さて、神殿業務もお父様の手伝いもひと段落し、魔術具作りです。
何で戦場に行くわけでもないのにこんなに準備しないといけないのだろう。
お守り、攻撃用魔術具、薬も切れそうだし、後魔木から分解して繊維だけ取り出して魔力で熱風を当て金粉や糊状のものなどいろいろ混ぜて固定し。
うん、いい感じで魔紙ができた。配分が難しかったんだよ。
魔力を通すから魔木の分解まではスムーズだったけどそこから紙のようにまとめるのが大変でした。
これがあれば魔法の媒体に使えるし、いっその事、魔術具で自動化しようっと。
うふふん、羽織の内側に魔術具しこんでっと。準備万端だね。
さて、今年もやってきました。冬の洗礼式です。前回とは所属が違いますが、神殿長の職務をおこなってから授与式に出ろという命令が出たせいで忙しいのです。
こちらでも基本は同じだが私は養女に入った経緯が普通でないので最初にアウブと第一夫人の養女であることと名前だけ紹介される。
普通は詳細な理由とか、実績とかあればするのだけどそれは一切省かれた。ところで紹介のときも養女とはいえ領主の娘が神殿長の格好だけどいいのかな。
まあ、侮られる方がいいけど。一部は侮るような表情をしているけど、ほとんどの方はなにやら視線が怖いくらい真剣に私を見ていた。
やはり困窮しているのか神官不足か3分の1は洗礼式をおこなえていない様なので洗礼式を行う。
親が指輪を贈る。嬉しそうだなぁ。対象は本来子供一人だけどまあ、せっかくだしね。
親と子両方に祝福を降らせた。
初めの子は少し驚いたようだったけど、親のほうが驚いていたのがなんだかなぁ。
うーん、余計なことしないほうが良かった?
でもこの後のこと考えると...。
そのあとの洗礼式後のお披露目では、エーレンフェストのときと同様に、あらたなるアーレンスバッハの子を迎える。
今のお父様の顔を見る。うなずき返したということは、事前に相談したとおり派手にやれとのことだ。
まあ、命令ならしょうがないよね、これ以上目立つこと余りしたくないけど。
メダル登録し、エーレンフェストとは三倍程いる貴族の前で
「土の女神 ゲドゥルリーヒの祝福を」
本人に一番大きく派手に木漏れ日のように細くやさしく会場全員に祝福を贈る。祝福って綺麗だよね。
あ、目の前の子が固まってる。ごめんねびっくりさせたかな。
やさしく本人にだけ聞こえる声で声をかけてあげる。
あわてて祝福返しをしてくれた。
その後30人に祝福を同様に贈り、その後音楽の奉納が行われ三十名が奉納するのだが、流石にエーレンフェストと違って一気に授与式までは無理だ。
だから、神殿長の仕事をやらされているわけですけど。
元神殿長、この長丁場毎回やってたんだから大変だね。神官長と協力しながらやったんだろうけど。
さてさて、午前中で神殿の役割はおしまいになるので神殿長として最後の挨拶をします。
「午前の最後に今年に新しく神殿の神殿長に就任しましたわたくしより、音楽の奉納をがんばってくださった新たなる子達とアーレンスバッハの以後の平穏なる発展を祈りまして祝福を贈らせて頂きます。」
心の中でこっそり「たーまやー」と叫んで会場全体に祝福を降らせる。
うん、ふざけてごめんなさい。でもウラノの気持ちが少しは分かった気がする。
あ、やばいほんの少し派手にやりすぎたかな。まあいいや。
さて、みんなびっくりして固まっているところ悪いけど午後の授与式の準備しなきゃ。
おーい、元神殿長、神官長固まってないで撤収の準備お願いします。
この方たち私がフェルディナンド様だったらひどい目にあうんだろうなぁ。
さて、授与式は午後からなので私はゆっくり着替えることができた。
食べ物は食欲無いからいいやと思ったら周りから少しでも食べるように言われた。
仕方が無いので無理やり少量だけ食べる。うん、ぜんぜん受け付けないね。今回は3日くらいダメかな。
体力無いからこのくらいの仕事でも疲れちゃうんだよね。
後半は身体強化の魔術をこっそり使うはめになったしね。
というか人が多すぎだよ、さすが大領地。エーレンフェストくらいがちょうど良いや。
ちょっとぐったりしてきたので時間まで裏部屋で休ませてもらう。
その後授与式を行う。
授与式が予定より遅く始まったけど何かあったのかな。午前はスケジュールどおりにやれたはずなのだけど。
その後はつつがなくお父様に言葉をもらい贈り物を受け取る。
周りの文官が私のときだけ動作が震えているのはお父様が恐れ多いのかな。
まあ、なんだっていいや。無事終わったし。
体調が悪いので、その後はもう仕事の予定もないしすぐに退席させてもらい、休ませてもらいました。
やはりその後3日間寝込むはめになりました。