マインオブザデッド   作:dorodoro

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23話 授業開始

さて、はるか高みに上りそうになった昨日のことは忘れて、本日から授業です。

 

側近達も主の評価が悪すぎれば流石にお咎め等くらうでしょうし、最低限は手伝ってくれます。

 

はぁ、正直信頼できないから自分でほとんど準備しないといけないし、準備に時間がとられるなぁ。

 

余りあからさまにやりすぎると、そういった事は領主候補生にさせられませんとか言ってくるし。

 

お守り、魔術具、常備薬、もう一つ切り札となる薬があるのだけどこの人たちの前で出すわけにはいかないから。

 

特に熱に余り強くないから魔力の制御を誤ると使えなくなる薬だし。

 

魔王様がいればなぁ。はぁ、連絡はどうやっても無理だしなぁ。

 

まあ、できないことよりも今できることを、図書館の予約手続き申請だけは出しておかないと。

 

特に成績を向上させろとか指令は受けていないから、準備終えたら部屋で良いか。と思っていたら...

 

ディートリンデ様から体調が良くなったのなら共同フロアに顔を見せなさいといってきた。

 

「さて、ローゼマイン。わたくし達は領主候補生として皆様を導かなければなりません。」

 

うわぁ、ヴィルフリート様がエーレンフェストの成績を上げるため、いろいろやっていると言う話に感化しちゃったのかな。

 

もう少しちゃんと話を聞いていればよかった。何をやってきたか聞いておけば参考にできたかもしれなかったのに。

 

「ごめんなさい、ディートリンデお義姉さま。私に皆様を導けるような力はありません。」

 

うん、準備もしていないし無理!

 

「みなさん、神の名前や由来について難しくて困っているのですわ。あなたは神殿にいたのですから緊急講義をお願いしますわ。」

 

まだ神殿長です。もちろん専門です。でもどこまですればいいの?資料をお借りすれば何とかなるか。

 

「では、範囲を、後どのレベルまで講義すればよいかわかる資料を貸して下さいまし。」

 

とりあえず一年から、二年生もやれとのことで一年生は要点をまとめてあるから良いけど。

 

「わかりました。やれる限りやってみます。」

 

付け焼刃ってきっと大切だよね。

 

下級貴族と上級貴族のもっている資料が違うんだよね。

 

最低限受かるようにしなきゃなのだろうけど、とりあえずお話形式でやってみる。

 

うーん、ダメだね。しょうがない。見せたくなかったけどあれを出すか。

 

ああ、私の宝物、魔紙。こいつに魔法陣を書けば簡単に起動できるし、見たものとか思考とかコピーしてペッタンも簡単にできる優れものなのだよ。

 

いいかい、ここだいじ、正式名称はコピーアンドペッタンだからね!どの世界軸でも共通語だからね!間違っちゃいやだよ。テストに出るから覚えておく様に。

 

うん、まあ、魔力に任せて作ったのが100枚。1年に裏表1ページに要点をまとめて「コピーしてペッタン!」

 

節約のため二人で一枚...。一人一枚配ったよ。ああ、私の紙。

 

2年生用はうん、3.5枚くらいあきらめて裏表2枚にまとめて配る。まあ、本当に要点だけだから直前に見てくださいっと。

 

補足説明を開始する。重要な所とか魔力を通すと浮かんだり拡大したり色がついたり。

 

こんなふざけたもの私か魔王様ことフェルディナンド様くらいしか作ろうと思わないだろうから価値なんて無いんだけどね。

 

最近わかったんだけど魔王様って本当にいろいろと規格外だったんだね。

 

もう魔王様一人でアーレンスバッハくらい滅ぼせばいいじゃんなんて思ってしまったのは秘密だ。

 

今来られたら、私もやられてしまうので全力でご遠慮願いますが。

 

弟子として認識すらされていなかったのに敵対して見逃してくれるとはとても思えません。

 

わたし?戦う前に体力尽きて終了ですね。

 

というか、何をやっているのでしょう。

 

こんなことをしてもしアーレンスバッハがどんどん強くなればエーレンフェストが遠のきます。

 

心の中でため息をつきながら講義をしました。

 

 

 

 

ええ、講堂に向い、まずは算術から。私は既に領地レベルの数字を取り扱い、神殿も経営しているわけで。

 

旧ベルケシュトックの方は優秀だね。それとも大領地だと優秀なのが普通なのかな。

 

やっぱり派閥とかあって教えていてもそれぞれ固まってて仕方が無いよね。

 

え、私の派閥、あるわけ無いよ。ウラノの世界の『ぼっち』だもん。

 

あえて言うなら側近達だけどまあ、ねぇ。

 

正直仕えたくもない主に仕えてかわいそうです。これでもし私が倒れたら、お前達のせいだってなって一生出世できないんでしょう。

 

だからかな、ある意味私と同じ悲壮感を彼らから感じるんだよね。

 

ごめんね、こんな主で。怨むなら私程度に警戒しまくっているゲオルギーネ様を怨んでね。

 

 

 

さて、まあ、全員合格とか普通に無理だよね。私の側近も落ちちゃったし。

 

神学だけは全員初日合格。皆さんがんばりましたね。

 

