「人殺し!! ……なんてこと……! 誰か!! 彼を助けてください!!」
女性の悲痛な叫び声が辺りに木霊した。しかし、動く者は一人もいない。
銃で撃たれ自らの血溜まりに倒れ込んだ男は、俺のすぐ目の前にいる。だが、他のみんな同様、俺も一歩も踏み出せずにいた。
その場を不条理な権力で縛り付けるのは、たった一人の男。かつて「世界政府」を作り上げた20人の王たちの末裔だという“天竜人”、そのうちの一人だ。
――そいつが現れたのは俺たちがナミたちと別れ、24番グローブへと向かった先でのことだった。
大物ルーキーたちがやたら揃っていることにビビりながらも、無事に目的の買い物を済ませ、そろそろ船に帰ろうかと話していたところ、突然道行く人々が地面に膝をつき始めた。億超えのルーキーたちですら大人しく道を空けた。そうして歩く人のいなくなった頃、奴はやってきた。
最初奴を見たとき、俺は思わず目を疑った。だって、人間に乗ってるんだぞ? 四つん這いになった男の背に椅子をくくりつけて、まるで乗り物だと疑っていない様子で。そんな奴の後ろには、鎖で繋がれた女の人が二人、引き連れられていた。
まるで、ペットか道具のようだ。人間としての尊厳なんてどこにもない。
話には聞いていたが……実際に見る“天竜人”は、俺が想像していたより遥かに不愉快でおぞましい人種のようだった。
天竜人の男は現れるなり、乗り物にしている男の奴隷を罵り足蹴にしたり、急患を運んでいる医者たちを呼び止めた挙句、その患者を担架から蹴り落としたりと暴挙の限りを尽くした。
しかもそれだけでは飽き足らず、その場にいたナースに目を止めると、突然「妻にしてやる」と言い出したのだ。それで彼女の婚約者が慌てて飛び出したところ、彼は天竜人の男によって撃たれた。
それがこの惨状の経緯だ。
「放してください!! お願い……!! 誰かあの人を助けて!!」
天竜人の男の命令によって港へ連れて行かれようとしているナースが泣き叫ぶ。だが、やはり動く者はいない。みんなただ痛ましそうな顔で目を伏せるだけだ。
俺自身は眼前の惨状から目が離せないでいた。
「チトセ、見ちゃダメ」
隣でリーゼが囁く。俺は頷き、目の前の光景から視線を引きはがすように頭を深く下げた。とにかく、この天竜人が早く立ち去ってくれるようにと心の中で祈る。と、そのとき不意に辺りが騒然となった。
「……?」
不思議に思って顔を上げると、ざわめきの理由はすぐに判明した。
みんなが跪く中を、一人の男がすたすたと歩いてくる。ていうか……ゾロ?! だよな?! 刀三本差してるし……。なにしてんだあの人?!
「何道の真ん中歩いてんだ!? 何も知らねェんじゃねェか!?」
「ヤベェぞ、あいつ!!」
一体なにをしでかすつもりなのかと周りが危ぶむ中、ゾロはどこ吹く風と歩を進める。
ゾロに遭遇できたこと自体はツイてると思うし嬉しいけど、なにもこんな状況じゃなくても……。つーか、少しはこの状況に疑問を持てよ!! どんだけフリーダムだよ!?
そして、みんなの心配をよそに、やがてゾロは天竜人の真ん前に立った。
そのあまりに堂々とした態度に、天竜人ですら唖然とする。で、その顔を見たゾロさんの台詞とは……
「……? なんだよ、道でも聞きてェのか?」
そりゃないだろー!!?
みんなの声なき絶叫がその場に木霊したともさ……。続けて、銃声。ドォンドォンと天竜人の男が続けざまに発砲した。しかし、ゾロは余裕でそれを避けると、一瞬のうちに奴との距離を詰め……って、ちょっと待てェエエエ!!! なにするつもりだあんた!!?
みんなが息を呑んだ。そのとき、小さな影がゾロに向かって突進した。あれは……ジュエリー・ボニー? だけどなんで子供の姿なんだ? そういう能力なのか?
