マインオブザデッド   作:dorodoro

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49話 レティーツィアのお披露目会

あれ、ここどこだっけ。

 

ああ、そうだった。

 

ユレーヴェに浸かってたんだっけ。

 

なんだかものすごく眠いです。もう少し寝ててもいいかな?

 

「そろそろ起きそうだな。」

 

「あなた、やめませんか。この子にその指輪はもう必要ないでしょう。」

 

「何を言っている。契約がある以上、かえって無い方が危険ではないか。」

 

「ですが...。」

 

「その話はもうすんだことだ。ローゼマインがここに寄る辺を持っていないということは、わかっているはずだ。」

 

ううん、何か誰かの話し声が聞こえます。

 

「やっと起きたか。」

 

そう言うとお父様とお母様にユレーヴェから出されました。

 

なにも言わずに忌まわしき指輪をつけられます。

 

直接この指輪を見ると、あらためて自分の立場を認識させられているような気がして嫌になります。

 

「わたくしはどのくらい寝ていましたでしょうか。」

 

「もう、洗礼式のお披露目会までに7日を切っている。」

 

まあ、大体予想通りでしたね。

 

「体力が回復していないところで大変だが必ず神殿長として出るように。」

 

まあ、仕方がないですね。身体強化の魔術で何とかするしかないでしょう。

 

「あなたがしばらく神事に出てこないので心配している方がたくさんいますよ。」

 

お母様。なぜ私なんかの心配を皆様がするのでしょうか?

 

「全く、お主が出てこないせいでうるさい貴族が多くてたまらん。黙らせるために必ず出席するように。」

 

旧ベルケシュトックの方々でしょうか。私のことを天使とか言ってましたし。

 

まあ、いいです。ここで考えてもわかりませんし。

 

 

 

当然今受け持っている業務はないので神殿でリハビリです。

 

全然思うように動きません。

 

魔力量もまた上がったようで圧縮し直しです。

 

洗礼式のお披露目会までの短い間はお祈りやリハビリに費やしました。

 

 

今年の洗礼式のお披露目会は、去年よりもよりも出席する人が多い気がします。

 

まあ、次期アウブとほぼ決まっているレティーツィアがいますからね。

 

レティーツィアと再開の挨拶をした後少し話します。

 

「ローゼマインお姉様、倒れたと聞いてとても心配してました。」

 

新しい妹(レティーツィア)にまで心配をかけた模様です。

 

「ありがとう存じます。レティーツィア。倒れたわけでなくユレーヴェは前から浸からないといけない状態だったのを引き伸ばしていただけなのです。」

 

「半年近くも浸からないといけない状態で今まで大変なお仕事を。」

 

あれ、逆効果だったかな。ユレーヴェを作る材料がなかっただけなのだけど。少しうるうるしてかわいいけど困ります。

 

「お陰で今日のわたくしは万全です。レティーツィアの為に派手な祝福をしますので期待していてくださいね。」

 

まあ、本当は体が全然言うこと聞かないし万全とは全く言えないけどね。妹の前では、そんなもの見せる訳いきません。トゥーリのように頼れるお姉様に...。

 

とはいうものの、あまり話したことのない妹だけど...。

 

「星結びの祝福は凄かったです。今回もあのような祝福を行うのでしょうか。」

 

「さすがに最後のは無理ですよ。わたくし自身が現象を見ていないので断言できませんが、そこまでは期待しないでくださいね。」

 

あの魔法陣には、とんでもなく魔力を持っていかれたからね。

 

アウレーリアとエーレンフェストの為にやったから全く後悔はしていません。仮にやり直せたとしても同じことをする自信があります。あ、一応アーレンスバッハの為にもおこないましたからね?

 

「お姉様の祝福に負けないよう頑張ります。」

 

レティーツィアと似たことをエーレンフェストでも言われましたね。本当にあの頃が懐かしいです。

 

 

 

さて、なぜか今年も洗礼式からおこなうわけなのですが。

 

去年よりも明らかに洗礼式を行っていない子が多いのが気になります。去年よりは状況が良くなってきていると思いましたが、青色神官を呼べないほど困窮した貴族が増えてしまったのでしょうか。

 

どのような理由があるにせよ一生に一度の大切な儀式ですので去年通り一組ずつ丁寧に祝福しますけど。

 

私が祝福した後は、どの親子もどこか誇らしそうにしていているよに見えて、少し心が温かくなりました。

 

さて、あらたなる子を迎えよから、メダルの登録をします。

 

レティーツィアは領主候補生としてすでに紹介を受けているから派手にやれと命令を受けているけどどうしようかな。

 

基本的には去年と同じ祝福をしていきます。一部の方は驚いていたけど、ほとんどの皆様は去年見ているおかげか慣れたものだ。

 

