ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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Θ18 ある1日

 

 

 普段の俺の1日は、朝早くから始まる。

 

 

「ミュウ、ピジョンにへんしん!」

 

「ミュミュウ!」

 

 《グニャリ》

 

「でもって、ニドリーナにでんこうせっか!」

 

 《ビシュッ!》――

 

「ギャウ!」

 

 ――《ズドン!》

 

 

「さらに、かぜおこし!」

 

「ミュ!」

 

 《ゴオオゥ!》

 

「ピィ……ジョ!」

 

 ――《ゴウ!》 

 

 

 ミュウが俺の指示通りに技を繰り出し、ピジョンやニドリーナと渡り合う。

 

 

「……よし、これで練習終わりだ。ありがとうな、ミュウ」

 

 《グニャッ》

 

「……ミュ♪」

 

 

 因みに今のは、『へんしん』を使ってピジョンの姿での戦闘を行う訓練だ。

 ミュウを最初からピジョンに『へんしん』させたままボールから出してつれて歩けば、ミュウをポケモンバトルでも使えるという計画である。

 ……PPは少なくなるけどな。

 

 それにこのミュウは元野生でのバトル経験が豊富と言うこともあり、とても吸収が早いのだ。

 俺とピジョンが練習していたコンビネーションなどをこの数週間ですでに覚えてしまっていて、ピジョン形無しである。俺もだけど。

 

 

「ミュ?」

 

「あぁいや。お前は凄いなぁって話だよ」

 

「ミュ……ミュゥ♪」

 

 

 訝しげにこちらを見ていたミュウの頭を撫でると、気持ちよさそうに声を出しているようだ。

 ……だが勿論、バトルの練習相手をしていたニドリーナとピジョンを撫でることも忘れないぞ。流石の俺も、ここで撫でないと拗ねると学習したからな。

 何よりこいつらも頑張ってくれているので、それを労いの形で表すことは重要なのだ。

 

 

「ピジョンとニドリーナも、頑張ったな」

 

「ギャウ!」

 

「ピジョッ!」

 

 

 お2方にも好評な様で何より。

 

 

「さて。ナナミも待ってるだろうし、家に戻るぞー」

 

 

 と話しかけて3匹をボールに戻し、マサラ郊外の海の見える高台からランニングをしながら家へと戻る俺。

 

 ……の間に無駄思考を1つ。

 

 俺が現在手持ちを増やさないのは、未だ8才で、トレーナーと捕獲の資格を取得できないのが理由の1番目だ。

 だが、理由はもう1つある。

 

 それが「バトル訓練に時間がかかりすぎる」ことだ。

 

 俺は現在、「指示の先だし」「サインによる指示」といった特殊なバトル技術を幾つか使用している。まずはそれらの訓練に時間がかかってしまうのである。

 加えて、この世界において「性格」を知るには時間を掛けてポケモンと接するしか手段が無かったり、そもそも捕まえたばかりでは言うことを聞いてくれないといった問題もあったりするし。

 それらの解消のためには「ポケモンと長く接する時間」が必要であり、……冒険に出てからなら1日中ポケモンといられるからともかく……研究漬けになっている現状では時間が足りないのだった。

 

 

 

「……っ、着いた、か……」

 

 

 丁度よく無駄思考が終了したところで下宿先の家に着いたのだが、

 ……おわ、やっぱり待たせてしまった様だな。

 

 

「ショウ君、お疲れ様。朝食はできているから、シャワーを浴びてくると良いわ」

 

「早くしろよ、ショウ!」

 

 

 トレーニング込みの猛ダッシュにて家に着いた俺を、ナナミとその弟が出迎えてくれていたのだった。

 

 

「ありがとう、ナナミ。グリーンも待っててくれてありがとうな」

 

「いーから急げ!」

 

 

 おぅ……そうだな。グリーンの言うとおり待たせているのだし、急がないと……と考えてさっさとシャワーを浴びよう。

 

 と、またもやこの間に無駄思考。

 

 俺とナナミは同い年である。

 下宿したばかりの頃は例に漏れず俺が敬語を使っていたのだが、ある程度親しくなってお許しが出たところで敬語をやめた次第だ。

 ナナミは未だに俺に対して君付けだが、不快ではないし別に良いだろう。うん。

 

