マインオブザデッド   作:dorodoro

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75話 執務関係 社交 領地対抗戦

奉納式が終われば、領主一族として滞っている執務を片し、そればかりをしているわけにもいかないので社交界にも駆り出されます。

 

私って、社交界では本当に無能だなと思って嫌になります。

 

貴族独特の言い回しには、聞いているだけで疲れ果て、嫌みを言っているとか素直にこちらを褒めているといったことはわかるのですがどういう風に相手に返したらいいのか必死になって頭の中で言葉を探すもいい返し方がなかなか出てこないのです。

 

レティーツィアの方が慣れているくらいです。一応お姉様なのに情けなくなってきますが、こればかりはどうしようもありません。

 

レティーツィアに言わせると、お姉様はいてくれるだけで話がスムーズに進み楽だと言ってくれますが妹にフォローされている姉である私...。

 

一応、レティーツィアがまずそうな発言をするとフォローはすぐできるのですが私が主体となるともう駄目です。

 

いえ、執務とか仕事の話しならどうとでもなるのですが、私自身のことを貴族の難しい言い回しで次から次へと言われると混乱してしまいます。

 

頼れるお姉様には程遠いいです。こんなことになるなら少しはまじめに社交界へ出て、社交界について学んでおくんだったと思うも後の祭りです。

 

仮に生まれ変わって同じ状況になっても社交界に力を入れている私なんて想像もつきませんが...。

 

 

 

 

領地対抗戦直前までこの状態が続きます。お父様とお母様は起きる気配すらありません。

 

二人とも治りかけまでいっていたのに、そこで再度魔力器官を傷つけられてしまった以上かなり長引きそうです。

 

こちらも、領地対抗戦の準備など貴族院の学生の求めに対して人員を出したり貴族院へ送る品物を精査したり忙しいです。

 

レティーツィアに分かるように説明しながらやらなければいけませんし、引き受けてしまった以上仕方がありません。やるだけです。アウブにもお願いされましたし...。

 

ゲオルギーネ様にも何度かディートリンデ様を通してお願いをしているのですが同じ反応しか戻ってきません。

 

相変わらず、オルドナンツも届きませんし、何とかディートリンデ様のお姉様にも連絡を取りそちらからと思いましたが反応が芳しくありません。

 

こんな小娘のことなど、どうでもいいと思われても仕方がないのですが、他ならぬアーレンスバッハのためなのに。

 

一通り執務関係の片付くと安心したのか、緊張の糸が抜けたのか意識がふっと落ちてしまいました。

 

 

 

 

「お姉様、いきなり倒れられたので心配しました。本当に心配したのですよ!」

 

レティーツィアがわきにいます。執務室のすみで横にして休ませてもらっていたようです。

 

「レティーツィア、私が寝ている間に何か問題はありましたか。」

 

「お姉様があらかた片付けて頂いたので緊急のものは何も残っていません。そんなことより早く部屋に戻ってお休みください。酷い熱ですよ!」

 

ざっと周りを見て現状を確認すると確かに問題になりそうなものはありません。

 

「後は我々でもできる仕事ですからお任せください。レティーツィア様と一緒にお休みください。」

 

「ええ、ではお言葉に甘えて。後はよろしくお願いしますね。」

 

「お姉様、では行きますよ。」

 

私は、レッサー君を出して乗り込み戻ります。

 

頭がふらふらしてどちらに向かっているのかわからなくなるので、レティーツィアに先導してもらいます。

 

頼れるお姉様像には、ほど遠いいです...。

 

 

 

 

この後、貴族院から追加の準備のお願いなどがきて何とか工面して終えれば、留守をレティーツィアとディートリンデ様のお姉様夫妻にお願いし貴族院へ戻ります。

 

私が貴族院へ行く必要あるのかな。なんて思ってはいけないですよね。神殿の方も時間がある時に向かって何とか動かしています。

 

とはいうものの神殿は正直、前神殿長にほとんどお願いしている状態ですが。

 

