GS ヨコシマ IN HUNTER×HUNTER 作:OLDTELLER
「34リュウ、53ポックル、80スパー、89シシトウ、99キルア、103バーボン、105キュウ、118ソミー、191ボドロ、197アモリ、198イモリ、199ウモリ、246ポンズ、281アゴン、294ハンゾー、301ギタラクル、362ケンミ、371ゴズ、384ゲレタ 、403レオリオ、404クラピカ、405ゴン」
他の受験生と離れた
「この中で取引してるのが301ギタラクルで、アンタの標的は118ソミー。 で、あとの狙い目は一緒に行動する197から9のアイウ兄弟ね」
「でも、このリスト、こんなに役に立つとは思いませんでしたよ。 さすがヴェーゼさんスね」
ヨコシマは、自分が書かされた4次試験参加者の情報リストをながめるとポツリと言う。
「わざわざムサイおっさん連中にアイサツして集めたかいがありましたよ」
どうやら、ヨコシマには、リストの価値がわかっていなかったらしい。
わりと早めに三次試験をクリアしたので情報収集にクリアしてきた受験生へ挨拶回りをさせられた意味をまるで理解していなかったようだ。
それだけならただの情報の価値を知らないバカだが、女性のポンズとスパーへの情報収集はやらせてもらえなかったことを暗にしめすあたりがどうしようもなくヨコシマだった。
「何いってるの、ライバルなんだから残った相手のチェックはして当たり前! だいたい──」
案の定、ヴェーゼの怒りにふれ説教の嵐がやってこようとしたのをミューズの声がなだめる。
「まあ、まあ。 今は時間もないことだし、先に作戦を」
「そ、そうっスね! 他に狙い目っていうと」
ヨコシマはわざとらしくピンと背筋を伸ばすと、さあ作戦たてましょーと促す。
「……そうね。 ギタラクルにうろちょろされるとやりにくいから371はこっちで狩ってプレートを渡すのがいいかもね」
受験生の情報を集めるためにこれから忙しいミューズに言われて思い直し、ヴェーゼはふっとため息をつくと話を戻した。
「え? なんでわざわざ、そんなこと。 勝手にやらせりゃいいじゃないスか」
「もちろん、プレート1つ手に入ったしアタシ達を
さっしの悪いヨコシマにヴェーゼが説明し、ミューズが補足する。
「ああいうタイプのひとはムダを嫌います。 自分を襲ってきた相手のプレートを手に入れたら、あたし達を狙ってきてもおかしくないですから」
「じゃあ、最低でもぜんぶで5つもプレートを集めにゃならんの──」
やっと話を理解したヨコシマがそう言いかけた時、ミューズの声が割って入った。
「まって。 誰か来るわよ。 この音はクラピカね。 ゴンとキルアも別方向から来てるわ。 あとこれは……レオリオもよ」
その声の通りにあちこちバラバラの方向から3次試験のチームヨコシマが集まりつつあった。
「人気者ね、ヨコシマくん。 いったい何したの?」
リストを隠しながらヴェーゼがからかうように言う。
「何もしてませんよ。 なんで俺が男にちょっかいなんか」
そうしているうちにお互いに気づいたのか一緒になって4人はやってきた。
女にはもてないのに男には妙に人望があるのは、男はみな心のどこかにヨコシマと同じオオカミを飼っているということなのだろう。
自らを腐っているといってはばからない人々が見たらハーレムルートかというような光景だが、当然そんなわけはなく、4人の目的はヨコシマ達の装備と知識だった。
「よー、どうした? おまえら」
4人に警戒のかけらもせずに声をかけるヨコシマに大所帯になったせいで少し躊躇していたようなクラピカやレオリオの顔が晴れる。
「オレ達、ヨコシマさんに誰が狙う相手か教えてもらおうと思って」
ゴンはといえば、そんな遠慮などなくあからさまに尊敬する教師にものを尋ねるような期待にみちた顔で聞いてくる。