 よし、烏の行水終了。無駄思考も終了。(この間1分)

 

 ここから先は大体いつも通りの朝食風景となる。

 

 

「……ピジョッ!」

 

「ミュ、ミュウ♪」

 

「ミューウー。ピジョンの皿浮かして遊ぶのも良いけど、程々にしておけよ」

 

「あら。ニドリーナはいつもお行儀がいいのね」

 

「ギャウ!」

 

「……皿が浮こうがピジョンは食えるもんな」

 

 

 ミュウの本日の悪戯対象になったピジョンは、空中にある皿を追い掛け回しながら器用に食べている最中。グリーンはそこに冷静にツッコミ。

 ナナミはニドリーナを撫でながら朝食を食べている。

 

 ……俺?俺は髪を乾かしながら荷物をチェックしながらミュウを少し注意しながら朝食を咀嚼中。

 忙しい限りだが、ナナミとグリーンが俺の手持ちの面倒を見てくれるので、大体は何とかなっている。ならない時は主にミュウが原因だから仕様がない!

 

 

 そんな感じで騒がしく朝食を食べ終えて、出発の準備を整え、俺達は家の外へと出る。

 

 

「それじゃあ、行って来ます。おじいちゃん」

 

「じーさん、行って来るからな!」

 

「うむ。頼んだぞ、ショウ」

 

「はい。それでは、行って来ます」

 

 

 でもって、研究所からわざわざ孫達を見送りに来たオーキド博士に挨拶をし、マサラの郊外へと向かい始める。

 

 そしてそのまましばらく歩いたところで、いつも通りに、今度は合流する人たちが見えてくる。

 

 

「おう! おはよーだ! ショウ!」

 

「……おはようございます、ショウさん」

 

 

 只今合流したのはレッドとリーフの兄妹である。いつも通り元気がいいのがリーフで、寡黙なのがレッド。

 ……それにしてもリーフは朝からテンションが高いな。子どもって普通こんな感じだったっけか?

 いや、レッドの分の元気さと言うかそんなのが全部リーフにいってるとかかね。某ロボット兄妹の上澄み的な感じで。

 

 ……おっと、その前にまずは挨拶だよな、うん。

 

 

「おう、おはよう2人とも」

 

「おう!」

 

「……今日もよろしくお願いします」

 

「あいかわらず声ちいせぇな、レッド! お前そんなんだから……」

 

「こら、グリーン。朝から喧嘩しようとしないの」

 

 

 などと、レッドとグリーンはいつものことなのでナナミに任せ、俺は遠くにいる2人の母親である小母さんへと頭を下げる。

 ……うん。礼を返されたし、出発するかな。

 

 

「それじゃあ皆、行くぞ」

 

「はーい!」

 

「……はい」

 

「はい。ほら、グリーン。行くわよ」

 

「……わかったよ、ねーちゃん」

 

 

 

 

 ―― さて、現在俺が子ども達(俺含む)で集団行動しているのは、彼ら彼女らをトキワシティにある学校へと送るためである。人の少なさからか交通の便の悪さからかは知れないが、残念ながらマサラには学校が無く、トキワまで通う必要があるのだ。

 俺がこうしてマサラに来るまではオーキド博士が送っていたらしいのだが、やはり年らしく……最近では俺がその役目を担当しているのである。

 

 

 ――《ガサガサッ》

 

「ポッポー!」

 

 

 ……とか、考えているうちにも野生のポッポが襲来だ!

 

 

「ナナミ、そいつらと一緒に俺の後ろへ。……頼んだ、ピジョン!」

 

「わかったわ。みんな、こっちへ!」

 

 

 ナナミ達が下がったのを確認して……よし。

 既に外に出していたピジョンへの指示の先だしから、『ふきとばし』!

