ドラゴンボール○   作:ターバン

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 魔界から再び現れたのは超魔王カスタードに仕える光の魔王ラムネス。
 突然、人造人間17号や18号の目の前に現れあっという間に撃沈した。それでも彼には余裕があるように見える。
 二人を超魔王の生け贄に捧げるらしいのだが……、


其之六 「来たる脅威! カメハウスの危機!」

 ソファーの上で後退りするチョコット。亀仙人とクリリンは汗を垂らしながら気配のする方へ視線を注ぐ。

「……別に邪悪な気しねぇぞ」「え?」

 クリリンと亀仙人は緊張を解き、素っ頓狂の孫悟空へ顔を向けた。

「な、なんでだよ!! あんなおっとろしい女は他にいねーぜっ!!」

 慌てふためきながらチョコット首を振りながら家の隅で身を竦ませていた。

 それを聞いていたのか、バタンと玄関のドアが叩き開けられた。

 そして部屋に足を踏み入れたのは一人の少女だった。

 丸っこい目、銀髪を真ん中に分けて後ろの方へ結んで三つ編みにしている。翼を模したような二又のマント。

 レオタードのようなドレスにオーバーニーソックスで女性らしいセクシーさが醸し出されている。

 手甲を腰に当ててムスッとしていた。

 ツカツカと孫悟空らの間を通り抜け、怯みあがっているチョコットに歩み寄る。

「チョコットのバカァ――――!!!」

 反響した大声に思わずクリリン達は耳を塞いだ。

 少女は涙目でチョコットをポカポカ殴りつけていたのであった。

 それに対して少年は「あ、いてて! やめろよ!」と掌で必死に拳を防いでいた。

 馴染みの間柄だと見ていて分かる様子に亀仙人とクリリンは呆気に取られていた。

「あ、あらぁ~~!」

 はにかんだ笑みを見せる孫悟空。

 

「突然の失礼をすみません。このバカが何も告げずに逃げていったもので怒りを感じさせずにいられませんでした」

「凶暴なくせにこういうトコではいい子するんだから~」

 ペコペコと丁重にお辞儀する少女に、チョコットはぶすくれていた。

「うるさい!!」「いてっ!」

 怒り顔に豹変してチョコットを殴った。

「…………まるでブルマじゃのう」

 呆然と亀仙人は呟いた。

「あ、申し遅れました。このバカはチョコットで、私はキャディーです」

 一転して好印象の笑顔で会釈する。

 話によると、どうやら彼女はチョコットと幼馴染で一緒の村で育った仲だと言うらしい。

 勝手に村を飛び出したチョコットの気を探り当ててテレポートしてきたようだった。

 超魔王によって魔界が混乱に陥っている最中、置いていかれたのが今回の騒動の種になった。

「はぁ……こちらこそすまねぇ。勝手に連れて行ったし」

 後頭部を掻きながら孫悟空はキャディーに言うと、彼女は満面の笑顔で首を振る。

「いーえ、気になさらず」

 その笑顔のままでチョコットの頬をつねり上げていた。

「は、離せよぉ~……」

 涙目を滲ませながら情けない声で言った。

 その様はまるでカカア天下の夫婦みたいだった。

「ははは……」とみんなは乾いた笑いを見せた。

 

 その時、孫悟空は険しい目付きで急に立ち上がる。

「な、なんだよ……!?」

 彼の様子に驚いたクリリンは尻込みした。

「すげぇ……嫌な気を感じる。しかもつぇえ力を秘めている」

 明後日の方向へ視線を向けたまま、歯軋りする。鬼気迫る雰囲気がその顔から滲み出ていた。

 亀仙人も「う、うむ……確かに微かに感じるぞい」とサングラスを直す。

「え?」

 チョコットとキャディーは状況を把握していない。

 その時、近くに何か重いものが落ちてきたように軽い振動がカメハウスを襲った。

 砂浜にいたウミガメは「あわわ」と目の前の男におののいていた。

 目付きが鋭い不敵な面構え。黄色の肌が特徴的で頭上に生える複数の突起が目立っていた。

 孫悟空達が勢揃いで玄関から出てきたのを見計らい、ニヤリと笑む。

 

