<東京某所>
今日は12月31日。
一般には大晦日で、家の大掃除やら年賀状書きやら宿題やらで忙しい日なのだが・・・。
「どんな所かな〜。ワクワクするね♪」←何も知らない
「気楽で良いわね、あんたは・・・」←2回目だからどういう場所か知ってる
「何でも楽しんだモンが勝ちだよ、かがみん」←常連
「とりあえずなんで俺までここに居るワケ?」←何気に経験者
現在ゆりかもめで移動中。
目的地は有明・・・国際展示場である。
そこでは年に2回のオタク達の熱い戦いが繰り広げられるのだ。
いや、かなり大げさだと言わざるを得ないが、オタク達の
「まさきくんも行ったことあったんだ・・・」
「まぁあそこまで凄い所だとは思わなかったけどね。また行くハメになるとはなぁ・・・」
中学生の頃、友達と友達の親父さんに連れられて行ったことがあった。
その当時、滅多に行くことがなかった日本の首都。
ましてやそこで開催される大きなお祭りとならば、内容を知らなきゃ行ってみたいと思うのはしょうがないだろう。
が、その結果・・・。
どこぞの誰かみたいに『見ろ! 人がゴミのようだ!!』という表現がピッタリな中、何が何だかわからず人の海に揉まれまくって、ただ疲れて帰るだけとなってしまった。
あの人の海は凄まじいとしか言いようが無い。
「とりあえず俺はコスプレ広場には近づきたくないということでファイナルアンサー?」
「え〜・・・?」
「反論は受け付けません」
「何言ってんのよ、今回はある意味それが唯一の楽しみなんだけど?」
「・・・マテ、まさか・・・」
「今回は皆で一緒だよ。しっかり準備してるからお楽しみに〜♪」
柊姉妹は同意の上らしい・・・少しずつこなたさんに
といっても今回は割りとまともなヤツだという。
どうなることやら・・・。
<国際展示場>
どこを見ても人、ひと、ヒト・・・。
一体どこから集まってくるのだろうか?
あ、ちらほらと痛車めっけ。
うわ、あそこにゃ早速女装コスプレの人がいるし。
展示場の正面玄関には大量の人の列・・・既に大勢の人が館内で準備をしてることを考えると、万単位の人がすでに集まってるのが伺える。
「うぅ〜、お姉ちゃん、まーくん、何だかココ怖いよ〜」
「だ〜から言ったでしょ、つかさが思ってるような所じゃないって」
「そうそう、忘れないうちに作戦を君達に伝えておくよ」
「作戦?」
「綿密な作戦こそが勝利の鍵となるのだよ、まさき」
そう言って1人ずつ回る
そして細かい注意事項をいくつか伝えられる。
「そういうわけで各員、健闘を祈る!」
「アンタってこういう時だけ凄まじい情熱と知性を発揮するのね・・・」
「いや〜、褒めても何もでないよかがみん♪」
既に柊姉妹はゲンナリしている。
あとこなたさん。
今の言葉、少しも褒めてないぞソレ・・・。
<国際展示場館内>
『走らないでください! 皆様歩いての移動をお願いいたします!』
・・・誰も守っちゃいないがな(俺含む)。
『新刊の販売はお一人様に付き、それぞれ4冊までとさせていただいております!』
普通の感覚ならそんなに買わないって。
もっとも・・・。
「新刊3冊ずつください」
「ハイ、え~っと・・・合わせて○○円になります」
こなたさんの頼みとは言え、こうやって纏め買いしてる俺がいるんだが・・・この薄っぺらい本が単行本並か、それ以上の値段するんだから世の中って不思議でいっぱいだ。
まあ自費出版なんだろうからしゃ〜ないのかもしれないけど。
うわ、あそこの・・・壁サークルって言うんだっけ?
凄い行列と思ったら最後尾で2時間待ちかよ!?
「後は・・・あっちで終わりか」
既にサークルを回ること約10箇所。
薄いヤツとは言えチリも積もれば何とやら、正直言ってめちゃめちゃ重い。
だがそれも次で最後。
人ごみ掻き分けてさっさと買い物済ませて集合場所に行こう。
・・・そういやかがみさんやつかささんは大丈夫だろうか?
