らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第四十四話 高校生活最後の夏休み計画

7月に入り、まもなく始まる期末テストを乗り切れば待望の夏休み!

まぁ今年は受験生だから息抜き程度ならともかく、そうホイホイと遊びに行くわけにはいかないけどね。

それはともかく、日曜日である今日はいつものメンツで泉家に集まり勉強会の真っ最中。

中間テストの時のショッキングな出来事もあり、俺はもとよりかがみさんは凄まじいまでの勢いで勉強に励んでいる。

 

「それにしても台風の後ってなんだか暑いよね~・・・今日も30℃超えるみたいだし」

 

つかささんは今日の最高気温に多少ウンザリしながらシャープペンを動かしている。

黙りこくって勉強するより、多少話しながらのほうが続けやすいか。

台風一過・・・昨日あたりは関東に接近どころか上陸の恐れもあったのだが、夜のうちに通過してしまったらしく、今日は梅雨の中休みといった所か一足速い夏の日差しが降り注いでいる。

 

「そだね~。台風一()なだけに兄弟姉妹がいっぱいだったよね~」

「ふふふ、こなたにしては上手い事言うわね~」

「みゆきさ~ん、こなたさんに座布団1枚あげてちょ~だい!」

「ハイ、かしこまりました~♪」

 

こんな会話でも結構空気が和むよな~。

しかしみゆきさん、ノリが良いのはいいけどホントに持ってきたその座布団、どっから出してきたの・・・?

 

「ねぇかがみ、まさき。『上手い』ってどゆこと?」

「・・・一応聞いとくけど、本気で言ったんじゃないわよね?」

「お姉ちゃん、こなちゃん何か変なこと言ったの?」

「え~っと・・・(汗)」

「まさかとは思うけどさ、2人共ホントに『一家』だとは思ってないよね・・・?」

 

俺の質問にこなたさんとつかささんが揃って首を傾げていたりする。

それでいいのか高校3年生・・・?

みゆきさんですら言葉が無いぞ。

と、そこでゆたかさんが冷たい飲み物を持ってきてくれた。

 

「先輩方お疲れ様です。冷たい麦茶をどうぞ~♪」

「お、ゆーちゃんありがと~♪」

「ありがと、ゆたかさん。ゆたかさんも自分の期末試験の勉強で大変だろうに。」

「い、いえ。こなたお姉ちゃんや先輩達みたいに受験が絡んでない分まだ楽ですから・・・」←ちょっと照れてる

「分からない事があったらいつでも聞きに来て下さいね?」

「あ、ありがとうございます・・・えっと、それじゃあ勉強とかとは違う事なんですけど1つ、いいですか?」

「お、さっそくお悩み相談? どんな事だいゆーちゃん?」

 

ゆたかさんはちょっと言いずらそうにしていたが躊躇いがちに口を開いた。

 

「中学生の頃の友達に彼氏が出来たみたいで、『何を送ったら喜ばれるかな?』って相談されたんですけど・・・」

 

何かアドバイスを、と言うが・・・。

 

『・・・・・・』

 

思わず全員が固まってしまう。

いや、他の男子はどうかは知らんけど俺も去年の誕生日にこなたさん達からプレゼントを貰ったくらいで異性からまともに何か貰った事は・・・バレンタインのチョコくらいか。

どうしたモノか・・・すっごく気まずい空気が流れている(汗)。

 

「と、取り合えずこの中で唯一の男の子であるまさきから一言!」

「やっぱ俺に振るんかい・・・まぁ単純に相手が喜びそうな物・・・例えば相手の趣味にあった物とか、いつも身に付けられる物とか・・・」

 

無理して高い物は・・・バイトでもしてれば話は別だが、そういうのは大抵男の領分だろう。

後は・・・う~む。

 

「学生なんだし、手軽に買えてなお且つ気持ちがこもってるヤツ・・・もしくは手作りの何かってのもあり・・・かな?」

 

そこまで言うとゆたかさんは熱心にメモを取り始めていた。

何故かこなたさん達も真面目に聞いているようだが、自分に彼氏が出来た時の参考にでもするつもりだろうか?

