マインオブザデッド   作:dorodoro

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34話 初めてのお茶会は2度としたくない

はぁ、お茶会です。一応打ち合わせはしてありますがお茶会の話題なんてありません。

 

まぁ、いいのです。余り評判良くない方が私にとっては良いことなので。

 

持ち物?一応全部私も確認しましたよ。

 

後は久しぶりにリンシャンしたり。

 

アーレンスバッハは油にハーブに種類がたくさんあるので作り甲斐はあるのですが、私の場合は魔力のせいか余りリンシャンする意味がないんですよね。

 

なんとなく気分がさっぱりする気がするし、ほんの少し良い香りがするのでこういう時は使いますが。

 

側近連中に案内されます。

 

あれ、確かアスタナージウス王子とええっと、エグランティーヌ様だ。

 

音楽の先生三人とするしか聞いていないけど、どうなっているの?

 

完全に想定外の事態です。まあついでに図書館の魔術具の許可を取れると思えばいいですか。

 

なんでも話を聞いてみるとエグランティーヌ様は最初から連絡されていた模様で、その後アスタナージウス王子がついてきたとのこと。

 

「突然のことにわたくし達も面食らってしまったのですけれど、ローゼマイン様、よろしいかしら?」

 

「もちろんですわ。王族とのお茶会がわたくしの初めてのお茶会になるというのは光栄ですわ。」

 

初めてなのですかと、申し訳なさそうな顔をさせてしまった。

 

さて席へ案内されて、挨拶を済ませます。まともに対応するのは諦めて、初めてのお茶会なのでお目こぼしをお願いしますとお願いしたら大変驚かれた。

 

「お茶会が初めてとは、そなたは領主候補生として今まで何をしておったのだ。」

 

ふん、とした感じで王子が言って来ました。

 

「わたくし、アーレンスバッハの諸事情で急遽領主候補生になることになりましたので。見ての通り体がとても弱く最近までほとんど寝込んでおりましたから。」

 

いきなり領主候補生になってしまった話や神殿に預けられていた話を嘘を交えながら話しました。

 

「そういえば音楽はどういたしましょうか。わたくし先ほどの理由で専属の楽師も用意できないので魔術具で代用させていただきたいのですけど。」

 

ロジーナがいればなぁ。喜んで演奏してくれたと思うけど。

 

魔術具とは、興味深いですねという話になり、魔石で動くオルゴールと、録音の魔術具をテーブルに出してみます。

 

オルゴールは不評でした。すでに似たものがあるようです。

 

アスタナージウス王子がご立腹です。怒らせ過ぎないようにしないと。

 

「では、ご不評で申し訳ございませんので、私の拙い演奏で申し訳ございませんがお聞きくださいませ。」

 

うん、自分の弾いた曲がそのまま流れるとか、恥ずかしいですね。ウラノの世界の演奏会での録音した曲を家で流すような感じでしょうか。

 

「ふん、まあまあ聞けるな。」

 

「少し音が悪いですが、気になるほどではないですよ。すばらしい魔術具ですわ。」

 

勘弁してください、まあ、時間を短めにしてもらっていますし、エグランティーヌ様もフォローしてくださっていますから何とかなるでしょう。

 

お菓子の準備ができましたので、ってまずくない。カステラなんて王族に出していいのかなぁ。

 

「こちらは、アーレンスバッハの名産の砂糖菓子と、お隣のはカステラという他の国の一般的なお菓子に少し変更を加えたものです。」

 

王族の方が来るとは思いませんでしたので貧相なお菓子については勘弁してくださいと話を加えておく。

 

「確かに貧相だな。」

 

「あら、このカステラというのは見た目は素朴ですけれど、とてもおいしいですわ。」

 

エグランティーヌ様、すばらしいフォローありがとうございます。

 

その後、私から話す話題があっという間に尽きたので、アスタナージウス王子に図書館の魔術具の話をして無事に許可を貰えました。思わぬところで用件を済ますことができてよかったです。

 

「そういえばローゼマイン様、髪の色と同じ色で作られた小さなお花をいくつかつけていますがそれは何ですの。」

 

うん、ほとんど分からないようにつけていたんだけどね。ウラノの世界では隠れたおしゃれというのが良いんでしょ。

 

「わたくし、お話ししたとおり病弱なので魔力を込めた糸で作った緊急用の魔術具と魔法陣なのですわ。どうせならかわいい形にしようとちょっと編んでみただけですの。」

 

うん、村の家族まだ作っているのかなぁ。髪飾りとか編み方とかいろいろ提案したけどどうなっているのやら。

 

最後に会った時は細々と作っていたのは覚えているけど。

 

まあ、寝てばかりの私から話題なんてないし、事前に側近に得意な方が演奏お願いしますと言っても断られているし。

 

側近連中は隠れて私の邪魔をするのが仕事だからね。仕事なら仕方がないよね...。

 

音楽の作曲について、全部外国の所為ってことにしておいたから大丈夫ですよ。

 

アーレンスバッハでよかったよ。そこだけはね。

 

さて、そろそろお時間です。録音の魔術具も魔力切れです。

 

「あら、もうこんな時間ですわね。最後にローゼマイン様の実際に弾いた曲が聞きたいですわ。」

 

エグランティーヌ様、私は弾きたくありません。特に王族の前でとか...。

 

「エグランティーヌが望むなら聞いてやってもいいぞ。」

 

結構ですと切に言いたい。実質王命ですよね。

 

先生達から、神に関する曲が聞きたいというので今日の奉納のノルマついでに音楽を奉納します。

 

今日は神の賛美歌メドレーを弾いて締めました。

 

何とか終わったし、これでもう誘われることはないだろうから良かったね。

 

初めてのお茶会がまともな協力者なし、保護者なし、王族相手とかいつも通り幸運の女神グライフェシャーンと、時の女神ドレッファングーアのご加護が欲しいのです。

 

 

 

 


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