マインオブザデッド   作:dorodoro

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54話 ゲドゥルリーヒの祠

土の女神といえばゲドゥルリーヒ。

 

故郷を思う心もゲドゥルリーヒ。

 

あの素晴らしい空間がある祠もこれがきっと最後かと思うと残念です。

 

背中のシュミルもアインしかいないので五冊しか運べませんし。

 

今日も本を乗せた一人用レッサー君に乗り込んでこそこそ移動中です。

 

今日は、ヒルデブラント王子にも捕まりませんでしたし良かったですね。

 

こういう風にうまくいく時は必ず何か起こるのは日頃のおこないが悪いと神様方から見られているせいでしょうか...。

 

さっそく近くから戦闘音らしきものが聞こえてきました。

 

巻き込まれたくはないですね。ライデンシャフトの槍が当たれば知っている魔獣ならばどうとでもなるのですが。

 

念のため様子を遠くから見ますと...。

 

ターニスベファレンじゃないですか。

 

通称ターニちゃんは旧ベルケシュトックに生息する私が一人で安全に倒せる数少ない魔獣です。

 

良質な魔石を作るのに素晴らしい特性を持っているので是非とも横取りしたいです。

 

このターニちゃんという魔物は闇属性という特殊な属性を持っており、魔力が大好きで他の属性の魔力を吸収するという能力を持っています。

 

正攻法でやるのなら闇の祝詞等で闇属性を持たせて攻撃するのですが。

 

ラルツェ

 

ライデンシャフトの槍を準備し闇以外の六属性を付与した後は、ターニちゃんの持つ魔力量に闇以外の属性の魔力量をそれぞれ合わせてあげると...。

 

「あっちへ行ったぞ、まずい!」

 

もう、ウラノの世界で言う『ふぃっしんぐ』ですね。簡単につれます。槍の魔力へ向かって一直線に突っ込んできます。

 

さすがの魔力が大好きな彼らも器の魔力量が一瞬で七倍になると...。

 

内側だけ溶けるのです。身食いと一緒です。

 

ちなみに魔力の属性と魔力量を均等にしないと爆発してひどい目にあいます。アウレーリアと一緒に魔力量をこめ過ぎたりして何度かひどい目にあいました。

 

倒した後に残るのは大きな魔石や七色になった皮や牙等です。

 

レッサー君軍団を作るのに欠かせません。

 

事前にかなりの攻撃を加えてくれていたようでなかなか上質な魔石が取れました。

 

そこで気が付きました。ついつい何も考えずに勝手に倒しちゃったけどどうしよう。

 

魔石以外をばれずに回収するには時間が足りませんが、せっかくの素材を放置するのは気が引けます。

 

他領では知りませんがそこまで珍しい魔物ではないのですから、堂々と回収してしまえばいいですね。後は言われたときに対応を考えましょう。

 

「アイン、出来るだけ急いで素材の回収」

 

「そざいかいしゅう いそぐ」

 

ふう、来る前に終えちゃえば関係ないよね?

 

「今度はグリュンだ。」

 

「まて、人がいるぞ。あれは違う!」

 

まずいです。どうせ人に見られないと思って今日もレッサー君でした。

 

とりあえず攻撃されないでよかったけど、みんなひどいよ!こんなに愛くるしくてかわいいレッサー君とあんな魔獣と一緒にするなんて!

 

「こんなところで何をしている!」

 

「それよりも先程の魔獣を確認し、中央騎士団に応援を呼ばねばなりません。」

 

トラウゴット様とコルネリウス様だったかな、エーレンフェストの方が何でこんなところに。

 

「ターニスベファレンでしたら回収させて頂きました。倒したのは私ですから素材は全部頂きます。」

 

しかも中央騎士団!まためんどくさいことになりそうです。

 

「まってください。ローゼマイン様が倒したと言うのですか。」

 

別に対処法さえ知っていれば難しくないよね。

 

私はうなずきでとどめます。お願いだから話しかけないで。さっきの会話だけで指輪が反応しているんだよ。

 

「いったいどのように?魔獣を倒した後にしては血等飛び散っていませんが。」

 

「答える義務はありません。失礼します。」

 

さっさと祠へ逃げましょう。

 

祠へ向かう途中にアーレンスバッハの採集場を通ったのですが見事に荒らされていましたので、こっそりお祈りして回復させておきました。

 

採集場の魔法陣は本当に便利です。去年の貴族院で魔法陣を見てから、応用してシュタープとか魔紙で神殿の畑等で展開できないか研究しました。結果としては、起動自体はできても、起動するまでに魔力を大量に消費してしまうため、今まで通りのやり方と魔力量の差があまりでないので研究途中として保留しています。

 

