スーパーロボッコ大戦   作:ダークボーイ

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EP4

 

AD2084 太平洋中央部

 

「こちら雷神 一条、目的地到着まであと30秒」

「こちらバッハ エリーゼ、今の所何も見えないよ?」

 

 快晴の空と青い海の中央を切り裂くように、二つの影が飛んでいた。

 高速の噴煙を上げて飛ぶその姿は、飛行機のそれとは大きく異なる。

 まるでオモチャのフレームのような姿に、むき出しのコクピットにタイトスーツ姿の少女が二人、それぞれの機体を操縦している。

 

 ゴールドの機体に乗った黒髪の少女が、探索目標地点までのルートをチェックしながら、センサーに目を走らせる。

 

「ワームではないようね……全然反応が無い」

『けど、奇妙な磁気反応があったのは確かです。もう片方には音羽さんと可憐さんがそろそろ到着します』

「う~ん、やっぱり何もいないよ?」

 

 青灰色の機体に乗った小柄、というか幼い少女が首を傾げる。

 彼女達が乗る飛行外骨格《ソニックダイバー》はその名の通り、音速の速度で旗艦である特務艦《攻龍》のセンサーが捕らえた異常反応のポイントへと向かっていた。

 

「そろそろ……何だあれは!?」

「ウソ? 人間?」

 

 目の前にある光景に、二人のパイロットは思わず声を上げた。

 

 

「あれは何!?」

 

 高速で近づいて来る謎の機影に、彼女は思わず銃口を向ける。

 だが、向けられたのは一瞬の事で、あまりの速度差にその二つの機影はすぐさま通り過ぎてしまう。

 

「ジェットストライカー? いえ違う……」

 

 赤髪の合間から伸びる灰色狼の耳を動かしながら、固有魔法を発動。

 

「魔力を感じない、という事はジェットストライカーではない。けれど、確かに人間が乗っている………」

 

 自分の持つ三次元空間把握能力の固有魔法で相手を認識したが、更に深まった謎に警戒を更に強める。

 

「一体、あれは……」

 

 

「こちら一条、目標地点に奇妙な人物を発見!」

『あの、奇妙って?』

「足に変なユニット付けた赤毛の女の人が空飛んでる!」

『はあ?』

『おい一条、エリーゼ、気は確かか?』

「確かです大佐! 今映像送ります!」

 

 オペレーターのみならず、指揮官にすら正気を疑われるような報告に、自分の目すら疑いながらも、再度二機のソニックダイバーは目標に近づいていった。

 

『………おいおい、ありゃ何だ』

『え~と、確かにエリーゼの言った通りですね………』

「大佐! 指示をお願いします! どう見ても人間ですが………」

『頭と腰に生えてる物以外はな。通信は?』

「それが、何か発しているのですが、どうにも上手く拾えません」

『よし、速度をあわせて接触してみろ。サインを忘れるな』

「了解」

 

 ゴールドの機体のソニックダイバーは謎の人影の前に出ると、そこで戦闘用強化外骨格形態のAモードに変形、速度を落としながら翼を左右に振って戦闘の意思無しのサインを送る。

 

 

「変形した!? けどあれは……降伏サイン?」

 

 謎の機体が自分の前に出て戦闘機での降伏サインらしき物を出すのを見た赤毛の少女は、手にしたMG42機関銃にセーフティーを掛けると、それを背負ってこちらもストライカーユニットを左右に振って戦闘の意思が無い事を示す。

 それを見た謎の機体が、その場に直立して静止、両者は互いに近接した状態で空中に停止する。

 

「随分と大型のストライカーユニットね」

「それはこちらの台詞だ、何だその小型の飛行外骨格は」

「私はカールスラント空軍JG3航空団司令・501統合戦闘航空団 《ストライクウィッチーズ》隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐」

「私は統合人類軍 極東方面第十八特殊空挺師団・ソニックダイバー隊リーダー、一条 瑛花上級曹長」

『……それどこの部隊?』

 

 きせずして、双方の紹介の後に全く同じ台詞を二人は発する。

 

「瑛花~、大丈夫そう?」

「向こうも敵意は無い。こっちは同じくソニックダイバー隊のエリーゼ・フォン・ディートリッヒ」

「ミーナよ、よろしく」

 

 赤毛の少女、ミーナがにこやかに手を差し出すのを、幼い容姿の金髪の少女、エリーゼがいぶかしみながらも握り帰す。

 

「所でここはどこかしら? 私達はロマーニャ上空を飛んでたはずなんだけど………」

「ロマーニャ? ここは太平洋のど真ん中よ?」

「太平洋!? ウソでしょ!?」

「本当だ。そもそも、お前はそんな奇妙な物でどこから飛んできたんだ?」

「? ストライカーユニットを見た事が無いの?」

「……大佐、接触には成功しましたが、訳の分からない事を言ってます」

『………どうしたもんか』

 

