「おのれ作者め!」
「いきなり何、こなたさん」
朝のランニング中突然こなたさんが訳の分からない事を叫び出す。
「・・・こなた先輩、どうしたんです?」
「前回ではヒロインのはずの私たちが名前だk「ハイスト~ップ、危ない発言禁止!」フゴフゴ・・・」
おいおい・・・。
こなたさんの
(や、本当にスマンかった。今は反省している。)
・・・今何か聞こえたような気がするんだが(汗)。
ともあれ今日はいつも通り、いつもの時間にいつものメンバーでランニング。
ゆたかさんは少し距離を伸ばしてがんばっている。
やまとさんも走るリズムを掴んだのか、初日のように大きく息を切らす事も無い。
「ねぇねぇまさき。ラスト500Mで競争しない?」
「賭け事無しならいいけど?」
「・・・ち。まぁいいや。参加する人~・・・って全員だネ」
こなたさ~ん、今舌打ちしてなかったか?
他のみんなは体力的に余裕が出来てきたのか全員参加のようだ。
ちなみに今この場にゆたかさんはいないぞ、念のため。
ココまで約2キロ程走ってるためある程度消耗しているから一応俺はハンデを・・・つけたらこなたさんかかがみさんの争い確定なんじゃ(汗)。
あ、何気にみゆきさんも速いか。
いや、みさおさんは陸上部だし・・・ハンデいらないな、うん。
「まさきくん、私たちが女の子だからって遠慮は無用よ?」
「今度は私が勝ちますから」
とまぁ、かがみさんややまとさん他全員が笑顔で言って来る辺り、みんな揃って余裕があるようだ。
「んじゃ、あそこの500Mの所から・・・合図はどうする?」
「ではつかささんを先頭にして、つかささんが到達したら、その場から一斉スタートでよろしいのでは?」
「む~、負けないもん!」
「へへ、燃えてきたゼ!」
「無茶だけはするなよ~・・・」
『は~い!』
みさおさんは気合が入り、つかささんは頬を膨らませて気合を入れてるが・・・空回りしなきゃ良いんだけどね。
てか走りながら喋れる時点で十分凄いと思うんだけど。
「じゃあみんなで一気に行くか!」
『お~♪』
こんな感じで急遽、500M走が始まった。
この際順位はどうでも良いか。
楽しければそれで良し!
そんな訳で、つかささんが500M地点に到達すると同時に全速力で7人の男女が突っ走っていった。
「ひゃ!・・・今の、お姉ちゃん達? うわ、はや~い」
「みんな、気合入ってる・・・ジュースか何か賭けてるのかな?」
途中、前より少し速くなっていたゆたかさんと、チェリーの散歩中でゆたかさんに併走していたみなみさんのこんな感じの会話が少し聞こえた。
「は・・・は・・・は・・・やるじゃねーかまさき・・・」
「そっちこそ・・・はぁっはぁっ・・・さすが陸上部・・・」
ほぼ同着。
順位は気にせず全力疾走で走った結果。
俺とみさおさんに次いでこなたさんとかがみさん、みゆきさんがほぼ同時にゴール。
その後殆どすぐにつかささんとやまとさん。
つかささんもだいぶ速くなったな~。
殆ど差は無いようなものだったぞ。
とりあえずゆたかさん達が戻ってくるまでは一休み。
「うむむ、さすがに男の子や陸上部には敵わないか~」
「やっぱりこなちゃんも運動部に入れば良かったんじゃないかな?」
「そうだぞチビッ子。何で陸上やんなかったんだよ。もったいねぇぞ」
「いや~、部活に入っちゃうとさ、時間の都合がつかなくなるじゃん?」
時間の都合・・・間違いなく本人の趣味に、だろうな。
前にもそんな事言ってたし。
さらに言うとこなたさんはインドア派だからねぇ。
と、そこにゆたかさんとみなみさんが戻ってきた。
「ハァ・・・ハァ・・・お姉ちゃん達凄いですね。あっという間に行っちゃうんだもん」
「お、ゆたかさんお疲れ~。そっちこそ大分慣れてきたんじゃない?」
「ゆたかも持久力がついて来てますから。それに、集中力も」
みなみさんの太鼓判付きだ。
それにこっちに来てからのゆたかさんは体調を崩す事も無く、日々を過ごしているから本人にも良い結果に繋がってるようである。
そして帰って来た時のこと。
ひよりさんがあからさまに元気が無かった。
こうさんやパティさんが声をかけてるようだけど・・・はて?
