僕と騎士と武器召喚   作:ウェスト3世

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 今週は修学旅行で一週間居ないので次の投稿が少し遅くなるかもしれないです。

 出来れば予約投稿をするつもりですが…。


如月ハイランドⅡ

「遅い…」

 明久は如月ハイランド付近のコンビニで雄二たちが来るのを待っていた。しかし、待ち合わせの時間をとうに過ぎていた。

 待ち合わせは10時。しかし、今現在の時刻は10時半過ぎ。いい加減来てもいい時間なのだが誰も来る気配はない。

「…中で待つか…」

 仕方ないので如月ハイランドに入り中で待つことにする。

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 愛子に如月ハイランドに誘われた優子は入り口付近でずっと友人を待っていた。先程愛子は待ち合わせ場所に来たのだが、忘れ物をしたとかで優子に『如月ハイランド男女カップル券』を手渡し急いで家に戻ったきり帰って来ない。

 それにしてもこの『如月ハイランド男女カップル券』とは一体何だろうと優子は眉間にしわを寄せる。この券には男女カップル専用と書かれている。つまり、優子と愛子じゃこの券は使えないハズだ。そもそも何故彼女はこんな物を持っていたのだろうか?

 それにしても遅い。先程から携帯でメールを送っても返信は来ないし、電話をかけても出てこない。

「自分で誘っといてコレはどうなのよ!?」

 優子は次第にイライラしてくる。誘われた自分がどうしてこんなに待たなければならない?その気持ちあってのことだろう。

 特にすることもないのでボーッとしてると何処かで見たような少年がそこにいた。

「よ、吉井君…よね…?」

 優子は目をしかめながら言う。何故彼がここに居るのかが理解できなかった。

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

「うーむ…。」

 明久は迷っていた。中に入って待とうとしたが、彼は今、入園できるほどのお金を持っていなかった。

 そんな彼が如月ハイランドに行こうとしたのは雄二が「無料券持ってるからお前も来い」と言われたから来たのだが…。その肝心の彼がいないのでは入ろうとするにも入ることが出来ない。そこで明久は決心する。

「…帰るか…。」

 妥当な答えではある。お金がないのでは入ることは当然出来ない。それに雄二たちも待って来るような感じもしなかった。

 帰ろうと決心し、一歩踏み出した時だった…。

「吉井君ッ!?」

「…え?」

 聞き覚えのある声だった。顔を上げて見ると、そこには優子がいた。

 

 

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 暗い部屋。そこには遊園地の状況を把握するためにモニターが各場所を映し出していた。そこには雄二、秀吉、ムッツリーニ、愛子がいた。

 四人が目に留めていたのはある二人の人物だった。

「どうやら二人とも接触出来たみたいね…」

 愛子は嬉しそうにはしゃぐ。ただ人物と人物が接触しただけの話。そこまで喜ぶこともない。だが、このはしゃぎようは何か目的があってのことだろう。

「ここから作戦開始だな」

 雄二も何か楽しそうに言う。

 そしてムッツリーニがキザっぽくマイクで「作戦を開始する」という。

 一体彼達は何を企んでいるのだろうか…?

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 

「き、木下さん!?どうして此処に!?」

 明久は驚きのあまり声を上げる。しかし、そこで明久はあることに思い出す。

(ま、まさか…。監視役か!?こんな友人同士の遊びの中でも監視しちゃうのか!?)

 木下優子は吉井明久の監視役である。そのため優子がここに居るのも監視役という任務が理由だと思った。しかし、優子は明久の考えたこととは的外れなことを言う。

「何って、私は愛子…友達とここで約束してたんだけど…。」

「へ?」

(監視役の任務じゃなかったの!?)

 いや、でもよく見ると普段見る国家騎士のブレザーの制服ではなく、肩だしニットにミニスカート。明らかに私服だった。

 私服のせいか普段感じるピリピリとしたオーラはそんなに感じなかった。そう、何処にでもいる普通の女の子だ。

「吉井君こそ何でここに?」

 今度は優子が質問する番だった。当然、優子も明久がここに居ることには疑問があった。

「いや、今朝『フィーバーしてくる』って言ったと思うんだけど…」

 そういえば今朝、明久が家を出る前にそんなことを言ってたような気がする。しかし、フィーバーとは言っても何をフィーバーするのかよく分からない。どうやら如月ハイランドで遊ぶことを指してるようだが…。

「今朝、雄二達と近くのコンビニで待ち合わせしてたんだけど、中々来なくて…」

 明久は困ったように頭を掻く。

「そうなんだ…。」

 優子も同じような境遇だった。友人が忘れ物して家に戻り、それきり戻ってこない。

 優子は「ハア」とため息をつき何となく友人が残した「如月ハイランド男女カップル券」に目を見やる。

 すると、

「あなた、もしかしてこの券の持ち主ですか?」

 と近くにいた店員が尋ねてくる。

「ハイ、まぁ…。」

 友人に渡されただけで完全に自分の物とは言えない。優子は曖昧に返事をする。

 すると、店員は何故か目を輝かせて、

「この券があると今日一日どんなアトラクション、食事なども全部無料です。さぁ、どうぞどうぞ。」

 すると、明久と優子は無理やり店員に園内に放り込まれる。

「え?何で?」

 明久は一体何が起きたのか全く分からないそんな表情を浮かべる。優子も状況が上手くつかめなかったが…。

 しかし、優子の頬は少しずつ赤く染まっていく。

 なぜなら店員はカップル券を見て明久と優子を園内に勧誘した。それはつまり明久と優子がカップルということになる。ようするに今日一日彼と二人自由に遊べるということだ。

 そう分かった途端何故だか心臓の鼓動が止まらなかった。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

「どうやら作戦の第一段階成功ってところか…」

 雄二はフウと安心したかのように息をつく。

「しかし、まだ油断は出来ぬぞ」

 秀吉はモニターをジッと見つめる。

「うん、うん。まだこれはほんの序の口ってところだからね。本番はここからだよ。」

 愛子は楽しそうに言う。

「じゃあ、まずは『作戦A』を実行しよう。任せたぞムッツリーニ。」

「了解」

 ムッツリーニは変装し、カメラを装備する。

 

 

 ―――――――――――――――――――――――

 

 

 明久はう~んと頭を悩ませていた。

 券を持っていない上、料金も払っていないのに何故園内に入れたのか?明久は優子がカップル券を持ってたのを知らないゆえ、悩まされるのであった。

 実はもう一つ悩んでいることがあった。とりあえず中に入れても待ち合わせした雄二たちがまだ来ない。

「…………。」

 どうしようか…。

 そう考えてるとき偶然視線が優子と合う。そこで明久はピンと何かに閃いた。

「木下さん、どうせ雄二達来ないし、一緒に回ろうか…」

 明久は優子を誘うことにする。

 このまま悩んでも仕方ないと思った。このままでも時間が過ぎていくだけだ。

 それにこの誘いは優子にも悪い条件ではない。彼女も先程から友人を待っているが来ないという話だ。彼女にとってもこのまま待つだけなのは時間の無駄だ。

「う、うん。そ、そうだね」

 優子は頬を赤めて言う。

 普段ツンツンしてる優子にしては、しおらしい感じもしたが明久にとっては一緒に回る人物がいればそれで文句はないのでそこは気にしない。

 そして回り始めようとしたとき…。

「…写真はいかが…?」

 急に誰かに話しかけられる。見ると、男の店員が立っていた。頭はアフロでサングラスをかけていた…が、どこかで見たような顔でもあった。それに他の店員に比べ幼い感じもある。

 その少し怪しい店員はカメラを構えた。


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