 対応に困った瑛花が隊長に指示を求めるが、通信機からはため息が帰ってくる。

 その時、突然アラームが鳴り響く。

 

『ワーム反応! そこから南西500m! D-クラスです』

「それなら、私とエリーゼだけで対処できるわね」

『ええ……! 待ってください! 誰か交戦中です!』

「誰が!?」

 

 オペレーターからの言葉に、瑛花が驚きながらも反応のあった方向、そこから微かに見える戦闘の銃火らしき物を捕らえる。

 

「私の仲間かもしれないわ! 行きます!」

「ちょっと待て! そんな火器じゃ…」

 

 静止の声も聞かず、ミーナがそちらへと向かう。

 

『一条、エリーゼ、すぐに向かえ! どうやら中佐殿はそんなに速度が出ないようだ!』

「了解!」

「行くよバッハ!」

 

 ミーナの後を追った二機だったが、相対速度の違いで即座に追い越す。

 即座に目的地についた所で、また異様な光景を二人は目撃する。

 

「この、この!」

 

 小型のワーム複数相手に、一人の少女が戦っている。

 少女はソニックダイバーともストライカーユニットとも違う、小型の戦闘機のようなユニットを腰かけるような姿で駆り、ワームと互角の戦闘を演じていた。

 

「今度は何だろ?」

「知らないわ。雷神エンゲージ、交戦に入ります!」

 

 思わず投げやりに言いながら、瑛花のソニックダイバー《雷神》が両肩の20mmガトリングを連射する。

 

「バッハ、行くよ! MVランス!」

 

 エリーゼのソニックダイバー《バッハシュテルツェV‐1》が分子振動槍《MVランス》を抜いて熱帯魚のような姿をした小型ワームを貫いていく。

 

「あ、スカイガールズだ!」

「そこの貴方! 危ないからどいてなさい!」

「そういう訳には行かないんです! これは亜乃亜のお仕事ですから!」

 

 戦闘機型ユニットを駆る少女、亜乃亜が胸を張って言いながら、ワームに攻撃を続ける。

 

『ワーム、残数5、4、あと3体!』

「これで2!」

「ラスト!」

 

 最後の一体を雷神の大型ビーム砲が貫いた瞬間、突然ワームが半分に分裂して襲い掛かってくる。

 

「しま…」

 

 予想外の攻撃に反応が遅れた瑛花だったが、飛来した銃撃が分裂したワームを貫き、爆散させる。

 

「合体分離型ね、気付かなかった?」

「助かった、ありがとう」

 

 銃撃を放った相手、ミーナに礼を述べつつ、瑛花は周辺を確認。

 

「敵影無し、戦闘終了」

「で、この人はアンタの仲間?」

「いいえ、初めて見る人ね」

 

 エリーゼが亜乃亜を指差し、ミーナは首を傾げる。

 

「貴方、所属組織と階級は?」

「あ、はい! 秘密時空組織「G」所属天使、空羽(あおば) 亜乃亜です」

『…………』

 

 その場に、微妙な沈黙が降り立つ。

 

「………大佐。指示を」

『もう全員連れてこい。艦長には適当に言っとく』

 

 思いっきり投げやりな指示を出して、通信が切れる。

 

「……それじゃあ、色々話したいから母艦に来てほしいんだけど」

「仲間を探すのには、そちらに一度行った方がいいみたいね」

「う~ん、必要の無い接触は禁止なんですけど、必要かな?」

「もうエリーゼ訳わかんない!」

「私もよ……」

 

 深くため息を吐き出しながら、瑛花は飛行速度ギリギリでミーナと亜乃亜をエスコートして母艦である特務艦攻龍へと向かった。

 

「見た事の無いタイプの船ね」

「改装だけど、新型だからね」

「これが攻龍ですね。ニュースで見ました」

 

 二期のソニックダイバーが着艦する後ろで、ミーナと亜乃亜も着艦する。

 

「ふう」

 

 一息ついたミーナがストライカーユニットを外し、その頭と腰にあった灰色狼の耳と尻尾が消える。

 

「へ~、それ本当に生えてるんだ」

「あら、ウイッチを見るのは初めて?」

 

 興味深そうに見る亜乃亜にミーナは微笑むが、そこで攻龍のメカニック達が二人のユニットに集まってくる。

 

「おいおいまたかよ……」

「また、って?」

「いやさっきも音羽が連れて来たのが」

 

 ストライカーユニットをしげしげと見ていた男性メカニックが、開いている格納庫ハッチの向こう、置いてある一組のストライカーユニットを指差す。

 

「ファロット G.55S、という事は…」

 

 

 

「ルッキーニさん!」

「びわーーーー!!」

 