それは、ヨコシマが三次試験で活躍したこともあるのだが、エロいことに詳しい相手は大人だというゴンの認識のせいもあるのだろう。
「あなたたちの用件も同じなの?」
どうしようというように自分をみてくるヨコシマの視線を受けて、ヴェーゼが視線を年長組に向けて口を開いた。
「いや、私の目的はあなたたちとの同盟、もしくは不可侵条約だ。 試験では一週間プレートを守らなければならない。 お互いにメリットはあると思う」
クラピカは冷静に利点を語り、レオリオは忌憚のない願望を語る。
「オレは、まあできたら組めればいいと思ってるがダメなら
「あ、だったらオレ達もまぜてよ。 みんなとはできれば戦いたくないから」
素直にそういうゴンに、おいおいオレもかよと勝手に決めるなというようにキルアが小声で文句をつけるが、話の内容にではないらしく本気で嫌がっているふうには見えない。
自らを腐ったと表現する人々ならツンデレキターといいそうなキルアだった。
結局、全員、チームを組む誘いに来たということになったようだ。
「嘘はついていないわ。 みんなヨコシマさんが好きなのね」
そんな4人の声を念能力で分析したミューズが二人だけに聞こえる音量で、なにやらささやいたが、これも当然、昔はヤオイと呼ばれていたジャンル愛好者の好むような意味ではない。
(とりあえず手を組んでおいて数が揃わなかったときのキープにすればいいか。 むこうから裏切る気はないみたいだしその気になっても直ぐわかるしね)
一方、なにやらみもフタもないこと考えていたようだったヴェーゼだが、ミューズの保証が決め手になったのか同盟にGOサインを出す。
「……いいわ、組みましょう」
そんな魂胆などしらない皆は、その言葉を聞くと同時に明るい顔になり同盟を喜ぶ。
しかし、ミューズのセリフがいやだったのか、ヨコシマだけが嫌そうな顔をして、レオリオやキルアにつっこまれていた。
「で、あんた達、お互いがターゲットになってたりしないでしょうね」
そんな騒々しい男どもとは裏腹にシビアなヴェーゼが現実的な障害を洗い出す問いを投げかける。
「私のターゲットは362番だ」
「オレは246番だな。 誰か判るか?」
「オレは281番だよ」
「199番」
「ヨコシマくん」
グループ内でのプレートの直接狙いがないことを確認したヴェーゼは、促すようにヨコシマを見る。
「えーっと、俺がソミーって陰気そうなやつで、クラピカはケンミって坊主頭のチビで、ゴンはアゴンってサーベル持った頭を後ろで結ってるオッサン、キルアはイモリって3兄弟のなかで気の弱そうなヤツだな、レオリオは適当にオッサンのプレート3つを獲れ」
ヴェーゼの言外の指示を読み取ってヨコシマはそれぞれの
「ちょっ! なんでオレだけ教えねーんだ、てめぇ!?」
当然、自分にだけテキトーなヨコシマの指示にハラをたてレオリオはくってかかり。
「うるさいっ!! かわいー女のコからプレートを奪うなどこの俺が許さんっ!!」
ヨコシマは欲望まるだしで間のぬけた応えを返す。
女はヴェーゼを除けば2人。
女のコといえる年齢なのはポンズだけだ。
「なるほど、あの女か。 大きな帽子の女だな」
あっさりと答えを導き出したクラピカが口に出して告げる。
「おお! クラピカでかした!」
「あっ! こら勝手に教えおって!!」
わいわいともめる男三人を余所に年少組二人は、わくわくするとかあんなのザコじゃんとかいいながら、
「アンタ達、いいかげんんいしなさいっ!」
結局、チームワークのカケラもない男どもを纏めるのは残った一人の役目のようだ。
とりあえずターゲットは全て狙い、その他のプレートも狙うということで話を治めたヴェーゼだったが、この同盟はいささか先行き不安なようであった。