いやまァ、それは今は置いておくとして……、彼女によってゾロは道の端まで吹っ飛んだ。
そして始まる寸劇。
「えーーん、お兄ちゃーん! どうして死んでしまったの!? お兄ちゃーーーん!! 天竜人に逆らったの!? それなら死んでも仕方ない!! うえ~~~ん」
ちょっと白々しい……!! でもどうにかこれで乗り切ってもらうしかない。
祈るような気持ちでジュエリー・ボニーの演技を見守っていると、天竜人の男は少し腑に落ちないような顔をしながらも、最終的にはゾロが死んだと納得してくれたようだった。
「まァ、死んだならいいえ……」
そう言うと、また奴隷の男の背に乗って立ち去っていった。
「――テメェ一体どういうつもりだよ!!?」
天竜人のいなくなった後の24番グローブにジュエリー・ボニーの怒声が響いた。いつの間にか元の姿に戻った彼女は容赦なくゾロを怒鳴りつけるが、当のゾロはいまいち状況が把握していないようで、彼女の怒りは空回りしているようだった。
なんつーか……すげェ……。マイペースすぎる。ゾロってこんなキャラだったっけ? 5巻までを一回読んだきりだから、もはや記憶が定かじゃないんだが、なんかもっとかっこいい感じの人だと思ってた。いや、かっこいいけどさ! でもなんか……思ってたのとちょっと違うような……。
って、ぎゃあ!! なんかこっち来た!? と思ったらゾロは天竜人に撃たれた男をひょいと肩に乗せた。そして、ジュエリー・ボニーを振り返る。
「おい、病院どこにある」
「病院?!」
「こいつを連れてく。撃たれてる」
「は? ほっとけ、そんな見ず知らずの男!」
ジュエリー・ボニーは叩きつけるように言ったが、ゾロは意に介した様子もなく、今度は俺の方を唐突に振り向いた。
「おい、お前」
「えっ? 俺ですか?!」
「あァ。病院どこにあるか知ってるか」
「えっと、す、すいません、知りません」
うおお?! 話しかけられてしまった!! しかし答えられない不甲斐ない俺……!
勝手に落ち込む俺の背をリーゼが慰めるようにぽんと叩く。うん、ありがとう……。
すると、俺たちの会話を聞いていたナースの同僚の医者がおずおずと口を挟んできた。
「あのー、一般の外来でしたら、22番グローブの方に……」
「22番グローブか。わかった」
そう頷くと、ゾロは現れたときと同じようにすたすたと歩き出した。
……向かうべき方向と逆の方向に。
「逆! ゾロさん、そっち逆ですって!!」
「あァ?」
「ひぃ! す、すいません!」
「なんで謝んだよ」
「す、すいません……」
ついもう一度謝ってしまうと、ゾロは呆れたように俺を見た。別に怒ってるわけじゃなさそう……?
「で? 逆ってどういうことだ」
「えーっとですね……22番グローブに向かう橋はあっちにあるんです」
びくびくしつつ指を差した方向は、ゾロが歩き出したのとは真逆の方向だ。ゾロは訝しげな顔で俺の指さした方を見たが、「そうか」と言うとまた何事もなかったかのように歩き出した。
「……なァ、なんとなく不安なのは俺だけか?」
「…………」
小声で尋ねると、リーゼが首を振る。うーん、やっぱり?
「追いかける?」
俺の考えを読み取ったようにリーゼが聞いてくる。俺は少し悩んでからひとつ頷いた。
差し出がましいようだけど心配だし、あともうちょっとゾロと話してみたいという下心に突き動かされ、俺はゾロのあとを急いで追いかけた。
「それにしても、驚きましたよ、まさか天竜人に斬りかかろうとするなんて」
「天竜人?」
「えっ、知らないんですか?!」
あの後、ゾロに追いついた俺とリーゼは、撃たれた男の人が心配だからという理由で病院まで付き添うことを申し出た。特に断る理由もないとゾロはあっさりそれを受け入れた。そんなわけで今、三人で22番グローブの病院を目指している。で、歩きながらの話題といえば、もっぱらさっきの出来事のことになるわけだが……、まさか天竜人を知らないなんて。道理で無謀な……。
「天竜人っていうのは、さっきゾロさんを撃った男のことなんですけど、別名を“世界貴族”といって、世界政府を作り上げた20人の王たちの末裔なんです」
「世界貴族……そういや、ハチがなんか言ってたな」
なんていうか少しわかってきたけど、この人ちょっとぼんやりしてるな! 天然っていうのか? 人の話はちゃんと最後まで聞きましょう!
