転生先はNARUTOの世界~狐の姿を捨てたキツネ~ 作:nagatsuki
神通力。
チャクラとは異なる特異な力。
チャクラよりも使いやすく、チャクラよりも肉体的な負担もない。
チャクラの上位互換みたいだが、神通力を使える者は、神格化された者に限る。
神格化とは、信仰祈願され、神の域に到達したものとして扱うものである。
そして白狐は神の使者と呼ばれており、当然、神格化されている。
とりわけ空狐は神通力を自由自在に操ることが出来る。
オオババ様に、神通力の使い方を教えられ、修行をつけてもらった。
神通力はチャクラのように、火や、水に変えることは出来、また目に見えない力によって世界に干渉する事が出来る力である。
オオババ様による神通力の修行が終わったあと、かなり神通力を使いこなせるようになった。
といっても、私はチャクラを主に使うと思うが。
◆◆◆
「うーん、豊作豊作!」
「そうだね!お姉ちゃん!」
場所は白狐一族の集落にある巨大な畑。
この畑ではいろんな作物を栽培しているのだ。
私は弟の白天と白仙と一緒に作物を収穫している。
今年も相変わらずの豊作だ。というか、不作になった年が無いような気がする。
「よし、これをお母様のところに持って行って。残りは私が収穫するから」
「分かった!」
と元気よく返事する弟たち。
私は今までに収穫していた作物を白天と白仙に持って行かせ、私は残りの作物を
収穫する。
「よし、これで最後かな・・・・うん?」
最後の作物を収穫し終えた時、突然、近くに気配を感じた。
私はほんの微量ながらチャクラを流し、それをレーダーにしているため、目で見なくても、気配を感じることが出来るのだ。
この気配は・・・狐じゃない。
ここは白狐一族の集落。普通は狐だけなんだが・・・
多分、人間だろう。
そして人数は一人。
私は近くに人間らしき気配を感じた。
「そこに人がいるのは分かっています。出てきなさい」
と、私が感じた気配に向かって声を出す。
気配が感じた場所は草むらあたり。その草むらがガサガサと動き出す。
そこから出てきたのは人間の少年。年は6歳か7歳くらいかな?
その少年の首元に、6つの勾玉が付いている首飾りがあった。
オドオドとした動きで、少年は私の前に出てくる。
私は怯えさせないように、人間の姿になった。
それに驚いた少年は口を開いた。
「き、狐から、人になった?」
「私は狐だけど人間にもなれるの。すごいでしょ。で、君はどうしたの?」
少年は俯き、無言。
ぐぅぅぅ~
しばらくすると、少年のお腹からお腹が減ったとアピールする音が聞こえた。
それを聞いた私は、近くにある籠の中から、丸くて赤い実を取り出した。
「これ、食べなさい。甘くて美味しいよ?本当は私の分なんだけど・・・」
少年は無言のまま、赤い実を受け取り、そのまま口に入れる。
食べ終わった少年の顔は少し喜んでいるようだ。
「あ、ありがとうございます・・・」
「うん、よろしい。で、君のお母さんやお父さんはどうしたの?」
少年は無言のまま、首を横にふる。
いない、のかな?
「じゃあ、君の名前は?」
また、無言のまま、首を横にふる。
こりゃ、どうしたら良いものなのか。
◆◆◆
私は名もわからぬこの少年を保護し、私達の巣に戻った。
そして白狐一族のみんなにも受け入れられたようだ。
基本的に白狐一族は世話焼きな一族で、害を与えるような者じゃなければ受け入れるようだ。
それにこの少年は私の弟や母にも気に入られ、世話を焼かれている。
少年もずっと一族と生活しているうちに、段々と明るくなり、活発になってきた。
しかし、それでも少年は自分のことを話すことは無かった。
◆◆◆
少年と出会って何年も経ち、少年の背もだいぶ大きくなり、私は今まで何千年もやってきたチャクラの研究の集大成を、この少年に教えることにした。少年は大変覚えが良く、1を知ったら100を血肉にするというとてつもない鬼才であり、この少年が、きっとこれを昇華すると確信しているのだ。
。
チャクラを研究した集大成を教えたあと、私が開発した、"力"を少年の身に授けた。
私は、少年がこの力を使いこなし、正しい事に使ってくれることに信じて。
私はすべてを少年に教えた。"力"もすべて少年の身体に授けた。そして何年もするとその少年は、成長し、青年となった。
「師匠、よろしいですか?」
「なんでしょう?」
私はその青年に呼ばれた。
ちなみに私は青年に師匠と言われるようになった。
「師匠、私は旅に出たいのです」
「そうですか。なら行って来なさい」
私はそれだけしか言わなかった。私は弟子であるこの青年にすべてを教えたのだ。
だからそれしか言わなかった。
出藍の誉れだ。私の代わりに、大成を為してくれる。そう思って、弟子を送り出した。
それから何十年。
妖狐になってからだと何十年も一瞬だった。
光陰矢の如し。
その弟子は十尾を自らに封印し、"六道仙人"として、私の元に帰ってきた。
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