うーん、もう無理。熱すぎるよぉ。
何やっているんだろう私。
こんな
まわる村々はひどい有様でギーベたちも、ものすごく倹約し全員でがんばっているのが見えた。
装飾品に気を使う余裕がないのかギーベとは名ばかりでガランとした家ばかりだった。
旧大領地と聞いていたから以前のエーレンフェストでの神殿長のような傲慢な方たちばかりだと思っていたのでいい意味で裏切られた。
だからだろうか、うん、張り切りすぎました。
以前ならフェルディナンド様という英知の女神メスティオノーラが間違って生んだ魔王様がいたけど、やっぱりダメダメだね私。
起きると周りがざわつきだし何名かが飛び出していきました。
残った側付の人に寝込んでから何日たったと確認すると深々とかしずいて、5日との回答をもらいました。
なんというか声も震えていて恐れ多いものを見る目はやめて欲しいけど。私見た目そこまで怖くないよね?
しかし、5日かぁ。うん、体が少し丈夫になったね。最低でも10日はいくかなと思ったからね。
ものすごくのどが渇いたので用意してもらっておいた水をもらいちょびちょび飲む。
こういう時一気飲みするとむせるんだよね。
さて、ここまで魔力を酷使し続け魔力を完全に使い切ったのは初めての経験でしたがもう完全に回復してますね。
身体強化の魔術をかけて、とりあえず折りにでも行きますか。
「お願いしますから、ローゼマイン様。まだお休みください。」
ええ、なんか泣きそうになりながら懇願される、決死の覚悟が見えるのは気のせい?
「いえ、少し体を動かさないと私の場合命にかかわりますので、よろしければ付き添っていただけますか。」
魔力圧縮が大変なんだよ。使い切った反動なのかまたものすごく増えているし。
命にかかわるのですか。と側付の人がおろおろしだした。まあ、起きていきなり動くのは確かに良くないよね。
「取り合えず、湯浴みもしくは体を拭いてくださる?」
いそいそと湯浴みの準備をしてくれました。さすが旧とはいえ大領地の神殿。
縮小されたといっても道具とかは残っているんだね。
さてさて、もうここには用はないし。最悪命令するかな。やりたいことはいくらでもあるし。
ああ、ユレーヴェの材料探し。せっかくやろうと思ったのにしょんぼりだよ。
まあ、緊急事態だからしょうがないね。
さてと、湯浴みも終わったしお祈りして聖典等書物の確認、その後収穫できる作物の確認かな。
「ですからお願いしますから動き回るのはおやめください。まだ熱が完全に下がっておられないのですよ。」
うーん、困った。心の底から私の身を案じてくれているみたいだけど。きっといい人なんだろうな。
この熱は魔力の熱だから放出しないとかえって危ないのだけれど。
「これは私の体質なのです。お願いですから私に命令させないでくださいまし。あと、神殿に詳しいなら同行していただけるとうれしいのですけど。」
ここまで言えば折れてくれるよね。折れてくれないと命令しなきゃ。
「わかりました、ただ、万が一のため応援を呼びますので少しだけ待って下さいませ。」
そのあと、リハビリのため身体強化の魔力を最低限にし手を引いてもらいながらちまちまと動いた。
うん、縮小されたと聞いていたけど様々な神の像や壁画があるね。神に祈りをのポーズをしないまでも一つ一つに祈り魔力を奉納します。
当然魔力を奉納するときは魔力の光が出ますのでまわりは驚いた様子でしたが、途中から慣れてきたのか積極的にまわってくれました。
最後に中央で神に祈りをやっておしまいです。うん、この神殿も結構魔力に飢えていたらしく結構もって行ってくれたなぁ。
一応神殿長だから、神具等はあるかと聞くとアーレンスバッハの本神殿と中央に回収されたとのことなので、
最後に保管されている書籍全部に目を通し、聖典の鍵を使い聖典を確認し、作物等聞いて寝床に戻った。うん、蕎麦っぽい何かはあるみたいだね。
次の日、さあ、戻るぞ、今日こそはと思い準備をお願いすると
「お帰りの前にギーベの方々にお会いください。」
ギーベ?私は用がないよ。まあ挨拶もそこそこ好きにやらせてもらったし会ってもいっか。
うん、何でこうなった。
私がギーベたちがいる大フロアに入るとギーベたちが地面に頭をこすり付けた。
神に祈りを!って、私に向って祈って何の神に祈っているの?訳のわからなさで意識が遠くに行きそうです。
「ギーベの皆様方そろって何をしていらっしゃるの?特に用がないのなら城に帰らせていただきますけど。」
先頭のギーベが顔を上げて、
