らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

29 / 62
第二十八話 聖夜は家族と共に その2

<帰宅後:柊家>

 

 

 

「ココをこうして・・・これはこうで・・・」

 

俺は説明書を片手に買って貰った超合金魂ガン○スターをいじり回していた。

正直明日まで開けるのを待とうとしていたのだが、現状は既に開放済み。

というのも柊家に帰ってくる途中・・・。

 

「ね〜ね〜、折角だしかがみんちに着いたら開けてみてよ」

「あ、わたしも見てみた〜い!」

「そうね、まさきも開けたくてウズウズしてるんじゃない?」

「まさきがそうしたいんならそうしなさい」

「一体どの様な物なんでしょう・・・?」

 

上から順にこなたさん、姉弐号(まつりさん)姉参号(かがみさん)(ただお)さん、みゆきさんの順である。

こなたさんもみゆきさんも1泊して明日の朝帰るのだそうだ。

ちなみに(みき)さんと姉壱号(いのりさん)姉四号(つかささん)は台所で夕飯の準備やクリスマスケーキの製作等で忙しく動き回っているため、後で写真を見せてもらうとの事。

そのため俺が買ってもらった物をいじくり回している所を父さんがデジカメで撮影していたりする。

・・・何かそうなると柊家のアルバムに納まってそうで恥ずかしいなぁ。

まぁ、何はともあれ。

組み上げたガン○スターの多種多様な武器を一通り構えさせて(ついでにこなたさんの要望&解説も済ませて)箱を開けてから約1時間とちょっとで台座(と言うより見た目は格納庫に近い)に納めたところで一息ついた。

発売は2年前のものだが重量感もあり、俺的には大満足♪

 

「何だかまさきの新しい一面が見られたよ」

「へ?」

 

いやいや来て良かった、なんて言うこなたさん。

・・・何か良い物でも見せたっけ?

 

「そうですね、何だか目が輝いていたように見えました」

「確かに、普段学校じゃまずお目にかかれないわよね♪」

 

姉参号もみゆきさんもそんな事を言う。

むう・・・なんか恥ずかしい。

 

「ふふふ。息子(まさき)にここまで喜んでもらえたなら、奮発したこっちもうれしいな」

「お願いだからもう勘弁してよ、恥ずかしいから・・・」

「あ、まさきの顔があか〜い♪」

「へぇ〜、かわいいトコもあるじゃん。よしよし♪」

 

そんな事を言って姉参号がはやしたて、姉弐号が頭をなでてくる。

 

「ああもう! 俺も高校生なんだから子ども扱いしないでよ姉弐号!」

「だからそんな呼び方するな〜!」

「とりあえずまさき、姉壱号から姉四号は使用禁止ね。」

 

むう、使用禁止されてしまった・・・ならば!

 

「じゃあ姉壱号から姉四号改め、姉壱式から姉四式まd『だからなんでそんな呼び方なのよ!?』・・・えぇ~・・・?」

 

これ以外なんかあったかな〜。

ちなみにこの呼び方は今まで散々弄くりまわされた仕返しのようなものなのでこの辺にしとこうかな?

 

「えぇ~、じゃないわよ!? ほとんど変わってないじゃない!!」

「コイツは今のうちに徹底的に教育するべきか・・・?」

 

ヒートアップする姉弐式(まつりさん)になんかブツブツと怖いことを言ってる姉参式(かがみさん)

この辺にしとかないとそろそろやばいなこりゃ。

 

「こらこら、まつり。かがみもそうケンカ腰になるんじゃない。まさきもふざけてないで、ちゃんとお姉ちゃんの事を呼んであげないと」

『・・・ハ〜イ』

 

ということで父さんの仲裁によりこの場は何とか納まった。

 

「それにしてもまさきって環境適応能力Sランクだよね」

「はい? なんのこっちゃ・・・?」

「今のやり取りを見てるだけでも、まさきさんも柊家の家族にしか見えなかったということですよ」

 

・・・ここまで言われると、将来役者でもやってみるかな、なんて思ったりする。

まだ先の話だけど進路の1つと言う事で・・・図に乗りすぎか。

その後、俺はただ待ってるのも悪いと思い、何か手伝おうかと良いにおいを漂わせた台所に顔を出すが・・・。

 

「あら、もうお腹すいちゃった? もうちょっとまっててね」

「いや、何か手伝える事ってあるかな〜と思って」

「だめよまさ、ここは今戦場なんだから!」

「そうそう。まーくんは居間で待っててね♪」

 