おかげで他の準備に時間は全く取れませんでした。まあ、もう逃げだす準備は、ほぼできていますが。

 

後は契約を、今からでも...。だからダメだって!ふと気を緩めると悪魔のささやきが聞こえてきて胸が苦しいです。

 

 

 

 

「ただいま戻りました。」

 

領地対抗戦はもう明日です。あれだけの状況であるにもかかわらず前日の朝に現地入りできたのですから最善を尽くしたと言えるでしょう。

 

「よくお戻りになられましたローゼマイン様!体調を崩されていたということで皆心配しておりました。」

 

ああ、私の体調を崩したということで押し通したんだ。まあ、知ったところで何ができるわけでもないし貴族院に集中してもらわないといけないんだけど。

 

その後に、ディートリンデ様に会いに行きます。領地対抗戦を明日に控え急がしはずなのに、優雅な態度を崩さず私に対応してくれます。

 

「あら、大変でしたわねローゼマイン。わたくしも本当に戻らなくてよかったのかしら。」

 

ディートリンデ様...まあ、ここには側近の方達しかいないし、隠す必要もないってことかな。

 

「ええ、たくさんの方にご協力いただいて何とかなりました。それに領地も大切ですが貴族院の方が他領との関わる大切な場なのでおろそかにできません。」

 

他領に領地の混乱を見せるわけにはいかないからね。わたしかディートリンデ様かどちらかが残るべきかと言えば言うまでもありません。

 

来年も、もし私がこのままアーレンスバッハに居るのならいろいろまずいことになりそうですが...。

 

私にアーレンスバッハの方々を代表として率いろとか不可能です。

 

「そうですわね。あなたのことをごまかすのが大変でしたけど、その分、今年は領地からスムーズに品物が届くので準備が捗ったと文官たちが言っておりましたわ。」

 

あれはやめて欲しかったなぁ。後から何回にも分けて細かい注文が来るんですから。仕事を頼んだり、割り振りし直したりするのが大変でした。

 

というか、私このままでは貴族院の仕事は何もしないでアウブ代行のアウブの弟君が来る前日に戻るとか完全にお客様だよ。

 

まあ、私の立場としてはウラノの世界のお金で命を懸けて契約を履行する『ようへい』みたいなものだからね。

 

契約で縛られて、報酬はほとんどなく、成果を残さなければ処分されかねないって...。あれ、それってただのどれ...間違っていませんがやめましょう。

 

その後当日の打ち合わせや確認事項などいろいろ確認して終わります。貴族院に必要なものを送ったのは私なので多少のことはわかりますよ。

 

 

 

 

次の日にアウブの弟君が朝から来て全員を集めます。

 

「さて、皆に伝えなければならぬ。城に賊が入ってアウブが危篤状態である」

 

危篤状態と聞いて、それなりの人が驚いたようでしたが、すでに知っていた人もいるらしくそれほど混乱は広がりませんでした。

 

「幸いアウブの命に別状はないが、しばらく私が名目だけだが代行となるため皆の者、混乱が起きないよう協力をお願いする。」

 

命に別条はないとわかって安心したような表情の者、変わらない者などいろいろな方がいます。

 

ディートリンデ様は内心複雑でしょうね。ゲオルギーネ様がこういう時に動かないといけないのに臥せっているという連絡しかしてこないで全く動いてくれないのですから。

 

なんで私が、アーレンスバッハのことなん...。おっと契約契約。本当に厄介です。思考の自由くらいほしいです。

 

今は、契約がかなり緩くなっているので考えるくらいなら問題はないかもしれませんが、確証が持てません。グリストスハイトの知識で解析したくても、簡単な解析ならともかく詳しく解析しようとすると契約が反応して困ってしまいます。

 

契約を直接解除しようとしても反応しないのに、基準がよくわかりません。

 

たぶん純粋に契約というより、この従属の指輪の機能なのだと思います。

 

 

 

 

去年通り、私の役割は領地対抗戦の展示会場の最終確認などです。

 

