マインオブザデッド   作:dorodoro

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ようやく主役の方が出ます。






16話 恐怖の食事会

神殿に戻り、元神殿長と引継ぎ等をします。

 

隠し部屋や神殿長室を譲ってもらったので工房はこちらに作ろうかな。

 

城にも隠し部屋をもらえたけど寝具と以前作った魔術具以外置いていないんだよね。

 

さて洗礼式と収穫祭の季節ですね。

 

元神殿長と神官長と報酬等でお話します。

 

うーん、孤児院教育とかも何とかしたいし私の魔力さえあれば、農業とかさせても何とかなりますし。

 

自分で稼げたり、後計算など事務ができれば、価値があがって引き取ってもらえる確率が高くなるしなぁ。

 

城の図書室の情報をかき集め、秋の洗礼式や収穫祭のついでに素材をいろいろ集めてきました。

 

特に魔木を大量に仕入れましたよ。こっそり魔力に任せて若木増やしたりがんばりました。

 

ユレーヴェの材料とかも探しましたが、少ししか集まりませんでした。

 

エーレンフェストと違う材料で作らなければいけませんし一人で取りに行くのが難しい所が多いのです。

 

そんなこんなで、神殿長とアウブの政務の手伝いと行き来しているときにアウブから食事のお誘いを頂きました。

 

「ゲオルギーネ様と食事ですか。」

 

「そうだ、珍しく一緒に食事をすることになった。」

 

今の領主一族が珍しくそろうとの事で一緒にとることになりました。

 

ゲオルギーネ様とディートリンデ様のお二人とは初めてお会いします。

 

「風の女神 シュツェーリアの守る実りの日、神々のお導きによる出会いに、祝福を祈ることをお許しください」

 

「許します。」

 

はじめましての祝福の交換を終え、一言加えます。

 

「あらためまして、ゲオルギーネ様、ディートリンデ様、ローゼマインと申します。忍耐の女神 ドゥルトゼッツェンのごとくお会いするのを楽しみにておりました。」

 

忍耐の女神にかけて、直訳すれば会うのを止められていて、とてもお会いしたかったというような感じだけど、まあ、ゲオルギーネ様には伝わるよね。

 

この方には少しくらい文句言わせて欲しい。

 

「まあ、話には聞いておりましたがずいぶんちっちゃいのね。ローゼマイン。私のことをお姉さまと呼ぶことを許しますわ!」

 

うわぁ、ゲオルギーネ様。止めないのかな。笑顔だけどちょっとヒクヒクしてるのは私の嫌味か、ディートリンデ様か。

 

まあ、わざとさせてこちらの様子を見るため仕組んでいるだけかもしれないけど。

 

「ありがとう存じます。ディートリンデお義姉さま。貴族院では今年からご一緒になりますがよろしくお願いしますね。」

 

「よろしくってよ。お姉さまとして困ったことがあったら何でも頼ってちょうだいな。」

 

うわぁ、うん、そういえばゲオルギーネ様については一度信頼した身内にはすごくやさしいとか聞いていたけど、そんな感じかな。

 

「その時はぜひとも頼らせていただきますね。ディートリンデお義姉さま。わたくしについてはお聞きかもしれませんが非常に体が弱いので頼ることもあるかと存じますので。」

 

うん、基本的には下に出て褒めておけば何とかなるかもしれない。このタイプは感情で動くからまったく行動が読めないんだよね。

 

その後食事です。

 

「幾千幾万の命を我々の糧としてお恵み下さる高く亭亭たる大空を司る最高神、広く浩浩たる大地を司る五柱の大神、神々の御心に感謝と祈りを捧げ、この食事を頂きます。」

 

他の人たちは食事前の挨拶の後に簡単に「いただきます」だけど私は神官なのでちょっと長めなので少し小さな声でお祈りを捧げます。

 

「ローゼマイン、あなた食事のときに手袋はとらないのかしら。」

 

暗に、はしたなくてよって言ってますよね。お父様とお母様以外の前では取ったことないですし。

 

「ゲオルギーネ様、見苦しくって申し訳ございませんわ。わたくし病気の後遺症で手袋の魔術具がないとまともに左手が動かないんですの。ですので片手だけ手袋をしたままで食事をご一緒することをお許しくださいませ。」

 

「体が弱いだけでなく手まで不自由とは大変ですわ。お母様、いいではありませんか。私のかわいい妹ローゼマインを許してやってくださいませ。」

 

ディートリンデ様、ものすごく空気読まないで頂いてありがたいのですが、ゲオルギーネ様困ってません?

 

「ありがとう存じます。ディートリンデお義姉さま。」

 

ディートリンデ様のおかげで?食事は終始和やかに進みます。表面上は。

 

やはりお母様とゲオルギーネ様はたいそう仲が悪いらしくバチバチやっています。

 

ディートリンデ様は演技なのか。たぶん素だと思いますが気がついていないようです。

 

ディートリンデ様は、私のことはほとんど知らないらしく、神殿に勤めていることも知らなかったようです。

 

体のことといい、神殿に入れられていることといい、心から同情しているように見えます。

 

というか、これが演技だとしたらこの方は本物の策士です。

 

なんというか、ウラノの世界でいう持っているという人なんでしょうかね。

 

あきらかに危険な発言を平気でするのですが致命傷には自然とならず、不思議と空気が和んだりします。

 

油断したら正直やられそうです。ゲオルギーネ様の娘である以上まったく油断できません。

 

とは言っても神殿についてフォローしたり、体についても気にしていないと言っても話をまったく聞き入れてもらえません。

 

この方と一緒に貴族院へ行くのはとても大変そうです。

 

私大丈夫かな。行動指針が分からないよ。

 

表面上はうまくディートリンデ様と話していると、お母様たちとバチバチやっていたゲオルギーネ様の矛先がこっちへ来ました。

 

「そういえば。ローゼマイン。あなたまだ側近を決めていないんですって。私が決めてあげましょう。」

 

すかさずディートリンデ様が

 

「それはいい考えですわ!お母様に任せれば間違いはないですわローゼマイン。私の妹にふさわしい優秀な方をつけてあげてくださいまし。」

 

やばい、まさかとは思うけどこれが狙い?

 

ディートリンデ様はこの時のために今まで油断させる話をしていたの?

 

もうやだこの人。やっぱりウラノの世界の猫の皮をかぶった悪魔だ。

 

対処できないレベルではフェルディナンド様に迫る方なんて初めてだよ。

 

「申し訳ございません。ゲオルギーネ様。側近の話はアウブとお母様が決めることになっていますので、アウブにお話しください。」

 

私はアウブであるお父様に投げるしかない。

 

「お父様、是非ともローゼマインにわたくしのお母様が推薦する方をつけてあげてくださいまし!」

 

お願いディートリンデ様、話に入ってこないで。

 

「うふふ、ディートリンデも義妹にようやく会えて張り切っているようですわ。アウブ是非とも検討してくださいね。後で詳しく執務室へ資料を持って行きますからじっくり相談しましょう。」

 

完璧すぎるギラギラした笑顔。フェルディナンド様はこんな方に嫌がらせとか受けていたの?

 

たぶん見た感じ、まだぜんぜん様子見だよね。

 

その後もいろいろ精神的に絶望しかけながら食事会は終わりました。

 

 

 

 




デイートリンデ様は原作者も言っていましたが書いていて本当に楽しいです。

同じく二次で彼女に憑依させた作品も書いていたのですが素の方を書いた方が面白いのでお蔵入りしました。本好きを少し知っている方を憑依させた側から見たロゼマさんへの恐怖と詰んでる感は、それはそれで面白かったのですが。

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