「おはよう3人とも・・・どしたの?」
「あ、おはようございます先輩。ちょっと聞いてやってくださいよ。ひよりん、昨夜見た夢の事をずっと気にしてるんです」
「夢?」
夢・・・一般的には睡眠中に無意味な情報を捨て去る際に知覚される現象とか必要な情報を忘れないようにする活動の際に知覚される現象とか言われてるアレである。
「どんな内容だったの?」
「・・・途中まではすっごく良い感じなんですよ。ネタがスイスイ出て原稿もはかどって」
「ほほう」
「でも最後になって急に悪い事が起こるんすよ。土壇場になってインクが無くなったり原稿用紙が全滅してたりパソコンが壊れたり・・・夢の中でくらい全部都合良くたっていいじゃないっスか~!」
「あ~・・・その場合ってそういう事が起こりえるって呼びかけてるんじゃないの?」
「ダレがデスカ、マサキ?」
「獏が」
「獏って悪夢を食べるヤツじゃないんスか!?」
「田村さん、それは悪い夢を見た後に『この夢を獏にあげます』と唱えて初めて効果があると言われているんですよ?それにまさきさん、獏がそう呼びかけるという話は聞いたことが無いです」←やや冷や汗気味
「いや、冗談で言ったんだけどそういうモンなんだ」←ちょっと楽しそう
「・・・まさき先輩って・・・」←泣きそう
まぁ元気出せ、と声をかけてから勉強道具一式を取りに俺は部屋へ戻っていった。
「そういやみなみさん、ずっと気になってたんだけどさ」
「・・・はい?」
「みなみさんってピアノ弾けるの?」
「ハイ、とてもお上手なんですよ♪」
みなみさんに聞いたのにみゆきさんから返事が返って来た・・・まるで自分の妹を自慢するように。
まぁ本人が照れ屋だからみゆきさんが代わって答えたんだろう。
当のみなみさんは赤面してるし。
岩崎家の居間でグランドピアノを見かけたことがあるが、弾いてるのは今のところ見た事が無かった。
そしてココにもアップライトピアノが置かれている。
という事は本人の趣味で弾いてるのか習っているのか。
でもピアノって確か定期的に調律してやんないとダメだったような気がする上に、1台買うのに結構なお値段がかかるハズだけど、その辺はさすがお金持ちってトコロか。
「へぇ・・・岩崎さんはどんな曲を弾けるのかしら?」
「ふむふむ、ゲームとかの音楽も弾けるのカナ?」
「んな訳あるか! でもみなみちゃんならクラシックとか弾いてそうなイメージがあるわよね」
「クラシックとかはよく分からないけど凄いな~」
まるで弾いて見せてと言わんばかりにみんなからの質問攻め。
みなみさんは少々困惑気味・・・じゃなくて何か思い出してる?
「い、いろいろです。クラシックもやります・・・」
『お~!』
みんなは普通に受け取ってるが俺としてはみなみさんはともかく、みゆきさんが軽く俯いてるのが少し気になった。
「そうそう、どらちゃんの曲とかちゃ○めらの曲とか、とっても上手なのよね~♪」
「お、お母さん!」
『また弾いてほしいわ~』とのたまうゆかりさんに慌てて止めようとするみゆきさん。
そのセリフに全員が一瞬固まり、みなみさんがさらに赤面する。
・・・さすがに気まずい空気が流れて来た。
誰か、誰か話題を変えてくれ!
「そ、そういや弾き語りなんてのもあるよナ~」
「あ、はい。みなみさんは歌もお上手なんですよ~」
気を取り直したみさおさんが話題を修正。
みんなも硬直を解除し、みなみさんは再び質問攻めを受ける。
が・・・。
「フム、ミナミのイメージにピッタリデスネ!」
「うんうん、みなみちゃんの弾き語り、聞いてみたいな~」
「かっこいいっスよ岩崎さん!」
「何か1曲やって見てよ~」
「い、いえ、お聞かせするほどでは・・・」
「そうそう、保険のCMでやってたアヒルちゃんの曲、歌付きでやったのが上手だったわ~♪」
『・・・・・・』
友人の母親に向かってこんな事を言うのもアレだけど・・・ゆかりさん、アンタって人は(汗)。
あ、みゆきさんがみなみさんに必死になって謝ってる・・・ように見える。
いや、確か話題に出したの俺だから、謝るんなら俺のほうだと思うんだけどどうだろ・・・?
