マインオブザデッド   作:dorodoro

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36話 ディッターの領地とディッター

あーあ、せっかくの知識への追究が。

 

まあいいや、では戻しますか。

 

「シュバルツとヴァイス、お疲れ様。帰りますよ。」

 

「まったくだ、つかれた」

「さっさとかえる」

 

正直は美徳としても、うん、やっぱりこいつら分解しましょうか。

 

帰りはやはりディートリンデ様や、他の人も離れがたいらしく一緒に図書館へ行くことになりました。

 

うわぁ、ここらへんでこんなに人だらけなのは...。

 

「ひめさま、まりょく」

「たたかう、まもる」

 

なんでしょう、急に殊勝な態度になりましたけど。

 

魔力くらいあげますが。

 

ああ、あの服の魔法陣を起動するために欲しいってことかな。

 

今いるのかな。まあいいや。

 

さて、図書館へ向かう回廊まで来ました。

 

ええ、なんかいます。それもわらわら。何がしたいのでしょうか。

 

結構殺気立っているのは気のせいでしょうか。特に一番前にいるディッターの領地の方々が。

 

「道を塞ぐとはどういうつもりかしら。どいてくださる。」

 

ディートリンデ様が真っ先に話しかけます。

 

「どういうつもりか問いたいのはこちらだ。」

 

うん、何言っているんだろう。

 

まあ、いろいろな人が言ってて聞こえにくいけど簡単に言えば、王族の魔術具を勝手に持ち出して何やっているのということかな。

 

「何を言っていますの。ちゃんとソランジュ先生の許可は得てましてよ。」

 

まったくです、ディートリンデ様。

 

「アナスタージウス王子にも今回の件は伝えてあります。」

 

私も一言補足します。うん、ディッターの領地以外は完全に日和見を決めてくれましたね。

 

本当に何がしたいのでしょうかこの方たちは。

 

「そなたらに王族の魔術具を守る力はあるのか。6位とはいえディッターは強くはないではないか。守る力もなく王族の魔術具を危険にさらすなど許されん、大人しく主の座を譲り渡すがよい。」

 

ダンケルフェルガーのレスティラウト様、結局主の座が欲しいだけ?この魔術具の。分からないけどそれで収まるなら条件つけて渡してもいっか。

 

「分かりました、シュバルツとヴァイス、レスティラウト様は主になれまして。」

 

「やだ」

「ひめさまのほうがまし」

 

うふふふ、この子達の私へ対する扱いがよくわかります。

 

もう発言は放っておきましょう。結局なれるのかなれないのかよくわかりませんが。

 

「やだとか言っておりますがどうしましょう。そもそもレスティラウト様、反逆罪になりかねませんのでそろそろ引いてくださる?」

 

うーん、何がしたいのかわからないけど。話し合いへ持ってきたいな。

 

「とりあえず図書館に行ってから話しませんか。できれば同学年のハンネローレ様も連れてきていただきたいのですが。」

 

「ハンネローレがなぜ出てくる。」

 

「この魔術具は主のことをひめさまと呼ぶよう固定されております。レスティラウト様のような見栄えのする方にひめさまでは格好がつかないでしょう。」

 

まあどうせ譲るなら、話の聞いてくれそうな人をと言っても話したことがないしよくわからないけど。

 

「ああ、もうめんどくさい人ですこと。さっさと行くわよ。どきなさい大義名分はあなた方にないわ。」

 

いい感じで説得できそうだったのにディートリンデ様、何か考えでもあるのでしょうか。

 

「行きなさいローゼマイン。とりあえずシュバルツとヴァイスを返してくるのです。」

 

なんか、ディートリンデ様がかっこよく見えるのは気のせい?あれ、でも結局私が余計な事されたせいで結構危険な立ち位置な気が。

 

「一体何の騒ぎだ。」

 

アナスタージウス王子、ちょっと遅いよ。

 

「アナスタージウスより先日ご許可を頂いた図書館の魔術具の話ですわ。」

 

「なに、あの話は図書館のシュミルの話だったのか。」

 

あれ、なんか雲行きが怪しい?

