

「だったら船の周辺に集中させなさい!たぶん子供達はまだそんなに遠くにいていないはずよ。それと、砂漠に散らばってるガジモンに必死こいて探すように連絡なさい!」

 

「はい!分かりました!」

 

「ふふふ、逃がさないわよぉ~選ばれし子供達ぃ!!」

 

 

 





今回登場したのはミケモン、余裕があれば猫三匹で戦う場面を書きたいです。
感想批評お待ちしております。

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