転生先はNARUTOの世界~狐の姿を捨てたキツネ~ 作:nagatsuki
私はこの瞬間から、白空と名乗ることになった。
そして私は白狐一族という善狐一族の末裔だと知る。
基本的には、ナルトに封印されている九尾狐、九喇嘛と同じ妖狐である。
しかし、性質によって区別はなされる。
性質が善良なら善狐。悪なら悪狐と区分される。
「お母様。お母様の尾は6尾なのですか?」
母の尻尾の数は6である。
そもそも、尻尾の数は強さの象徴である。
妖狐の強さは年齢に比例するため、尻尾が多い者ほど、強く年齢も高い。
しかし、私は生まれたばかりなのに九尾。だが、そんなに強くないはずである。
「私の齢は・・・5000。1000年に1尾ずつ生えてきたかな。でもまさか生まれたばかりの我が娘のほうが九尾だなんて私は嬉しいのか悲しいのか・・・」
「は、はあ・・・」
「でも白空は生まれたばかりなのに聡明ね。他の子はまだしゃべることすらできないのに。さすが我が娘!」
「そうなんですか・・・」
「うん、さて、いいかな?日も暮れてきたし巣に戻ろうかしら。あなたの部屋を教えないといけないし」
空を見上げて見ると、確かに日が地上線へ隠れようとしていた。
あれ?なんか違和感があるような・・・
そうか、月がない!!
「お母様、夜の間に空に浮かぶ大きくて明るくて丸いものは知りませんか?」
「大きくて丸いもの?明るいものなら無数に散らばっているけど、大きくて丸いものは太陽だけど、夜の間じゃないし・・・ごめんね、わからないわ」
無数に散らばっているものは月じゃなくて星。で、今の世界じゃあ月はない・・・
「そうですか・・・ちなみに家族は・・・?」
「私と白空だけ。貴女のお父さんは殺されたの。十尾に。あっ、あとね貴女の他にも子供がまだいるのよ。私のお腹の中に」
十尾に殺された!?
つまり時代的には十尾がいた時代。つまり六道仙人が人柱力になる前の時代。原作の時間軸と違い過ぎではないだろうか!?
あと母のお腹にいるということは。
「弟か、妹か、ですか?」
「そう!ちなみに貴女が私のお腹の中にいるって分かったのは3000年前。貴女は私の中に3000年もいたのよ。本当はそんなにかからないんだけど、貴女が九尾だからなのかな。で、貴女の弟か妹なんだけど、2000年前と、1000年前に、私の中にいるって分かったの。一人ずつね。だから貴女の弟か、妹は二人よ」
「そうですか。生まれてくるのが楽しみですね」
「そだね。早く生まれてこないかな~って、危ない!!」
スドン!!
母は、庇うように、私を地面に倒した。
私がいたところに、棒状の何かが飛んできたからだ。
「白空、大丈夫?」
「はい、なんとか。それよりもアレは・・・」
「うーん、こりゃ、近くで人間たちが争っているね~。早く巣に戻ろう」
と、母の巣へ急ぐことになった。
◆◆◆
私達は母の巣に着いた。
巣といっても、白狐一族の集落の片隅にある。
白狐一族の長はオオババ様と呼ばれる九尾狐である。
母によると、オオババ様はなんと世界の始まりの直後からいるらしい。
そして私はオオババ様の眼の前にいる。
オオババ様が私たちの巣に来たからだ。
オオババ様はすごく優しそうな目をしながら、口を開いた。
「お主が、白夜の子かの。確かに九尾じゃな」
白夜・・・私の母の名前である。
「はい。白空といいます」
「ほお、白空というのか。生まれた直後にして、聡いの」
「お母様にもそう言われました」
「そうかそうか。お主はもう白狐一族の一員じゃ。ワシも、もうそろそろ長の座を引退しようと思うての。じゃが、お主が生まれてくる前で、ワシ以外で尾が多い者は白夜だけじゃった。じゃから白夜が九尾になり次第、白夜に長の座を継がせようと思うての。お主も白夜を手伝っておやり。それにお主も九尾じゃ、いずれ我が白狐一族の長となるかもしれんの」
「はい、分かりました。あと、聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「うん?なんじゃ?」
「えと、十尾とは、いったいどんな生き物なんですか?」
私がそういった瞬間、オオババ様が悲しい目になった。
「十尾・・・確かお主の父親も十尾に挑んで死んだの。十尾は莫大な不可思議な力を持つ存在であるしか分からん。確か、十尾によって人間たちは常に争い続けていると言われているが、詳しくは分からん」
「そうですか・・・」
不可思議な力?チャクラ?
「チャクラというものは知ってますか?」
「ちゃくら?なんじゃそりゃ」
「いえ、私にもわかりません」
「そうかの」
どうやら、今のこの世界での時間軸は、忍術が生まれる前。しかもチャクラというものが発見されておらず、六道仙人がまだいない時代。
原作よりも遥か古代に転生してしまったものだ。
トビの正体。
トビって