 

「そなた、王族関係の可能性のある魔術具としか言っておらなかったではないか。まさか図書館のシュミルを持ち出すとは聞いてないぞ。」

 

え、ただの魔術具じゃん。何言っているの。

 

「まあ、よい。双方言い分は小広間で聞こう。」

 

「とりあえず図書館へシュバルツとヴァイスを返してきたいのですがよろしいですか。」

 

アナスタージウス王子の許可をもらって無事返せました。

 

その後、戻ってきてみると...。

 

「ふむ、双方の言い分はわかった。だが、どちらも悪い。双方何かいい方法はあるか。」

 

なんで!どちらも悪い?なんで話が終わっているの!

 

しかもアーレンスバッハは何も悪いことしていないよ!?戻ってくるまでに何があったの。

 

「ならばディッターで決めようではないか。」

 

何でディッター。ディッターの領地なんだから圧倒的に相手が有利じゃん。

 

「ああもうめんどくさい、なんでもディッターディッターと、ええ、いいですわ受けて立ちますわ。」

 

なんで、ディートリンデ様!普通に勝てるわけないじゃん。

 

「あの、ディートリンデお義姉様。相手はダンケルフェルガーですわよ。普通に負けるのでは。」

 

ええ、周りもディートリンデ様の発言に真っ蒼です。

 

「何言っていますの。シュバルツとヴァイスを譲るわけなくてよ。そもそもレスティラウト様は断られているのですから主の話はそれで終わりでしょう。」

 

「なに、聞いていないぞ。ダンケルフェルガーが主になるという話だったはずだ。」

 

「本当にめんどくさいわね。あなたが代表でしょう。代表が断られたんだからそれで終わり。善意でディッターに付き合ってやると言っているのですわ。」

 

おお、ディートリンデ様いろいろ考えていたんだ。さすがです。頼りになる。

 

「もう、それでいいではないか。そなたらはディッターができればそれでいいのであろう。これで終わりだ。」

 

よしよし、アナスタージウス王子の援護射撃ありがたいね。

 

「いいえ、アナスタージウス王子。代表というならハンネローレでもいいはずです。」

 

そんなに欲しいかね主の座。どうでもいいのだけど。

 

「では、そちらが勝ったら、ハンネローレ様についてシュバルツとヴァイスに聞くということでよろしいですか。仮にそちらが勝ったとしてもそれで主になれなかった場合は諦めてくださいませ。」

 

「では、その条件で双方良いな。」

 

ところで、ダンケルフェルガーのルーフェン先生とうちの寮監は仲が悪いんだね。

 

んまぁ、んまぁ!しか聞こえないよ。

 

うちの寮監ってあのルーフェン先生に一方的に言い続けられるとか実は強いの?優秀なの?

 

「こほん、ではディッターだな。今回は宝盗りディッターにしよう。」

 

あ、ルーフェン先生がうちの寮監から逃げた。

 

というわけで宝盗りディッターですか。みんなで騎士見習いの専門棟へ移動です。

 

ディッターに出る予定の護衛騎士に会場に移動する前に集まってもらい。

 

「みなさん、祝福を授けます。」

 

「火の神 ライデンシャフトが眷属 武勇の神アングリーフと狩猟の神 シュラーゲツィール並びに風の女神 シュツェーリアが眷属 疾風の女神 シュタイフェリーゼと忍耐の女神 ドゥルトゼッツェンの御加護がありますように」

 

ちょっとどこまで並行でいけるか試してみたけど結構いけるもんだね。

 

旧ベルケシュトックの方は跪いて受けていたし、もともとアーレンスバッハの人はそのまま祝福を受けているけど違いが出るかはちょっと気になりますね。

 

「では皆様、頑張りましょう。」

 

ちなみに今回は時間制限ありで、時間切れならアーレンスバッハの勝ちということになっています。

 

 

さて、会場へ着きますとディートリンデ様が少し困った表情で話しかけてきました。

 

「ローゼマイン、ディッターにはどちらが出まして。」

 

なんでも代表が出ないと締まらないという話になってしまったらしく領主候補生であるどちらかが出るという話になってしまったらしいのです。

 

「ディートリンデお義姉様さえよければ、わたくしディッターには少し興味がありますので出ますけど。もちろんその場合は負ける可能性が上がりますが。」

 

うーん、耐久テストしたい魔術具もあるしね?あと、何週間もいないから多少なら無駄遣いしても大丈夫だろうし。

 