 案内された食堂に入った所で、耳をつんざくような鳴き声が響き渡る。

 その鳴き声の主、幼い容姿の褐色黒髪の少女が、周囲もはばからずに泣き続けている。

 

「あ、貴方の仲間?」

「ええ、ロマーニャ公国空軍第4航空団第10航空群第90飛行隊・501統合戦闘航空団 《ストライクウィッチーズ》のフランチェスカ・ルッキーニ少尉よ」

「少尉? これが? 冗談でしょ?」

 

 食堂内にいた瑛花が耳を塞ぎながら少女、ルッキーニを見る。

 

「と、とにかく泣き止ませて!」

「見つけた時からずっと泣き通しで……」

「びーーーー!!」

 

 ルッキーニの右側で耳を塞いでいる茶髪ボブカットの元気そうな少女、ソニックダイバー隊《零神》のパイロット桜野 音羽が悲鳴を上げ、左側でなんとか泣き止ませようとする灰色の髪をツインテールにした大人しそうな少女、ソニックダイバー隊《風神》のパイロット園宮 可憐が困り果てた顔をする。

 

「どうしたの? ルッキーニさん」

「ミーナ隊長……シャーリーが、シャーリーが見当たんない~……!」

 

 ミーナの問いに僅かに鳴き声を小さくしたルッキーニだったが、再度大音量へと戻る。

 

「シャーリーって?」

「ルッキーニさんとコンビを組んでるリベリオン空軍の少尉なんだけど、見かけなかった?」

「いいえ、周辺には他の人の反応は全く……」

「びーーーーー!!」

「弱ったわね……シャーリーさん以外にルッキーニさんをなだめるとしたら……」

「あの、いいですか?」

 

 そこへ、メガネをかけた軍服姿の少女、ソニックダイバー隊のオペレーターを勤める藤枝 七恵が様子を見に訪れる。

 

「冬后大佐が話を聞きたいから作戦会議室に全員来て欲しいそうですけど………」

「この状態で?」

「う~ん」

 

 一向に泣き止まないルッキーニに、全員がほとほと困り果てる。

 ふとそこで、ミーナが七恵の事をじっと見つめていた。

 

「え~と、ちょっといいかしら?」

「はい? 私ですか?」

「こっちに来て、ルッキーニさんの後ろに立ってもらえる?」

「こうですか?」

 

 にこやかに微笑みながらのミーナの提案に、若干の不信感を覚えながらも七恵が言われた通りにルッキーニの背後に回る。

 

「身長差を考えると、これくらいかしら……そのまま両足をしっかりと踏ん張っててね」

「え?」

「はい」

 

 言われた通りにした七恵を確認したミーナが、いきなりルッキーニを軽く押し倒す。

 バランスを崩したルッキーニがそのまま後ろの七恵、正確にはその豊かな胸へと後頭部から倒れこみ、頭をうずめるような形で支えられる。

 

「きゃっ!?」

「う~……」

「あ、止まった」

「……なんで?」

「あの、恐らく………」

「胸?」

「え? ええ?」

「うじゅ~~」

 

 先程までの泣きっぷりがウソのようにルッキーニが泣き止み、ソニックダイバー隊も呆気に取られる。

 いきなりの事に七恵が混乱するが、ルッキーニは更に頭を動かし、七恵の胸に更に埋めていく。

 

「うじゅ………」

 

 だが、動きが止まるとなぜかその顔に不満そうな表情が浮かぶ。

 

「あの、何か?」

「シャーリーより小さい………」

 

 ルッキーニの一言に、ソニックダイバー隊全員が氷像と化した。

 

「小さい? 小さい?」

「七恵さんが?」

「ウソ、そんな………」

「よ、世の中上には上が……」

 

 四人全員が力を失って崩れ落ちそうになるが、かろうじて堪える。

 

「ルッキーニさん、落ち着いた?」

「うん……」

「シャーリーさんや、他の皆は?」

「分かんない。気付いたら、一人で飛んでた」

「私と同じね。だとしたらみんなも?」

「あ、そう言えば遠くの方に反応があったような………てっきりノイズかと」

「お~いお前ら何やってんだ?」

 

 悩む皆の所に、フライトジャケット姿に無精ヒゲの男がふらりと姿を現す。

 そこで、ルッキーニが七恵の胸に埋もれているのを見て男は更に微妙な表情になる。

 

「ホントに何やってんだ?」

「あの、こちらの事情で………失礼ですが、貴方は」

「この人がソニックダイバー隊の部隊指揮官、冬后(とうごう) 蒼哉(そうや)大佐です」

「それは失礼しました。501統合戦闘航空団《ストライクウィッチーズ》隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐。こちら部下のフランチェスカ・ルッキーニ少尉です」

 

 敬礼をするミーナに、男、冬后は返礼しながら、顔をしかめる。

 

