らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第二十六話 聖夜計画は多種多様

季節がすっかり冬になった12月。

明日からは期末テストが始まる。

そのために俺は範囲を確認しつつ苦手な科目を重点的に勉強をしていた。

時間を確認すると・・・うわ、既に11時!?

いかん、時間のことをすっかり失念していた。

 

「ふわ・・・そろそろ寝るk『♪~~~~~~♪』誰だこんな時間に・・・こなたさん?」

 

液晶に出てきた名前に珍しいなと思いつつ、俺は電話に出た。

 

「もしも〜し、こんな時間にどうしたの?」

『あ、まさき? ちょっと聞きたいことがあるんだけど』

「珍しいね、こなたさんが俺に聞きたいことって」

『うん、実はちょっと詰まっててさ〜。リオン編の裏ダンジョンのあの桁違いのレベルのモンスターってどう対処してた?」

「・・・その前に勉強するように。反論は認めません」

 

そう言って電話口で騒ぎ始めたこなたさんの言葉は聞かなかった事にして通話を切った。

やれやれ・・・。

 

 

 

<陵桜学園:2−B>

 

 

 

翌日、いつも通りに俺は柊姉妹と登校して教室に入った。

 

「おはよう」

「おはよ〜、ゆきちゃん」

「おはようございます、つかささん、まさきさん。今日からしばらくテスト漬けですね」

「午前中で帰れるのは嬉しいんだけどね〜」

「代わりに勉強頑張らなきゃいけないからな」

 

そろそろ先を見据えて頑張らないといけないからね。

っていうか午後いっぱい自習時間にした方が良いような気がすると思ってるのは俺だけじゃないはずだ。

何故かと言うと・・・。

 

「みんなおはよ〜。ねぇまさき、昨夜のアレはちょっと酷いよ〜。少しくらい教えてくれても良いじゃん!」

「そういう事は普段から勉強してる人が言うことだよ」

 

教室に入ってくるなり凄い剣幕でこなたさんが問い詰めてくる。

・・・内容が内容だからなぁ。

まぁ、普段から勉強してる人はこの期間中にゲームをやろうなんて普通の神経じゃ思わないだろうけど。

 

「失礼な! ちょっと息抜きしてただけだよ!」

「で、その息抜きがどんどんのめり込んで・・・」

「うん、最終的には一夜漬け」

「それがダメなんだっての!」

 

こういう輩が最低一人は身近にいるのだ。

息抜きが必要なのは分かるけど、いつの間にか目的を履き違えてたら意味無いっての。

 

「いや〜、最近ネトゲのほうでは黒井先生の監視がキツくてさ〜、テ○ルズやってたらいつの間にかあの時間に」

「ダメだコイツ、早く何とかしないと」

「・・・あの、何のお話でしょうか?」

「ああ、こなたさんがね、昨夜の11時ごろだったかな? 電話かけてきて詰まってるって言うから何かと思ったら・・・ゲームの攻略法のことだったんだよ」

 

この言葉にさすがのみゆきさんも納得した上で苦笑い。

ちなみにつかささんは難しい問題になるとすぐに眠くなるとか・・・まぁその気持ちは分からんでもないが。

そんなこんなでチャイムも鳴り、テストが始まった。

 

 

 

<テスト終了数日後:2−B>

 

 

 

「おーっす、テスト結果どうだった〜?」

 

テスト用紙に点数が付いて全部戻ってきた日の休み時間、かがみさんがやってきた。

何か少し沈んでるなぁかがみさん。

まあ手ごたえが掴めないとか通学中言ってたからな。

 

「ゴメンねお姉ちゃん、私の面倒見てくれてたから・・・」

「いいのいいの。調子悪いのは自分のせいだし、それでも一応上位はキープしたし」

「へぇ〜、さすがのかがみでもそういうことがあるんだ。」

 

そんな調子でも上位をキープ出来るのは流石だと思う。

 