去年の図書館の研究の続きがもう少ししたかったような気もします。図書館には、グルトリスハイトに載っていない魔術具も沢山ありますし。

 

仕方がないとはいえ、少し寂しいですね。地下書庫にも行きたかったですしね。時間があれば最後に行きましょう。たぶん無理でしょうが...。

 

 

 

 

準備についても大きな問題は起こらずにつつがなくおわり、ディッターも午後からなのであいさつ回りなど社交です。

 

とはいうものの今年は、特に特筆したことはありません。

 

すべて現状維持の予定です。絶対的な決定権を持っていないアウブがいないので多少のことは決められてもほとんどの事案がお持ち帰りです。

 

アウブは無理をすれば出てこれますが大事をとって休んでいると、毎回同じ説明をするのもつかれますね。

 

まあ、ばれている領地も多いでしょう。仕方がありません。この場にアウブが来ないなんてよほどのことです。

 

さてそんなこんなで、なんとか、アウブの弟君とその婦人、ディートリンデ様と私で対応していると

 

王族の対応です。アナスタージウス王子とエグランティーヌ様ですね。

 

「本当に、いつもの事ながらアーレンスバッハは。其方ら大丈夫なのか。また身内での足の引っ張り合いか?」

 

ずいぶんな言い草です。そういう話は私達の所ではなくアウブの弟君の所へ行っていただきたいものです。

 

「あら、アナスタージウス王子。アウブは体調を崩されただけよ。ローゼマインほどではないけどここ数年は体調を崩していたのは知っているでしょう。」

 

ディートリンデ様も笑顔が少しだけ崩れ、こめかみが少しだけ動いていますが、笑顔で対応します。

 

「まあいい、其方らにも伝えておくが、アダルジーザが我々のゲドゥルリーヒにライデンシャフトの槍を構え、投げる準備をしているという情報がある。唯一の国境門のある領地としてしかるべき対応をするように」

 

は、え!何を言っているの。アウブがしばらく不在のこのタイミングで余計な心配事を増やさないでよ。ランツェナーヴェが攻めてくるって冗談でしょう。

 

「去年も問題あったとは聞いていませんし、冗談ではと言いたいですが分かりましたわ。」

 

ディートリンデ様。同感です。冗談であってほしいものです。アナスタージウス王子がまだ話そうとしていますがディートリンデ様との少しだけ険悪な雰囲気を察したのかエグランティーヌ様が話に割って入ってくれます。

 

「ローゼマイン様、しばらく戻られないので心配しましたわ。図書館について聞きたいので貴族院から戻る前に図書館に来てくださいませ。」

 

王族の命令には逆らえません。正直なところ卒業式すら出ないで済ますということも検討していたのですがそういうことならば仕方がありません。

 

「わかりました。では成人式の次の日でよろしいですか。」

 

「ええ、分かりましたわ。ソランジュ先生にも伝えておきますのでよろしくね。」

 

その後、できれば今年も成人式の祝福だけでもお願いができないかという話になりましたが、領地としてこんな状態なのでやんわりと断りました。

 

去年はもうしなくていいという言質も取ってありましたし。

 

ディートリンデ様は少し不満そうでしたが...。

 

ディートリンデ様の気分が悪いままだと良くないので、星結びでは、わたくしが盛大に祝福いたしますねと言っておきました。

 

そこまでアーレンスバッハにいるかは不明なので、できるかは分かりませんが...。

 

その後にダンケルフェルガーの方々がこちらにも来たので、去年に頂いた素材についてお礼を言っておきました。

 

そこからディッターの話になってしまい、ダンケルフェルガーの方々にディッターのお誘いをしつこくされてしまい、やんわりと断るのが大変でした。

 

あまりにもディッターに熱心に誘ってくる方々のせいで、結局ハンネローレ様とは話せずじまいでした。

 

ちなみにダンケルフェルガーの方々がいる間、ディートリンデ様はいつも通りすごく嫌そうな顔をしていました。

 

その後、エーレンフェストの方々が向かって来たのですが、

 

「ではローゼマイン、後は任せましたわ。」

 

え、どういうこと?