「冬后だ。で、501ってのはどこの部隊だ? オレはそんな部隊、全く知らん」

「え……501は現在ロマーニャ上空のネウロイの巣対処のために行動中ですが……」

「だから、2072年に人類統合軍が出来て以来、そんな部隊は存在しねえって」

「2072年!? 私達がいたのは、1945年です!」

「………は?」

「え?」

「1945年って言うと………」

「第二次世界大戦が終結した年です……」

「世界大戦? ネウロイ大戦とは呼ばれる事もあるけど……」

「待て、ネウロイってのは何だ?」

「え、ネウロイを知らない?」

 

 全くかみ合わない双方の会話だったが、そこで食堂の隅で勝手にもらったクリームソーダを味わっていた亜乃亜がポンと手を叩く。

 

「なるほど、謎の転移反応って貴方の事だったんですね」

「転移反応?」

「はい。今回「G」から受けた指令は、太平洋上にあった謎の転移反応を調査する事。質量は小さいみたいですけど、エネルギー総量の大きさから、時間軸だけじゃなくて次元軸まで飛んだ可能性があるって言われました~」

「………つまり、どういう意味だ?」

「つまり、そこのリーネさんとルッキーニさんでしたっけ? 貴方達はこの世界の人間じゃなくて、別の世界の人間なんですよ」

「えっと、それってパラレルワールドって奴?」

「そんな馬鹿な事があるわけ無いじゃない!」

「じゃあ、その二人の力と装備はどう説明します?」

 

 驚く音葉の隣で瑛花が否定するが、亜乃亜の断言に言葉を詰まらせる。

 

「……おい、誰か夕子先生呼んできてくれ」

「り、了解……」

 

 冬后の船医を呼ぶ提案に、可憐が引きつった顔をしながら返礼した。

 

 

30分後 攻龍医務室

 

「三人とも脳波異常無し、精神鑑定正常、肉体的には極めて健康体ね。ミーナさんは少し硬直性疲労が見られるけど」

「最近デスクワークばっかりだったから………」

 

 攻龍の船医とソニックダイバー隊専属医療スタッフを兼任するメガネの女医、安岐 夕子が一通りの検査結果を出す。

 

「つまり、どこにも異常無し」

「そうね、妄想癖や解離性障害の兆候は皆無。なんなら、心拍計でもウソ発見機に使う?」

「でも夕子先生、さっき尻尾生えてたけど……」

「尻尾?」

「これの事?」

 

 エリーゼが指摘すると、ルッキーニが使い魔の黒い毛並みの耳と尻尾を出してみせる。

 

「ちょっと触ってみていい?」

「いいよ」

 

 少しキョトンとした顔で夕子がルッキーニの耳と尻尾を撫でてみる。

 

「こんな物、検査の時は無かったのよね……」

「ウイッチは魔力を行使する時、使い魔の特徴が現れるんです。こんな感じに」

 

 ミーナも自分の耳と尻尾を出して見せるが、夕子はしばらく考えてから検査機材のスイッチを入れる。

 

「ルッキーニちゃん、ちょっとそこに立ってみて」

「こう?」

 

 スキャナーの光がルッキーニをスキャンし、その結果が医療用コンソールに現れる。

 

「あら?」

「どれどれ」「どうなってるの?」「ちょっと見せてください」「エリーゼが見えない~!」

 

 ソニックダイバー隊も興味津々で覗き込むが、そこには耳と尻尾のある場所に影らしき物があるだけだった。

 

「これから見ると、物理的実体が無い事になるけど……」

「え? あるじゃん」

「だよね」

「ちょ、ルッキーニの引っ張っちゃや~!」

「実体のあるエネルギー体? そんな物……」

「そろそろいいか?」

 

 外で検査が終わるのを待っていた冬后が医務室内に入ってきて、ルッキーニの耳と尻尾を弄り回すソニックダイバー隊を見て呆れた顔を浮かべる。

 

「何やってんだ?」

「冬后さん、これ本当に生えてるんですよ」

「不思議ね、どうなってるの?」

「で、夕子先生の診察結果は?」

「彼女達の言ってる事は、間違いなく本当だろうって事ね」

「……マジかよ」

「あ、冬后さん。こっちも結果上がりました」

 

 頭を抱える冬后の所に、音羽の駆る《零神》の専属メカニック、橘 僚平がレポートを持ってくる。

 

「ストライカーユニットの方は、部品単位なら確かに130年位前の技術ですが、起動原理が分からないそうです」

「分からない?」

「エンジンはあるんすけど、燃料庫がどこにもないんです」

「それはそうよ。ストライカーユニットはウイッチの魔力で動くんだから」

「魔力って、マジ? ああ、それとそっちの方のユニットなんですけど、こちらは丸で見た事無い部品と技術の塊で、こちらも起動原理はさっぱり……」

「ライディングバイパーは天使のプラトニックパワーで動くから」

「……夕子先生、すいませんがオレも見てください。頭痛薬と胃薬がもらいたいんで」

「私も検査結果疑いたくなったわ………」

 