さて、最後にレティーツィアだね。

 

せっかくだからパーッと季節の貴色を中心に七色に光らせればいっか。

 

たーまやー。

 

あ、まずい、七色に光らせるのは思った以上に魔力を消費するようで、魔力がかなり切れかけています。

 

のぉ!身体強化の魔術が切れそう。

 

こっそり神官長の協力を得て事なきを得ました。

 

こんなところで回復薬を出す訳にもいかないし。

 

どのみち体力の関係で本日はレティーツィアの祝福までと決まっていたので、この後は控室で休みながら聞こえてくるフェシピールの音に耳を傾けます。

 

表で今日祝福を送った皆さんの演奏を見たいのですが体力が回復するまでは戻れません。

 

この後、体力が回復したら表に戻りレティーツィアの演奏などを見る予定だったのですがアウブより帰れとの指示が来ました。

 

何かあったのかな。まあ、私的には楽だからいいけどね。

 

レティーツィアの演奏を見れなかったのだけは本当に残念ですが。

 

せめて演奏の音だけでも聞いていこうと、レティーツィアの演奏が終わるまで控室で休んでから帰りました。

 

 

 

今回のお披露目会にはレテイーツィアのご両親が来ていたようで、帰る前に姉となった私に是非とも会いたいと言うことでお会いすることになりました。

 

はじめましての祝福を贈ります。

 

「今回のお披露目会では驚きました。まさかレティーツィアの為に、ここまで盛大な祝福をしていただけるとは感謝申し上げます。」

 

「お礼ならアウブアーレンスバッハへお願いします。わたくしは指示を受けただけでレティーツィアと余り関わりがございませんので。」

 

あ、ちょっと不安そうな顔になってしまいました。さすがに相手を不安にさせたままではよくないので一言加えます。

 

「ですが、姉としてできる限りのことはさせていただきますわ。」

 

うん、まだなにか不安そう。まだ何かあるのかな。

 

結局聞きたかったことは、アウブにならないのかってことと、婚約の予定はあるのかということでした。

 

「わたくしのことはすべてアウブが決めることになっておりますのでアウブアーレンスバッハへお聞きください。」

 

「それだけの魔力がありながらローゼマイン様は何も決める権利がないとおっしゃるのですか。」

 

「そうとってもらっても構いません。」

 

いや、実際何も権利ないし。ウラノの世界の『じんけん』がほしいです。こんな世界でできるわけないけど。

 

「そんな話よりもこのシュミルのぬいぐるみに声をいれていただけますか。」

 

「これは面白いですね。声を記憶させる魔術具ですか。」

 

さすがはドレヴァンヒェル。魔術具に興味津々ですね。

 

「この後、レティーツィアに会うことがあれば是非声をいれてプレゼントしてあげてください。」

 

「ローゼマイン様から渡されては?」

 

「これから離れる家族からのプレゼントに関われるだけで結構ですわ。しばらく会えないでしょうし。」

 

はぁ、本当にかわいそうだよね。

 

せめてもっと安定した土地でだったら普通に祝福されるだろうに。

 

「ローゼマイン様、くれぐれもレティーツィアのことよろしくお願いします。」

 

くれぐれもと私に言われても何もできないけど、こういうときは両親の不安を少しでも取り除いてあげるべきだよね。

 

「わたくしにできることでしたら。」

 

私の言葉で安心できるかは知りませんが...。

 

 

 

 

さて、この後の予定ですが貴族院へ移動する直前までリハビリです。

 

フェシピールもやっておかないといけないし体が動かないって辛いです。

 

身体強化の魔術で何とかするしかないですね。

 

礎にも、魔力供給して当面の間は大丈夫だろうし、薬箱も家具の方に仕掛けを追加しましたし、なんとかなるかな。

 

ちなみに制約は、去年のまま、「最大限」だって。

 

あははは。要は関わるなと。

 

社交も最低限でいいと。

 

だだ、シュバルツ、ヴァイツの件のみ許可を取り付けました。

 

服のお礼も言わないといけないし、最悪手紙かなぁ。

 

 

結局、神殿でリハビリのあと、すぐに貴族院へ行くことになりました。

 

ちなみにレティーツィアは貴族院へのお見送りに来てくれて、もっとお姉様とお話ししたかったのに、ほとんどできないで残念ですと言って送り出してくれました。

 

できるだけ何かしてあげたいとは思うけど、タイミングが合わないんだよね。

 

はぁ、ドレッファングーアのご加護は、相変わらずのようです。

 

さて、貴族院へは行かなければなりませんが、ディートリンデ様には今年も結局挨拶ができず仕舞いです。本当に久しぶり過ぎてどうしよう。

 

 

 

 


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