 

 

「ピジョォ!」

 

 《ゴオッ!》

 

「ポッ……ー! …………」

 

 

 『ふきとばし』によって飛んでいたポッポが吹き飛んでいく……怪我してなきゃ良いけどなぁ。

 

 などという心配ついでに、この辺りについて。

 

 マサラ~トキワ間では大したポケモンは住んでおらず、コラッタとポッポくらいだ。

 しかし「お前らは草むらにある何かに縛られているのか」と言わんばかりに草むらに引きこもっていたゲームとは違い、ポケモンは普通に草むらからも飛び出してくるのである。

 ……とはいえ、手持ちとのレベル差を見せてやれば他のポケモンは中々出てこなくはなるんだけどな。

 

 ついでに。この世界においては、野生ポケモンが町の中に近づいてくることは殆ど無い様だった。たとえ入ってきたとしても、暴れない限りは放置。どうしてもの場合だけ、ある程度ポケモンの使える協会職員がポケモンセンターからすぐに出てきて対処する仕組みになっているのだ。

 ま、暴れたら一般トレーナー達が出てきて治めてしまうこともかなり多いんだけどな。

 

 

 とまぁそんなんで何度か野生ポケモンを撃退していった俺達は、トキワシティの端に着く。ここまで徒歩にて約50分だ。都会的な人たちと違って毎日こんなに歩いているマサラ人は、さぞ健脚なことで。そりゃ、スーパーマサラ人も生まれるわな。

 なんて無駄思考をしているものの……トキワシティの端までくれば、もう野生ポケモンとは遭遇しないだろう。

 

 

「それじゃあ、今日はここまでで。ありがとう、ショウ君」

 

「おー。ショウ、じゃあなー!」

 

「……ありがとうございました」

 

「そんじゃあな、ショウ。ばいびー!」

 

「おう。お前らも、勉強頑張れよなー」

 

 

 俺はナナミ達へと手を振りながら別れ、なるべく急いでマサラへと戻リ始める。

 

 ……なにせ、ここからが1日の本番なのだ。

 

 

 

 ――

 

 ――――

 

 

 

「ハンチョー! 新種の調査予定の計画をー」

 

「そっちの机の上にでかしてあるから、ご自由に持ってってくれー」

 

 

 あー……

 

 

「班長、このポケモンの属性について……」

 

「ビリリダマは電気オンリーで決めていいハズだ」

 

 

 いー…………

 

 

「ハンチョウ、学会へ提出する論文はできましたでしょうか」

 

「今書いてるとこだ。もうチョイ待ってて」

 

 

 忙 し い !

 

 トキワから妙に多い段差を跳んでマサラへと帰った俺は、勿論のこと研究に追われている。

 オーキド博士の研究が佳境に入ってからはこんなのは通常営業なのだが、それにしても忙しいのである!

 

 

「机の上ってこれですかー?」

 

「あぁ、それだな。兵器工場跡地の調査のやつ」

 

「電気オンリーのソースは?」

 

「ソース言うな! あー……バトルによるダメージ比較の結果データと持ち技のデータ、分布のデータを根拠として添付しといて」

 

「ハンチョウは今年の学会で何を発表するんですか」

 

「俺はポケモンタイプについてだな。悪もそうだが、あれは材料が足りない。まずは鋼だけでもさっさとタイプとして認定してもらわないと……」

 

 

 まぁ、いつもこんな感じだ。

 俺の記憶では、1996年にオーキド博士によって発表されるカントーのポケモン種は150種。その数へと近づけるために、俺も日夜奮闘中なのである。

 ……実はまだ見つかってすらいないポケモンも結構いるし、進化ポケモンに関しては四天王やジムリーダーなどのポケモン育成を中心に活動できる職種に依頼しとくと楽なので、早め早めの行動が鍵なのだ!

 

 と、そんな無駄思考をしながらも論文の続きを書いていた俺だが、気配的な何かを感じて周りを見渡すと……俺の方へと近づいて来ている人がいた。

 その男の風貌を端的に述べるなら、メガネに白衣。受ける第1印象としては「気が弱そう」もしくは「優しそう」となりうる確立が非常に高いであろう。そんな統計取らないけどな。

 

 さて、紙の束を持ったまま俺の方へ歩いて来たその研究助手は、未だ俺の方へと歩きながら……

 

 

「ショウ君、幾つか相談したいことがあるんだけれど……」

 

「あ、どもですウツギさん」

 

 

 と、話しかけてきた。

 因みに、この人はオーキド博士の助手であるウツギさんである。先日の予定通り、現在は進化方面に関してはこのウツギさんが取り仕切っているため、俺は(前よりは)非常に楽になっている。

 因みに俺の担当はタイプや能力値に関するデータだが、同時に新種発見も担当している事が忙しさの原因であるというのは余談である。

 

 

「あぁ、おはよう。いや、こんにちはだね、と、まぁいいか。それでまずは、このポケモン……えーと」

 

「これはカイリキーですね」

 

 

 机から椅子を180度回転させてウツギさんの持つ書類を覗き込むと、そこには筋骨隆々の良いオト……いやなんでも無い。俺はそっちの人じゃないからなっ(必死)!