 

「あら、わたくし、ヴィルフリートと婚約することになりましたので」

 

え、え、何も聞いていないのですが。というか何があったの!?

 

「婚約といっても、どちらがどちらの領地へ行くかも決まっていないし、レティーツィアがメルヒオールを迎える可能性もあるのでまだ仮なのですわ。」

 

レティーツィアもヒルデブラント王子かエーレンフェストの領主候補生どちらかを迎える予定と。私の所に何も話がきていないんだけど。ちょっと寂しいとか言わないよ。

 

「そもそも、貴族院入寮直後ではヴィルフリート様との婚約はできなかったという話ではなかったのですか。」

 

「残念ながらまだ仮なのよ、王族より去年の争いのせいでアーレンスバッハとエーレンフェストの領主候補生が結婚するようにというお話なのですわ。」

 

やはりこの間の争いは王族にばれてしまったようです。そもそもあれだけの事態となってばれないわけがないのですが。私の知らないところでそんな話になってしまっていたなんて。

 

まあ、ディートリンデ様はヴィルフリート様のことがお好きのようだし問題ないよね。

 

相変わらず、ゴージャスな髪を揺らしながらヴィルフリート様の来る方角へ優雅に向かいます。

 

婚約を仮にでもしたのなら、あいさつ回りに行かなければいけないはずなのですが、今まで回っていなかったのは私のためだったのでしょうか。

 

だとしたらディートリンデ様に申し訳ないです。卒業式が終わった後にヴィルフリート様と一緒のところで個別に祝福を送りましょう。

 

あれ、二人でまたこっちに来る?後でいいのに。

 

「その、ローゼマイン。」

 

ヴィルフリート様とあいさつを交わした後、話し辛そうに私に小声で話しかけてきます。

 

きっと、契約について気にしてくれているのでしょう。

 

「お二方を見ておりますと、オルドナンツと一緒に羽ばたけるような気分になりますね。」

 

お二人の門出に祝福するという意味と契約はほぼ無いですという感じで伝わるかな。

 

「いや、まだ仮なのだ。それだけを伝えておこうと思って。」

 

うん?うまく伝わらなかったのかな。小声で話してきたけど意図がわかりません。

 

「ええ、存じておりますわ。婿入り、嫁入りどちらになるかはまだわかりませんが、どちらでも祝福させていただきたいかと存じます。大事なお義姉様のことをよろしくお願いしますね。」

 

うん、あれ、何か間違った。少し怒っているような悲しそうな何とも言えない雰囲気が出ています。

 

「其方...。以前にあれだけ伝えても...。いや、まあ、いずれ、その、機会があればまだ...。」

 

なんともヴィルフリート様らしくない、歯切れの悪いよく聞こえない小さな声で何か言っていきました。結局何が言いたかったのでしょうか。

 

 

 

 

その後も他の領地との対応に追われます。

 

ディートリンデ様の偉大さがよくわかります。

 

あの方は、危ない発言しても十分フォロー可能な段階で終わるので、横にいるだけでそれなりにうまく私も話せている気分になるのですが一人になるともう駄目です。

 

私が対応できそうにない方は、申し訳ないのですがアウブの弟夫婦に丸投げです。

 

ああ、もう、次から次へと。そこで少し周りが気になって見てみると、なぜか私の方へ来る人が多くない?