「大丈夫でして、体のこともあるし。姉として心配ですわ。」

 

「今日は調子も悪くありませんし、せっかく貴重な機会ですので負けるの前提で頑張ろうと思います。」

 

「わかりましたわ。あなたたち私のかわいい妹ローゼマインをしっかりと守るのですよ。」

 

いや、魔術具の実験がしたいだけなんて言えない。

 

「あと、やるからには勝つのです。負ける気でいたら勝てるものも勝てなくなりますわ。」

 

なんか言うこと一つ一つがかっこいいんだよなぁ。ディートリンデ様は。

 

でも、まあいいや、どうせ守ってくれないだろうし。

 

「ではみなさん、宝盗りディッターとのことなので作法に従いましょう。」

 

「ローゼマイン様、宝盗りディッターの作法とは?」

 

「まず、敵が宝となる魔獣を確保した瞬間一当てするのが礼儀だそうです。それをしないと相手を見下しているとして侮辱になるそうです。」

 

皆さん怪訝そうな表情をしています。

 

「そんな作法聞いたことがありませんが...。」

 

「わたくしの読んだ、50年前の本にはそう書いてありましたが。」

 

「わかりました、そういうことでしたらルーフェン先生があとで説明してくださるでしょう。」

 

「一当てし、相手が崩れないなら一度引いて再度仕切りなおすというのも書いてありました。そこからが真の試合の開始だそうです。」

 

「分かりました、では我々は一当て行ってきます。」

 

うーんやっぱり側近やディートリンデ様の関係の方は攻撃に行きたいらしい。

 

「では、我々は魔獣の捕獲とローゼマイン様の護衛で。」

 

旧ベルケシュトックの方々が守ってくださるそうです。

 

さてさてディッター開始です。

 

「では魔獣はとっても弱い魔獣を連れてきてくださいませ。」

 

「どうするのですか。すぐやられてしまいますよ。」

 

「それでいいのです。私の騎獣に放り込みますので。」

 

なるほどそれは素晴らしい、と言って捕獲に行きます。さてと、魔術具セットしていきますかね。

 

拠点防御は基本だよね。

 

さて、レッサー君...某バスことネコ君に魔獣を放り込みます。

 

ここを中心にっと魔術具展開。うん、うまくいったね。

 

旧ベルケシュトックの方々と談笑していると、戦闘音が鳴り響いています。

 

一当てに行ったのかな。まあいいや放置放置。ディートリンデ様の護衛騎士が指揮しているし問題ないよね。

 

さてこちらにも、ダンケルフェルガーの攻撃隊が来ました。レスティラウト様は本陣で少数の護衛と待機ですか。

 

「ローゼマイン様我々も出ますか。」

 

「この魔術具が壊れるまで待ってくださる。」

 

「すべてはローゼマイン様の御心のままに。」

 

ちなみに今回は35名で戦っています。そのうち15名はベルケシュトックの方です。全体の三分の一もいないのに優秀ですね。

 

ああ、攻撃してきた方々がいい感じで飛んでいきます。

 

とりあえず、相手を感知して移動するウラノの世界の地雷『あくてぃぶすいーぱーまいん』でしたっけ良く知りませんけど。

 

うん、またいい感じで飛んでいきます。私の場合は魔力を感知して近づかれる前に魔力をぶつけて誤爆させるとかしますけどね。

 

レッサー君で空飛んでもいいわけですし。案の状、地面は危険だという話になって騎獣で攻めてきますね。

 

ゴン、いい音が鳴ります。うっすらと透明な壁が相手に見えているはずです。

 

ちゃんと見えるようにしてあげたんだよ。そうじゃないと迷路にならないからね。

 

指向性を持たせたら少ない魔力で防御力を持たせた壁ができるのではないかと実験に付き合わされた名残です。

 

魔術具迷路。当然空中からは侵入不可。内側から出ることは簡単に出来ます。まあ、魔力差が圧倒的なら外側からでも破られるけど。行く先々にはさっきの地雷や落とし穴とかいろいろあります。

 

もちろん魔力で壁を破っても可。でも迷路だから壁も何個もあるし結構苦労します。

 

ちなみに魔王様の実験に付き合わされた時は完全な透明だったけど私にとっては、ウラノの世界の『ぼーなすげーむ』だと思ったんだよ。愚かにもね。

 