結局その後、みなみさんが数曲弾いたがゆかりさんのトンデモリクエストが何回か飛び出し、終わる頃には非常に疲れた顔をしたみなみさんがいた・・・。
「イヤッホ~!」
「それそれそれそれ~!」
「やったわねこの!」
「まっけないぞ~!」
「・・・よく飽きないな~、みんなして」
午後、俺達3年組にいのりさん、やまとさんは川遊びに・・・と言っても俺はパラソルの下でねっころがってるだけだが。
両隣には何故か当然のように水着姿のみゆきさんとやまとさん。
「私達はこういう環境で川遊びなんて滅多に体験できませんし、楽しめるだけ楽しもうと。まさき先輩も行きませんか?」
「みんなで遊んだほうがきっと楽しいですよ?」
「まぁそれはそうなんだけどね。」
ちなみにあそこにはいのりさんも混じってる。
それ以前にあの中に入っていったら集中砲火を浴びそうで怖いんだが。
どうしようか思考を巡らせてる時・・・。
「ま~さき~?」
バシャァ!
「・・・・・・」
「君に私を倒す自信があると言うのなら・・・あそこにある武器を取るがよい!」
こなたさんが撃った水鉄砲、俺の顔面に直撃。
何か1人で怪しい行動してると思ってたらコンニャロウ。
俺は無言で立ち上がり、スタスタと歩いていく・・・こなたさんが指差した、水鉄砲が置いてある場所へ。
「あ、まー・・・くん?」
「ん? どうしたの、つか・・・さ?」
「まさくん?」
「まさき・・・なんか、こえ~ぞ?」
空気圧式の水鉄砲を1つ取り、タンクに水を入れてひたすら圧縮する・・・ここまで無言である。
圧縮して圧縮して圧縮して圧縮して圧縮して・・・限界近くまで圧縮完了。
そしてゆらりとこなたさんの方へ向かう。
繰り返すが無言で、ついでに言うと半眼で。
「え、え~っとまさき? さすがにそこまで圧縮したヤツは・・・てか目が怖いんだけどってうっひゃぁ!?」
凄まじい勢いで水流がこなたさんの脇を通り抜ける。
あたったら薄い木の板くらいなら貫通しそうな勢いだ・・・まぁ誇張表現だけどね。
「ご、ごめんなさい! 調子に乗りすぎましたってにょわぁ!? ちょ、まさき、これマジでシャレにならないって!」
「まさきく~ん、良い機会だからこなたを徹底的に痛めつけちゃえ~♪」
「こなちゃんもがんばれ~♪」
「さりげなく酷いよかがみんってうひゃぁ!?」
「外野に文句言ってる暇なんてあるのか~?」
俺は圧縮しながらひたすら撃つ。
もうこうなったら意地でも当ててやる!
その時、別の場所に移動しようとしていたみゆきさんとやまとさんの近くで俺は足を滑らせてしまった。
ヤバイ、このままでは2人を巻き込む!
そう判断した俺はとっさに2人と離れるようにもがくも、2人のうち1人を巻き込んでしまった。
「おわ!」
「きゃあ!?」
今の声は・・・やまとさんか?
転んで目の前が真っ暗になり、混乱した頭を何とか整理して、現状の・・・把握を・・・。
『・・・・・・』
俺、仰向けになって倒れている。
やまとさん、うつ伏せの状態で俺に覆いかぶさるように倒れている・・・らしい。
あの、この顔に感じるやわらかい感触ってまさか・・・(汗)
「ゴ、ゴメンなさいまさき先輩! すぐ退けます!」
「あ、いや、こっちこそゴメン!」
そうして退けてもらったのは良いがやまとさんと目が合った瞬間お互い目を逸らしてしまう。
うっわ、気まずい上に顔があt『バシュ!』・・・はい?