他の“麦わらの一味”は大丈夫、だよな……? 天竜人ぶっ飛ばそうとしたりなんて、ないよな? あり得そうで怖すぎるんだが。
「えーと、それでですね、その世界貴族っていうのはすごい権力を持っていて……彼らを傷付けると海軍から大将がやってくるんですよ」
「大将……!?」
俺の言葉を聞くと、ゾロの纏う空気が一気に鋭くなる。事の重大さをご理解いただけたようで嬉しいが、ちょっと怖い。
「それであの女、大将がどうとか言ってやがったのか……」
納得したように呟くゾロ。
「ええ。ジュエリー・ボニーのおかげでその事態は避けられましたけどね。だから、彼女には感謝しないと……って、ゾロさん! そっちじゃないです!!」
……もうひとつわかったこと。どうやら彼は方向音痴らしいのだ。今も、話しているうちに何故かあらぬ方向へと方向転換してしまったのだが、こんなことがあったのも一度や二度の話ではない。ていうか、もはや方向音痴とかいうレベルなのか? 少し目を離すだけでびっくりするような方向へ行ってしまうんだが。一緒に歩いてるはずなのに、どういうことなんだよ。ちょっと面白い域だよ。
とまァ、途中何度かはぐれそうになりながら、なんとか22番グローブの病院に到着した。
「ここか」
「ですね」
と頷き合い、俺たちは院内に足を踏み入れた。だが、一般の外来だから俺たちは浮きまくりで、周囲からの視線が刺さる刺さる。しかし、ゾロもリーゼも全然気にしてないみたいだ。それどころか、ゾロは突然「医者はいねェのか」と大きな声で言った。受付はスルーかよ、と俺が驚いていると、廊下の奥から医者と思しき男が慌てて駆けてくる。
「ちょっと君たち! ここは一般の外来だよ!」
医者はそう言ったが、すぐにゾロの担いでいる男に目を止めた。
「そいつはなんだね?」
「急患だ」
「なるほど、これはひどいな。……えっと、首輪はなし、と」
言いながら、医者は男の首元をチェックする。
「? 首輪の有無がなにか関係あるんですか?」
「ああ。奴隷だと治療費5割増しだから、買い換えた方が早い場合が……」
「こいつはただの怪我人だ。見るのか、見ねェのか!?」
ゾロが医者の台詞を遮って、怒鳴りつけるように言う。すると、それに気圧された医者は瞬時に青ざめ、取り繕うように引きつった笑みを浮かべた。
「す、すぐ見よう! 奥に運んでくれ!」
言われた通り男を奥へと運ぶゾロの後ろをついていきながら、俺はそっと溜め息を零した。
「胸くそ悪ィ島だな」
「同感です」
病院を出たところでゾロがぼやくように言う。まったくその通りだと思う。奴隷の存在を当たり前のように受け入れてるなんて、腹立たしいし悲しい。
まァでも、診てもらえてよかった。急所は外れていたおかげで、命に別状はないって話だったし。とりあえずは一件落着だ。
「ゾロさんはこれからどうされるんですか?」
「あー、そうだな、おれはそろそろ船に戻る」
「そうですか。ちなみに、船はどちらに?」
「確か1番グローブだ」
1番グローブというと思い浮かぶのは人間オークションとそれを見物しに行った船長たちのことだ。それにしても、だいぶ奥地だな。さすが(?)というべきか、そんな無法地帯のど真ん中に船を停泊させるなんて、“麦わら”はやることが違う。
1番かー。無法地帯だけど……ついていきたいなァ。そんであわよくば他の“麦わらの一味”にお目に掛かりたい! あとまァ、普通にゾロが船まで辿り着けるか心配。
「……あのー、よかったら俺もご一緒していいですか?」
思い切って、というわりには控えめに聞いてみる。すると、ゾロが怪訝そうに俺を見た。やっぱ初対面のくせに図々しい? ていうかむしろ俺怪しい?