というか、そもそもあんな直前ペーパーだけ渡して全員合格できるなら必要なかったじゃん。

 

大事な紙を返してって言いたい。

 

神学は結構な領地でかなりの数の不合格者を出していますね。どうでもいいけど。

 

 

 

 

さて、午後は魔石の授業です。本日は魔石を自分の魔力に染めて抜くという内容です。

 

ヒルシュール先生が授業で使うための魔石を持ってきます。皆さん前に言って用意された魔石を持っていきます。

 

私はというと、魔石を見て困ってしまいました。この品質では今日の授業はとても難しいものになるでしょう。

 

皆さんが持って行った後も真剣に魔石をとらずに見ている私が気になったのか、ヒルシュール先生が話しかけてきました。

 

「どうかしましたか。」

 

「先生、よろしければ、その石とその石とその石をそれぞれ離してこの小箱の中に入れていただけませんか。

 

「はぁ、まあいいですけど。」

 

一個目を持とうとします、一瞬で金粉になりました。

 

ダメです。品質がいくらなんでも悪すぎます。

 

でも魔力調整の練習にはいいかもしれません。私も魔石を確保できたので席に戻りました。

 

私が苦労している横で皆さんどんどん終わっていきます。とりあえず回りは気にせず集中しないと。魔力を完全に一度切ってごくごく少量...できるはず要は祝福と同じ要領で...。

 

パァーン、はあ、本日7個目の失敗です。うんわかった、私は道具こいつと同じ、こいつが壊れないように同調して、よしできた!

 

「どうですか先生。」

 

「魔力が多すぎるのも大変ですね。エーレンフェストのフェルディナンド様を思い出します。」

 

うわぁ、でたよ魔王様。でもそっか魔王様も苦戦するよねそれは。

 

「フェルディナンド様ですか、噂はかねがね聞いております。わたくし、彼の作った設計図を一つ持ってましたの、あれは心躍るものでしたわ。」

 

「そうなのですか。よろしければ彼の貴族院で作った魔術具を見に来ますか。今度ご案内しますよ。」

 

出た出たまさかの魔王様の遺産。わぁぁ、何が出てくるか楽しみだなぁ。でもまだまだやることあるし機会があればかな。

 

「あれ、でもヒルシュール先生はエーレンフェストの寮監ですよね。仮にもアーレンスバッハの領主候補生である私なんて入れていいんですか?」

 

「研究に所属は関係ありませんわ。私はあくまで中央の所属ですから。」

 

そんなものなんだ。いいなぁ自由だね。

 

「わたくし、アウブアーレンスバッハより直々にエーレンフェストのものと関わるなと言われてますの、場合によっては処分されてしまう身ですので会うにしても内密にしか会えないのですがそれでもいいですか。」

 

「もちろん大歓迎ですよ。」

 

「わかりました。もしタイミングが合えばお願いします。あ、そうだ、まだ時間大丈夫ですか。」

 

とそこで、部屋の入り口の扉が勢いよく開き、私の側近の一人が入ってきます。

 

「ローゼマイン様!そのものはエーレンフェストの者ですよ。早く戻りましょう。」

 

やばいです。もしかして今の会話聞かれた?

 

「ヒルシュール先生は先生ですので中央の所属ですわ。それに指導してもらい興味深い話を聞かせていただくのに何か問題があるのですか。」

 

「もう課題は終わったのでしょう。正直また倒れられたのかと心配しました。帰りますよ。」

 

はぁ、時間切れですか。指輪の反応がまったく無かったから条件的には大丈夫なはずなんだけどね。

 

「では先生お近づきの印に、これを。」

 

と渡そうとすると側近に取り上げられてしまいました。ああ、私の紙。魔力を通せば設計図が出るようにイメージの準備までしてたのに

 

「ローゼマイン様!アウブに報告しますよ。帰りますよ。」

 

「わかりましたわ、ヒルシュール先生名残惜しいですがこれにて失礼いたします。」

 

ああ、残念です。せめて生き残るためにヒルシュール先生の知識と魔王様の遺産が切に欲しいです。

 

お父様に連絡の手紙を送ります。かなり婉曲な表現で大変ですが。だって中身検閲されるのは当たり前だしね。

 

ゲオルギーネ様にわからないようにお母様とアウブにだけ伝わるようにするのって難しいよね。

 

ディートリンデ様は非常に優秀すぎて的確に私を追い込んでくるのですがどうしたらよいでしょうか。

 

うーん、これを婉曲表現にすると具体的に書けないためアドバイスがもらえない。

 

もういいや、こっちはあきらめよう。社交シーズンまでは問題ないはず。

 

こっちだな、こっちは普通に書いても問題ないよね。

 

ヒルシュール先生の研究を見せていただきたいのですが許可をいただけますか。

 

こちらで調べた限りは所属している方が仮登録でアーレンスバッハの方一名の様なのです。

 

エーレンフェストから一切の資金提供を受けていないようで、それらの結論から先生はエーレンフェストとの繋がりが薄いようです。

 

他に報告は特になし。ディートリンデ様という一番の問題以外は順調ですね。まだ始まったばかりですが。

 

 

 

 


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