らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第二十五話 友達の系譜

11月も半ば・・・寒さが徐々に近づいてくる時期。

東北出身の俺はまだまだ寒いとは思っていない。

その代わり実家に帰った時はかなり肌寒く感じて、慣れるまで結構堪えるワケだけど。

それでも、元々この地域に住んでる人達からすると、特に早朝は(当たり前だが)冷え込みを感じるようだ。

 

「何だかすっかり冬が近づいて来たって感じがするね」

「そうね。でもこれでまだ11月なんだもんね〜。そろそろ厚めのコート準備しないと」

「そんなに寒い? あまり無理しないほうがいいよ?」

 

汗が冷えて風邪でも引いたら本末転倒だ。

ちなみに現在は毎朝恒例のランニングの真っ最中。

更に言うとペースも距離も最初の頃から比べるとずいぶんのびていたりする

早朝と言うこともあり確かに冷え込むが・・・。

 

「まさきくん、寒くないの・・・?」

「東北出身の人間からすると、まだまだこの程度って感じ?」

「お〜、さすがまーくん。男の子はやっぱり凄いね♪」

 

大体、走って体が暖まってきてるから寒さをさほど感じない。

でも彼女らはやっぱり女の子だ。

冷えは大敵・・・なんだろうな。

男の俺には理解不能な域だが。

 

 

 

<通学路>

 

 

 

いつも通りランニングを済ませて一旦家に戻った俺たちは、朝食を取って制服に着替え、いつも通りに同じ風景を見ながら通学する。

しかしたまにいつもと違う風景を見ることもある。

いや、風景と言うより・・・。

 

「改めておはよう、まさきくん♪」

「おはよ〜・・・ま、まーくん」

「おはよう、2人とも(汗)」

 

具体的にいうと、ご近所の双子姉妹が髪型だけじゃなく、性格や口調まで入れ替えてるとか・・・。

面白そうだから気付かないフリをしておこう♪

特にかがみさんがつかささんの真似をして、顔を真っ赤にしながら呼びなれない俺のあだ名で俺を呼んでる時の表情が何だか新鮮で面白い。

で・・・そのままこなたさんと合流した。

 

「お〜っす、こなた♪」

「おはよう、こなちゃん」

「おはよ〜」

「お、おはよう・・・」

 

こなたさんはそんな2人を見て絶句した挙句、俺を引っぱって2人から離れて小声で聞いてくる。

 

「ねぇまさき、気付いてないワケじゃないよね・・・?」

「気付かない訳ないっしょ・・・ククク♪」

「おぬしも悪よのう♪・・・だけどあの2人は分かってないな〜、やっぱり」

 

何が?

と聞こうとした時には、こなたさんは何故か2人を説教してたりする。

 

「何で私達が怒られてるのよ・・・?」

「まーくんは気付かなかったのにな・・・」

「つかささんはともかくとして、かがみさんまでばれてないとでも思ってたの?」

『え~!?』

 

本気でばれてないと思ってたらしい。

てか髪の長さで一目瞭然なんだが・・・かがみさんもどっか抜けてるな。

 

「ちなみに解説者のまさきさん、どこを直せば2人は完璧だと思いますか?」

 

いつものこなたさんの悪乗りである。

今回は便乗してみよう♪

 

「そ〜ですね〜、まず髪の長さ、目つき、頭の中身ってか主に成績。後は家事の腕前。この辺りを何とかしない事には・・・」

「て、それって全部じゃないの!」

「あぅぅ・・・」

 

今日もこんな感じで、いつも通り平和な登校風景を送った。

 

 

 

<2−B:昼休み>

 

 

 

「にしても柊がいきなり髪形変えて来たからさ~、何かあったのかと思ったぞ」

「そうね、私達はいつもツインテールな柊ちゃんしか見てないし」

「う、うっさい。たまたまよた・ま・た・ま! そういう気分になることもあるの!」

 

かがみさん、何か失敗した時『たまたま』で全部片付けるのは如何かと思うぞ?

 

「私は髪が短いから、お姉ちゃん達くらいの長さだったら色んな髪形に出来るんだけどな〜って思うんだけどね」

「でもそうすると手入れも大変なんじゃないの?」

「そうですね、髪質によっては痛みやすい方もいらっしゃいますから」

「まぁ手入れくらいはするけど、いじるのはメンドイし自分でやっても面白くないからな〜」

 

友人達との憩いのひととき。

修学旅行以降、周りが2人増えて更に賑やかになった・・・やっぱり女子だが(汗)。

ますます注目度(主に男子からの)が上がってたりする。

・・・夜道には気を付けよう。

バイトが夜遅くになることもあるし。

 

「しっかしあっさり馴染んだよね、あやのさんとみさきち♪」

「む〜、みさきちって呼ぶなって何度も言ってるだろ、このチビッ子〜!」

「ふふ、良いじゃないみさちゃん。こんなに短期間で仲良くなれるのって中々無いよ?」

 

性格は正反対なこのコンビ。

だがこの2人は幼馴染というだけあって結構仲が良い。

だからこんなことも聞いてみたくなる。

 

「2人はずいぶん仲良いみたいだけど、喧嘩したことって無いの?」

 

日下部さんはともかく、峰岸さんが怒ってる所がイマイチ想像できん。

ていうか既に姉妹に見えなくも無い。

 

「んあ? ああ、あやのってこう見えて怒るとメチャメチャ怖いんだぜ♪」

 

さらっとそんな事を言う日下部さん。

何か怒らせるようなことをしたんだな・・・。

 

「あれか、大人しい人ほどキレると怖いってタイプ?」

「おお、そんな感じそんな感じ」

「あれはみさちゃんが悪いんじゃないの、もう・・・」

 