 自分達の常識が通じないような結果に、冬后と夕子も思わずため息をもらす。

 

「亜乃亜さん、でしたわね?」

「なあに?」

「転移反応っていうのは、他にもあったの?」

「え~と、この近隣に四つ。二つはミーナさんとルッキーニちゃんだから、あと二人いるかもしれません」

「じゃあ、シャーリーいるかもしれないんだ!」

「可能性はあると思いますよ」

「まだいんのかよ………」

 

 本気で頭痛薬の使用を考え始めた冬后だったが、そこで携帯端末がコール音を鳴らす。

 

「はい冬后」

『冬后大佐、回収した不審者の方はどうなってる』

 

 端末の向こうから、厳しい声が響いてくる。

 

「副長、それがなんと報告したらいいのやら……」

『回りくどい事はいい。要点を言いたまえ』

「要点と言われましても……」

 

 根幹から理解不可能な事態に、冬后は頭を掻き毟りながら言葉を濁す。

 

「あれ通信機? 魔導インカムでもないのに、あそこまで小さくなってるのね」

「まあ、技術格差から言えばそうなりますね」

「それより、副長になんて説明する?」

「そのまま言ったら、怒られちゃうよね?」

「エリーゼだって信じられないのに、あの副長絶対信じないよ」

「つっても、どうにか説明しねえと……」

 

 上官への説明に苦悩するソニックダイバー隊を見ていたミーナだったが、ふと何かを思いついたのか、しどろもどろになっている冬后のそばに近寄り、その肩を叩く。

 

「何だ、今ちょっと立て込んでるだが」

「ちょっとお貸し下さい大佐」

 

 半ば強引に端末を手に取ったミーナが、見様見真似で話しかける。

 

「失礼致します、この船の上官の方でしょうか?」

『副長の嶋だ。君は?』

「私は501統合戦闘航空団《ストライクウィッチーズ》隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」

『501? そんな部隊は聞いた事もないぞ』

「こちらも状況を説明したいのですが、部下が数名、近隣空域で遭難している可能性があります。指揮官として、部下の救助に向かわなくてはなりません。誠に失礼なのですが、この船から発艦及び、有事の際の救援をお願いいたしたいのですが」

『待て! この船は特務艦だ! 早々何者とも分からん連中を…』

『許可しよう』

 

 通話の途中で、別の随分と年のいった男性と思われる声が割って入る。

 

「貴方は?」

『攻龍艦長の門脇だ。遭難している者がいるのなら、見過ごす訳にはいかんだろう』

『しかし艦長…』

『太平洋の真ん中で遭難者を無視しろというのかね? それこそ出来ん話だ』

「ご配慮感謝致します、艦長」

 

 見えないにも関わらず、敬礼をしたミーナは冬后に端末を返す。

 

「それじゃあ、こちらも遭難者捜索のため、出撃します」

『……あまり時間をかけるな。ソニックダイバーの運用にどれだけ経費が…』

 

 副長のグチを最後まで聞かず、冬后は端末を切る。

 

「上官のあしらいが上手いな、あんた」

「こういうのって、時代が変わっても似たような物のようね」

「違いない」

 

 感心した声を上げる冬后に、ミーナは小さく笑みを浮かべ、冬后も思わずそれに続いた。

 

「じゃあさっきと同じ編成、一条はエリーゼと、桜野は園宮とに別れて捜索に向かえ」

「了解しました」

「亜乃亜さん、反応があったポイントを転送してください」

「ええと、ちょっと待ってて」

「ルッキーニさんはそちらのチームと一緒に行って」

「シャーリーどこかな?」

「ま、とにかく行ってる間に艦長と副長にはどうにか言っておく」

「それではお願いします」

 

 敬礼して出撃のために向かう少女達を見送った後、冬后は思いっきり顔をしかめさせる。

 

「さて、ああは言った物の、なんつえば言いか………」

「カルテ持って行くといいわ。少しは信憑性出るから」

「だといいが……」

 

 船医から渡されたカルテを手に、冬后は必至になって説明文を考えていた。

 

 

 

「出撃します!」

「行っくよ~!」

 

 二つのストライカーユニットの魔導エンジンの出力が上がり、真下に光の魔法陣が浮かび上がる。

 動き出したユニットにあわせて魔法陣も動き出し、やがて推力を得るまでに高めて二人のウイッチが飛び上がる。

 

「一体どういう仕組みやろ?」

「さあ……」

 

 格納庫からその光景を不思議そうに見ている雷神の専属メカニック・御子神 嵐子と可憐の風神の専属メカニック・御子神 晴子、性格が正反対の双子姉妹が珍しく同じ表情でウイッチ達を見送る。

