体育祭から1週間。
俺はいつもの様に早朝のジョキングコースを走っていた・・・柊姉妹と一緒に(汗)。
すれ違う人達(主にお年寄りとか)にからかわれるのもすでに定番となりつつある。
「もう1週間になるけど、よく続くね?」
「それは私達に対する挑戦か?」
「いや、かがみさんじゃなく・・・」
最初の頃は眠そうな顔で危なっかしく走っていたつかささんだが、たった1週間で俺のペース(若干落としてるが)に付いて来ている。
「えへへ〜、わたしもがんばってるもん♪」
・・・やっぱりつかささんってやれば出来る子だよなぁ。
「明日からもうちょっとペースを上げても大丈夫そうかな?」
「ほえ・・・?」
「もうちょっとって・・・あんたこれ以上のペースで走ってたの!?」
「慣れだよ慣れ♪」
姉妹揃って若干顔を引きつらせてたのはご愛嬌。
走りながらこんな会話も出来るんだから大丈夫だと思う。
実際は徐々にペースアップしてたのだが(それでもまだ俺のペースじゃない)2人とも気づいてただろうか?
もう少ししたら多少距離も伸ばしてみようと思ったのは、今のところ2人には内緒である。
そんな感じで、平和な早朝の秋の1コマが流れていった。
<2−B:昼休み>
「そういやさ、前々から気になってたんだけど・・・」
「あ、私も聞きたい事があったんだけど」
「何よ二人揃って・・・?」
こなたさんの視線の先から考えられる質問は多分俺と同じだろう。
「2人の弁当って基本的に中身同じだよね?」
「そうだよ〜。私とお姉ちゃんが交代で作ってるんだよ」
「何かとっても質素な時とちゃんとした時で差が激しいんだけど何でなのかな、かがみ?」
「そこでストレートに私に聞いてくるのがなんか腹立つんだけど・・・」
取り合えずかがみさんは料理は作るほうじゃなく食べるほうが主らしい。
まぁ前々からそうなんじゃないか、とは思ってたけどね・・・あ、さっそくかがみさん、こなたさんに絡まれてる。
それに対して・・・。
「ちなみにみゆきさんの弁当、やけに豪華な時があるよね? 今日みたいに」
「いえ、コレは夕飯のあまり物を使ってるので、たいした物では・・・」
「あまり物・・・だと?」
「夕飯の余り物を使うのはわたしもよくやるけど・・・」
卵焼きで巻き付けるように、中にうなぎが入っていた。
うなぎが余る夕飯・・・余るか普通?
「みゆきさんちの昨夜の夕飯はうな重? それとも蒲焼?」
「い、いえ、普通におかずとして出てきたものですけど(汗)」
「コレが格差か・・・」
「あんたはまた何かのネタか・・・? でもやっぱりみゆきのお弁当は豪華よね」
「こんなに綺麗にタマゴをうなぎに巻きつけるのってやった事ないなぁ・・・今度試してみようかな?」
ずいぶんチャレンジ精神旺盛(料理限定)なつかささん。
彼女にとって料理は妥協できないって言うことか?
まぁ好きこそ物の上手なれって言うし。
「そしてみずから実験台になったかがみんは舌と共に体重も・・・」
「言うな! こんな所で!!」
「でもダイエットの効果は出てると思うヨ〜?」
あれ?
毎朝走ってるけどダイエットなんてしてたんだ。
・・・見た感じ、必要ないような気がするけどな。
「え、ホント?」
かがみさん、嬉しそうにしてるって事は相当我慢してたんだな・・・色々と。
それ以前に男子の目の前でそういう話題って普通避けるのでは・・・?
と、こなたさんは切なげにかがみさんのある部分を見る。
「ダイエットしても減って欲しくない所が減っt「もういい! みなまで言うな!!」」
取り合えず俺は見ないフリ見ないフリ・・・。
「あ、そういえばこなちゃん。こなちゃんから借りてたマンガ返すね♪」
「お、どうだった? 馬鹿っぽくて笑えたでしょ?」
「えぇ!? 私は感動して泣いちゃったんだけど・・・」
「どんだけ感性がずれてんの2人とも・・・?」
「・・・同じ本を読んだとは思えないくらいの反応ですね。」
これにはさすがのみゆきさんも苦笑気味。
2人の感性はかなりずれてる様だが好きなマンガは一緒らしいから不思議なモンである。
「ていうかこなたさんってアニメに限らずマンガとかも好きなんだよね? アニ研とかには入ろうとは思わなかったの?」
確か今年度から『アニメ研究同好会』なるモノが出来ていたハズ。
「ん〜、入っても良かったんだけどね、時間が限られちゃうし・・・」
そういってノートに何かを書き始めたようだが・・・。
「ちょ!? コレマジ書きっすか?」
何だか絶句してる柊姉妹。
どれどれ、と俺やみゆきさんも覗いて見るが・・・誰かの似顔絵っぽいけどコレは(汗)。
一応こなたさんに聞いてみるとリボンらしき物が付いてるのがつかささん、眼鏡らしきものをつけて何だか全身にきらきら光ってるものが書いてあるのがみゆきさん、そして・・・。
「コレかがみ♪」
「・・・ほう、あんたの中では私は火を吹いてると・・・?」
とりあえずなんで漫研に入らんかがよ〜く分かった。
さて、チャイムがそろそろ成る頃だし次の授業の準備を・・・。
「あれ〜、まさき。まさきの似顔絵一応書いといたんだけど見ないの?」
「見えない、俺には何も見えん」
どんな似顔絵だったかは想像にお任せします(汗)。
<6時間目:LHR>
この時間は10月にある修学旅行についての話し合い・・・のはずなのだが。
「みなさ〜ん、静かにしてください。話が進みません」
「ったく、小学生やないんやし、お前らもうちっと静かにしぃや!」
と、注意されてるにもかかわらず、中々静かにならないのもまぁ無理はないのかもしれない。
何せ中間テストの数日後に修学旅行があるのだ。
行き先は修学旅行定番の京都、奈良。
自分達の行きたい所や、自由時間をどうするかで既にクラス内どころか2年生全体でもテンションが高くなってるようである。
繰り返すが出発日は中間テストの数日後・・・既に中間テストを忘れてる生徒もいるんじゃなかろ〜か?
