マインオブザデッド   作:dorodoro

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最終章 貴族院3年目 世界
71話 貴族院三年目開始


さて、今年も貴族院へ向かう時期となりました。

 

レティーツィアの専任の教育係も決まったようなのですが、なぜかその後も私に教えてほしいと呼ばれることがあります。

 

主に今までやったことの復習や貴族院の範囲なのでいいのですが。

 

アウブとの契約もどうするのか話し合い、エーレンフェストとの接触要項も確認します。

 

接触を避けるのは最大限努力するのままですが、接触してしまったらアーレンスバッハに不利益を与えない限りは自由とするとのことです。

 

お茶会などで接触する分には回避できそうです。当初から見ればものすごく緩くなりましたね。

 

アーレンスバッハの利益となるように動かなければならないという案もありましたが、どこまでが利益になるのか判断が付かないとのことでこうなりました。

 

今年も冬の子供部屋に集まり、皆さんで事前に準備や勉強などの復習をしながら移動を待ちます。

 

何だかんだで最初から普通に準備できているのって初めてですよね。

 

神殿で教えていた人とかもいて、普通に話しかけてくれる人も増えたような気がします。

 

「では、ローゼマイン。先に向かいますわね。」

 

「ええ、わたくしも後日に。今年もよろしくお願いします。ディートリンデお義姉様。」

 

先にディートリンデ様が貴族院へ向かうのをお見送りします。

 

私が行くときはレティーツィアが今年もお見送りに来てくれます。

 

「お姉様、しばらく会えないのは寂しいですがお体に気を付けて行ってらっしゃいませ」

 

「ええ、ヒルデブラント王子に会ったらそれとなく今のお気持ちをお聞きしてきますね」

 

「ヒルデブラント王子との婚約は、確定も何もしていないので必要ありません。」

 

レティーツィアは恥ずかしがっているようでもないし、なんだか本当に興味なさそう。

 

結婚する可能性があるのにそれでいいのでしょうか。私も去年のオルトヴィーン様の件があるから強くは言えないけど。

 

「ええ、まあ王族に関わる機会なんてほとんどないでしょうし、レティーツィアがそういうならやめておきますね。」

 

今年は、お守りも増やしましたし、ユレーヴェと育成の神アーンヴァックス様のおかげか体力もついてきて寝込むことがかなり減りました。そのため薬も以前より少なく済み余裕を持てそうですね。

 

お父様やお母様も何事もなければ来年の夏の初めくらいには、魔力器官も本人の良い状態だった以前の時ほどには戻らないでしょうがほぼ問題ない状態になるでしょう。

 

私個人としては後どうにかしなけ得ればいけない問題は契約を残すのみなんですよね。

 

契約の強制破棄については呪い返しの要領とか、いろいろ開発はしていたのですが仮に相手が万全の状態であっても、相手か私かのどちらかがはるか高みに上りかねない方法しかないんですよね。

 

そんな方法はさすがに取れません。私のせいではるか高みに上らせたくありませんし、上りたくもありません。

 

 

 

 

さて、いつも通りに貴族院につきます。

 

今回は子供部屋で皆様に挨拶が終わっているので着いた後も簡単に済みます。

 

去年はディートリンデ様を中心になんだかギスギスした雰囲気でしたが、今年は特に何もなく穏やかです。

 

「ローゼマイン、よく来ましたわね。」

 

「ディートリンデお義姉様、今年は冬の屋敷へも問題なくは入れましたし、いい年になりそうです。」

 

「そういえば、ローゼマインが貴族院へ向かう前に順調に来たのは初めてかもしれませんね。」

 

まったくです。そのあとディートリンデ様の会話が始まります。

 

なんでも、夏にエーレンフェストへゲオルギーネ様と一緒に行ってきたそうです。あのようなことがあった後なので大丈夫だったのでしょうか。

 

「ご無事でよかったです。エーレンフェストはどんな様子でしたか。」

 

「あら、エーレンフェストとはいろいろ問題がありましたが、交流のために出向いた者に狼藉を働くわけなくってよ」

 