 

 そんなある意味俺の威信を掛けた無駄思考をしている横で、ウツギさんは言葉を続ける。

 

 

「そう。えーと、データを見比べたところ……関連がある、えっとP値1%以上が」

 

「どの辺の数値で出ましたか?」

 

「手持ちの交換を行った結果与えられる、異なる親間の移動による刺激が進化を誘発していると考えていいみたいだったよ」

 

 

 まぁ、そうだろうな。

 カイリキーはゲーム通りに交換進化なのだろうと予想はできていたし。

 

 

「じゃ、それでいいと思います。能力値データを俺の方に出しといて下されば、あとはデータ登録一直線です」

 

 

 進化方法、能力データ、属性、大体の分布がそろえば学会に提出。その後にポケモンの素データとして全世界に公表されることと相成りうるのだった。

 ……うん、凄く面倒だと思うけど。

 

 

「わかった。それで、次に……ピカチュウの進化について」

 

「あー、はい」

 

「『かみなりのいし』による進化、ということだったけど」

 

「はい。マチスさんに協力してもらったところ、そういった助言をいただきました」

 

 

 マチスいいやつ!

 

 

「それなんだけど、まぁ結果として進化方法はそれで確定で良いみたい。でも、こういったアイテムが進化に影響すると発表してしまうとトレーナーによる乱掘が……」

 

「あー、それも大丈夫です。シルフカンパニーが大規模採掘の権利を既に取っていますし、協会と掛け合ってある程度の数を市場にも下ろすように契約しているそうです」

 

「そうなのかい?」

 

「はい。数が確保できたなら、デパートなどの大衆の目に触れるところで売り出す予定だと」

 

 

 相変わらずシルフカンパニーの先取り力は恐ろしいものがあるな。現在のトレーナー用品の殆どはシルフ製品であるし、まさに独占市場だ。

 まぁ、協会も一枚かんでいるし、国からの助成も結構な額が出ているらしいけどな。

 

 そんな中、買えるものをわざわざ個人で採掘しに行ってもあまり利益にはなるまい……と思う。

 

 

「そんな感じで……って、

 

 ―― ギャーウーゥー

 

 ……うわ」

 

 

 ウツギさんと話をしている俺に向かってニドリーナが飛び込んできた。このタイミングで、ということは。

 

 

「またあいつらは鬼ごっこを始めたか」

 

「ギャウゥゥ♪」

 

 

 仕方ないので膝に乗せたまま撫でてやると、相変わらず気持ちよさそうにしているニドリーナ。……だよなー……飛べないと不利すぎて不貞腐れたくなるよな。

 俺がそのまま研究所入り口まで歩いて出て外をのぞくと、……幾人かの研究員の手持ちやピジョンと一緒に鬼ごっこをしているミュウの姿があった。

 

 

「――ミュ!」

 

 《ヒィン!》

 

「ッポ!?」

 

 

 ……って、おい。『ねんりき』で動きを止めるのは卑怯じゃないのか? まぁ、本人達が納得しているのなら別に良いのだけど。

 

 

「……ショウ君は手持ちを外に出しておくんだね」

 

 

 と、入り口から外を眺めていた俺の後ろから、ウツギさんも着いて来ていた様だ。俺と同じく鬼ごっこ(らしきもの)をしているポケモン達を眺めながら、話しかけている。

 それにしても、……まぁ。

 

 

「そうですね。俺の自己満足ではありますが、ボールの中よりは楽しいんじゃないかと。……といってもマサラだからこそできる事であって、普通の町では1~2匹位が限度だと思いますが」

 