こんな人ごみを掻き分けないと通れないような場所を、こういう事に慣れない女の子が1人で行動すること自体かなり無謀なような気が・・・。
今になって本気で心配になってきたぞ(汗)。
しかし携帯電話で確認しようにも、回線が混雑してるせいか中々繋がらない。
「最悪、俺が足で探し回ることになりそうだなぁ・・・やれやれ。」
この人ごみの中、迷子捜索はかなり難しいだろコレ(汗)。
そうぼやきながら最後のサークルに向かう。
「いらっしゃいませ〜って赤井先輩?」
「・・・あら?」
「え? 八坂さんに永森さん!?」
思わぬ所で思わぬ後輩に遭遇・・・そういや
売る側だとは思わなかったが。
ちなみにこうさんとはこういう場所では会うのに、学校では一回も会った事がないから不思議なもんである。
これだけの人ごみの中より学校で会うほうが確率的には高いはずなんだが・・・。
「あれ? こうちゃん先輩の知り合いッスか?」
見慣れない娘もいるが恐らくサークル関係者だろう・・・高1の八坂さんのことを先輩と呼んでるんだから彼女はまだ中学生・・・大丈夫か、日本の将来?
「そうそう、ひよりんの先輩になるかもしれない人だから挨拶くらいしときなよ?」
「初めまして。田村ひよりッス。え〜と赤井先輩、でいいんスか?」
「ああ。赤井まさきです。よろしく。それはそうと永森さん、また巻き添え食ったの? 人が良いのも大概にしないと次何に巻き込まれるか分かったモンじゃないぞ」
「・・・それに関してはお互い様って言って良いですか?」
「ちょ、ちょっと、2人揃って何変なところで意気投合してるの!!」
「そうッスよ! 腐女子を何だと思ってるんスか!?」
「腐った女子」
「うわそのまんまじゃないッスか! だいt「とりあえず新刊3冊ずつくれ」「・・・○○円よ。しかしよく買う気になりますね」「言うな。てかそもそも俺のじゃない。あくまで買出し要員・・・ぶっちゃけパシリか」「・・・ご苦労様です」って聞いるんスか! きいてm「そんじゃな〜。」しかも放置プレイ? それなんてドS!?」
「はいはい言いたいことは分かったからチャッチャと仕事する!」
この程度の扱いでドSはないだろ。
俺はため息をついて集合場所に向かった。
そもそも言い合いしたって時間がかかるばかり。
俺の後ろに何人か並んでたし。
なんだかまた癖の強いヤツ・・・もとい後輩と知り合ったもんだ。
<国際展示場:集合場所>
とりあえず時間通りに集合場所の簡易カフェ(ウェイトレスは皆メイドさん)に集まって戦果をこなたさんに報告した。
「おお〜、さすがというか頼りになるネ♪・・・でもホントに全部回って来るとは、まさき、恐ろしい子!」
「・・・よく、全部回れたわね」
「私なんか道に迷っちゃって結局何もできなかったよ〜・・・」
「最後は結局体力差かな。こういうことで役に立ってもあんまり嬉しくないけどね・・・」
こなたさんは上機嫌、かがみさんはグッタリ、つかささんにいたっては疲労困憊の様子。
ま、男が人を掻き分けて強引に進んで行ってようやくたどり着いたって感じだったからな。
柊姉妹(特につかささん)が迷子にならずここまでこれたこと事態が僥倖と言うべきか。
「まぁ初心者にはキツイルートかな〜と思ったんだけどネ。もう少し休んだら皆でのんびり回ろうよ♪」
「何気にタフだなこなたさん・・・」
まぁさすが常連と言うのもあるのか。
ちなみに後で聞いたら俺のルートは
そう思ったんだったらそんなルートを設定しないでくれ、ホントに(涙)。
<国際展示場:企業ブース>
「あ、ながもんの中の人だ!!」
「ってことは声優か? あの人」
「声優さんが売り子をやることって結構多いみたいよ?」
「お姉ちゃん詳しいね〜」
「く、詳しくなんかない! この前似た様な事があっただけよ!」
現在4人で企業ブース散策中。
こういう大きいイベントではゲリラ的にアニメキャラの
と、その隣で・・・。
「限定版トレカが売り切れだぁ!? アレが買えなきゃ俺がここまで来た意味がねぇんだよ!!」
「も、もうしわけありません(汗)」
うわ、絵に描いたような迷惑な客・・・じゃない、参加者だな。
「ああいう人がいるからオタクって叩かれやすいんだよね」
「・・・まぁ確かに、アレを見てると度を超えた芸能人かスターのファンと変わらないっぽいわね」
「大体ああいう人は自分も『客』じゃなくて『参加者』だってことを認識してない事が多いんだよね。コミケは皆で作るものなのに・・・」
暗い表情で残念そうにこなたさんが言うが、もっともな話だ。
「情熱を向ける対象が2次元か3次元か・・・それだけの違いにしか俺には思えないけどね」
「まーくんは平等に見てるんだね」
「毎回言ってるけど、
「あっちで何かあった・・・みたいね(汗)」
見てみるとあそこのブースはアニ○イト。
真冬なのにあそこは無駄に熱そう・・・いや、暑そうに見える。
2人の見覚えのある店員が
てかあの参加者、白石くんに似てるような・・・?
