食事会の後、神殿長としての仕事に現実逃避したりしましたが、お父様から呼び出しがありました。
神殿から城へ行きアウブの執務室へ通されました。
部屋に入ると、アウブと激オコな表情のお母様が座っていました。
「ローゼマイン、まずお主の側近達が決まった。」
リストを渡されます。
アーレンスバッハの第一夫人派の方は無理でも旧ベルケシュトックの貴族の何名かくらいは何とかなるかなと悲観していましたが。
うん、まあ、なんと言ったらいいのか。
「お主に迷惑をかけるが、変更するつもりはない。」
うん、でしょうね、
「ローゼマイン、なぜ黙っているのですか。あなた何を考えていますの。ゲオルギーネの腹心しかいないではないですか。」
「レティーツィアの件は、話しただろう。後はローゼマインの問題だ。」
うん、しかしゲオルギーネ様は本当に何がしたいのだろう。私なんかに警戒したって余りに利益が少ないと思うのだけど。
ゲオルギーネ様側に寝返らせるなら従属契約があるし、それならアウブを動かすべきだし。
「なにがローゼマインの問題ですか。いいですか、いくら従属契約があるといっても少しくらい文句言ってもいいのですよ。」
はあ、その従属契約が問題なのですが。お母様も魔術具に詳しいはずなのに気持ちが高ぶっているのか分かってないよ。契約の恐ろしさが。
「お母様、アウブたるお父様が必要だといっているのですから、必要なのですわ。お母様も第一夫人なのですからお父様を困らせないでくださいまし。」
「ローゼマイン、あなたも命令と聞いていないでよく考えなさい。このような理不尽、私は許せません。」
「お母様が許す許さないではありません、アウブを困らせないでくださいまし。ご命令とあらば私は道具としてできる限り命令を実行するだけです。」
決まったことをグダグダ話すだけ本当に無駄。
「ローゼマイン、あなたは道具などではありません、アウブ、ローゼマインとの従属契約を破棄しなさい。これ以上従属契約で精神を縛れば元に戻れなくなりますよ。」
「お母様、気持ちだけで結構です。それよりもレティーツィアの件とは何ですの。私の関係で何か利益を得られたのですか。」
何か条件を引き出せていないならともかく相当な条件があるような言い方をしているからなんかあるよね。
「まだ話は終わっていません、ローゼマイン一人に礎の魔力供給をさせているだけでなく、この間の大規模なエントヴィッケルンの魔力まで貯めさせておこなったのは知っているのですよ。どれだけ一人に負担を背負わせる気ですか。」
あれは、旧ベルケシュトック大領地のために必要な処置だったし、本当は旧ベルケシュトック大領地そのものをエントヴィッケルンできれば良かったけどできないから、街道整備くらいしか役に立ってないけど。輸送は大事だよね?
薬や魔道具の素材の回収に行く時間をとられたくらいだし終わった話をしても仕方がないよ。
「お母様、何度も言わせていただきますが、お父様を困らせないでくださいまし。既に終わった話よりもレティーツィアの件とは何ですの。」
その後も、怒りの表情です。実の子でもない子に感情的になって、まして従属契約を破棄しろなんて感情的になりすぎです。
もし破棄してくれるなら速攻で逃げますけどね...。
逃げたらライゼガングの皆様、黙っていないだろうな。説得できるかな。
その後も、これだけしてもらっておいて、この子に何もしてあげられていないどころか負担ばっかりさせているだけじゃないのと話が進みません。
しばらく私が黙っていると一通り怒ったおかげで落ち着いてきたようで、
「レティーツィアは、私の孫です。ドレヴァンヒェルより養子にもらいます。あなたの妹となりますのよ。」
妹ですか。こんな領地にドレヴァンヒェルなんて安定した土地から来るのは大変だろうな。
「ローゼマイン、お主のおかげでゲオルギーネにはレティーツィアに一切手出しをさせぬ約束ができた。おかげでレティーツィアを次期アウブとして安心して育てることができる。」
うん、そうですか。次期アウブ。お父様も優秀かもしれないけど予測不能なディートリンデ様にはしたくないんだろうなぁ。
「次期アウブとして確約させたわけではないのは残念ですが、それなりの利益が出たのなら問題ありません。」
確約したら毒殺コースかもしれないしね。
もしくはゲオルギーネ様がその前に何か事を起こす可能性もないわけではないし無難に済んだってことかな。
さて、お話は以上ですかね。
「それではお母様、わたくし程度の事でいつまでも怒っていないでくださいまし。美人が台無しですわよ。」
失礼しますっと、お母様がお父様をどれだけ引き付けられるかでエーレンフェストの未来もアーレンスバッハの未来も変わるかもしれないのに仲が悪くなるのは勘弁です。
ああ、村のみんな元気かな。会いたいな、私は何とか生きてます。