 

「そういえばまさきさんは、去年の誕生日にわたし達が送った腕時計をいつも身に付けてますよね」←悪気無し

「・・・それだけ嬉しかったのかなまさきクン?」←(=ω=.)ニヤニヤ

「まさきくんがそこまで気に入ってくれてるって事は、一緒になって選んだ甲斐もあったって事かしら?」←一緒に選んだ人

「そうだよね・・・わたし達皆の気持ちがこもってるからなのかな・・・?」←ちょっと嬉しそう

 

みゆきさん、よく見てるのは良い事だが、ここで言われるとさすがに恥ずかしいって。

しかも皆に弄られるネタにされるだけでしょ(汗)。

最近こんな事ばっかだな、俺・・・。

結局ゆたかさんも交えて、休憩と言う名のおしゃべりタイムになった。

 

「ゆたかちゃん、高校生活のほうはもう慣れてきた?」

「慣れてはきましたけど、勉強は難しいし、宿題も多くて大変です」

「最初は誰だってそんなモンでしょ。俺もこっちに来たばかりの時は、今みたいな余裕なんて全然無かったからなぁ・・・」

 

自分から望んだ事とはいえ、見知らぬ場所での生活環境に慣れなきゃいけなかったし、バイトやら家事やら朝のジョキングやら体調管理やら・・・。

その上陵桜はそれなりにレベルの高い学校だから、最初は授業についてくのに一苦労だったのを覚えてる。

 

「おに・・・まさき先輩は1人暮らしだからもっと大変だったんだですよね?」

「(おに?)慣れてくりゃ何とかなるけどね。そうなるまでの、生活のリズムを作るのが大変だった」

「やっぱり先輩達は凄いな~。でも3年生って受験勉強中心で、宿題とかはあまり出ないんですよね?」

 

・・・はい?

 

「や、普通に宿題、出てるんだけど・・・」

「こなた・・・あんたまさか」

 

全員の視線がこなたさんに降り注ぐ。

そっぽ向いてとぼけてるがその様子だと・・・。

 

「いや~、何のことだか」

「人間簡単には変われないって事だね」

 

かがみさん、みゆきさんはおろかつかささんでさえ頷いている。

こんなんでよくゆたかさんの憧れを一身に背負えるもんだ。

 

「そういやゆたかさん、さっき何か言いかけてなかった?」

「あ、いえ、何でも無いです、何でも!!」

 

凄い勢いで何でも無いという割には顔が赤いんだけど大丈夫かな(汗)。

それから約30分、談笑が続く。

 

「狐・・・う~ん、犬、リス・・・それから・・・」

「突然何よ?」

「いや~、わたし達を動物に例えたら何かな~と思って」

 

相変わらずいきなり話の路線を変更するなこなたさんは。

 

「わたしは悪戯好きな狐、つかさはイメージ的に子犬、ゆーちゃんは小動物的なリス」

「で、さしずめわたしは色々理由つけて熊とか虎とか言いたいんでしょ?」

「そんな事無いと思いますけど(苦笑)」

「そうそう、かがみはツインテだし、寂しがり屋だからウサちゃんかもよ~?」

「・・・それはそれで気恥ずかしいからやめてくれ」←真っ赤

 

・・・・・・。

少し、いや、かなり見てみたいかも。

寂しがってるウサギなかがみさん、ちょっと想像がつかない。

や、他の娘も見てみたいけどさ。

てか寂しがり屋ってトコは否定しないのか、かがみさん?

 

「でもそれ面白いね。他の人はどうなるだろ~?」

「ゆいねーさんは凄まじいスピードで峠を駆け抜ける豹って感じで・・・」

「みなみちゃんはクールで颯爽としてカッコイイから鷹かな?」

「みゆきさんは髪の毛のモフモフ感からして羊か・・・? そうなると俺はどうなるんだろ?」

『狼!』

「・・・チョットマテオマエラ」

 

皆から見た俺のイメージって・・・しかも満場一致即決かよ!?

