マインオブザデッド   作:dorodoro

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7話 幸せの終わり

さて、例年すごいが、今年の洗礼式特にすごい。当然です。

 

下町はいつもどおりでしたが貴族のほうはそうは行きません。

 

なぜならほぼ次期アウブとなることが確定しているヴィルフリート様が式に参加するからです。

 

去年は私自身が参加する側でしたが今年は神殿長(仮)なわけで...まあ、すでに一回やっているので関係ありませんが。

 

ちなみに神殿長は仕事をする気がないのかお金だけもらってやりたい放題の模様です。

 

今日の主役のヴィルフリート様に先に最後の打ち合わせを兼ねて挨拶をしておくことにした。

 

「マイン、そなた去年はとんでもなく派手にやったらしいな。私も負けぬよう今日はがんばるぞ。」

 

えーと、私だってやりたくてやったわけではないのですが。

 

「マイン、私はお主の事あきらめんぞ。必ず来てもらう。そのためにも今日はしっかりやらせてもらう。」

 

何のことでしょうか。私のことあきらめない?ああ、側付の話でしょうか。

 

「私のような体の弱いものを側付にすることはやめてくださいませ。私などよりも優秀な方はたくさんおりますゆえ。」

 

わたしが側付で役に立つわけないじゃん、準備とか護衛とか、かろうじて文官としてなら少しは役に...うん、無理だね。

 

ヴィルフリート様は複雑そうな表情をし、そう意味で言ったのではないのだがとこぼしていましたがどういう意味でしょう。

 

さて、フェルディナンド様と一緒に入場する。そういえばおととしは中央に登るのが遅いとか言われたな。

 

前回は小さなミスはありましたが今回は完璧にこなします。

 

春の訪れの祝詞を読み上げ、いっせいにシュタープを光らせる。

 

当初はウラノの世界のアイドルのコンサートかよと思ったのは内緒だ。

 

うん、結構気持ちに余裕があるな。

 

貴族の連絡事項が読み上げられる。左遷やらなにやらライゼガング、ハルデンツェルともに特になし。

 

両方とも私が儀式をしているので収穫量は格段に伸び領地経営がとても楽になったと会うたびに何度も言われた。

 

さて領主の話が終わり舞台から降りたことで私とフェルディナンド様の出番だ。

 

「新たなるエーレンフェストの子を迎えよ」

 

ヴィルフリート様を先頭に一列に並んだ。

 

一人一人貴族になった証拠の指輪を渡されながら私は例年通り祝福をしていく。

 

やっぱり祝福は大きいほうがいいよね。

 

ヴィルフリート様を最後に次の音楽の奉納が始まる。

 

私は一人一人に声をかけていく。

 

人の名前はどういうわけか覚えるのが少し苦手なので大変でしたがそつなくこなせました。

 

最後のヴィルフリート様の演奏は流石でした。

 

遊んでばかりのイメージだったけど才能があるのか努力したのか。

 

いずれにせよつつがなく洗礼式は終わりました。

 

そのあとは急いで着替えライゼガングのお父様方と合流し、挨拶めぐりです。

 

まあ、領主候補生ほど大変ではありませんがヴェローニカ派の方々とは大変です。

 

とそこで、窓の上に人影が見えます。あれは何でしょうと思っているとホールの上の窓がいっせいに割れて大量の人が入ってきました。

 

こっちだとお父さまに手を引かれます。

 

いったんホールから出るため結界がある本館に向かおうとしますが、

 

負傷者がすごく多く、さっき洗礼式を終えたばかりの子達数名がシュタープに括り付けられ拉致されそうにされています。

 

「させません。」

 

僅かながら準備した魔法陣でとお守りで彼らを助け出します。

 

しかしこれが悪手でした。後ろから進入してきた黒ずくめの男が自爆してきました。

 

「守りを司る風の女神 シュツェーリアよ、うう...」

 

呪文が間に合いません。

 

別の男でしょうか、後ろから刺され、何か薬のようなものを無理やりのどに突っ込まれ飲まされました。

 

「やっと確保したぞ、まさか本命がかかってくれようとは。」

 

なにこれ、これはまずいです。魔力がまったく循環しなくなり体が言うことを聞きません。

 

「領主候補生と一緒に連れて行け。」

 

声も上げられずシュタープでぐるぐる巻きにして運ばれます。

 

隣にはヴィルフリート様必死に抵抗しています。

 

動け私の魔力、ものすごく意志の力が要りましたが血が流れていたためほとんど動かない指で無理やり魔法陣を描き血をヴィルフリート様の方へ力を集積させ暴発させます。

 

何とか私の爆発を利用し、拘束が緩んだ隙にヴィルフリート様が拘束から逃れるのが見えました。

 

これが私の最後の抵抗でした。周りからは、自爆したと思われる音や戦闘音が消えず、まぶたまで力が入らなくなり音以外聞こえなくなりました。

 

「もう一本入れておくか、ふむ、ナイフにもたっぷり塗っておいたようだな、ならばこのままだ。」

 

血も流れ、魔力も止められ意識が保てなくなりそこから先は覚えていません。

 

 

 

 


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