さて、春の洗礼式まで、まだ時間があります。
アウレーリアも暇ではないのですが、時間がある時に素材の回収を手伝ってもらいます。
まあ、私は体が弱いですしどうしても休む時間を作らなくてはいけないので、ちょうどいいのです。
いやぁ、今まで一人で頑張ってきましたが、協力者がいると楽ですね。
祝福して、私は守りと支援に徹するだけで素材がどんどん集まります。
「いつもありがとう存じます。アウレーリア。」
「いえ、私もいい訓練になりますし、素材も助かっています。それに魔剣の魔力まで。」
アウレーリアは、使っていない魔剣を持っているとのことなので魔力をプレゼントしました。気まぐれに魔力を注ぎ込んでいったら勝手に支援魔術をしてくれたりいろいろ便利になったそうです。
属性も...。普通のことではないそうです。
え、アウレーリアはゲオルギーネ派なのにいいの?
エーレンフェストに行く方ですし、利害も一致してますし性格も合いますし、信頼する要素がここまでそろえば後は裏切られても諦めがつきます。
アウレーリアがいる間に、私の戦闘力を少しでも賄えるようにしないとはるか高みに上りかねない立場なのです。
ユレーヴェの材料も季節でとれないもの以外は集まり、魔紙や、図書館の魔術具の材料もどんどん集まります。魔石もたっぷりと集まりましたし最高です。
休んでいる間は神殿での決済や計算、たまにお父様とお母様の健康診断をおこなったりしました。薬物反応を調べると結構仕掛けてきているようで解毒予防等も定期的に行います。
側近連中の分まで作るよう命令を受け、素材の消費は無いものの結構大変でした。
というか、アーレンスバッハは毒についての研究が盛んでいやになります。
特に薬関連の部署はゲオルギーネ派の方がとっても多いので大変です。
実際に正しく使われているか確認し、違反者ばかりでしたのでアウブの許可で手をいれたらだいぶましになりました。
ただ、やはりと言いますか、さすがにゲオルギーネ様まで届く証拠は全くでないのですが。
加えて、ゲオルギーネ様子飼いの方までは手を出せません。
あの方は、なぜそこまで領主一族を消そうとするのでしょうか。
領主一族が減れば一番困るのはゲオルギーネ様だというのに。
社交シーズンを終え、春の訪れを祝う会がありましたが、私は欠席。
本当はほとんどの貴族が集まる場なのだけど、あえてそういう会を欠席することで体調面に不安があり優秀かもしれないがアウブには絶対になれないということを印象づけたい模様です。
まあ、他にも神殿に関する侮蔑とかいろいろあるので他の理由かもしれませんが。
命令ならしょうがないよね。めんどくさい行事を回避できたなんて喜んでいないよ?
さて、春の洗礼式も午前、午後共に祝福を普通にあげたら、午前の平民の洗礼式は、ちっちゃい神殿長だとか指を指されて言われてましたが祝福を贈ったら尊敬の目に変わりました。ふふん。
午後はなんでか、がっかりされました。以前やった派手なのを期待したそうです。
いや、あんなのは命令がなければやりませんから。
その後はチクチクあの図書館の魔術具の服に魔法陣を縫ったり、私の服にも魔法陣を仕掛けたり、消えるインクで強化したり。
エーレンフェストの方々から贈って頂いたシュバルツ、ヴァイツの服についている花を見ると、どうしても手が止まってしまいますが。
起動だけなら問題ないところまでいって、レッサー君軍団を...。
さすがに量産するには時間が足りません。
あれ、神殿長、お願いします、いい加減出て来てくださいとずっとうるさいのですが何かこの後しなければならないことってありましたっけ?
アウレーリアも忙しそうですし計算、決裁も少しならためても問題ないところまでやったつもりでしたが。
うん...忘れていたわけではないんだよ。ものすごく大事な儀式を。
ええ、祈念式ですが、まだ少し余裕があるはずです。
「それで、担当と回る順番はどうしますか」
エーレンフェストの時は交代で1つしかない聖杯を回していたけど、まあ、最後は基本的に魔王様と私が交代しながらやっていましたが。
「それが、アウブより直々に命令書が届きまして...。」
いやぁ!魔力のこもった領主印入の命令書。
魔力がなければ強制力は発揮しませんがこれはウラノの世界の『あうと』です。強制命令です。
まだ私宛なので見ていないようで、仕方なく封を切ります。
要約すれば、すべての直轄地より私に来てほしいとの嘆願書が来ているので、直轄地は一人で全部回れ...。
手紙を叩きつけなかった私の精神力を誉めてもらいたいです。ええ、心の底から。
「アウブからはなんと?」
私は黙って手紙を神官長に渡します。
なんで、みんなホッとしたような表情しているの。
酷くない!?
「アウブよりの命令でしたら。ローゼマイン様どうぞよろしくお願いします。」
丁寧に言ったってダメだからね!
ああ、アウブは絶対、アウブは絶対...。
ええ、行ってきますよ。
素材回収ついでに直轄地以外も回りたかったのに。
神殿を中心に直轄地を回っていきます。
何度か攻撃されそうになりましたが、なんでみんなレッサー君の魅力がわからないのでしょうか。
途中何度か寝込んで予定通りには当然いきません。
最後に旧ベルケシュトックへ。
といってもここの直轄地は、あまり広くないので私でなくてもいいと思うのですが。
他のところでは、神殿というだけであまり歓迎されず、引き留められなかったので良かったのですが、この地は違いました。
前年の事件がありますからね。
なんと言ったらいいのでしょう。
小神殿に人集りができているのですが。
「ローゼマインさま、ようこそお出でくださりました。」
「お出迎えご苦労様です。ところでこの人集りはなんでしょうか。」
「ベルケシュトックに舞降りた天使であるローゼマイン様を一目見ようと集まっておるのです。」
あなたもそんな興奮した目で私を見ても祈念式以上のなにかはでないよ?
いや、儀式場が残っていれば各地で儀式を行えば収穫量があがるかもしれないけど。
そこまでやると後が怖いです。
なにやら神の儀式なのにお祭り騒ぎでした。
わざわざギーベの方々が来て、挨拶していきましたが去年とは違って私に気を使ってくれているようでした。
帰ってからは、魔術具といきたいですが、孤児院の視察とか、花捧げの関係とか、と言っても希望者だけにはしてますが。
私が神殿にいると神殿に来る貴族がほとんどいなくなるのでとても助かると神官長等に言われます。
孤児院の方々には神殿を綺麗にしたり、農業で、様々な食べ物を育てさせたり貴重な労働力です。
基本的に払下げよりも自分たちで作ったものの方がいいですしね。
数学とかも代々の方々が教えているお陰か結構できるので経営に関わってもらっている方もいます。
後はアウレーリアにと言っても、どうも輿入れの準備等で動いている模様です。おかげで忙しくほとんど手伝ってもらえません。
なんでもランプレヒト様の魔力が成長期を終わった後にもかかわらず上がっていくのを見て、アウブの弟君が許可を出したそうです。
今度の領主会議でエーレンフェストに話を持ちかける流れのようです。後は果たしてエーレンフェストが、認めるかどうかですね。
レティーツィア様の件といい、いろいろ大変そうです。
まあ、大変なのはアウブであって私ではないのですが。