まあ、そんなことになったら今度こそどうにもならなくなりますが。

 

「ヴィルフリートについて、最終確認という意味もあったのですけどね。」

 

ヴィルフリート様の件?ああ、そういうことですか。少し残念そうな表情から察するに...まあ、ヴィルフリート様は乗り気ではなかったようですからね。

 

「ローゼマインのおかげで、髪飾りも注文できたし良しとするわ。」

 

先に現物押し付けて正解でしたね。いらないものを持っていてもしょうがないし。

 

「それは、良かったです。どのようなものを注文されたのですか。」

 

「それは卒業式当日のお楽しみですわ。本当はローゼマインも連れていっていろいろ意見を聞きたかったのだけど。お父様が猛反対してだめでしたわ。」

 

契約のことは知っていても、そこら辺の事情は聞いていないのかな?

 

ディートリンデ様は演技なのか本当に思っているのか全く分からせない方なので判断が付きません。どのみちお断りしないといけなかったので、私まで話が来なくて助かりました。

 

いえ、もし万が一にでも許可が出るのなら行きたかったですが。

 

 

 

 

さて、その後は例年通り、復習です。と言ってもすでに冬の館でしてきましたし、座学については問題ないでしょう。

 

今年は、神殿で教えていたせいかいろいろ聞いてくる方が多いです。特に下級生からの質問が多いですね。

 

わたしでなくても良いのでしょうが、聞かれた以上答えてあげるべきですよね。

 

え、アーレンスバッハの成績を上げるといろいろまずいって?

 

なんだかんだでアーレンスバッハは4位になってしまいましたし、いまさら私一人程度がどう動こうと大差はないのです。きっと。

 

 

 

 

さて、進級式へ向かいます。寮を出るとすっかりお馴染みになっていた6から番号が変わっていました。

 

以前から講堂はさほど遠くはありませんでしたが、4位だと更に近くなるのですね。

 

講堂に着き進級式が始まります。順位が上がったので、周りの方々も変わりますね。

 

進級式では、毎年ほとんど言っていることが一緒です。配置されている魔術具や魔法陣も大体解析できたので以前の緊張感が嘘のようにただ聞くだけですね。

 

進級式が終わると講堂を出て、親睦会に向かいます。

 

「4位アーレンスバッハより、ディートリンデ様とローゼマイン様がいらっしゃいました」

 

もう、慣れたものです。去年と違ってディートリンデ様も普通ですし。

 

全員集まると例年通りヒルデブラント王子へあいさつし、上位領地へあいさつです。去年と違ってさらに少なくなったので挨拶だけは楽ですね。

 

王子も二度目ということもあって、去年の緊張した感じはなく笑顔です。

 

「ローゼマイン、今年もよろしくお願いしますね。」

 

レティーツィアについて聞いてみたい気もしますが、まあ、機会があればですね。

 

「恐れ入ります。」

 

アナスタージウス王子と違ってあっさり終わるからありがたいですね。

 

クラッセンブルクはディートリンデ様に対応してもらい、ダンケルフェルガーだけはディートリンデ様と相性が悪いので私が中心となってあいさつします。

 

レスティラウト様とハンネローレ様に再開の挨拶をします。

 

「ローゼマイン様、何やら色々な噂がこちらまで入ってきておりますがご無事の様で何よりです。」

 

うん、どこまで噂が流れているのだろう。今年はいろいろありすぎてどの噂かわからない。

 

「ご心配ありがとう存じます。ですがわたくし、むしろ去年より調子がいいくらいですわ。ハンネローレ様もお元気そうで嬉しいです。」

 

その後、図書館の魔術具やお茶会についてなど少し話します。

 

「相変わらず、アーレンスバッハらしくない貧相な格好だな。其方生まれる領地を間違えたのではないか。」

 

おっと、レスティラウト様が契約関係で探りに来たのかな。

 

「神殿に住んでいたため、このような恰好が楽なのです。そこまで貧相でしょうか。」

 