 

契約のこととか、エーレンフェストとアーレンスバッハの争いについて探ってくる方が多すぎです。特に争いについては情報が欲しい人が多いようで、アウブの弟君より私の方が引き出しやすいと考えたのでしょうか。

 

予備の領主候補生でしかない私が関わっているなんてなんで思ったのでしょうか。いえ、今回は私が思いっきり関わっていましたが普通に考えれば領主候補生の領域を超えていると思います。

 

情報統制は両領地で厳しくひかれたはずなので、漏れる心配はそこまでないと楽観していたのですが。

 

何か僅かな情報でも引き出せればいいとでも思っているのでしょうか。

 

ドレヴァンヒェルからは、私の結婚についてアウブドレヴァンヒェルが直々に私に聞いてくるし、契約についても情報を引き出そうといろいろしつこく聞かれてへとへとです。

 

まずい情報を与えてしまったり変なこと話してないよね。だんまり作戦は失礼に当たるから使えないし困ります。

 

なんとかアウブドレヴァンヒェルとの話を終えアウブの弟君の方へ向かってくれたので一息つきます。

 

「ローゼマイン様、今よろしいですか。」

 

おっと、レティーツィアのご両親ではないですか。

 

「ええ、今ちょうど一息付けたところなので。レティーツィアのことでしょうか。」

 

他ならぬレティーツィアのご両親ともなれば、無理であっても対応しますよ。

 

「ええ、あの子はアーレンスバッハでうまくやれておりますか。」

 

私なんかよりもレティーツィアの方が、よほどうまくやっていると思います。

 

「レティーツィアは非常に優秀ですよ。わたくしも見習わなければならないところがたくさんありますわ。」

 

「あら、レティーツィアからは私にはもったいないくらい優秀で素晴らしいお姉様だと手紙には書いてありましたよ。」

 

「そう思って頂けているのならうれしいのですが...。」

 

うん、あまりいいお姉様ではないんだろうな。私の理想像からは程遠いいというか真逆というか。

 

その後も、レティーツィアにいろいろ教育係として教えたことや、礎に魔力を奉納した話などをします。神事については、今はまだ話せません。

 

「もう、礎に魔力を供給しているのですか!いえ、他領についてわたくしが言っていい話ではないのですが。」

 

「ええ、アウブアーレンスバッハのご意向で、できるだけ早く引き継ぎたいということなので、今から訓練しております。」

 

「その、とても体に負担がかかると思うのですが大丈夫なのでしょうか。」

 

まあ、慣れが大事とはいえ負担が大きいのは事実なので不安になりますよね。

 

「エーレンフェストでも当然のように洗礼式直後から領主候補生は礎に奉納しているようですし、わたくしも補助して安全面には気を使っておりますのでご安心ください。」

 

領地によっていろいろ違うのですねという話など、レティーツィアのことを中心に話していると、他の領地の方が来てしまいそちらの対応に追われることになってしまいました。

 

 

 

 

午後もディッターをほとんど見る余裕もなく来客対応です。

 

僅かに時間の空いた時に見た限りでは、アーレンスバッハの皆様は連携が鋭くなっていますね。

 

以前は旧ベルケシュトックの方々が飛びぬけていた印象ですが今回はアーレンスバッハの方々ともうまく連携が取れています。

 

出された魔獣が分裂する少し厄介な魔獣でしたので順位は去年より落としそうですが、以前よりはるかに強くなっています。

 

 

 

 

その後ざわめきが聞こえます。エーレンフェストがあっという間に終わらせたようです。

 

ディートリンデ様はアーレンスバッハがディッターをしている時からエーレンフェストの席で観戦しているのですがいいのでしょうか。

 

今はシャルロッテ様と仲良くお話しているようです。ヴィルフリート様の関係があるので文句はありません。むしろエーランフェストと仲良くしてくれるのは大歓迎です。エーレンフェスト側がいいのなら、問題はないのでしょう。

 

 

 

 

何とか社交の対応を終え、後は表彰式に出席するために移動しなければならないのですが...。

 

「ローゼマイン様、お疲れのところ申し訳ないのですがそろそろ表彰式に移動しなければなりません。」

 

側近の一人がそう言ってくれるも...体がまったく動かないのです。頭がとても痛く、魔力で体を無理やり動かそうとしますが魔力の制御がうまくいきません。

 

「ローゼマイン様、大丈夫ですか!誰か来てくれ!」

 

周りの焦った声が聞こえた気がしましたが、その後のことはよく覚えていません。

 

 

 

 

 


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