てな感じで追い出されてしまった。

この調子だと姉妹間の中では料理が一番できるのがつかさ姉さん、少し劣っていのり姉さん、そして見えない壁があってまつり姉さん、かがみ姉さん、といったところか。

まつり姉さんとかがみ姉さん、どっちが上手いかは知らないけど。

 

「あら、手伝いに行くんじゃなかったの?」

「・・・追い出された」

「あはは♪ 台所は女の戦場だからね〜」

「とか言って、まつり姉さんも女じゃない。手伝わないの?」

「そういうかがみも女よね。手伝いに行かないの?」

 

なんか2人の間に火花が飛び散り始めたので飛び火しないうちに退避しとこう。

 

 

 

<夕食時間:柊家居間>

 

 

 

『メリークリスマ〜ス!!』

 

カチン、とグラスとグラスを軽く合わせた音が鳴り響く。

柊家+αのクリスマスパーティ。

柊夫妻と長女はシャンパンで、残りはジュースで乾杯した。

テーブルの真ん中には手作りケーキと、隣にあるのは七面鳥の丸焼きか?

他にも色とりどりの柊母娘(おやこ)達の力作が所狭しと並んでる。

そしてワイワイと騒いでる時のこと・・・。

 

「そういえばさ、クリスマスイヴとクリスマスって、何が違うんだろ?」

 

とこなたさんが素朴な疑問を投げかけてきた。

 

「クリスマスイヴの元々の意味は『クリスマスの夜』なんだけど、実際には『クリスマスの前夜』を指しているんだ。これはユダヤ暦や、それを継承する教会暦に照らし合わせると、日没をもって日付の変り目としていることから、長い時間を経て一般的に『クリスマスの前日=クリスマスイヴ』として広まったんじゃなかったっけかな。つまり現在使われてる太陽暦で言う12月24日の日の入りから25日の日の出までがクリスマスイヴ、そこから25日の日の入りまでがクリスマスってこと」 ※Wikipedia参照

 

こなたさんの疑問にそう答えて、俺は切り分けられた七面鳥にかぶりついた。

 

「ええ。ですから伝統的な教会では24日の日没から既に日付が変更されたことになり、クリスマスイヴが始まるんです」

 

ようするに、この時間はキリスト教会では既に12月25日なのだ。

 

「・・・みゆきさんから答えが帰ってくるのは予想してたけどさ・・・何でまさきが知ってるの?」

「そうですね。私もちょっと驚いてます。しかも何だか凄く詳しく説明してましたし・・・」

 

まあそういう反応は当然だよな。

普通は知らなくていい事だし、知ろうとするのはみゆきさんのようなよっぽど知識欲がある人じゃなきゃ調べる気もしないだろう。

 

「まさも結構詳しいじゃない。て言うかホント、何で知ってんのよ?」

 

いのり姉さんを初めみんな揃って首を傾げてる。

 

「んあ、ひょうはふへひほほろひゅうひょほほひはんひははっは」

「まさき、お行儀が悪いわよ? ちゃんと飲み込んでからしゃべりなさい」

「そうだよまーくん、お料理は逃げないよ〜?」

 

おっといけね。

母さんとつかさ姉さんに頷いてから口の中の七面鳥(もの)を飲み込んで改めて話す。

 

「小学生の頃、宗教の時間に習ったんだ。私立でキリスト教の学校だったからさ」

「まぁ、そうだったんですか?」

「あれ? それじゃまさきって実はキリスト教?」

「いんや、無宗教」

 

こなたさんの質問に俺はあっさりと答えた。

母さんはキリスト教徒だが。

 

「まぁ疑問は残るけど・・・じゃあまさは何かクリスマスソングとかも歌えたりするの?」

「ここで歌えっての? いのり姉さん」

『おお!』

「うわ!? 4人揃っていきなり何・・・あ、なるほど」

 

考えてみると『姉さん』と呼んだのは初めてか。

そんなわけで、残り3人をまつり姉さん、かがみ姉さん、つかさ姉さんとそれぞれ呼んだら、特につかさ姉さんが喜んでいた。

末っ子だからよっぽど呼ばれたかったんだな・・・。

まぁそれはさて置き。

 

「・・・1番だけでその上うろ憶えなんだけど、それでいいなら歌えないこともないよ」

 

結構ポピュラーな歌だから知ってる人も多いのではなかろうか。

 

『わぁ〜!(パチパチパチ)』

 

ここで全員からの拍手・・・ってちょっと待て!