「お兄様!失礼ですよ。それではローゼマイン様の格好がおかしいみたいではないですか。ローゼマイン様の格好は別におかしいものではないではないですよ。」

 

よかった。おかしいまではいかないんだね。派手な恰好をして目立つよりいいのです。

 

「お気遣いなく、ディートリンデ様からも、よく指摘を受けるのですがどうにも落ち着かないので。」

 

「そうだ、お兄様歴史書についてお話があったのでは。」

 

歴史書ね。印税の件がありましたね。印税と言っても領主一族のみしか読まないとか、ただで配布するとかだった場合無駄なんだけどね。

 

「ああ、まあまあだった。」

 

「お兄様に言わせると、よくできていて良かったとのことです。」

 

ハンネローレ様...まあ、褒めるということができない人には慣れています。

 

 

 

 

ダンケルフェルガーが終わるとドレヴァンヒェルです。

 

こちらは基本的にお任せです。と言っても領主候補生のオルドヴィーン様と少し話したくらいですが。

 

お母様より多少の情報が流れているのか、大変だったようですね。と言われましたがそのくらいです。

 

向こうもあまり興味がなくなったのか、契約関係で諦めたのかよくわかりませんがあまりしつこくされずに良かったです。

 

こんな訳ありな私を第一夫人に迎えるとか大変になることは目に見えてますからね。

 

現状を見ますと、ドレヴァンヒェルから婿に来てもらうという事でもない限り次期領主の第一夫人以外で出すとは考えられませんからね。

 

そもそも、お父様としては私をアーレンスバッハから出すつもりはさらさらないようですが。

 

 

 

 

こちらのあいさつ回りが終われば、後は待つだけです。

 

エーレンフェストがやってきます。

 

「あら、ヴィルフリート。ライデンシャフトの季節にお世話になりましたわ。」

 

「ディートリンデもお変わりなく。お元気そうでよかった。」

 

今の会話を見る限り悪い関係ではなさそうですが、そうなると結局のところこの二人はどうなるのでしょうか。

 

まあ、ディートリンデ様がエーレンフェストへ嫁ぐとは思えないし、ヴィルフリート様がアーレンスバッハへ婿入りも考えにくいしなぁ。

 

何事もなければ、ディートリンデ様も領地(アーレンスバッハ)の上級貴族を迎えることになるのでしょうが。

 

となるとお相手は側近のあの方ですかね。分かりませんけど。

 

この後は、親族同士や領地同士のお茶会するということで話がまとまります。

 

「去年はいろいろ不幸な行き違いがありましたが、せめて貴族院にいる間だけでも仲良くしたいものです。」

 

「あら、私たちは親族同士ですし、悪くなりようがないですわ。ねぇ、ローゼマイン。」

 

「ええ、わたくしもエーレンフェストとはお隣同士ですし、仲良くやっていきたいと存じます。」

 

本当は私が動ければいいのだけど。能動的に動くのは契約上不可能なので仕方ありません。

 

契約が緩くなっただけでも感謝しないといけないのでしょうが...。

 

 

 

 

夕方から次の日にかけて、復習などを行い最初の試験は簡単すぎませんかね。

 

大神とその眷属神をすべて書き出すだけとか、うちの孤児院の子達だって簡単に合格できるよ。

 

眷属外神をいくつか出してもよかったのではなんて思ってしまいます。

 

いまだ不明な孤児院の前に置かれている神はやめて欲しいですが。

 

合格者は、アーレンスバッハは半分を超えるくらいですか。

 

エーレンフェストは全員が合格でドレヴァンヒェルが七割くらいの方が合格の様です。

 

他の寮は少ないですね。神の名前を覚えることは大事なことなのになんででしょうか。

 

さて、今回の試験を合格できないと午後の実技が受けられないので合格していてよかったです。

 

神様の中には長く読みにくい名前の神もいますので、ちょっとした記述間違い(ケアレスミス)で落ちた人もいたのではないでしょうか。

 

 

 

 

 


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