 

「別に悪い意味じゃないわよ」

「まーくん足速いし」

「いつもご飯食べるのも速いよネ・・・それも結構な量を食べる様はまさに肉食獣って感じだし。それとも、まさきは別の意味で理解したのカナ~?」

「し、知るかんなモン! たく、手洗い(トイレ)借りるよ」

「いてら~」

 

そう一言こなたさんに断って部屋を出る。

状況が状況だからしょうがないのかもしれないが、()()()()とやらを女の子が言うなっての・・・。

そんな事をブツブツ言いながら部屋から出ると、少し離れた所でそうじろうさんを発見した。

雰囲気的にブラックな空気を纏ってるが。

 

「こんな所で何やってんですか、そうじろうさん」

「ん? ああ、赤井君か。いやな、ああいう時って何でいつも親は戦力外通告なのかなぁ、とな・・・お父さんは悲しいよ・・・うっうっう(涙)」

 

うわホントに泣き出したよこの人(汗)。

まぁ今の状況で『お父さんが教えてあげよう!』なんて言って部屋に入ったら明らかに邪魔者扱いされるだろうな・・・。

普通に会話できるようになっても俺はまだこの人の人知を超えた行動には理解に苦しむ時がある。

とりあえずそんなそうじろうさんを適当にスルーして用を足し、こなたさんの部屋に戻った。

 

「へ~、みなみちゃんちは別荘持ってるんだ~」

「毎年避暑のために行ってますし、この際お友達いっぱい誘って来ないか、と言うお話もあるんですよ。よろしければ皆さん全員で♪」

「何の話?」

「あ、まーくんおかえり~」

「今年の夏休みは遊びに行くんじゃなくて、落ち着いて勉強が出来て息抜きもできるとこ無いかな、て事で話してたのよ」

 

そんな話の中、みなみさんちが毎年避暑目的で利用してる別荘を持っているのだという事をみゆきさんが話す。

今年の夏、そこに皆で来ないか、と言うお誘いが持ち上がっているらしい。

結構な大きさの別荘で、1部屋4~5人寝泊り出来るスペースがいくつかあるとか。

みゆきさんの親戚の家がある所からわりと近いらしく、よく一緒に夏祭りや川遊びなどに興じているそうだ。

 

「みなみさんのご両親の都合に合わせることになるので何時になったら行けるかわからないんですが、まさきさんもご一緒にどうですか?」

「俺が行っても激しく場違いなような気がするんだけど・・・?」

 

主に男女比的な意味で。

 

「ふふふ・・・そんなの今更じゃないの」

「去年も5人で海に行ったもんね♪」

「まぁそうなんd「何ぃぃぃ~~~!?」うぉわ!?」

 

ばたん! と思いっきり扉が開く。

まだ扉の前に張りついていたのかそうじろうさん(汗)。

 

「5人で・・・だと!? 赤井君も行ってたなんて、おとーさんは聞いてないぞ、こなた!」

「そりゃおとーさんに話したら強引について来そうなんだもん」

「あたりまえだ! 男と一緒に海に行って、しかもそれがハーレム状態なんてそんなうらやまs・・・じゃなくて、かなり危険な状況じゃないか!!」

「その辺は保護者に婦警であるゆいねーさんと担任の黒井先生にお願いしたから大丈夫だし、まさきは実際一緒に楽しく遊んだだけで、普段の態度からして見ても信頼出来るし、実際特に何もなかったから問題無しだよ」

 

てか去年のこと、言ってなかったんだな。

まぁさすがに言ったら猛反対してそうだよな、こ の 人(そうじろうさん)

・・・よくよく考えるとそうじろうさんの様な反応が正しい様な気がするぞ?

親娘で不毛な大騒ぎが続く。

が、それはいいとして・・・テスト勉強は?

 

「今日はもう遅いですし、これ以上はお邪魔するわけにはいきませんね」

「それもそうね。だいぶ日が傾いてきたし」

「夏休みはみなみちゃん次第ですね」

「その前に目の前の期末テストだからな~」

「うん、そうだね。みんな、がんばろうね♪」

 

つかささんの言葉が合図となってその日は解散になった。

 

 

 

その後の期末テストの結果、やはりダークホースなこなたさんが好成績を叩き出すも、俺もかがみさんも全教科でこなたさんの成績を上回っていたのでホッと胸をなで下ろしたのは秘密である。

 

 

 

つづく・・・


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