「おまちください、ローゼマイン様。我々の窮地を救ってくださった天の遣いたるあなたに頭を下げる感謝をささげるのは当然でしょう。」
確かこの方は上級貴族で旧ベルケシュトックのまとめ役だったと思ったのだけど。
結構土地が広く癒すのに時間がかかったためなんとなく覚えている。
「わたくし、そういう冗談嫌いですの。わたくしは唯の養女でアウブの娘ですわ。」
「たとえそうであったとしても、ローゼマイン様あなたに感謝をささげたいのです。」
うーん困った。別に私がいやだったから暴走しただけでそこまで感謝されても困る。
「あの一応確認したいのですけど、初めてお会いしたというのに祝福を交換しなかったことに関して怒っていらっしゃいますの。」
なんかひょっとして怒らせてしまったから、こんな困ったことになっているとか言わないよね。
「滅相もない、此度のご恩絶対に忘れません。われわれにできることといえば名を捧げるくらいしかできません。ぜひともすでに捧げてしまったものを除き受け取っていただきたい。」
もうやだ、この人たち。何のために私が動いたかぜんぜん理解していない。
「わたくし、アウブの命令で動いただけなのです。それに見ての通り体が弱くいつはるか高みに上るかわからないものですから。」
はあ、名捧げとか冗談じゃないよ。
「それに、わたくし名捧げという行為がだいっ嫌いですの。命を粗末にする人は絶対に許しません。」
「それでは我々は何も返せません。それに我々が名捧げすればあなたはエーレンフェストに戻れる可能性が増えるのですよ。」
何でこの人たちがエーレンフェストについて知っているのだろう。
これはまずい、うまくいけば帰れる道ができるかもしれないけど従属の契約に反しかねない。実際指輪を確認すると僅かに点滅している。
「エーレンフェストですか?何の話でしょう。」
本当にわからないという感じで進めるしかないよね。
「知っての通り我々は以前は大領地でそのときの情報網も僅かながら残っております。そして今回の奇跡であなたがエーレンフェストの聖女であることを確信しております。」
「エーレンフェストの聖女?寡聞にして聞いたことがないのですがどういった方ですの。」
エーレンフェストの聖女って本当になんだろう。確かに神殿長代理はしていたけどそんな呼ばれ方はしたことがないはずだ。
なんでも、エーレンフェストの聖女とは命を狙われたギーベの娘が神殿に入り、あるところでは古代の儀式を蘇らせそれまで困窮していた土地を救い、あるときは盛大な祝福を授け、あるときは死に掛けの騎士団を祝福と癒しの祝詞で復活させ、あるときは土地を癒し...。
いや長いよ。というか誰だよ。そんな品行方正な人間いてたまるか。
私に当てはまりそうなのは、2年位前にはるか高みに上られたって部分くらいしかないじゃん。
「少なくとも私のことではないですわね。当てはまる部分がまるでございませんもの。」
はあ、取り合えず長い話が終わったのでこれ以上は付き合ってられない。
命の直接的な危険がない限りはアーレンスバッハに忠誠を捧げないと命がない立場だしね。
「もし私の役に立ちたいというのでしたら私のお父様と第一夫人のお母様のご支援をできる限りのことでしていただければ結構ですわ。」
名捧げした人まで引っ張れないしね。
「とにかく繰り返しますが今回はアウブアーレンバッハの命によって私は仕事をしたのであって、私に感謝は必要ありません。感謝はアウブに、いいですね。」
周りは、なんと言うおやさしい。とても謙虚でまるで聖女だ天使だ。などといって感極まって泣いているものまでいます。
「今のお言葉でわれわれも決心しました。もちろんローゼマイン様のご両親にご支援はいたしますがあくまで我々の忠誠はあなたへ向いております。なにかローゼマイン様に困ったことがあれば命を捨ててでもお助けいたします。」
ウラノの世界の宗教指導者になった人ってこんな気分なのかなぁ。いやね、私もこの領地の宗教のトップな訳だけど。
「もう、お好きにしてください。ただし、命を懸けてというのは絶対に許しません。できる限りでならお受けします。」
これ以上付き合ってられないよ。私一人の命でも重いのに他の人の命なんて背負える訳ないじゃん。
なんかみんな頭を地面にこすり付けて泣いているけどもう出てっていいよね。
はあ、立っているのも精神的にも疲れた。お米も発見できなかったし。ユレーヴェの材料探しもできなかったし...。
素直にありがとうといってくれればそれだけでよかったのに。