さて、本日の午後の講義はシュタープの使い方です。
午前中はまたディートリンデお姉さまが無茶を言ってきて、
1、2年生については、座学について、いい加減全員合格させるのですわ。
エーレンフェストの一年生は全員初日合格しているのにあなた達ときたら...。
と言ってきました。ディートリンデ様、優秀なのですからご自身でやってください。
といいたいのですが、確かに周りを見ると余裕のある生徒はそう多くありません。
まあ、エーレンフェストの特に一年生は皆様優秀ですね。さすがはヴィルフリート様です。
分からないところを中心に質問形式で答えていきます。
魔術具はもう無理です、これ以上の素材の使用は緊急事態でしか使えません。
たまに持っていかれるし、ぐすん。
ゲオルギーネ様かディートリンデ様か誰が大元の指示しているか知りませんがお願いですから持っていかないでくださいまし。
そこまで高価でない汎用素材は流石に魔力で鍵をする箱に入れるのは無理です。
はぁ、なぜか試験が終わった方々まで次の年の予習でもしているようで質問してくる始末です。
ですからなんで1年の私に質問をしてくるのでしょうか。
ウラノの世界でいう100歩譲って、ディートリンデ様より指令を受けた2年生の方までは分かりますよ。
それ以上の学年の座学について、資料を確認していないのにどう答えるのが正解か分かるわけないではないですか。同じような内容でも求められるものが違えば答えも違ってくるのですから。
ええ、答えましたよ。想定できる全パターンに。合っているかは知りませんと付け加えておきましたけど。
なんか皆さんの眼差しが怖いです。何か変な回答をしましたか?ディートリンデ様は、なぜ私にこのようなことをさせるのでしょうか。
もう午前で疲れました。なぜ皆さん私が行う講義に来るのか分かりません。
どう考えても複数学年にかかわる質問の受付なんて効率が悪くてしょうがありません。
しかも次々と質問が飛んできて、わたくし病み上がりでしてよ。体力が回復しきらないよぉ。
さて、午後はシュタープの使い方です。知らないところになるのでとっても興味がわきます。まあ、コツとかいろいろ本の知識では知っていますが実践こそが重要ですから。
これで疲れてなければ最高だったのですけど...。
ヒルシュール先生の講義が始まりました。助手はディッターの領地(略称)ルーフェン先生です。この二人相性悪そうなのに講義で一緒の場合が多いよね。意外と仲良しなのかな?
講義は本で読んだものと大幅に変わることなく、貴族しか使えない神の意思を取り込み具現化した道具とのこと。
神の意思、昨日のあの反応はやっぱり神の意思なのかなぁ。
まあ、考えたところで分かりませんし、シュタープ作りの開始です。といってももうできているのですが。
何事もシンプルが一番です。
シュタープが安定したら来て下さいとのことなのでヒルシュール先生のところへ行きます。
結局試験はシュタープを見せる、一度しまってまた同じ形に作る。
声を届けるオルドナンツの魔石に魔力をこめます。
うわぁ、少量の魔力がこんなに簡単にコントロールできるのですね。
魔力放出訓練で、助けを呼ぶための赤い魔力を打ち上げる「ロート」呪文を行います。
うん、結構感動しますね。これって攻撃的な作用にもできるのかな。ウラノの世界の火炎放射器とか?
次の試験は最高でした。
ペンですよペン!魔法陣を少量の魔力で空中に正確に書けるとか!すてきです!
だって、今まで魔法陣に魔力をあらかじめ込めた媒体に記載して、さらに起動の魔力を改めて流して起動したり、指輪の魔力で強引に大雑把に引くとかですよ。指輪で線を引いても当然すぐにぼやけてしまうので極まれにしか成功しません。
魔力媒体がいらないなんて本当に素敵すぎます。
混ぜ棒ですよ混ぜ棒!今まで薬を作るのに、普通の木とか魔木の混ぜ棒を使っていましたが、やはり魔力の操作に苦労するんですよね。うわぁ!
ナイフ?あれば便利です。興奮するほどではありません、私のお守りはナイフも兼任している物もあるのでさほど必要ではありません。
はじめはナイフですか。少し気分が下がりました。
「メッサー」、「リューケン」集中するまでも無いです。ナイフと兼任のお守りを今まで何個作ってきたことか。
「少し変わった形のナイフですがいいでしょう。」
ヒルシュール先生から合格をもらえたので
さてさて、更に次はどちらかしら、ペンそれとも混ぜ棒?
では次はペンをとのことで、ペンを作成する呪文を教えてもらう。
「スティロ!」
うわあ!できた。これで魔法陣がかけるよ!さっそく、ってダメですね後にしよう。よく抑えた私。
「で、次は混ぜ棒ですか!」
「ええ、ではバイメーンとこのよ」
「バイメーン!」
ヒルシュール先生が言い終わる前にやってしまいました、うわぁぁ!混ぜ棒!魔力通しやすいしとてもいいです。
うっとりします。あ、先生が引いてる。
というかフェルディナンド様ずるくないですか、こんなにいいものだったんですね。
わたくしには魔法陣の媒体から作らせたり、木の棒で魔力を流させたり無駄ばっかりじゃないですか。
しかも一歩制御を間違えれば、爆発する薬とか。何度か爆発させてお守りから作り直させられたり。
気がつけば周りは過去の有名人とかの話になっていますが何でそんな流れになっているのでしょうか。
まあいいや、これならあれもいけるはず。
「シュトレイトコルベン!」
うん、できたできた。フリュートレーネの杖。簡単だね。
リューケンっと
ふう、満足満足。
あれ?何でこんなに注目されているの?
「なんですか、今のは?」
「ああ、ヒルシュール先生ごめんなさい。課題がまだ途中でした。このあとはなんですか!?」
「いえ、これで終わりです。それでさっきのは、」
なんだ終わりですか、残念です。もっとウラノの世界でいう便利グッズが欲しいです。
「終わりですか、もっと教わりたいところですが残念です。合格でいいんですよね?」
「もちろん合格です。それで...」
はぁ、終わりですか。でもいろいろ面白い講義だったなぁ。
「ヒルシュール先生。ルーフェン先生ご指導ありがとうございました!とても楽しい講義でした!」
「それはよかったです、それでさっきの...」
うふふん、薬の素材の回収の目処がついたよ。うまくいけばやっと一息つけるよ。
「それでは、これで授業も終わりですので、退室してもかまいませんね。」
「まて、だからさっきのはなんなのだ。」
「ルーフェン先生、さっきのとは。」
あれ、何かしたっけ。
「さっき出した杖のことだ。」
「ただの特殊な用途の杖ですけど。」
いや、別にイメージでシュタープの形を変えられるんだから変じゃないよね?
「どういう用途の杖なのだ。名前はあるのか。」
「先生、別にそんなことはどうでもいいことではございませんの。シュタープは自由に形を変えられるものではないですか。」
「いや、そういうことではなく」
「それでは失礼いたしますね。」
ああ、良かった良かったです。最悪次に来るときは神殿から持ち出すか悩んでいたんですよ。
でもそれだと神殿のほうが本当に困った事態になってしまいますし良かったです。