「お、俺の知り合いも1番グローブに行ってて、だから向こうで合流しようかなーって」
俺がとっさに言い繕うと、ゾロはしばらくじっと俺を見つめたあと、「まァ構わねェが」と言った。お許しをいただきましたー!! どうしよう! “麦わらの一味”に会えちゃうかもしれない!!
ゾロにはバレないようひっそり興奮する俺だったが、ふと我に返った。そういえば、リーゼのことをすっかり忘れていた。これまたゾロに聞こえないようひそひそとリーゼに声をかける。
「ご、ごめん、リーゼ。勝手に決めちゃって……。なんだったら、先に船戻ってていいよ? 俺なら、行きはゾロさんがいるし、帰りは船長たちと一緒だから」
「……いい。一緒に行く」
リーゼはきっぱりとそう答えた。
というわけで、俺たちは再び三人で、今度は1番グローブを目指すことになった。
「あ、そういえば、俺たちまだ名乗ってませんでしたね。すいません。俺は千歳、この子はリーゼです」
「ん? そういや、なんでおれの名前知ってんだ?」
歩きながら軽く自己紹介をすると、だいぶ今更な質問にゾロが首を傾げた。
「そりゃあ、だって“海賊狩りのゾロ”といったら有名ですから」
当たり障りのない答え方をすると、隣でリーゼが小さく首を傾げた。どうして正直にファンだと言わないのかと疑問に思ってるんだろう。
単純に気恥ずかしい、というかナミたちのときみたいに変な目で見られるのが嫌だというのもあるが……、もしここで俺が「実はファンなんですよォ」なんて告白したらこの同行が下心ありまくりだってバレちゃうじゃんか!! あれ? でも待てよ……。仮に船までついていけたとして、ナミとニコ・ロビンがいたら結局バレちゃうんじゃないか?
まずい、これはまずいぞ、と俺が一人でぐるぐるしていると、不意にゾロが口を開いた。
「お前ら、賞金稼ぎか?」
ぎゃっ! また?!
「ちっ違いますよ!!」
「なら海賊か」
「え」
否定すると間髪入れずにそう聞かれ、俺は思わず固まった。俺とリーゼが二人でいて、しかも私服なのに「海賊か」と疑われるとは思いもしなかった。そんなこと今までなかったし、むしろみんなと一緒にいても「本当に海賊なのか」と逆を疑われるくらいなのに。
俺はどう答えるべきか一瞬考えあぐねて、しかしここで嘘をついてもしょうがないと結論を出した。
「え、っと……はい、海賊やってます」
「へえ」
もし突然斬りかかられたりしたらどうしようなんて心配もしたが、そんなことはなかった。というか、俺が海賊だろうが賞金稼ぎだろうが、あんまり興味なさそうだ。強者の余裕って奴だろうか。
「……よくわかりましたね」
「そっちのガキが隙がねェからな。ただのガキじゃねェってのはすぐにわかった」
「そうなんですか……」
ちらっとリーゼを見るが、自分が話題に上っているにも関わらずこっちを見向きもしない。リーゼに隙がない、と言われても俺にはよくわからないが、強者には強者がわかる、みたいな感じなのか? 俺もいつかその域に到達できるかな……。――ピキーン! 「こいつ……強い」みたいな。憧れるよな。
「あっ、でも敵意とかは全然ないですよ! 今も別にハメようとかは全然……」
「その辺は別に疑っちゃいねェよ」
ナミとは大違い!!
