らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第十五話 秋の定番

「おはよ〜・・・おや?」

「ゆきちゃんおはよう・・・あれ? ゆきちゃんコンタクトにしたの?」

「おはようございます。いえ、そういうわけではないのですが」

 

9月もまもなく終わるというこの時期、だいぶ過ごしやすくなってきた。

スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋などなど人によってそれぞれあるだろう。

そんなある日・・・教室に入ったところでいつも通りみゆきさんに挨拶をした所、常にかけてるハズのメガネが無かったのだ。

 

「実は今朝、少し寝ぼけていた拍子にメガネを落としてしまって、しかも慌てた拍子に踏んで割れてしまいまして・・・」

「うわ、災難だったね」

「ゆきちゃん怪我しなかった?」

 

心配そうにつかささんが尋ねるが怪我まではしなかったとの事。

代えのメガネが来るまで約1週間はかかるそうだ。

 

「みゆきさん、そんな状態で大丈夫なの?」

 

以前聞いたとき裸眼では視力0.1も無いと言っていたはずだ。

席は前から2番目だが黒板の文字が見えるかどうか・・・?

 

「なるべく自力で頑張ってみますけど、見えなくてノート取れなかったときは見せてもらってもよろしいでしょうか?」

「・・・取り合えず俺が見せよう。こなたさんは字が汚いしつかささんは丁寧すぎて全部書ききれてないでしょ?」

「あう!?」

 

事実、つかささんに何回か勉強を教えているが要領が悪いのか書くのが少し遅いのか、授業のノートが最期まで書ききれてない事も多いことは証明済みである。

 

「おっはよ〜!」

 

こなたさん、参上!ってな感じで今日はずいぶんと元気がいいようだ・・・相変わらず遅刻との戦いの日々のようだけど。

 

「あれ? みゆきさん、とうとうコンタクトにしたの?」

 

同じ内容の話になるため会話を割愛させていただきます。

 

「・・・なんか私の扱い酷くない?」

「気のせいだよ・・・多分」

 

 

 

<昼休み>

 

 

 

「ん〜・・・」

「どしたのこなたさん」

 

コロネを頬張りながらこなたさんがみゆきさんを直視する。

 

「あの・・・私の顔に何か?」

「いや〜、アニメやゲームだとさ、メガネかけてる人がメガネを外したらいきなりモテる事が多いけど、実際はそんなことって無いよね」

「当たり前でしょ。でも見えない分、目を細めちゃうから目つきが悪くなるって事はあるかもしれないけど・・・」

 

ちなみにみゆきさんの場合、一生懸命見ようとしてるのが解かるのでなんか可愛く見えるのは秘密だ。

 

「でも目を細めるとなんか大人っぽくなるって言うか・・・美人になれるようなイメージもあるよね♪」

「ちょっと試してみようか♪」

 

試すって・・・。

 

『うっふ〜ん』

「こっち見んな」

 

4人が実験的に目を細めるのはいいが何故俺を見る?

・・・普通にかわいいなんて口が裂けても言えないが。

 

「って、それ以前に皆してやるな!」

 

一瞬早く我に帰ったかがみさんが3人にツッコムが・・・。

 

「いや〜、私達の中で白一点であるまさきの意見を聞いてみようと。かがみんだってノリノリだったじゃん♪」

「さ〜て、次の授業は何だっけと・・・」

 

そういって弁当箱を片付けながら脱出を試みるが・・・。

 

ガシッ!

 

「逃げ出そうとしてもそうは行かないヨ〜・・・皆も知りたいよね?」

 

頬を染めつつ頷かないでってか頼むから俺を巻き込まないでくれ!