「ふーん……。確かにボクも、ポケモン達は楽しそうにしていると思うけど」

 

 

 目の前で鬼ごっこを繰り広げるポケモン達は、俺達の目には楽しそうに見えている。実際楽しんでくれているとは思うのだが、だからといって「俺が外に出しておきたいから出している」というのに変わりは無い。

 ポケモンをボールにおさめておくというのは、確かにポケモンと人間の両者に必要な行為なのだと思う。

 

 

「そう言ってもらえると有難いです。それに、こいつらの性格とか好みなんかもこうしてみた方がわかりやすいと思いますし」

 

「ショウ君のポケモンがよく懐いているのも、こうやってキミができる限り気にかけているからなのかもしれないね」

 

「……ま、だからといってこれが『本当に良いこと』なのかはまた別の話だと思いますけどね」

 

 

 こいつらも幸せであって欲しい、と思う事自体は悪くないと信じたいけどな。

 と、キリもいいし休憩終了するか。

 

 

「……さて、こうして眺めているのも好きですが、まずは研究をいち段落させておかないと」

 

「ショウ君はお迎えも行かなければいけないしね。頑張ってよ」

 

 

 ……だなぁ。さ、論文書くか!

 

 

 

 

ΘΘΘΘΘΘΘΘ

 

 

 

 

「いつもありがとうね、ショウ君」

 

「別にいいよ。俺も休憩みたいなもんだし」

 

 

 現在は既に日が傾いている時間帯。午後までびっちり研究を終えた俺はナナミ達を迎えに来ていた。

 ……まぁ、家に帰ってからも論文まとめるけどな!

 

 

「だーかーら! お前はぁ!」

 

「……いつもありがとう、ピジョン」

 

「ね、レッド! 今日の宿題ってさー」

 

「ピジョッ!」

 

 

 後ろにはグリーン、レッド、リーフの3人がなにやら騒がしくしながらついてきている。ピジョンはそちらにつけているから大丈夫だとは思うんだが。

 

 

「ん、それでショウ君」

 

「……お?」

 

 

 おっと……安全面に気を回していた俺だったが、ナナミに話しかけられていたようだ。

 

 

「わたし、トキワシティにあるポケモン大好きクラブに入ろうと思ってるんだけど」

 

「あー、あったな。いいんじゃないか?」

 

 

 ポケモン大好きクラブとは、かなりの規模を誇るポケモンサークルである。その規模たるやカントーに納まらず、全国、果ては世界にまで進出しているらしい。

 ついでに、その各地方におけるクラブ会長達は例外なく自慢話が長いことでも有名らしいけどな。俺はゲームでは自転車引換券貰った記憶しかないが。

 

 

「それで、明日はわたしについて来てくれないかな? 申し込みを日中しか受け付けてなくて、学校が無いときしか行けないのよ」

 

「なる、了解了解」

 

 

 それならば明日は休日だし、ナナミにとってはそこしか無いだろう。未だ俺と同じ8才であるためポケモンは持っていないんで、ついてきてもらうのもほぼ必須だ。

 ……ただし俺については明日も休みでは無いので、

 

 

「んじゃ、ナナミのほうからオーキド博士にねだっておいてくれ」

 

「ふふ、了解よ」

 

 

 孫にはとことん甘いからなぁ……あのおっさん。

 こうして、明日のトキワ行きがほぼ決定事項となったのだった。

 

 






 大体同年代の集団を送り迎えする主人公(8才)。シュールです。

 因みにこの世界……いえ、カントーにも車などは勿論ありますが、カントーはゲームの通り「段差が異常に多い」地形をしているという設定でして、そのために車は本当の中央都市くらいでしか使われていません。
 それに移動に関しては『そらをとぶ』がありますので、余計に車は廃れております。といっても需要はしっかりあるので、あくまで比べると少ないという程度です。

 さらに踏んだりけったりなことに、トキワ~マサラ間は道路の整備がなされていない設定です。ど田舎ですので。
 ついでに、移動時間については、トキワ~ニビ間の移動(徒歩)で1日(移動時間半日、宿泊等含めて一日)位と妄想しております。とはいえ、ダンジョンなんかはゲームのドット数以上に広大になる予定なのですが。


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