どうやら何か前例があるらしい。

峰岸さんはウチのクラスで言うみゆきさんの様な位置付けか。

 

「まさきさん♪」

「ナンデモナイデスミユキサン・・・」

 

あとみゆきさん、ナチュラルに人の心を読まないでくれ(汗)。

 

「そういえば妹ちゃんは柊ちゃんとは双子なんだよね?」

「そうだけど・・・あ、やっぱり似てないとか?」

「ううん、もし立場が逆だったらどうなってたのかなって思って・・・私はまだ妹ちゃんのことはよく知らないけど柊ちゃん、想像つく?」

 

・・・・・・。

 

『つかさお姉ちゃん、宿題見せて〜?』

『もう〜しょうがないなぁ、かがみったら♪』

 

「うわ〜、何か凄いことになっちゃってるよ〜!?」

「・・・お〜いつかささん、戻って来〜い」

 

あぶねぇ、俺も想像してしまった。

はっきり言って違和感バリバリだ。

ついでに言うとかがみさんは苦笑い。

 

「どんな想像したかなんとなく察したけど・・・私は立場上自然とつかさの姉としてしっかりしなきゃって意識があったからね」

「へぇ〜、柊って妹思いなんだな〜♪」

「そうそう、ウチのかがみは妹思いの良いお姉さんなのだよ」

「むむ!? 前半部は聞き捨てならねぇぞ、チビッ子! 柊はウチんだぞ!?」

「みさきち、時には諦めも肝心だよ・・・?」

「そのセリフ、そっくり返してやるぜチビッ子・・・」

 

おお、いつもの牽制が始まった。

日下部さん達が来るようになってからはもはやB組の恒例行事だ。

全部引き分けに終わってるが。

一部のクラスメートが、最終的にどっちが勝つか賭けをやってるのはご愛嬌である。

 

「ま、なんにしても、今日も平和だってことだよね」

「アレに関しては私ももう諦めたわよ・・・」

 

かがみさんの言葉に俺達は苦笑するしかなかった。

 

「そういや気になってたんだけど、皆が仲良くなったきっかけとかって何かあったの?」

 

前々から気になって聞こうと思ってたのをいつも忘れてたんですでに今更って感じだが。

 

「ん〜・・・最初は私がこなちゃんに外人さんから助けてくれた時かな〜」

「助けて・・・くれた?」

 

何かやばそうなフレーズだぞ?

 

「でもよく考えてみると、あの外人さん、道を聞いてただけかも」

「マテ」

 

どういう助け方したんだ(汗)。

話を聞くとこなたさんは格闘技経験者ということで、力ずくで追い返したらしい。

外人さんにとっては災難も良いとこだな。

 

「まぁ、そこからの繋がりでこなたと私が知り合って・・・みゆきとは元々面識があったのよね」

「そうですね、委員会繋がりで♪」

 

優等生+委員長(かがみさんは1年の時のみ)ということで面識があったようだ。

 

「私達は中学の頃から柊ちゃんとは一緒だったのよ。妹ちゃんことは聞いてたけど、ちゃんと挨拶したのはこの前の修学旅行の時ね」

「あ・・・あはは、そうそう、そうだったわね!」

 

・・・かがみさん?

 

「さすがにそれは酷いと思うんだけど?」

「ナイナイ! 忘れてたなんてそんな事・・・あ」

 

言っちゃった・・・さすがの峰岸さんも苦笑気味である。

日下部さんは幸い聞いていなかったらしく、相変わらずこなたさんとにらみ合ったままだ。

ちなみに俺はボソッと呟いただけで、そんなに突っ込んで聞いたわけじゃない。

 

「そうすると俺だけ全員、今年から知り合った事になるのか」

「それが必然だったとしたら、私たちが出会ってお友達になれたのも、何だか運命的な物を感じますね♪」

「そうね、まるで赤井君を中心に自然と集まったような感じ・・・」

「恥ずかしいからそれ以上は勘弁してくれ」

 

そう言われると意識せざるを得ないでしょ〜に・・・。

 

ちなみに。

こなたさんと日下部さんの勝負(?)はやっぱり引き分けに終わった。

 

 

 

<放課後>

 

 

 

「あらこんにちわ」(CV:くじら)

『こんにちわ〜』

 

通学路ででよく出くわすおばさんに声をかけられた。

最初は俺達3人の関係をからかい半分聞かれたモノだが今は慣れたもの。

半年もすればかわし方くらいは学習する。

 

「ふふふ、3人とも何時もしっかりしてるから羨ましいわ〜♪」

「いえ、そんなことないですよ~」

 

かがみさんには悪いけど、おばさんとの会話は基本彼女のみである。

女性同士のほうが話しやすいだろうし、つかささんは・・・会話、成立するかな?

 

「陵桜でいつも高成績取ってるんでしょ? うちの子にもあなた達の爪の垢を飲ませてやりたいわよ」

 

・・・ていうかなんで知ってるんだそんなこと。

 

「ねぇまーくん・・・」

「どしたのつかささん?」

「何かお姉ちゃんやまーくんの威光みたいで素直に喜べないよ〜」

「つかささんはつかささんらしくしてれば良いでしょ。周りに何言われても俺らは俺らなんだからさ」

「・・・うん、そうだよね♪」

 

さて、そんなこんなで今年ももう残り1月ちょい。

12月に入ったらすぐに期末テストだ。

それを乗り越えれば冬休み・・・それを考えると今から何だかワクワクしてる自分に気付く。

とりあえず先立つモノを用意した方が良いかな〜なんて考えながら、俺はかがみさんとおばさんの会話を聞き流していた。

 

 

 

つづく・・・


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