マインオブザデッド   作:dorodoro

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42話 貴族院ぼっち村脱出?

さて、本日はハンネローレ様とのお茶会ですが。

 

うん、昨日はやらかしましたね。何とか夜に起きて薬を飲んで寝たおかげで大丈夫でしたが。

 

お茶会を5の鐘(午後2時くらい)にしてもらって本当に良かったです。午前中は回復させないと厳しいです。

 

 

 

 

「お招きいただきありがとう存じます。ハンネローレ様。」

 

わあ!時の女神 ドレッファングーアに感謝の祈りを捧げたい気分です。こんなに普通に楽しみにできるお茶会は初めてです。

 

うん?まだ正式に友達になったかもわからないのにテンション高すぎだって、だって、村以外で初めてのお友達になれるかもしれないのですよ!

 

目指せ貴族ボッチ村脱出!

 

「ようこそいらっしゃいました。ローゼマイン様。わたくしも楽しみにしておりました。」

 

ああ、いいよねおとなしそうな感じ。でもダンケルフェルガーでは異端じゃないのかな?

 

アーレンスバッハで完全に浮いている私とは違うのでしょうが。

 

「こちらはカステラというお菓子ですわ。貧相な見た目であまり見栄えがしないのですが味は結構評判なのです。」

 

カステラいいよね。いくらでも食べられるよ。カトルカール(パウンドケーキ)は、おいしくしようとするとどうしても油をたっぷり使わないといけないし。

 

「この間のお茶会で隅にこっそりと出ていたお菓子ですよね。結局間が悪く食べることができなかったのでうれしいです。」

 

こんな貧相な見た目の物を出しても喜んでくれるハンネローレ様、マジ天使。

 

いやね、やめようかと思ったんだけど私が好きなものは友達と共有したいじゃない。

 

少しの間、お菓子や食べ物などいろいろな話で盛り上がります。

 

さて、この間も謝ったけど、一応もう一度謝っておいた方がいいよね。あんまり雰囲気壊したくないけど友達になるならけじめは必要だよね。

 

「「あの、」」

 

あれ、声が重なってしまいました。

 

両方ともどうぞどうぞという感じです。もういいや、私の方が言っちゃえ。盗聴防止用の魔術具を一応渡します。

 

「改めまして、この間のディッターについて、ハンネローレ様を巻き込もうとして申し訳ございませんでした。」

 

だって、話している感じ、そこまで争いごとというかディッター好きな感じじゃないんだよね。

 

ディッターの領地と呼ばれるくらいの所だから巻き込んじゃえなんて思ってごめんなさい。

 

私がそういうと、ハンネローレ様が慌てた様子で、

 

「わたくしの方こそ謝らせて頂かないといけません。お兄様の件は本当に申し訳なかったです。」

 

なんでもハンネローレ様が図書館の魔術具について主になりたいとつぶやいたのを、側近が聞いたせいであのディッターへつながってしまったそうです。

 

そんなことで責任を感じる必要はないし、レスティラウト様ってハンネローレ様のこと大好きなんだね。

 

「主のために動ける、すばらしい側近についてもらっているとは羨ましいですわ。」

 

本当にうらやましい。私の周りときたら...。いえ、言ってはいけませんが。

 

彼らの仕事なのでしょうがない。私が彼らの立場でも同じことをするでしょう。

 

「わたくし、最近は時の女神 ドレッファングーアに嫌われてしまっているのかと思ったのですが、本日ハンネローレ様に出会えたことに感謝をしたいですわ。」

 

ほんと、素晴らしい人だよね。トゥーリの次くらいには天使だよね。

 

「わたくしも一緒です。わたくしも間が悪く時の女神 ドレッファングーアに良くお祈りを捧げているのが届いたのかもしれません。」

 

向こうもそう思っていてくれるならうれしいなぁ。うん、本当にうれしい!

 

「もしよろしければ、明日の3の鐘(9時くらい)に図書館へ一緒に参りませんか。シュバルツとバイツの主の座は渡せませんが触るくらいはできるかもしれません。」

 

本当は譲りたいのだけど...。

 

ディートリンデ様も本当に気に入ったらしく、たまに図書館に来て触っているから譲りたくても譲れないんだよね。

 

ディートリンデ様はダンケルフェルガーと仲悪いし。

 

「まあ!本当ですか。明日の3の鐘ですね。楽しみですわ。」

 

これで許可出せなかったらどうしよう。できなかったらあの魔術具、本当に『ぶんかい』してやりましょうか。

 

ほかにも、ダンケルフェルガーの歴史に興味があるとか、いろいろお話しました。

 

 

 

 

次の日、

 

「おはようございます。ソランジュ先生」

 

「おはようございます。ローゼマイン様とハンネローレ様方。ハンネローレ様におかれましては無事にローゼマイン様とお会いできたようでようございました。」

 

え、なんでもわざわざ私に会うために何度か図書館に足を運んでくれていたんですって。

 

ええ、そうなんですか。わざわざ私なんかに会うために図書館に来るというのは本物の天使ですか!?

 

私の中でハンネローレ様の好感度がどんどん上昇していきます。

 

「ひめさまきた」

「しごとがんばった ごほうび」

 

飯よこせならぬ、魔力よこせですね。あいかわらずこの魔術具は。

 

とは言っても動かなくなると困るので、たっぷり魔力をあげます。

 

おおう、ハンネローレ様がシュバルツ、ヴァイスに釘付けです。

 

「ハンネローレ様、触る許可を出せるか確認しますね。」

 

「お願いします!」

 

触りたくてしょうがないって感じだよね。これで主になれるとかだったらダンケルフェルガーに負けた方がよかったかも...。

 

「シュバルツ、ヴァイス、ハンネローレ様に接触の許可と協力者として許可を。」

 

「わかった、ひめさま」

「ハンネローレ きょうりょくしゃ」

 

おお、こんな素直なこの魔術具たちは初めてです。

 

いや、逆らってもよかったのですよ。分解する口実ができますので?