 

「亜乃亜、ビックバイパー行きま~す♪」

 

 それに続いて、亜乃亜のライディンバイパーが垂直に浮上したかと思うと、一気に加速してウイッチ達に続く。

 

「あっちもどうなってんやろ?」

「さあ……」

 

 メカ専門の自分達の知識外にある機体に種々な興味を抱く中、攻龍のカタパルトが展開していく。

 

「雷神 一条、発進!」

「風神 園宮、出ます!」

「零神 桜野、ゼロ行くよ!」

「バッハ エリーゼ、テイクオフ!」

 

 続けて四機のソニックダイバーが連続してリニアカタパルトで射出されていく。

 

「全機Aモードにチェンジ、相対速度を向こうに合わせて」

「了解!」

「レシプロ機位の速度しか出ないみたいですし……」

「それ以前に、どうやってあんな変なので飛んでんだろ?」

 

 瑛花の指示で、先に出たウイッチ達を追い越した所で四機とも近接戦闘用の外骨格モードに変形、所定のチームに分かれる。

 

『それじゃあ、反応の出た周辺地帯を1km単位で捜索、見つからなくてもナノスキン限界五分を過ぎた所で帰還しろ』

「了解しました」

 

 冬后からの指示の元、捜索が開始された。

 

 

「まったく、この大事な時に奇妙な物を拾ってきおって………」

「仕方ありませんよ副長、ほっておく訳にもいきませんし」

「ストライクウィッチ、とか名乗っていたか。そんな物、聞いた事も無いぞ」

「確かに……」

 

 愚痴をもらす初老の副長をオペレーターの七恵がなだめるが、その隣の通信士の速水 たくみも首を捻る。

 

「あっちのちっこいビックバイパーに乗ってるのは、秘密時空組織「G」所属天使とか言ってたな~」

「「G」? Gの所属と名乗ったのか?」

 

 冬后の呟いた言葉に、それまで無言だった老齢の艦長が反応する。

 

「艦長、何かご存知で?」

「少しな」

 

 副長の問いに相槌だけ打って、艦長が再度黙り込む。

 

(まさか「G」の関係者がこの船に乗り込んでくるとは……一条提督の判断を仰ぐ必要があるか?)

 

 中将の地位にある自分の判断すら簡単に下せない状況になりつつある事を、艦長は己の胸の中に潜ませた。

 

 

 

「悪いわね、手伝ってもらって……」

「遭難者の捜索なら、断る理由も無いわよ」

「でも、もうちょっと速く飛べない?」

「巡航速度としては、これくらいが限度ね……魔力消費を考えないんならもう少し出るんだけど」

「ちなみに、魔力とやらが切れるとどうなる?」

「魔導エンジンが停止して海に落ちるだけよ」

「は~、結構難しいんですね~」

 

 一番遅いミーナにあわせて皆が飛ぶ中、皆が口々に色んな事を喋る。

 

「この速度だと、捜索時間はあまり取れないかもね」

「時間制限があるの?」

「エリーゼ達はナノスキンジェルを塗布して擬似生体バリアを張って飛んでるの。でも、21分32秒しか持たなくてさ~」

「よく分からないけど、だとしたらウイッチよりも行動可能時間が短い訳ね」

「こっちはそんな事ないけどね~」

 

 のんきな亜乃亜の言葉を聴きながら、瑛花は雷神のセンサー出力を最大にしていく。

 

「エリーゼ、そちらのセンサーに反応は?」

「今の所は何も?」

「こっちの通信もダメね……」

「もう直ポイントのはずだけど……」

 

 それぞれが捜索を始めるが、人影は見当たらない。

 

「う~ん、ホントにここ?」

「飛んで何処かに移動したのかも」

「ありえるわね……でもどっちかしら?」

「周辺を旋回しながら半径を広げていこう。それほど遠くには行ってないはずだ」

「そうね、目標も何も無いと近くにいるはず」

 

 編隊を組みながら、反応のあったポイントから渦を描くように四機は飛行して捜索を進める。

 

「ん? 待て何か反応がある!」

「こっちもよ、通信みたいだけど、弱くて誰かまでは……」

 

 静止して僅かに入る通信ノイズを瑛花とミーナは確かめる。

 

「エリーゼに任せて。さっきタクミにあんた達の周波数用のプロトコル組んでもらったから」

 

 エリーゼが通信ノイズを拾い、それを解析させる。

 

「可憐の風神だったらもっと鮮明に拾えるんだけど……」

「向こうに行ったから仕方ないし、っとこれでOK」

 

 プロトコルを展開し、ついでに外部スピーカーに繋げたエリーゼが通信を入れる。

 

『サーニャサーニャサーニャサーニャァァァ!! どこだサーニャ~!!』

 