水鉄砲の水流が鼻先を掠めた。
え~っと、まさかとは思うけど・・・。
ギギギ、と擬音がなりそうな感じで首を後に回す。
視線に入ったのは・・・水鉄砲(圧縮式)を構えたこなたさんといつの間にか水鉄砲(圧縮式)で武装し、修羅と化したかがみさん達!
「あっちゃ~、外しちゃったよ♪」
にこやかな笑顔でこなたさんが言って来るが、正直言って怖い。
やっべ、立場が逆転してる(汗)。
ちなみにやまとさんは未だに立ち上がらず、胸を両手で抱えて耳まで真っ赤になった顔を伏せている。
「いや、今のは明らかに不可こうr『問答・・・無用~!』のわぁっ!? てイタタタタタタ!」
こなたさん達5人の一斉放火はさすがに回避できず、痛みに耐えて応戦するがさすがに限度がある。
てかここから動いたらやまとさんに当たっちゃうんですけど!?
「お~お~、若いね~♪」
「そんな事言ったらいのりさんは年寄り見たく聞こえますよ・・・」←小声でボソッと
とりあえずそろそろこの状況打開しなければ・・・ってあれ?
いのりさんが何故か水鉄砲(圧縮式)を準備して・・・見かねて援護してくれるのかな?
と思った矢先!
「私もまだまだ若いわぁ!」
「って女はみんな地獄耳かよぉ!?」
思わず本気で叫んでしまう。
しかも敵が1人増えてしまった。
結局そのまま俺は火ダルマならぬ水ダルマになるのであった・・・。
「あっはっはっはっは♪」
「笑い事じゃないですよ、もう・・・」
その日の夜。
今日の午後の出来事を話したら黒井先生は大笑い・・・まぁ酒が入ってるからかもしれないが。
「でも偶然とは言えみんなの前で女の子の胸に顔をあてちゃったのは良くないね~」
「せやで。女の子はデリケートやからな」
酔ってるとは言えさすがにその言葉には反論できない。
事故とはいえ、やまとさんには恥ずかしい思いをさせちゃったからな。
しかもあの後、目を合わせてくれないどころかまともに会話が成立しなくなったし。
「まぁ、多少ギクシャクすると思うけど、時間が解決してくれるのを待つしかないよ」
「せやな。ちゃんとあやまったんやろ?」
「はい・・・」
「なら大丈夫! 1度や2度の失敗を恐れちゃ次のステップに進めないぞ若者よ!」
次のステップって何ですか、と思いつつ、こうして今日も2人の酔っ払いの相手をする事になる。
まぁ夕飯の時も飲んでるからすぐに酔い潰れるんだけどね。
この2人を布団に運ぶのは何回目だろ(汗)。
「ハイ今日もお疲れ様!」
「ども・・・すいません、いのりさん。あんな状況だったとは言え心無い事言っちゃって・・・」
「もう気にしてないわよ。それにあの事も事故みたいな物なんだから元気出しなさい」
「そうよ~。明日はお祭りもあるんだから。そんな顔してちゃ楽しめないわよ?」
「・・・ですね」
過ぎた事はどうしようもない。
ならこれからどうすればいいか。
普通に考えたら嫌われてもおかしくないけど、先程までの様子ではその心配は無さそうだし・・・。
明日の朝は頭を切りかえて行こう。
<オマケ:乙女達の会話>
「ん~・・・」
「どうしました、こなた先輩?」
「てい!(ムニュ)」
「きゃ!」
「何やってんのよあんたは」
「いや~、さっきまさきが感じた感触はどんなもんかと・・・」
「・・・・・・!」←思い出して真っ赤
「でもな~、落ち込んだ時のまさきを慰めるとなる時はやっぱりこう、ぎゅ~って抱きしめて・・・」←頭の中でシュミレート中
「まーくんを抱きしめて・・・ぽ~・・・」←赤くなって目が泳いでる
「・・・少し足りない、かな」←みゆきの胸を見て
「べ、別に大きければ良いと言う訳では!」←真っ赤
「貧乳はステータス・・・と主張していた時期が私にもありました・・・」←小さい胸をポンポン叩きながら
つづく・・・