マインオブザデッド   作:dorodoro

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35話 シュバルツとヴァイスの解析

朝です。なぜか女性陣がいつもよりそわそわしているような気がします。

 

なんでか知りませんが、ディートリンデ様も例にもれずそわそわした様子でこっちに来ました。

 

「ローゼマイン、今日ですわね。」

 

今日、ええ、今日ですね。あの図書館の魔術具。

 

正直な話、アーレンスバッハの寮監は、魔法陣や魔術具に詳しくないようなので「んまぁ、んまぁ。」しか言ってくれないでしょう。

 

はぁ、ヒルシュール先生のご助力が切に欲しいです。

 

「ええ、ディートリンデお義姉様。大変な日になりそうですが頑張りましょう。」

 

「大変な日?せっかくあのかわいいシュミルが他ではなく、このわたくしのアーレンスバッハの寮に来るのですから楽しみでしょうがないですわ。」

 

うーん、認識の違いがありそうですがここまで楽しみにしていただけるのなら解析をアーレンスバッハの寮にしてよかったのかな?

 

「さぁ、そろそろ図書館が開く時間ですわよ。早く行ってきなさいな。わたくしも一緒に行きたいですが、護衛騎士もたくさん出した方がいいでしょうし仕方がないから待っててあげますわ。」

 

そこまで行きたいなら私が待ってますって、はぁ、私以外触れないんだった。

 

採寸の準備をさせて待ってますわっと送り出してくれました。

 

「ええ、では行ってきます。」

 

正直な話、別にあの魔術具は動いてさえいてくれていれば、ソランジュ先生も助かるしどうでもいいのですが。

 

 

 

 

「ソランジュ先生。おはようございます。」

 

今日もソランジュ先生はやわらかそうな表情でこちらも和みます。

 

「おはようございます。今日は珍しくたくさんの方と一緒ですね。」

 

先生それはウラノの世界の『しー』です。内緒にしてくださいませ。

 

「シュバルツとヴァイスの護衛としてディートリンデ様がぜひ連れて行くようにと、ご自身の護衛騎士まで貸してくれたのです。」

 

「まあ、それはようございましたね。」

 

「ええ、では今日はどのくらいかかるか分かりませんがお借りしますね。」

 

と、図書館を出ようとしたところで

 

「ローゼマイン様、本日シュバルツとヴァイスの解析を行うとお聞きしました。ぜひともわたくしにもご一緒させていただけませんか。」

 

ヒルシュール先生...。今日の午前中は講義では?

 

周りはエーレンフェストの者を入れられるわけないでしょう。とかガヤガヤしています。

 

「ヒルシュール先生、いくら先生が中央の所属といっても流石に他領の寮監を入れるわけにはまいりませんわ。わたくしとしても先生にはぜひ手伝って頂きたいところですが無理ですわ。」

 

本当に断腸の思いです。

 

とそこで先生が私の側に来てぼそっと

 

「ご助力が必要ならライムントを通してください。」

 

と言うと、帰っていきました。

 

うーん、でもあの方は寮にほとんどいないんだよね。

 

それ以前にアーレンスバッハに従属の契約をしている身としてはこれほどの魔法陣の情報をタダで譲るとかするとどう影響が出てくるか分かりません。

 

アーレンスバッハの不利になるようなことはしてはならないというような曖昧な命令もいくつか受けてますし。

 

今のところは反応がないのでこれらの命令の効果はよくわかっていません。採点をお願いするとかなら大丈夫だよね。

 

うん、残念だけど連絡はおいおいだね。本当に残念ですが...。

 

周りがガヤガヤしていました。珍しく護衛騎士がたくさんいるし目立っているからかな。

 

なんかそのあともやけにガヤガヤしていたけど寮へは問題なく着きました。

 

「まあ!本当にかわいいわね!よくやりましたローゼマイン。流石はわたくしの妹ですわ。」

 

目がキラキラしています。うん、まあ、魔術具としては興味深いよね。まだ本番は始まってすらいないのですが。

 