「こなたは・・・聞かなくても分かるか」

「失敬な! 私だってそれなりにがんばったんだよ!?」

「逆に私は用事があって中々勉強時間の確保ができなかったのよね〜。つかさの面倒も見てたけどソッチは逆に復習になったから良いんだけどね」

「ちなみに二人とも、どのくらい勉強したの?」

「四時間も!」

「四時間しか・・・」

 

・・・・・・。

 

『あれ?』

 

かがみさんの場合、テスト前に用事を引き受けるのもおかしな話だがそれでも上位をキープできたのは、普段からきちんと授業を受けてたためだろう。

が、こなたさんは・・・言わずもがな。

 

「それにしても、双子といってもそれぞれ考え方や姿勢はやはり違うものなんですね」

「ま、一卵生だろうが二卵生だろうがかがみさんはかがみさんだし、つかささんはつかささんだからね」

 

遺伝子が同じなだけで別の人間だからな。

 

「私の場合、姉って言う立場上つかさよりしっかりしなきゃって昔から思ってたからね」

「妹には負けられないってか?」

「でもかがみ、張り合う相手がつかさじゃ張り合いがいが無いんじゃない?」

 

流石にそれは酷いぞこなたさん。

 

「はぅっ!? こなちゃんのくせに〜!」

「・・・あ〜、それも少しあるかも」

「ってうぉい!?」

 

かがみさんもフォロー無しかい!

そしてなんだこの奇視感!?

 

 

 

<翌日昼休み:2−B>

 

 

 

テストも無事終わり、まもなく冬休み。

今年一年ホントにいろんなことがあったと思う。

一番何が変わったかと言われると・・・やはり交友関係だろう。

 

「ん? どうした赤井?」

「いや、今年一年いろいろあったな〜と」

「そうね・・・気が付いたらもう12月なんだもんね」

 

しみじみと言う峰岸さん。

こうやって7人で昼飯を食べること・・・そもそも知り合って間もないのにも拘らず、あっさり馴染んだもんな〜、俺・・・この女子の輪に(汗)。

まぁ人の噂も七十九日、今ではすっかり2−Bでは馴染みの光景だ。

未だに男子からの羨ましげな視線は残ってるが。

 

「今年はプロ野球とかも色々あったわよね」

「だね、優勝決定戦も最後までもつれ込んだし」

「プロ野球といえばパのプレーオフ!ダイエーを応援しちゃったよ」

 

おや?

野球の話にこなたさんが絡んでくるのは珍しい。

彼女曰く、

 

「延長してアニメの放送を妨害する悪!」

 

なんて言うくらい嫌ってたのに。

 

「セール目的でさ〜。近くに西友ないし・・・ダイエーはあるんけどネ」

 

あ、成る程。

父子家庭だし、その辺は結構気を使ってるのか。

 

「惜しくも優勝は逃しちゃったんだよね〜」

「でも応援感謝セールはやってたよね」

「ああ、俺も結構買い込んだよ」

 

と言った所・・・。

 

「ウソ〜!! 優勝した時だけじゃないの!? ズルイ!!」

 

いやこなたさん、ズルイって・・・(汗)。

 

「広告くらいちゃんとチェックしときなさいよ」

「む〜、来年からはそうしよう」

「でもチビッ子の場合はお菓子が目的なんじゃないか?」

「あ、私もそう思った」

 

かがみさんと日下部さんは人のことは言えないと思ったのは俺だけか・・・?

 

「違うよ、調味料その他の日用品だよ」

「そだね〜。狙ったほうが結構お得なんだよね♪」

「まぁ・・・かがみとみさきちには縁の無い話だろうけど・・・ネ?」

「悪かったなチビッ子!」

「ど〜せ家事は苦手だよ!」

 

今のところ消費専門っぽいこの二人。

どこぞの漫画じゃないんだからやれば出来ると思うんだけどな〜。

俺でも何とかなってるのに・・・。

と、ここでつかささんが話題を転換させた。

 

「ねぇねぇ、皆はクリスマスの予定って何かあるの?」

「あ、そうそう。皆でパ〜ッと騒がない?」

 

