マインオブザデッド   作:dorodoro

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18話 貴族院での制約事項

さて、あっという間に秋が終わり冬が始まります。

 

アーレンスバッハの冬はとても暖かく雪もほとんど降りません。

 

エーレンフェストが懐かしいです。村のみんなで館に集まって固まって寒さに耐えたりしましたっけ。

 

貴族院に行くのももうすぐということになりお父様から呼び出しがあった。

 

「さて、今日そなたを呼び出したのは貴族院に行く前にいろいろ命じなければならないからだ。」

 

まあ、そうだよね。エーレンフェストから3年たったとはいえ、覚えやすくてよかったなとか思っていたけどこの名前からしてやばいよね。

 

だって、元の名前マインだよ。エーレンフェスト領主一族であるカルステッド様の今は亡き第三夫人が元ライゼガングでローゼマリー。

 

見た目も魔力圧縮のせいかあまり変わっていないし、情報行くだろうなぁ。

 

お父様にこのことを伝えると、

 

「ライゼガングか、話は聞いている。ゲオルギーネの母であるヴェローニカからずいぶん冷遇されていたらしいな。」

 

「そうなのです。わたくしもライゼガングにいた時期はそう多くはございませんでしたが、それはもうヴェローニカ様への恨み等も聞かされました。」

 

はあ、本当にあれだけは好きになれなかったんだよね。無理もないんだけどさ。

 

「ついては、お話しするまでもありませんがヴェローニカ様、ゲオルギーネ様ひいてはアーレンスバッハへの恨みはそれはもう酷い物でした。」

 

はあ、うらみつらみからまって怖いねまったく。

 

「わたくしについてはとてもよくして頂いたので、万が一マインがアーレンスバッハにいるとなればライゼガング単独で争いを起こすかもしれません。」

 

「それほどの恨みなのか、まあ、一地方だけなら問題はない。」

 

「記憶喪失にする、名前を変える、エーレンフェストにそれとなく出身と思われるものを保護して...ダメですわね。どれも余計な火種になりそうです。」

 

戦争回避の手段なんて流石にわからないよ。論理ではなく感情で動きかねないのがライゼガングだ。

 

「エーレンフェストなど、所詮14位の領地だ。6位のアーレンスバッハとは国力が違う。捨て置け。」

 

アウブとしては歯牙にもかけないよね。分かってはいるけどちょっとしょんぼりだよ。

 

「とにかくそなたは、エーレンフェストのものと接触するのを禁ずる。」

 

「流石に最初の挨拶、領地主催のお茶会でまったく接触なしというのは難しいかと存じますが。」

 

「では、自ら接触するのは禁ずる。最低限の挨拶のみ許可し、相手から無理して来た場合は上位領地を前面に出し拒否するものとする。」

 

うーん、あいまい。どこまで挨拶になるか分からない。まあ、従属の指輪の判定で対処するしかないね。

 

「万が一、上位領地もしくは複数の領地を絡めて話せる状態に持ってきたらどう対処しますか。」

 

「側付にいや、そなたの体調が悪くなったとでも言って席をはずせ。あと、神殿長としても仕事をしてもらわねばならぬ。」

 

奉納式ですね。当然帰ってくるつもりです。

 

「ディートリンデ様については、アウブと同じと考えて行動しないとなりませんか?」

 

多少、管理権限を渡すのでしょうか。できるのかは流石にわかりませんが。

 

「ディートリンデについてはそなたの判断に任せる。また、そなたが体調を崩しやすく社交については任せると言っておく。」

 

うん、よく考えたら他人について考えず喋り捲るディートリンデ様の側にいれば...だめだ、巻き込まれて話す未来しか浮かばない。

 

「ディートリンデ様はエーレンフェストのヴィルフリート様と親戚とあって、ついでに話さざるをえなくなる可能性がございますがどうしますか。」

 

「う、む、ディートリンデの話を介しての接触は許可すると言うのもどうなるか読めないな。」

 

やはり、お父様でも行動予測が不能のようだ。

 

「逆に聞こう。ローゼマインはどうしたい。」

 

これは逆に難しい質問です。下手に答えれば忠誠心を疑われますし。

 

社交については当初予定がなくて急遽エーレンフェストが参加するなんてのも考えられるし。

 

側付の方々がまったく信用できないのはこういうときにつらいなぁ。

 

「極論を言うなら、社交を禁止していただければ後はどうとでもいたしますが流石に大領地の領主候補生が参加しないというのは問題ですので。」

 

うん、社交禁止。めんどくさくなくていいね。でも無理だなぁ。

 

「エーレンフェストへ自ら接触するのは禁止、接触した場合は挨拶は除き、会話をあいづちや頷きに留め返事等は最低限にし、切り上げるよう努力する。でどうでしょうか。」

 

うわあ、抜け道いっぱいの提案しかできないよ。でも詰められ過ぎると命にかかわるからなぁ。

 

普通の契約と違って従属契約は指輪さえあれば他領でも作用しちゃうから逃げられないしね。

 

「わかった。そなたを信用しそれでいこう。下手打ってはるか高みに上ったなんて聞きたくはないからな。ただし、努力は最大限だ。」

 

うん、つまり最低限に切り上げようとして相手に迫られ続けたら話し続けてもいいってことだ。

 

最悪筆談は...こっちからの接触で不可か。

 

どうにでもやりようはあるけどいいのかな。

 

その後も私の側近については必ずアウブが決めるということなど細かい事項を確認します。

 

「必要であれば週一回の報告で相談いたしますね。」

 

「仕方ないがそうするしかあるまい。」

 

「あと、本を何冊か持っていってもよろしいですか。」

 

「本については前からいっているとおりローゼマインの好きにしなさい。もちろん無くしたり壊したりしなければだが。」

 

よしよし、礎から得たアーレンスバッハの知識とあわせて違っているところを確認したいし、時間が取れればだけど。

 

「それではくれぐれも気をつけるのだぞ。」

 

うーん、危険な状態においといて気をつけろってねぇ。

 

「分かりました気をつけます。」

 

すると、お父様が言いにくそうに何か言おうとしている。まだ何かあるのかな。

 

「それと、二人のときだから言うがローゼマイン、そなたには感謝している。そなたがいなかったら今頃アーレンスバッハはどうなっていたか。」

 

え、なんかこっち来て初めて普通にほめられた気がする。

 

「こちらこそありがとう存じますお父様、お父様から頂いた言葉でこれほどうれしかったことはございませんわ。」

 

うわ、え、ちょっと、いやものすごくうれしい。普通の心からの感謝ってうれしいね。

 

 

 

 




最大限、ローゼマインは甘く見てますがとても危険な契約です。

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