と、そこでこなたさんがみゆきさんに主張する!
「みゆきさん、我々は人の言うことを聞くだけの、型にはまった大人にはなりたくないのだよ!」
『おお〜! 泉が良い事言った〜!』
非常に分かりやすいな皆して・・・確かにいいセリフだ。
が、このセリフが凄まじい威力のカウンターとなって返って来ることになる。
「ちょうお前ら、いい加減に「それは大変いい心がけだと思います」・・・高良?」
先生からの注意だと思ったら意外なことにみゆきさんが肯定した・・・凄まじいオーラと共に(汗)。
「では議題に沿ったご意見を、皆さんで思う存分、話し合ってもらいましょう♪」
・・・みゆきさん、ひょっとしなくても怒ってる・・・?
いつもの笑顔ではあるのだが・・・。
ちなみに騒いでたクラスメイトは一瞬で静かになった。
クラスの空気が一気に絶対零度まで下がったような・・・というかみゆきさんにクラス全体が気圧された(汗)。
いるもんだな〜、笑顔で威圧できる人って。
あ、先生も少し引いてる。
とまあそんな事もあったが、時間は緩やかなようで過ぎてみればわりとあっさり中間テスト当日を迎える。
珍しく学校に着く前にこなたさんと合流した。
「おはよ〜」
「こなちゃん、おはよう!」
「よっすこなたさん」
「お、皆おはよ〜! 今日も仲良く登校ですね御三方♪」
ちなみにこなたさんのからかい方は最初の時はえらい動揺してたが、今では軽く流してる・・・本当に慣れって怖いな。
「こなたさん、何かずいぶん上機嫌だけど、テストに自信あるの?」
「いつも通りやってれば大丈夫なのだよワトソン君♪」
誰がワトソン君か・・・つまり。
「一夜漬けか」
「一夜漬けね」
「一夜漬けだね♪」
「否定はしないけどさ、何か馬鹿にされたような気がするのは何故カナ・・・?」
<中間テスト終了後>
で、案の定ヤマを外したこなたさんの結果はほぼ壊滅状態(それでもギリギリ赤点回避)、つかささんは多少勉強の結果が付いて順位は中の中。
かがみさんは少し調子が悪かったようだけど俺とみゆきさんと揃って大体いつも通り、といった所だった。
「いつも通りにやったんだけど・・・不思議とダメだったんだよね〜」
「不思議というより必然でしょ」
「同感」
まず一夜漬けを何とかした方が良いと思うのは俺だけじゃないだろう。
でもこなたさん本人は特に気にしてない様子。
「今回はお父さんと何も賭けなかったから気にして無いし♪」
「あんた絶対まともな大人にならないぞ・・・」
それ以前にテストの結果を賭けに出来る泉家ってある意味すごいと思う。
<通学路:下校中>
いつものように途中まで5人での下校中。
「それにしても類は友を呼ぶ的なカンジだと思ってたんだけどね〜」
「何がですか?」
みゆきさんがそう尋ねると、こなたさん曰く。
みゆきさんとかがみさんは委員長で成績上位者繋がり。
俺は柊姉妹のご近所さん・・・類友とかは関係ないような気がするのは気のせいじゃないはず。
こなたさん、かがみさん、俺はゲーム好き同士・・・ジャンルはかなり違うと一応主張はさせてもらおう。
「私とつかさは頭悪いモノ同士だと思ったんだけどネ〜。今回ずいぶん差が付いたヨ」
「はぅっ!? こ、こなちゃんのクセに〜!」
つかささんから抗議の声が上がったのはまぁ当然だろう・・・取り合えず今回は。
しかしつかささんって稀にだけど今みたいな凄いことを言うよな〜(笑)。
でもやっぱり一夜漬けで点数負けたら俺やみゆきさんはともかくとしてかがみさんは絶対落ち込むだろうな・・・。
それはさて置き、中間テストという関門も無事に突破したことだし、少しずつ修学旅行の準備も始めないとね。
つづく・・・