「そんな訳でぜひこのきょんを!」
「いや、そーすけがオススメです!」
「そうじゃなくて僕は「こぉんの馬鹿者共が〜!!」おわ!?」
あ、眼鏡をかけたさらに熱そうな人が乱入してきた。
「君達の話は聞かせてらった! 君達のアニメに対する熱意、そして商魂は大いに結構! だが、それにかこつけて不人気キャラを
『・・・いえ、どっちも主人公です』
話の内容からどうやらあの人は社長らしい。
その一部始終に圧倒されつつも俺たちは静観していた。
「あそこはいつもテンション高いよネ」
「そ、そういうものなの?」
2人のやり取りに返す言葉もない俺とつかささんだった。
<国際展示場:コスプレ広場>
「へ〜、似合うじゃないその制服」
「まーくんかっこいい♪」
「さらっと言わないでくれ恥ずかしい。てかコスプレで髪まで染めるハメになるとはね・・・」
染めた髪はシャンプーで落ちるとのこと。
で、俺は某ギャルゲーの主人公のコスプレ。←ゲームの制服着て髪を軽く染めた
柊姉妹は双子の姉妹のコスプレなんだが・・・性格やらがえらい似てると思ったのは俺だけじゃないはず。
しかもかなりシャレにならないレベルで(汗)。
さらにかがみさんが辞書を持って歩いてたり、つかささんがトランプを持ってたりするのはおそらく仕様だろう。
「そういやこなたさんは?」
「もうここにいるの・・・」
「おわぁ!?」
こっそり後から忍び込んでくるのはやめていただきたい。
それともう1つ・・・。
「私の名前は一○瀬こ○み。ひらがなみっつでこ○み。呼ぶときはこ○みちゃん。」
「・・・話し方は良いとして、色々と無理あるんじゃない?」
成績とか見た目(どことは言わない)とか。
「にゃにおう!?」
いくらなんでもそのキャラより、三角帽子をかぶったヒトデ大好き少女のほうが身体的に合ってるような気がするんだが。
「Oh,コナタ、やっとみつけマシタ〜!」
「あ、パティ〜、こっちこっち〜!」
「ほえ? こなちゃん、外国人のお友達?」
「こなたにそこまでの社交性・・・あ〜」
思い当たる節は一応、ある。
こなたさんはコスプレ喫茶でバイトをしているから恐らくその繋がりだろう。
ちなみに銀髪(かつらのように見える)でこなたさん達と同じ制服を着ている・・・金髪キャラじゃなくて良かったな俺。
そっちだったらきっと某格ゲーの女性格闘家もビックリな高速蹴りコンボを極められて宙に舞ってたに違いない。
ひとまず俺達は自己紹介を済ませた。
「紹介するね。彼女は私のバイト先の後輩でパトリシア=マーティンって言うの。留学生で今度
「パティとよんでくだサイ。どうデスかマサキ、オンナノコらしいでショウ?」
「セリフの使い方間違ってるよパティさん・・・」
「それと場合によってはかがみんがいちゃもんつける所だよネ♪」
「言ってる意味がさっぱり分からんわ!」
見た目だけだが。
てか何人目だ女子の後輩。
「えっと・・・乙女のいんすぴれーしょんです」
「つかささんも変な所で対抗しない!」
その後、俺を中心に写真撮影に勤しんだのは・・・もう気にしないことにした。
同時に何か大切なものを失くした様な気がする(涙)。
そんな感じで異様に疲れる大晦日だった。
つづく・・・