「ローゼマイン、わたくし、この子たちがとっても気に入りましたわ。主になることはできて。」

 

正直分かりません。ディートリンデ様が主になってくれるなら...。そもそも図書館へ行くのかな。

 

まあいっか誰が主でも、魔力供給は私が行えばいいだけだし。

 

「シュバルツとヴァイス、ディートリンデお義姉様に主を変更することは可能ですか。」

 

「ディートリンデむり」

「ぞくせいたりない」

 

あ、ディートリンデ様がショックで固まっている。

 

「シュバルツとヴァイス、取り合えずこのフロアにいる方全員に接触許可を出したいのだけど。」

 

「だめだひめさま」

「きょかできない」

 

うん、不特定多数は許可がでないのかな。

 

「ローゼマイン、なんとかできなくて?」

 

もう復活しました。切り替えが早いですね。あれだけなりたそうだったら相当ショックだったろうに。

 

「ディートリンデお義姉様、とりあえず触る許可は出せると思います。シュバルツとヴァイス、ディートリンデお義姉様に接触の許可を」

 

「だめだひめさま」

「きょかできない」

 

え、なんで!?

 

ディートリンデ様もなんでですの!?と言ってます。

 

困りました。

 

「シュバルツとヴァイス、この中で主になることが可能な方はおりますか?」

 

周りの期待の目が痛いです。特にディートリンデ様の周りによくいる方々の...。

 

「だめだひめさま」

「あるじなれない」

 

わからない、命令型で基本拒否なんてしない魔術具だと思っていたのだけど。

 

その後も色々条件を変えて命令してみるも

 

「だめだひめさま」

「きょかできない」

 

ディートリンデ様もシュバルツとヴァイスに触れないでご立腹ですし、どうしましょう。困りました。

 

というか、なんなんですかこの魔術具。魔術具の癖に主にここまで逆らうなんて少し、いえ、とってもイライラしてきました。

 

「わかりました。シュバルツとヴァイス。そこまで言うのなら私にも考えがあります。」

 

ふう、もう怒ってもいいよね。

 

「あなた方がまったく条件を受け入れないなら、わたくし主をやめて二度とあなた方に魔力を注ぎません。」

 

「わかったひめさま」

「はなしあおう」

 

ハナシアイッテダイジダヨネ。あははは。

 

 

 

 

話し合いの結果、許可するものは私の他に三名までと決まったので、

 

「ディートリンデお義姉様、三名の管理お願いします。最初は採寸の関係を、その後は望むもの全員に交代で触らせてあげてください。」

 

触りたいかね。皆様、どうみても人形を触りたいって感じなんだけど。わたし?レッサー君の人形ならいつでも大歓迎だよ。

 

「さすがはわたくしの妹ですわ。さて皆さん気分良く触るためにさっさと採寸をしますわよ。」

 

まず服を脱がせてもらって、採寸は任せるかな。私は魔法陣をって、服と接続型かぁ。

 

「魔法陣が得意な方...。いえ、男性の方書き写すの手伝ってくださいまし。」

 

女性陣は採寸を速攻で終わらせたようで骨抜きです。

 

なので私は男性陣に羊皮紙に魔法陣を書き写してもらいます。

 

どうでもいいですが寮監まで「んまぁ、んまぁ、かわいいわね。」とか言っています。

 

寮監も先生なのですからディートリンデ様と一緒にせめて管理をしてほしいです。

 

 

 

さてさて私は余り残っていない魔紙を取り出します。

 

服の魔法陣はわかりやすいね。きっとここら辺とか隠しているつもりなのかもしれないけど私には丸見えだよ。

 

うふふん、悪くないね。これを解析するのはとっても楽しそうだ。

 

さてさて、魔紙に『コピーしてペッタン!』。ああ、いいよねコピーアンドペッタン!本当に便利。考えた人はネーミングセンスも含めて最高だよね。

 

『コピーしてペッタン!』『コピーしてペッタン!』して服の魔法陣を全部コピペします。

 

さて、他の人は写すのに時間がかかりそうだし。

 

うん、私とどのくらい魔法陣の認識が違うのか気になりますね。後で見せてもらおうっと。

 

ええ、言うまでもありませんが他の目的も...。

 

考えただけでウラノの世界の『あうと』なのかな?

