俺の名前は赤井まさき、現在中学3年生。
父はトラック運ちゃん、母はパート従業員、姉が2人とごく普通の家庭。
姉は2人のうち1人は大学進学と共に上京、片方は地元の専門学校に進学が決まっている。
ある日の夜、俺は両親と進路について・・・ぶっちゃけ進学したい高校について話し合っていた。
両親は地元にと言っていたが、俺はどうしても通いたい高校があったのだ。
他の友達は目を丸くして驚いてたし、先生も本人と親次第・・・と言って反対はしなかった。
「よりにもよって県外にすることも無いでしょう? 大学ならまだしも・・・」
「まさきの学力なら問題ないかもしれんがさすがに・・・な」
あまり乗り気じゃない両親は中々頷いてはくれなかった。
県外の高校(地元から相当離れた場所)=父親は仕事の関係上引っ越すわけには行かない=1人暮らし
という公式が成り立つ以上、親としては当たり前かもしれない。
でも・・・。
「俺はどうしても陵桜学園に通いたいんだよ。父さんと母さんが出会ったって言う学校に・・・」
小さい頃から何度も聞いた二人が出会い、青春時代を謳歌したと言う高校。
いつしか俺はそこに通いたいと夢見るようになっていた。
両親は、元々祖父母の仕事の都合で埼玉県に住んでいたことがあったとはいえ地元は東北。
それぞれの親を早くに亡くしており、2人の結婚を期に東北の田舎に帰ってきたと言う。
「1人暮らしは確かにつらいかも知れないし、生活も不規則になるかもしれない。生活費を稼ぐためにバイトしなきゃならないだろうからやりたいことも限られる。
けどそれ以上に!
俺は
両親は俺の憧れだ。
だからこそ、子供心から嫌われたく無い一心で両親の言う事を素直に聞いてきたし、それを両親が気にしていることも知っていた。
でも時にはぶつからなきゃいけない事もある、ということも俺は知っている。
自分の身勝手なワガママかも知れない。
けどここは譲れなかった。
「母さん・・・」
「ふぅ・・・ここまで熱心に言われるちゃ、ね」
「じゃあ!?」
「条件付でな」
いよっしゃぁ! っと気合を入れるも・・・。
「少なくとも家事はできないとね♪」
「成績は一定範囲内をキープしてもらわないといかんなぁ♪」
「ぐあ・・・」
・・・受験勉強もしなくちゃいけないのに家事スキルも身に付けなきゃダメですか?
「食事はコンビニとか出前とかじゃダメ・・・?」
「店屋物ばかりじゃ高くつくし、栄養が偏るからなるべく自分で作りなさい。絶対とは言わないら。後、月に一回はお姉ちゃん同様、様子を見に行くわよ?」
「事前告知無しの方がいいだろうな」
「マジで!?」
姉さんのところに行くときは電話一本かけてから行くのに・・・。
「アンタもずいぶん思い切った事したわね〜」
「ま、いつかは通る道だからね。速いに越したことは無いじゃん?」
「・・・だめよ〜? 女の子連れ込んじゃ」
「しないしない!」
両親との進学についての話が終わった後、姉さんと自室でこれからの事について色々と話をしていた。
ちなみに俺の進学については半分うらやましいと思っていた、と姉さん自身が語っている。
「まぁ将来的にはプラスになるかもしれないけど・・・くれぐれもさっき言った様な犯罪を犯さないよ〜に」
「姉さんが俺をどう見てるかよ〜く分かった・・・」
「いや〜、だってあんなにロボットとかソッチ系のゲームとかやってるからつい・・・」
「
ちなみにそのあたりはほとんど友人の影響だ(断言)。
こうして俺は晴れて陵桜学園を受験、合格して無事に入学することになった。
卒業式が終わった後はとんとん拍子で引越し先も決まり、荷物をまとめて住む所の地理に慣れるためにも3月下旬には引っ越すことになる。
3月中は母と暮らし、4月からは本格的な1人暮らしを開始する。
そして季節が一巡りして2年生の春。
思いがけない、そして新たな出会いが、俺を待っていた・・・。
つづく・・・