返答に非常に困るから・・・。

 

 

 

<放課後:通学路>

 

 

 

「携帯買い直して貰ったのはいいけど、変なメールがいっぱい来るんだよ〜」

「あ〜・・・買ったときからアドレスをそのままにしてると、これから先もさらに来るよ?」

 

親に携帯を買いなおしてもらったらしいつかささん。

通常初めて買った携帯電話の場合、電話番号がそのままメールアドレスに使われている。

そのため迷惑メールの類が大量に来る。

 

「そういう時は分かりづらいアドレスに変更するといいんだよ」

「へ〜・・・まーくんのはアドレスどうやって決めてるの?」

「俺? 俺は某ガン○ムの機体形式番号」

 

少なくても年に1回はアドレスを変えてるお陰で迷惑メールはほとんど来ない。

 

「段々あんたもこなたよりの性格になってるように思えてきたんだけど・・・?」

「原作はほとんど見たことは無いけどね。ちなみにこなたさんは?」

「その前にまさき、もったいないよ・・・原作やアニメを見てもっと知識を深めるべきだよ!」

「こなた〜? 話がずれてるわよ。」

「てゆーかソッチの世界に俺を引き込もうとしない様に」

 

いつも通りの会話だから別に気にしてはいないようであるが。

ちなみに此方さんにはああ言ったが、既に片足突っ込んでるようなものだとは自覚はしている。

 

「まぁ気を取り直して、私のメアドはローマ字で『眼鏡っ子激ラブ』だよ」

 

うぉい!?

 

「ホントはメイドとかがよk「もういい! もう喋るな! 迷惑メール以前に、あんたの発言そのものが迷惑だ!」・・・モゴモゴ」

 

上手いこと言ったなかがみさん(汗)。

ちなみに現在の場所は電車の中である。

とっさにかがみさんがこなたさんの口を塞いだが時既に遅し・・・。

周囲の乗客がいぶかしげな目でこちらを見てるが俺は必死に他人のフリをしている。

聞くんじゃなかった・・・。

 

 

 

「メールの練習?」

「うん。まだ使い方がよくわからないから、まーくんが良ければ返信して欲しいんだ」

 

こなたさんと分かれた後・・・。

まだ携帯のメールの扱いに不慣れだというつかささんからこんなことを頼まれた。

ちなみに最初の頃はかがみさんにメールの練習相手を頼んでた様である。

 

「私は大丈夫なんだけどつかさの場合は、まぁおっとりしてるから・・・」

 

まぁ・・・こういうのは慣れだからな。

 

「んじゃ家に帰ってからになるかな? 取り合えず俺のアドレスは・・・と」

 

つかささんのは電話帳から登録しなおす必要があったため、俺のは携帯番号しか教えてなかったからアドレスを改めて教えるが・・・。

 

「え〜っと・・・これはここで・・・あれ? これはう〜んと・・・」

 

・・・慣れるまでもずいぶん時間がかかりそうだなこりゃ。

赤外線通信あたり出来れば楽なんだが・・・と思っていたりもする。

そういや前のときもアドレスの入力にえらい時間かけてたっけ。

俺から聞いたほうが早かったかも・・・学習能力ないな俺も(汗)。

 

 

 

<翌朝>

 

 

 

「おはよう・・・」

「あ、おはよう」

「おはよ〜まーくん♪」

 

メールの練習の相手をした翌日。

いつも通りに合流するも昨日練習相手なったことに若干後悔してる自分がいる。

 

「まーくん昨日はアリガトね?」

「どういたしまして・・・つかささん、取り合えず練習するのはいいけどあの大量の絵文字は何?」

「あ〜、やっぱりそっちもか」

 

10分置きくらいにメールが来るので約束した手前、返事を返さないワケにも行かずにつかささんが寝るまで練習は続いていた。

が、文字は数文字、後は画面いっぱいに絵文字を大量に打ち込んでくるのはさすがにどうかと思うぞ?