 いきなり飛び込んできた泣き声に、ミーナ以外の三人が目を丸くする。

 

「何これ?」

「誰か探してるみたいだけど……」

「間違いないわ、スオムス空軍飛行第24戦隊第3中隊、エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉よ」

 

 少し赤面して咳払いしながら、それが仲間の物である事をミーナが確認する。

 

「あの、サーニャって?」

「エイラさんとコンビを組んでるオラーシャ帝国陸軍586戦闘機連隊、サーニャ・V・リトヴャク中尉の事ね」

「……失礼だが、501とやらはこんな連中ばかりか?」

「いやまあ、そうとも言い切れないけど……」

「あ、こっちでも位置分かりました。南東の方向、こちらに向かってきます」

「それじゃあ迎えに行くか」

「そうね」

 

 何か恥ずかしい所ばかり見られているのに困りつつ、亜乃亜が示した方向にミーナは向かった。

 やがて、雪色の髪を無造作に伸ばし、何か不安定な機動をしているウイッチの姿が見えてきた。

 

「エイラさん、聞こえてる?」

『ミーナ隊長!? サーニャが、サーニャが見あたらナイんだ! さっきまでいたのに!』

「落ち着いて。私はそちらから見て7時の方向にいるから、合流しなさい。他にも捜索している人達がいるから」

『え?』

 

 こちらを向いたエイラの顔を確認しようと瑛花とエリーゼがカメラを望遠にするが、そこに涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔がアップになって思わず呆れ果てる。

 

「さっきよりひどいな……」

「ひよっとしてウイッチってこんな連中ばっか?」

「まあ、変わってる子は多いけど……」

 

 反論できない状況にミーナが乾いた笑いを漏らす。

 

「ミーナ隊長~~~~サーニャが~~~」

「分かってるから。もう一つ反応があった方向にはルッキーニさんが向かってるから、ね」

 

 とめどなく涙を流すエイラに合流したミーナが、なんとかなだめようとする。

 

「こちら一条、遭難者一名発見。一応大丈夫のようです、身体的には」

『身体的って事は、精神的に何かあんのか?』

「……後で説明します」

 

 冬后からの質問に答える気力もなくしつつ、瑛花は再度センサーのレベルを上げる。

 

『こちら可憐、何か奇妙な電波を拾いました』

『奇妙?』

『ええ、何か独特の波長でして、今解析してますけど……出ました』

 

 可憐からの通信の後、その謎の電波が通信に流れてくる。

 それは、静かで、透明な少女の歌声だった。

 

『これは……』

「サーニャだ! これはサーニャの歌だ!」

 

 耳ざとくその歌声を聞いたエイラの顔に喜色が浮かぶ。

 

「間違いないわ、これはサーニャさんの固有魔法よ。位置は?」

『そちらから見て北東20kmくらいです』

「サ~~~ニャ~~~!!」

 

 可憐からの返答を聞くと同時に、エイラが急加速で飛び出していく。

 

「ちょっとエイラさん!」

「方向ピッタリです。あ、ちょうどその位置に島がある」

 

 亜乃亜が上空衛星にコネクトして得た情報を確認すると、四機でエイラの後を追いかける。

 

「あそこか」

「! 誰かいる!」

 

 無人島と思われる小さな島、そこにある僅かな砂浜に立っている人影をバッハのカメラで捕らえたエリーゼは画像を拡大。

 砂浜に立ち、静かに歌っている緑の瞳とグレイの髪の少女を確認するが、彼女の頭の両脇にアンテナのような光が浮かんでいるのに首を傾げる。

 

「このアンテナも魔法って奴?」

「リヒテンシュタイン式魔導針の事ね。サーニャさんはそれで周囲の状況を感知できるの」

「生体レーダーという訳か」

 

 島の間近まで近づいた所で、エイラがサーニャに飛びつくようにして抱きついてるのを見た瑛花は、クスリと小さく笑って速度を落とす。

 

「亜乃亜、他に反応は無いのね?」

「問い合わせてみたけど、無いよ」

「四人、501小隊は全員で11人……」

「7人も足りないの!?」

「ひょっとしたら時間軸がずれてるか、それとも別の世界に飛ばされたか……」

「別の、世界?」

「話は後だ。全機帰投」

『了解!』

 

 今後の事を考えるのは後回しにして、瑛花を先頭に全員が攻龍へと向かった。

 

 

 

「2084年!? 本当カヨ?」

「私もまだ信じられないけど、本当みたい」

「そういや、変なストライカーユニットだと思ったケド……」

「今更!?」

「私は信じる。皆を探してた時、変な電波あちこちから感じた。あれの通信だったんだ………」

「サーニャがそう言うのなら……」

「そこで信じるんだ……」

 

 シャワーを借りてから再度食堂に集まったウイッチ達が、現状の説明を受けて愕然としていた。

 

