<柊家:夕食時>
「やっぱり鍋、デカイですね・・・(汗)」
「あら、いっぱい食べる子がいるんですもの。やっぱりこのくらいの大きさじゃないと・・・ね♪」
「まさきくんが来る時はずいぶん賑やかになるからね」
大体月1〜2回になった柊家での夕食会・・・といっても俺が1人増えるだけだが。
今日のメニューはすき焼き。
通常の倍くらいの大きさの鍋にたっぷりの野菜と肉がグツグツと煮えたぎっている。
『いっただっきま〜す♪』
「たくさんお食べ」
姉妹が全員揃って箸を動かし始める。
が・・・。
<10分後>
「(やっぱりこうなるんだな・・・)」
おしゃべりしながらだが、姉妹揃って肉を重点的に食べてるようで、野菜がほとんど減っていない。
さらに・・・。
「それでね、こなちゃんが言うには、携帯電話が繋がらなくなるのはナントカ粒子が濃いから電波が妨害されてるんだって」
「ほほぅ、そうなのかい」
つかささんが途中からおしゃべりの比率が多くなりはじめて箸が完全にストップ。
って言うかさすがに今のはただおさんもツッコムべきなのでは?
そんな訳で、多めに材料が用意されてるとはいえ、下手したらもうすぐに無くなるぞ。
主に肉が。
「つかささ〜ん、こなたさんの言うことをあんまり真に受けちゃダメだって。あと肉が主におねーさん達に取られて相当減ってるぞ〜?」
大体ナントカ粒子を開発した博士が現代にいるわけ無いだろ。
「て、そこで何であたしたちを真っ先に出すかな!?」
「ふぇ・・・? あ、お肉〜! わたしの分は〜!?」
「まぁまさくんは野菜も一緒に食べてるみたいだし、まつりもかがみもちゃんとバランスよく食べないとだめよ?」
「わ、わたしはちゃんと考えて食べてるわよ! それに多めに取っといたのはつかさに分けるためで・・・!」
「ってゆーか姉さんだって結構お肉食べてるじゃない!」
「あら、わたしはちゃんと野菜も食べてるもの。」
「・・・まあ、本っ当にたま〜にですけどねぇ。」
「ちょ!? そ、そこはまさくんが結構野菜を食べてくれてるから・・・!」
慌てて取り繕うところで自白したようなモンである。
「ん〜、俺の場合は肉と野菜を食べる割合は大体
ピシィ!
そんな音が聞こえたような気がした。
一言ツッコミを入れるだけでこの騒ぎである。
そんな姉妹+αをただおさんとみきさんは微笑みながら見守っているのであった。
ホントに仲の良い家族だ。
<陵桜学園:3−B>
こなたさんも弁当を持ってくるようになって少し狭くなってるような気がする昼飯時。
そのうちみんなでワイワイ弁当を食べれる広い場所でも確保した方がいいかね?
「わたしも遂に携帯を買い換えたのだよ」
「泉ちゃん、前の携帯電話はどのくらい使ってたの・・・?」
峰岸さんの苦笑気味のツッコミも何のその、終始ご機嫌な様子のこなたさん。
こなたさんが携帯電話を買い換えた(ずいぶん古い機種を使ってた)事で、
「着信や壁紙を自由にいじれるよ〜♪」
とご満悦の様子である。
もっとも、使ってる着信(着歌フル)や壁紙は彼女の趣味を大きく反映しているようだが。
「番号やメアドはそのままだから安心してね♪」
「了解・・・ちなみに調子に乗ってダウンロードしまくってると大変な目にあうぞ?」
「そうだな〜。あたしも使いすぎて怒られたことがあるぜ・・・」
日下部さんも経験した事があるのだろう。
目移りして色々と着メロを試聴したりサンプル画像を色々と見てて気が付いたら手遅れ・・・なんてこともやったな〜、買ったばかりの時。
「あ、そういえばもうそろそろ1年なんだよね」
「何がよ?」
「わたしのアルバイト。バイト先の皆がお祝いしてくれるみたい」
「ほほぅ、結構気さくなトコなんだ」
「へ? ちびっこってバイトしてんのか?」
「泉ちゃん、これから受験があるのに大変だね」
そういや話したこと無かったな、この2人には。
こなたさんの場合、受験はともかくとして、定期テストの時もバイトに精を出してるようだが。
「そう言えば、泉さんがアルバイトを始めたのは去年の今頃でしたね」
「そだよ〜。まさきはそういうことしてもらった事無いの?」
「生憎、コンビニのバイトだからなぁ・・・。みんな良い人たちではあるんだけどね」
お祝いをして貰ったことは無いなぁ。
ま、お祝いをしたことも無いからおあいこか。
「・・・試しに今度みんなでこなたのバイト姿見に行ってみよっか♪」
「あ、それ面白そうだね。こなちゃん、どんなカッコしてるんだろ〜♪」
「いい機会ですから、わたしも1度行って見たいですね♪」
かがみさんがからかう様に言った所をつかささんとみゆきさんが援護射撃。
そういや正月の時にこなたさんが
まぁかがみさん本人はわざわざ見に来たお返しのつもりで言ったのだろうが・・・。
「うん、いいよ〜」
「て、いいのかよ!? 普通嫌がるトコだろ!」
「かがみさん・・・コスプレって見られるためにしてる様なモンだよ?」
「そりゃそうだろうけど・・・」
「うんうん、まさきは分かってるね〜♪」
こういう事はまだかがみさんよりこなたさんの方が1枚上手のようだ。
<陵桜学園:放課後>
「あ、お姉ちゃ〜ん、まさき先輩!」
「お、ゆーちゃんにみなみちゃん」
「お〜っす」
「こんにちは、泉先輩、赤井先輩」
「・・・はうっ!?」
帰り際、岩崎さんとなんとなく見覚えのある二人を引き連れた小早川さんに昇降口で遭遇。
ちなみに今日はこなたさんと2人で帰宅する所である。
しかし小早川さんがこなたさんを見るなり、こんな反応を・・・?