 

さてさて解析。うーん、やっぱり簡単にはいかないね。

 

時間かかりそうだしテストも魔力を流す組み合わせを考えて魔法陣を一個一個確認しないとこれは無理だね。

 

「さて、ディートリンデお姉様。ちょっとシュバルツとヴァイスの魔法陣を確認しないといけないのでお借りしますね。」

 

女性陣は非常に残念そうですが、目的を果たさないわけにはいきません。

 

「ええ、でもできるだけ早くやってちょうだいな。」

 

ディートリンデ様はもう十分触れたと思うのですが...。

 

お腹の服と接続する魔法陣を男性陣に優先して書き写してもらい、私も『コピーしてペッタン!』。

 

その後、シュバルツとヴァイスそのものの解析に入りますが、魔法陣や素材など複雑に絡み合いすぎて外からの解析は難しそうです。

 

うーん、仕方ない。私は道具、私は道具、こいつらと同調して魔力を流して。あっつ。

 

ダメです、複雑すぎて頭が熱を帯びて意識が飛びそうです。またウラノの世界でいう『おーばーひーと』です。

 

「ディートリンデお義姉様、あとの仕切りはお願いします...。」

 

端へ行って一休みさせてもらいます。

 

 

 

 

はぁ、しばらくぼーっと休んでかなり時間がたったと思うのですが、シュバルツとヴァイス大人気ですね。

 

なんでだろ?レッサー君のほうが100倍かわいいよね?

 

レッサー君はもともとパンダって名前だったのにより神聖度が高いパンダが出てきたから、レッサーパンダって名前に変更されて神聖度を落とされたとか聞いたけどレッサー君最高だよね?

 

さて、そろそろ戻さなきゃ。

 

「ディートリンデお義姉様、そろそろ図書館に返しましょう。」

 

私がそう言うと周りから嫌だわとか聞こえます。

 

「ローゼマイン、こんなかわいい子たち返せませんわ。ずっとここに置きましょう。」

 

「ディートリンデお義姉様、これらは図書館の備品です。返さなければなりません。」

 

そう言うも今許可が出ている方々が抱き着いて離しません。

 

「ローゼマイン、何とかなりませんの?」

 

ディートリンデ様。そこまで言うのなら...。

 

「わかりました。ディートリンデお義姉様、そこまで言うならわたくしも腹をくくりましょう。」

 

私は私特製の魔術具を次々とシュバルツとヴァイスの前に並べていきます。

 

「ローゼマイン、なんですのそれは。」

 

「何って、ディートリンデお義姉様。当然分解の準備ですわ。このままではシュバルツとヴァイスの防衛機能が起動してしまいますもの。」

 

ぶんかいじゅんび。

 

あはははは、わるいこにおしおき。

 

きょかでたしいいよね。

 

私の知識欲もみたせて最高だよね。

 

結構この子たちには温厚な私も怒っているんだよ?

 

「やめなさい、こんなかわいい子を分解するなんてとんでもないことだわ!」

 

そういって、みんなでシュバルツとヴァイスに抱き着きます。

 

「でも、ディートリンデお義姉様はこの子たちが欲しいのでは?分解して魔法陣や素材について解析しつくさないとさすがに防衛装置を止めるのは無理ですわ。」

 

はぁ、さてさて、覚悟を決めますか。

 

「皆様、離れてくださいまし。正直シュバルツとヴァイスの分解は命懸けになると思いますので安全を保障できません。」

 

どうせいつも命懸けなので、楽しみのために命を懸けるなら、あはははは。楽しい分解になりそうだね。

 

「う、わかりましたわ。ローゼマインがそこまで言うなら、断腸の思いで諦めますわ。」

 

え、諦めなくてもよいのですよ?ディートリンデ様。

 

 

 

 




シュバルツ達は防衛装置とか原作にはない設定をいろいろ追加しています。

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