「で、どうやったら帰れるンだ?」

「どうすればいいの? 亜乃亜さん?」

「え~と、それが私もこんなケース初めてで、今本部に問い合わせてるんだけど……」

「そちらの出方待ちって事ね」

「それまで、攻龍に居てもらうしかないだろう」

「でも、副長がどう言うか……」

「艦長がOKだとよ」

 

 瑛花と可憐が悩んだ所で、そこへ現れた冬后が意外な事を告げる。

 

「よろしいんですか大佐? 私達はそちらと命令系統その物が違いますが……」

「オレもよく分からんが、そっちのが「G」所属って言った途端、艦長が艦内での自由を認めるとか言い出してな。何がなんだか……」

「ホントですか!? 良かった~、しばらくその場で待機とか無茶言われてたんです~」

「あ、でも部屋どこか開けないと」

「7号船室空いてたろ、物置になってたが」

「じゃあお掃除しないと」

「寝るとこ無いと大変だからナ~」

「! 待って、何か来る」

 

 音羽の提案で食堂を出ようとした時、サーニャの魔導針が展開して食堂の入り口を指差す。

 

「貴方達ね、急に現れたって言うのは」

 

 食堂に一人の若い女性士官が姿を現す。

 だがサーニャはその後ろ、褐色の肌を持ったサーニャ以上に物静かそうな少女を見ていた。

 

「その人、人間だけど、人間じゃない?」

「……変わった周波数を出してる。貴方は誰?」

 

 白と褐色、見た目は対照的だが、どこか似た少女が互いを見つめあう。

 

「それが魔法という物かしら? 私は周王 紀里子、この船の艦内技術研究班。彼女は助手のアイーシャ・クリシュナムよ」

 

 女性士官、紀里子が褐色の少女、アイーシャを紹介するが、サーニャは警戒を解かない。

 どころか、それに続けてウイッチ達も警戒態勢に入り、エイラにいたっては使い魔の黒狐の耳と尻尾まで出して臨戦態勢になっていた。

 

「ちょ、ちょっと待った!」

「アイーシャは敵じゃないよ!」

「彼女は、ソニックダイバーの開発パイロットで、ナノマシンとの融合体なんです」

「普通の人間とは違う反応が出て当たり前だ。だから落ち着いてほしい」

 

 ソニックダイバー隊が慌ててアイーシャの周囲に回りこんで彼女を擁護する。

 しばし、そのまま緊張状態が続くが、サーニャが魔導針を引っ込めた所で緊張が解けた。

 

「ずっと歌が聞こえていた。あれはお前か?」

「うん」

「そうか」

 

 それだけ確認したアイーシャが、無表情なままその場を立ち去る。

 

「……そちらにも変わった子がいるのね」

「いやまあ……」

「彼女は特別よ、色々な意味でね」

「ま、色々あるだろうが、しばらくよろしく頼むぜ」

「こちらこそ」

 

 冬后が差し出した手を、ミーナが握り帰す。

 それが、これから始まる戦いへの同盟となる事を知る者は誰もいなかった………

 

 

 

『確かに「G」の所属と名乗ったと?』

「ああ、この目で確認もした」

 

 艦長室の中で、何重にもプロテクトのかかった秘匿直通回線を通し、門脇はある人物と話していた。

 

『まさか、そんな所で「G」が関わってくるとは……』

「今後の作戦の事もある。そちらの判断を仰ぎたい」

 

 通信の向こうの相手、日本海軍提督で瑛花の父親でもある、一条 瑛儀少将が顔をしかめる。

 

『今問い合わせているが、恐らく間違いは無いでしょう。だとしたら、密約の通りに動くしかない』

「「G」からの技術提供と引き換えの、行動黙認、あるいは協力、という事か」

『「G」の技術が無ければ、ビックバイパーも完成しなかった』

「「G」の天使と名乗った少女は、小型のビックバイパーのような物に乗っていた。あれがオリジナルという事か?」

『いや、あれもコピーとの噂があります。それを上回るオリジナルがあるらしいが、詳細は不明らしい』

「では、今後の攻龍の行動は?」

『向こうとの交渉次第だが、場合によっては作戦の一時中断及び、「G」への全面協力の可能性もありえます』

「一時中断? そこまでする必要が?」

『なぜ統合人類軍上層部が「G」の活動を容認しているか、聞いた事は?』

「いや」

『「G」が相手をしているのは、ワームよりも遥かに厄介な相手だという噂がある。統合人類軍を持ってしても困難な……』

「……つまり、我々がそれと戦わねばならなくなるという事になる、と?」

『かもしれません。一体何が起きるのかは全く不明でしょう。判断は中将に一任します』

「了解」

 

 そこで通信が途切れ、門脇はしばし考え込む。

 

「あの少女達に、一体何が待ち受けているというのだ………」

 


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