あ、なるほど。
「そういや今日から1年生は身体測定か。」
「・・・そういやそういう時期だったネ。お、パティと・・・どなた?」
「ハロー! コナタ、マサキ!」
片方は外国人って事とハイテンションで印象も強かったパトリシア=マーティンさん。
相変わらずマイペースというか・・・無駄にテンションが高いなぁ。
もう1人はどっかで会ったような・・・はて?
「あ、とりあえず初めましてっす。小早川さんから聞いてますよ。泉先輩に・・・赤井先輩、で良いんですよね?」
「あれ、まさきの知り合い?」
「・・・ああ、年末のコミケの時に八坂さん達のトコにいた・・・村田さんだっけ?」
「田村っすよ!田村ひより!」
「ああ、そうだそうだ。印象薄いからこんがらがってた」
「うわ酷ッ!」
「冗談だよ」
「・・・ワザとっすか? ワザとなんっすか!?」
「うん」
「即答!? やっぱ赤井先輩ってドSっすか!?」
「いんや全然。てか前も思ったけどこれでドSっていう程か?」
うん、やっぱりからかうと面白いなこの娘。
しかし彼女も小早川さん達と同じクラスだったらしい。
ここまで来ると・・・何かに導かれし者たち?
「・・・何だかまさきの新しい一面が見えたような気がするよ」
「・・・・・・(コクコク)」←同じ意見
「えっと・・・(汗)」←付き合いが短いから何とも言えない
「ナンだかマサキがいきいきシテマスネ」←やっぱりマイペース
まぁそれは置いといて。
「そういや小早川さんのさっきの反応は何?」
「あ、その・・・お姉ちゃん、高校に入ってからどの位成長したかな~って・・・」
やっぱり・・・そりゃ聞きにくいわな。
「いや〜、縦も横もさっぱりでさ〜」
「え〜!?」
「・・・(ぺたぺた)・・・大丈夫、この先きっと成長する。」
「ミナミ、キニシナイキニシナイ! ジュヨウはありまスヨ〜♪」
「パトリシアさんはそんなに成長してるからそんな事が言えるんすよ・・・わたしだって。わたしだってぇ!」
・・・毎度毎度こいつは(汗)。
てか後輩達もどこぞのご近所姉妹と同じかい。
「何度も言うがな・・・男の前でそういう会話はやめい」
「・・・あれあれ〜? ナニを想像したのかな、まさきくぅ〜ん?」
「やかましっていうかいちいち引っ付くな!」
こっちは健全な青年男子である。
多少いかがわしい事を考えてしまうのはしょうがないだろ・・・て!
「それ以前に、後輩達に変な誤解を生みそうな事をいうn「使える・・・」・・・は?」
とりあえずこなたさんを黙らせようとしたら、田村さん突然呟き始めた。
「先輩を・・・して・・・こういう展開は・・・いや、でも・・・ブツブツ・・・」
急にブツブツと早口でつぶやき始めた・・・なんか怖いぞ(汗)。
するとこなたさんが何かを悟ったのか田村さんに近づく。
「ねぇねぇ、田村さんで良いんだよね?・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・」
「マジッすか!? となると・・・キタキタ、ネタがキタ〜! 先輩方ありがとうございます!」
「いや、俺は何もしてないんだけど・・・」
こなたさんが田村さんに何か耳打ちをしたとたんに何故かお礼を言われてしまった。
「がんばってね〜♪」
「みんなゴメン、私先帰るから!」
「え? え? 田村さん?」
「ユタカ、ヒヨリには大事な使命がウマレタのデス」
「・・・使命? 絵を描くこと?」
物凄く・・・嫌な予感がします。
「こなたさん、何吹き込んだの?」
「ん? まさきの生態系」
「うぉい!?」
つづく・・・