ちなみに俺は既に了承済みである。

他の男子(クラスメート)からの誘いもあったのだが、先着順ということでそのまんま話したら泣きながら去っていったが・・・。

 

「あやのは兄貴とデートだもんな♪」

「み、みさちゃん!!(真っ赤)」

「ちなみにウチは家族と親戚んトコに行くんだ、兄貴を置いて♪」

 

峰岸さん、戦闘不能確認。

日下部さんも同じく参加できないとのこと。

 

「申し訳ありません。せっかくのお誘いはありがたいんですが、わたしも近所の方達や親戚と過ごす予定がありまして・・・」

 

みゆきさんも諸々の都合で参加不能。

残るは・・・。

 

「ゴメ〜ン、私も用事あるんだ〜」

「何だこなたも男関係か〜」

「かがみさん、それに触れるのは野暮ってもんでしょ」

「こなちゃん、おじさんとどこかに出かけるの?」

「つかささんまで言及しちゃ・・・て親父さんとk「お父さんには遅くなるって言っといたよ?」・・・ほう?」

 

まさかこなたさんに一足早い春が!?

 

「え・・・マジで彼氏とデート!?」

 

まわりもそう思ったらしく皆顔を染めて驚いている。

が・・・。

 

 

 

「期待を裏切るようで悪いけどただのバイトだから」

 

 

 

<通学路:下校中>

 

 

 

結局柊姉妹と俺以外の友達はクリスマスを一緒には過ごせないようだ。

で、どうするのか聞いてみると・・・。

 

「とりあえずウチの家族に+まさきくんじゃない?」

「クリスマスに1人なんて、寂しいもんね」

「まぁそりゃそうなんだけどさ」

 

冬休みなんだし、最終手段として実家に帰るという手もあるんだが・・・。

ウチの両親は母さんはともかく、親父のほうが仕事を休むなんてコトはまずないと思って良いだろう。

しかも母さんは宗教関連で、教会の祭事に参加するだろうから家にはまず居ない。

姉貴は姉貴で友達と遊び回ってるだろうし。

しかし柊家のクリスマスに赤の他人である俺が混ざって良いものかどうか?

 

「別に知らない相手じゃないんだし、まさきくんなら姉さん達も含めて皆で大歓迎するわよ♪」

「いや、歓迎してくれるのは嬉しいんだけどね・・・」

 

流石にこの前みたいに弄られるのは勘弁して欲しいところだ。

 

「まーくんが来るなら腕によりをかけてお料理作らなきゃ!」

「あれ? もう決定済みってか拒否権なし?」

「あら、断るつもりだったの? せっかく女の子が2人も誘ってるのに」

 

・・・なんか最近かがみさんが小悪魔っぽく見えるんですけど?

いくら友達とは言え俺は男だぞオイ。

しかし柊家の面々の分・・・つまり6人分のプレゼントを考えなきゃいけないのか?

むう、バイト、少し増やすかな・・・?

 

「それにしてもこなたには驚かされたわよね〜」

「あはは、でもまぁ似たようなモンでしょ?」

 

確かに言ってることは間違ってないだろう。

来るのはほぼ男性客のようだし。

 

「サンタさんの格好で接客するんだってね♪」

 

まぁそれは良いんだけど・・・。

 

「サンタは子供達に夢を与えるのが仕事なのに、あんなちみっ子に夢を求めるお客さん(おとこたち)もどうかと思うけどね・・・」

「ま、否定はしない」

「お姉ちゃんもまーくんも言いすぎだよ〜。サンタさんのカッコしたこなちゃん、きっとかわいいよ」

 

そんな話をしながら俺達はそれぞれの家に帰っていった。

冬休みも間近。

本気でバイト増やそうかな?

何か大きいの買って柊家の皆にまとめてプレゼントってのも良いかもしれない。

ともあれ時間もまだ少しあることだし、もう少し考えてみよう。

 

 

 

つづく・・・




アニメ放映時はまだ「ソフトバンク・ホークス」ではなく「ダイエー・ホークス」でしたよね。

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