 

「まるで象形文字よね〜、あれは」

「否定はしない」

 

って言うか出来ない。

 

「可愛い絵文字が一杯あるからつい・・・てへへ♪」

 

恥ずかしそうに微笑むつかささんのことを一々可愛いと思ってしまうが流石にもう慣れたので顔に出ることは無い。

関係ないが。

 

「で、少しは慣れた?」

「ちょっと不安だけどもう大丈夫。ありがとう、ま〜くん♪」

「で、お父さんがメールのやり方を聞きに来たもんだから・・・」

「成る程、さっそく嬉々として教えてあげたわけか」

「えへへ・・・」

 

自分にとって難しいものを克服したら、使い方をよく知らない人に教えてあげたくなるのはいかにもらしいと言うかなんと言うか(苦笑)。

 

 

 

<2−B教室:昼休み>

 

 

 

「そういやもうすぐ体育祭だよね」

 

その日の昼休み。

いつもの事ながらどうでもいい話題(といっても学校行事だが)で俺達は盛り上がっていた。

 

「去年は球技大会、今年は体育祭、そして来年は文化祭ですね・・・」

 

秋の定番イベントは準備の都合やらを考慮に入れてそれぞれの行事が順番に1年に1回開かれる陵桜学園のこの3大行事。

文化祭が一番大変なような気がするんだが・・・。

 

「皆いいな〜。私運動が全然ダメだから足引っぱらないようにしなくちゃ」

「かがみさんは何に出るのですか?」

「かがみのことだからパン食い競争とか♪」

「前々から思ってたんだけど、あんた毎回私に対して喧嘩売ってないか?」

 

こなたさんイメージで判断してない?

そういや変わった競技があったよな。

 

「俺的には5M走ってのが気になってしょうがないんだけど・・・」

「白石君、泣いてたよね」

「いいんじゃない? ある意味楽だし」

「まぁ白石君だからね〜・・・で、結局かがみは何に出るの?」

 

「・・・・・・」

 

『・・・・・・』

 

「図星? ねぇ、図星?」

「こいつムカつく・・・!」

 

ほおって置くとまた拳骨が飛びかねないだけに話題を変えておこう。

 

「まぁ何に出るかは人ぞれぞれだけど、それを言ったら・・・」

「・・・・・・(真っ赤)」

 

みゆきさんが赤くなって少し顔を伏せた。

まぁ経緯が経緯だからな(汗)。

 

「へっ? みゆきは何に出るの?」

 

みゆきさんはやったことが無いからと言って、障害物競走を希望してたのだが・・・。

 

「みゆきさんは体の凹凸激しいから向かないよ」

 

という、こなたさんが放ったセクハラ親父発言のためにリレーに出ることになってしまったのだ。

ちなみに俺は200M走、こなたさんは100M走、つかささんは100Mハードル走である。

・・・若干心配なのが1人いるが概ねこんな感じだ。

 

「体育祭といえば、借り物競争ってあるよね?」

「あ〜、俺、やったことないんだよなぁ・・・」

「あたし達も参加はしなかったけど見たことならあるわね」

 

どんな借り物かすっごく気になるんだよな。

 

「借り物競争で私を呼ばれたことがあるんだよ」

「ということは泉さんの特徴が当てはまったのですか?」

「みたいなんだけど・・・結局最後まで教えてくれなかったんだよね」

 

・・・すまん、言えない事に心当たりがたくさんあるんだが。

 

「目元にほくろがある人、ではないでしょうか?」

 

成る程、さすがみゆきさん。

普通なら俺みたいに、言葉に詰まって絶句しそうなもんだが。

人によっては確かに気になる・・・でもそれって借り『物』競争でいいのかな?

ちなみに柊姉妹はみゆきさんに複雑な表情を見せていた。

 

 

 

<帰宅後:夕飯時>

 

 

 

夕方6時のニュースを見ながら夕飯を食べる。

時期的なこともあって小学校の運動会の模様を放送していた。

が・・・。

 

『いや〜、娘の応援しながら頑張ってるところを撮影してるんですよ』

 

ぶーーーーーーーーー!!

 

思わず口の中のものを吹きだしてしまった・・・。

画面に映ってるのは間違いなくこなたさんの親父さんだ。

こなたさんって確か一人っ子だよな?

いつだったか「妹のような従姉妹がいる」とは聞いたことがあるんだが。

とりあえず俺はチャンネルを変えた後、吹き出したものの後始末を行ってバイトに行く準備を始める。

しかしあの強烈なインパクトはしばらくの間、頭から離れそうになかった・・・。

 

 

 

つづく・・・


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