さて、思わぬ収穫と魔力消費がありましたが、目的の祠はこれですかね。とりあえず綺麗にしましたが、結構ボロボロです。

 

祠に意思のようなものを感じるので魔力だけ奉納すればなんとかなるかもしれません。

 

とりあえず、中に入ったら本ですね。

 

いつも通りに「神に祈りを!」

 

ここは土の女神 ゲドゥルリーヒの貴色は赤い光で、本が少し読みにくいです。

 

心地はいいのでゆっくり休みを入れながら読んでいきます。

 

急かされることもなくとてもいいです。まるで故郷の村にいるかのようです。

 

 

 

読み終わってしまいました。

 

改めて像を見てみますと、ゲドゥルリーヒの像が崩れかけてる!?

 

「土の女神 ゲドゥルリーヒに感謝の祈りを捧げます。」

 

私の心のゲドゥルリーヒに帰れるようご加護をお願いします!

 

かなりの魔力を最初に捧げますと崩れかけていた像が他の像と同じくらいに戻りました。

 

残った魔力で再度魔力を奉納し、祈りが届いたようです。

 

また、赤い魔石の石版がこちらに飛んできてお言葉を貰い強制退場です。

 

これで重要そうな祠は回り終えましたし、闇と光の個別の祠がない限り終わりですね。

 

少し寂しいですが、いつも通り小さな祠にも寄って先に素材を自室に入れてから図書館に向かいます。

 

「あら、また、借りたその日に返しに来たのですか。」

 

「ソランジュ先生、読み終わりましたので返しに来ました。」

 

ヴァイス達にいつも通り直ちに返しに向かわせ私はいつも通りに2階から転移用の魔法陣で地下へ向かいます。

 

「あるじ あんないする」

 

ヴァイスの雰囲気がいつもと違いますね。

 

案内してくれるとのことなので素直についていきます。

 

「あるじ ここさわる」

 

今度はシュバルツですか。今まで気がつかなかった魔法陣がありますね。

 

隠し部屋でしょうか。魔力を流します。

 

白い魔力の扉ですね。

 

少し中に入るのをためらっていると、ヴァイス達が両手をつかんで引っ張って行きます。

 

相変わらず勝手な魔術具です。痛いよ、もう少しゆっくり歩いて!

 

ヴァイス達に無理やりなんだか豪勢な扉の前につれて来られましたよ。

 

「あるじ さわる」

 

いや、これは無理でしょう。

 

明らかに危険にしか見えない魔法陣が浮かんでいるのですが...。おそらくヴァイス達の魔法陣を凶悪にしたものです。

 

こんなものに触りたくはありません。

 

「いいから さわる」

 

やめて!あうち!痛いよぉ。だから無理やり引っ張らないでよ。

 

「ひめさま とうろくない」

「このさき はいれない」

 

だから無理だって、準備もなしにこんな凶悪な魔法陣を解除できるわけないでしょ。

 

「ところでシュバルツ、ヴァイス、登録とは何?」

 

「おうぞく とうろく」

 

王族ですか。これはまたすごいものが出てきましたね。

 

ということは、この先にはとんでもないお宝があるのでしょうか。

 

「管理者代理権限では入れますか。」

 

「あるじ できない」

「おうぞくでないとむり」

 

まあ、いいです。とりあえず戻って本を読みましょう。

 

準備をして頑張れば分解出来そうですが、凶悪な魔法陣とシュバルツ、ヴァイスを相手をするのはさすがに手に終えません。

 

くわえて、王族関連の物を勝手に分解したとか言われるのもごめんです。

 

いろいろあって疲れたので一冊だけ本を読んだら今日は戻ることにしたのですが...。

 

転移用の魔法陣で2階に出たところで、珍しくシュバルツとヴァイスが目の前で待っています。

 

「あるじ じじさまがよんでる」

「ここ なでる」

 

じじさまとかどうでもいいです。もう今日は体力、魔力量ともに余裕がないのですが、無視していいかな。いや、無視するべきだ!

 

「シュバルツ、ヴァイス今日は疲れましたのでまた今度にしますね。」

 

「いいから まりょく」

「さっさと なでる」

 

だからやめてってば、手を引っ張らないで!私は仮にも主だよ。シュバルツ達が私の手を無理やり引っ張ります。

 

だから何でこの子達は私の言うこと聞いてくれないの。

 

シュバルツ、ヴァイスに引っ張られた手でメスティオノーラの像が持つグルトリスハイトに触らさせられました。

 

いつもこの像にはそれなりの魔力を持っていかれるのでいろいろ大量の魔力を使った今日は耐えられる気がしません。

 

何かスイッチのようなものが入ったと感じた後に、案の定、魔力切れのせいか意識が落ちていきました。

 

 

 

 


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