「ふっふっふ! 流石のパワーだ……。あの17なんとかって奴より遥かな栄養源になりそうだ」

 

 戦々恐々と雰囲気が満ちている最中、クリリンはワナワナと動揺に震えていた。嫌な汗が噴き出る。

 18号は弟である17号に会いにいくと事前に伝えていたのだ。

「18号をどうした――――ッ!!!」

 大声で張り上げるクリリンに孫悟空たちは反射的に振り向いた。

「……18ゴウ? 17とかなんとか叫んで向かってきた女の事かな? くっくっく生憎だったな」

 邪悪な笑みに口元が歪むのを見て、クリリンは怒りに支配された。額に血管が浮かび上がる。それを亀仙人は手で制止する。

「お主は……魔界の魔王と言う事じゃな?」

「いかにも! 光の魔王ラムネスだ!!」

 サングラスを光らせ亀仙人は冷や汗を垂らす。神々しく眩く金色の全身から邪悪な気が漏れている。

 だがそれでも亀仙人は気圧されまいと、気を奮い立たせ口から言葉を捻り出す。

「人造人間は気を感じない。……何故お主はそれを察知できたのじゃ?」

 クリリンもそれに気付き、ラムネスの方へ視線を向けた。ラムネスのハッタリだと信じたい、それが顔に滲んでいる。

 それを嘲るようにラムネスはニヤリと笑む。

 

「ふっふっふ、魔女様により我が魔王たちは新たな感知能力を備えているのだ。潜在的な高エネルギーを察知できる。今の貴様らのように気を抑えていても我々には誤魔化されぬぞ……」

 絶句する亀仙人たち。悟空も呆気に取られ、冷や汗が頬を伝う。

「ま、魔女……!?」

 キャディーは知っているのか身震いする。それを一瞥するラムネス。

 するとクリリンがドンッと地面に足を踏み出す。

「じゃあ18号はどうしたッ!!!?」

 拳を握って問い質す。怒りが今にも爆発しそうな面持ちだ。

 

「喜べ!! 超魔王カスダートプリンス様が永遠のエネルギーを得る為に犠牲になられた。フハハハハッ!!」

 ラムネスの笑む口から語られた残酷な結果。それにクリリンは激昂した。

「こ、このやろ――――――ッ!!!」

「ま、待ていッ!!!」

 亀仙人の阻止も空しくクリリンは飛び出し、怒りに握り締めた拳を振る。

 バシッ! 薙ぎ払われた手刀によってクリリンは吹っ飛び、海面を数度跳ねて噴水を噴き上げていった。

「クリリ……! おめぇッ!! 何すんだ!!」

 

「おや、丁度よく鬼の一族がいらっしゃる」

 怒りに満ちた孫悟空を無視して、チョコットへ視線を移す。

 鬼の少年と少女は恐怖で震え上がっていた。

「カスタードプリンス様は鬼の一族だけは丁重に迎え入れよとおっしゃっています。大人しく来て頂けますかな?」

「だっ誰が……!!」

 震えながらも強情に突っぱねるチョコットにラムネスは溜息をついた。

「ではそこの女……邪魔であれば消してよろしいので?」

 脅すような恐怖の笑みで見下ろす。恐怖で震えていたキャディーは腰を抜かしてへたり込む。

「かっ、かんけーねぇだろ!!」

 チョコットはそれでもキャディーの前へ立ちはだかり、身構えた。

 それを容赦なく拳をチョコットの腹に叩き込む。そして髪の毛を掴もうと手を差し伸ばす瞬間、孫悟空の蹴りが頬を捉えた。鬼の少年はそのまま尻餅をつく。

 

「おめぇの相手はオラがしてやるッ!!」

 

 金髪に逆立て、黄金のオーラを漲らせた孫悟空が仁王立ちで睨む。

 それを見てラムネスは口元の血を手首で拭う。

「ほう……。それではちとお手合わせを願うかな……」

 あくまで余裕そうに不敵な笑みを浮かべ、眼前の孫悟空へと対峙した。




 ついに孫悟空の元へラムネスが訪れた!? 激突は必死!!!
 気になるのは黒幕と疑わしい魔女の存在だ!

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