 

「うわ墓穴掘った・・・しかもすでに決定事項!?」

「ちょうど良いわ。ケーキのロウソクをつけて明かりを消しましょう♪」

「ツリーの電球とロウソクの明かりだけでも結構雰囲気が出そうだね」

「父さんに母さんまで・・・」

 

なし崩し的に演出完了。

皆の前で歌うハメに・・・とりあえず頭をひねって何とか歌詞を捻り出す。

確か・・・うん、こんな感じでよかったはず。

 

「あ〜・・・それじゃあ歌います。曲名は『Silent Night』」

 

拍手の後、俺はゆっくりと歌い出した。

 

「♪~~~~~~♪」

 

 

 

『おお〜!』

「まーくんすご〜い!」

「まさかの英歌詞・・・そういやどっかで聞き覚えがあるね」

「結構ポピュラーな歌だし、こなたでも聞いた事くらいはあるんじゃない?」

「てか何気にまさって歌上手いわね〜」

「ねぇねぇ、明日辺り皆でカラオケ行こっか♪」

 

とりあえず好評な様で良かった。

バスの中でカラオケやった時より死ぬほど緊張したぞ。

 

「ちょっと発音おかしな所があったと思うんだけど」

「いやいや、それだけ出来れば十分だろう」

「そうよ、歌手デビューでもいけるんじゃない?」

「父さんも母さんも大げさすぎるって!」

 

こんな感じでワイワイ騒ぎながらイヴの夜は更けていった・・・。

 

 

 

<入浴中:柊家風呂場>

 

 

 

「・・・ふう、何か疲れた」

 

今頃居間と台所は後片付けで大忙しだろう。

今日1日、楽しいこと、嬉しいこと、大変だったことと、いろんな事がぎっしり詰まった非常に濃い1日だったと思う。

てかかがみ姉さんやつかさ姉さんがいつも入ってるお風呂・・・。

いかんいかん、煩悩退散煩悩退散!

俺は変態か!

・・・とりあえずまだ終わりじゃないだろう。

まつり姉さんに『先にお風呂は行ってきなさいよ。もう入れるから♪』となにやら企んでそうな含みを持って入浴を勧められた。

一癖も二癖もあるあのまつり姉さんが何か仕掛けて『ガララ』・・・マテ、まさか・・・(汗)。

 

「やっほ〜まさき、今日は大変だったでしょう〜? 背中流してあげるわ♪」

「ふっふっふ、おねーさん達が綺麗にしてあ・げ・る♪」

「ちったぁ恥じらいってモンが無いのかあんたらはぁっ!!」

 

思わず入り口を見るも高速で後ろを向く。

てかいのり姉さん、あんたもか!

 

「と、とりあえずバスタオル巻くくらいして隠してよ!」

 

いくらなんでもタオル1本はないだろ(汗)。

 

「あら、気にすること無いわよ、まさ。実は水着着てるし♪」

「いや気にしてよ! て水着・・・・・・!」

「はいは〜い、暴れない暴れな〜い♪」

 

思いっきり大胆なビキニタイプじゃん!

で、結局。

 

「やっぱり男の子の背中って高校生になるとおっきいのね〜」

「小さい頃はこうやってお父さんの背中もよく流してあげたっけな〜♪」

「あうあうあう・・・」

 

大人しく背中を流されるハメになりました・・・。

 

「あ、今度は私の背中、お願いね♪」

「姉さんの次は私ね♪」

 

正直、この後のことはよく憶えていない。

ていうか俺はこの時、あまりの出来事に既に思考停止状態だった。

そして気が付いたら居間でボ〜っとしてたりする。

居間にいた父さんや母さんは普通に居間に入ってきたと言うが・・・。

 

 

 

「で、ほんっと〜に何にも無かったんでしょうね・・・?」

「む〜、今度は私とかがみお姉ちゃんが・・・」

「やんないわよ!」

「おやおやかがみ、ヤキモチですかい?」

「でもさすがにやりすぎなのでは・・・?」

「ふふ、長女の特権よ♪」

「思いついたのは私だけどね。いのり姉さん、かなり乗り気だったけど実は焦ってるとか?」

「・・・グーで良いかしら?」

「スミマセンデシタ・・・」

「あらあら♪」

「まぁ今回は不可抗力で見逃しておくが・・・次があったらお仕置きかな?」

「はい・・・(泣)」

 

寝る前にこんなやり取りがあったとかなかったとか・・・。

 

 

 

つづく・・・


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。