だって、基本的に地面にしか罠が張れないと思ったからレッサー君で飛べば楽勝じゃん。

 

ついに魔王様が優しくなったと思ったら、魔力の線を壁につないでその線に引っかかったら魔法陣起動とか。ウラノの世界の『赤外線せんさぁ』みたいなのだね。

 

他にも完全に透明で魔力を追っても見えにくいから壁に触っただけで起動する魔法陣に引っかかったり、最後レッサー君とボロボロになってやっとウラノの世界の『ごーる』だと思ったら、入口へワープする魔法陣。

 

ウラノの世界では普通なんだっって?びっくりだよ。そこで心折れて終了しました。魔王様はギリギリ騎士団の訓練に使えそうだなとか言っていたけどエーレンフェストの騎士団はあれが只の訓練にすらならないのだからきっとものすごく強いんだろうね。

 

 

 

 

はぁ、相手の方がまた飛んでいきます。何名犠牲にしても壁を壊したりして突っ込んできます。

 

すごいね、ウラノの世界の『おれのしかばねをこえていけ』ですかね。

 

出口まで来て短距離移動用の魔法陣で入口へ。全然心折れないどころかやる気が増している。

 

やっぱり私ダメダメちゃんなんだ。今やられても絶対折れる自信があるもん。

 

そういえば、側近連中戻ってこないけどどうしたんだろう。一当てしたら戻る予定だったんだけど。

 

 

 

「おい、この卑怯者!でてこい。」

 

レスティラウト様が何でこんなところに?

 

ああ、もうそんな時間ですか。ウラノの世界の『たいむあっぷ』まであまり時間がないですね。

 

「わたくしたちは守り切れば勝ちなのに、圧倒的武勇を誇るダンケルフェルガーの方にとっては卑怯なのですか?」

 

「もう後は其方らだけだ。他の連中は排除した。」

 

うーん、20名くらいかぁ。側近連中ほとんど倒せなかったんだね。

 

「聖女だ、天使だ、女神だとか言われてその程度なのか。正々堂々戦わんか。」

 

正々堂々真正面から不意打ってご覧にいれますでしたっけ。

 

かっこいいよね。正面から不意打つってものすごい技量がいるはずだものね。

 

あ、周りの連中がブチ切れてる。何でかわからないけどこれはまずい。

 

「ローゼマイン様、出撃の許可を。他の誰でもなくローゼマイン様への愚弄、絶対に許しません。」

 

やばい、目が座っています。はぁ、まあいっか、よく考えたら負けたっていいのだから。彼らだって活躍の場が欲しいよね。

 

「では皆さん、相手が望む通り真っ正面から一当てといきましょうか。レスティラウト様もそれでよろしいですね。」

 

「無論だ。目に物を言わせてくれる。」

 

解除っと、うわー怖いね。ダンケルフェルガーの方々が突撃してくるよ。

 

なんかさぁ、すごく怖いんだろうなと思っていたのだけど全然怖くないんだよ。

 

怖くないことに怖くなるとか嫌だね。やっぱり従属の干渉受けているのかな。

 

ところで皆さんすごく強いんだけど、相手はディッターの領地ダンケルフェルガーだよ。

 

それをこちらの人数が少ないから守るしかないのだけど組織的に守るとか。

 

個々も結構強いんだけど連携がものすごく息があっていて一歩も引かない。

 

しかも押し返しちゃった。すごい!本当にすごい!でも、すごいけどこれが将来エーレンフェストの敵にまわるかと思うと内心複雑だね。

 

「レスティラウト様、このままでは近着状態ですので一騎打ちでもしませんか。あなたと私で。」

 

「ほう、その意気やよし。やろうではないか。」

 

「レスティラウト様、昔から一度こういう状態になったら一度言ってみたかった言葉があるのですが、聞いてくださる?」

 

「ふん、なんだ言ってみろ。」

 

よし、言っちゃうよ。時間確認してと。

 

「正々堂々真っ正面からふぃ」

 

「両者そこまで時間切れだ。」

 

あ、言い切れなかった。

 

 

 

 




二度とディッターを書きたくないです。難産でした。もっと魔術具使いたかったけど書いていて面白くないので止めました。
レスティラウト様が安っぽすぎるのでいつか書き直すかもしれません。


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