「さすがは“海賊狩りのゾロ”ですね!!」
にっこり笑ってそう言うと、ゾロは訝しげな顔をした。
そうこうして2番グローブまでやってきた。
途中何度か賞金稼ぎに襲いかかられながらやってきたこの場所でも、俺たちはまた賞金稼ぎの集団に囲まれていた。
さすが1億2000万の首だけあって、引く手数多だ。
「ガキ連れたァ、ちっと不用心なんじゃねェのかい? “海賊狩りのゾロ”さんよ」
「いくら1億2000万の賞金首でも、この人数相手にガキ庇いながらってのはキツいだろ」
「……おれもナメられたもんだな」
ニヤニヤする賞金稼ぎたちに、ゾロが不敵に笑って返す。すると、賞金稼ぎたちは少し怯んだように笑みを引っ込めて、各々の武器を構えた。俺たちもさっと身構え、両者の間に一瞬緊迫した空気が流れる。そして――
「“海賊狩りのゾロ”!! 覚悟しろォっ!!」
「ウオォオオオオ!!!」
野太い閧が上がり、賞金稼ぎたちが一斉に襲いかかってきた。しかし、それらはすぐに悲鳴に塗り替えられる。
「ぐぁああ!!」
「て、手になんか刺さっ……!?」
半分はゾロに吹っ飛ばされ、もう半分はリーゼの投げた針を食らった。見事掌に針を刺された連中は武器を取りこぼし、その隙に俺も応戦する。本当はゾロに「おれ一人で十分だ」って言われてるんだが、黙ってボケッとしてるわけにもいかないしな。
武器を取ろうと屈んだ相手のこめかみに回し蹴りを入れてダウンさせる。その際にそいつが拾おうとした武器を代わりに拾い上げた。槍だ。
「チィッ! ナメた真似を……!」
武器を拾わず、素手で襲いかかってくる相手に、槍を構えると見せかけて柄の方を向けた。そして、向かってくる相手の勢いを利用して、みぞおちにぐっと突き刺す。すると、そいつはカエルの潰れたような声を出して地面にくずおれた。さらに、その次の相手には顎に一発入れてノックアウトさせた。
まァ、こんな感じで俺は基本的に急所狙いだ。パワーファイターにはなれないからな。とはいえ、こんな風に一人一人相手できてるのも、リーゼが上手くフォローしてくれているからだ。数人で襲いかかってこられたら、俺なんて手も足も出ない。
そうして、俺がなんとか三人倒した頃には他の連中はみんなゾロとリーゼにやられ、今回の襲撃も無事乗り切った……はずだった。
「……あれ? ゾロさんは?」
「…………」
呻きながら地面に伏す賞金稼ぎたちの他に、人の姿は俺とリーゼだけ。きょろきょろと辺りを見回しても、ゾロの姿はどこにもない。リーゼも首を傾げている。
「まさか……はぐれた?」
というか、それしかないだろう。戦闘の最中になんてそんな! せっかく2番グローブまで来たのに……!
「どうしよう、リーゼ!?」
「……探す」
「そ、そうだ! うん、そうしよう!!」
リーゼの言葉に強く頷いて、俺たちはゾロ探しへと乗り出した。しかし……
「――いないっ!! どこっにもいない!!」
なんでだ……と俺は地面に膝を突いて項垂れた。周辺のグローブはあらかた探したのに、ちらりとも見当たらなかった。
「どうしよう……」
「……もしかしたら、1番グローブにいるかもしれない」
「ハッ! なるほど……!」
そういえば、目的地の1番グローブだけは探していない。もしかしたら、迷った末に自力で辿り着いてるかも!
リーゼの冷静な意見は本当参考になるなァ。きっと将来はしっかりした大人になることだろう。
「ありがとな、リーゼ! よし、そうと決まれば目指せ1番グローブだ!」
元の元気を取り戻して、俺は意気揚々と足を踏み出した。
そして向かった先の1番グローブで俺たちを待ち受けていたのは。
『“麦わらのルフィ”!! “キャプテン・キッド”!! “トラファルガー・ロー”!! 速やかにロズワード一家を解放し、投降せよ!!』
……………………ごめん、今なんて??
前回の投降から時間が空いてしまってすみません。
実は4日ほど熱で寝込みまして……ベッドから起き上がれない状態でした。不覚。
みなさんも体調管理には気をつけてください。