 

「ところで ひめさま」

「あるじ こうたいするの」

 

この魔術具...いえ、ハンネローレ様が主の方がこの魔術具たちにとっては幸せかもしれませんが。

 

もう少し早く言ってくれればよかったのに。本当にタイミングが悪いです。

 

やっぱり時の女神 ドレッファングーアに嫌われているのでしょうか。

 

「シュバルツ、ヴァイス。わたくしはあなたたちに触ることができればそれで十分です。」

 

ほんと天使だよね。「そんなことよりディッターしようぜ!」の領地の姫とはとても思えません。

 

はぁぁ、幸せそうにシュバルツ、ヴァイスに触るハンネローレ様を見ているだけで和みますね。

 

私はただこの魔術具達の構造を解析したいだけっていう残念さんだけど。

 

いや、この魔術具がシュミルじゃなくて、レッサー君だったら間違いなくハンネローレ様と同じ状況になったと思うよ?

 

「ソランジュ先生、こちらの魔石をお役立てください。」

 

「まあ、ありがとう存じます。ローゼマイン様のお心遣い感謝いたします。」

 

普段から魔石に魔力を蓄積してますからね。

 

ヒルシュール先生の時もかなりたまりましたし。

 

一年くらいは防御の魔法陣に魔力を込めなければきっといけるよね。

 

しばらく触って満足したのかハンネローレ様が幸せそうな表情をしながらシュバルツ、ヴァイスを離します。

 

そうだっと、以前図書館で読み込みまくってウラノの世界の『えらー』ではじかれたメモについて確認しなきゃ。

 

「シュバルツ、ヴァイス、三本の鍵の在処と、それで開く扉の場所はわかりますか。」

 

「ひめさまここだ」

「とうろくする」

 

うん、思いっきりソランジュ先生が管理している引き出しなんだけど...。

 

「これは、上級貴族の魔力がないと登録ができません。」

 

うん、ということは魔力をごまかせばいけるってことか。

 

ここには、領主候補生二人、あと一人で行けるなら...。

 

「ハンネローレ様、よろしければ付き合ってくださる。」

 

「私でよければ、付き合いますけど。」

 

よっし、協力者ゲット。

 

「ソランジュ先生、こちらの魔石の付いた手袋にこの薬品を一滴たらしてくださいまし。」

 

「え、ええ、構いませんが。」

 

うふふん、要は魔力をごまかせばいいんだよね。

 

私の魔力は特殊らしくて限りなく透明に近いという実験結果が出ていたから同調薬で染めてやれば行けると思うんだよね。

 

「では、その手袋越しに登録してみてください。」

 

「登録できましたわね...。」

 

ひゃっほい、さあ、さらなる知識の深淵へ行ってみよう!

 

「では、シュバルツ、ヴァイス、この鍵を使うフロアに案内してくださいませ。」

 

「本当はダメなのですが、特別ですよ。はぁ。」

 

ソランジュ先生ごめんなさい。でも知識の宝物庫がそこに眠っているとなれば見たいのは当然ですよね。

 

 

 

 

さて、地下書庫へやってきました。まあ、この魔術具達についてきただけなんですけどね。

 

で、三人で鍵を開けたのですが...。

 

「ソランジュはしかくない」

 

ソランジュ先生!ごまかしでも無理ですか。

 

「わたくしは戻ってますので、終業までには戻ってきてくださいませ。」

 

ありがとうございます。

 

「ひめさま いのりたりない」

 

うふふん、ここの本が読めればなんでもいいよぉ。

 

「さて、ハンネローレ様はどうしますか。あまり興味がないようでしたらシュバルツ、ヴァイスと遊んでいてもよいかと存じますが。」

 

「いえ、こんな機会でもなければ入れない場所なのでローゼマイン様が迷惑でなければ一緒にいたいと存じます。」

 

なんですか、この素晴らしい人は、ウラノの世界の後光がさして見えます。

 

調べてみると、王族の日記とか、いや非常に興味はあるし、後で読み尽くしたいけどまず全体把握からだね。

 

しばらく、いろいろなところから本を出し流し読みしていると、いい情報がたくさん転がっています。農業は全くないけどね。

 

昔の儀式とか、図書館の魔術具についてとか、これは祠の場所かなぁ。

 

とりあえず必要そうな情報を魔紙に片っ端から写していきます。

 

うん、身に付けておいてよかったね。いや、いざとなったら魔法陣を書けば色々使えるからいつも身に付けているんだよ。

 

でもさすがに沢山はないから必要なところだけ重点的にね。ウラノの世界の『ぴっくあっぷ』だね。

 

あの魔術具たちも、私の今の知識では複雑すぎて解析しきれず穴だらけだったけど、ウラノの世界の『ぷろとたいぷ』ってやつの設計図とかあるから、後は合わせて埋め直すだけです。

 

もう、本当にシュバルツ、ヴァイスの主の座とかどうでもいいですね。

 

はぁ、名残惜しいけど、ソランジュ先生に迷惑かけるわけにはいかないのでハンネローレ様に言われて出ました。

 

ちなみにハンネローレ様は王族の歴史とか興味深かったそうです。

 

また来たいなぁ。今回は特別だって言っていたからしばらくは来られないのでしょうしね。

 

その後、ハンネローレ様にお礼を言って別れました。

 

ついでに服の募集の張り紙はいたずらをした生徒がいたらしく燃え上がってしまったそうです。

 

ご迷惑おかけしました...。

 

 

 

 


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