ドラゴンボール○   作:ターバン

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其之三 「最強の戦士 その名は孫悟空だ!」

 山吹色の道着を包んだ一人の男が精悍の眼差しを見せている。

 

「ご、悟空!!」

 

 うつ伏せになっていたクリリンは顔を上げて、その名を口にした。

 チョコットはそれを耳にして「ゴクウ?」と復唱した。

 仁王立ちで睨む孫悟空は「……ああ、オラは孫悟空だ」と頷いた。

「んじゃ、オレ様は鬼神チョコットだ! ヨロシクな」

 飄々とした感じで胸を張った。孫悟空は呆然とした。そして周りを見渡す。

 人の気配すらしない静寂。散乱した破片。無残にビルの残骸が転がる。

 倒れている人間はクリリン達ぐらいで犠牲になった町人はいなかった。

 ふうと安堵の息を漏らす。

 

「おめぇがどこから来たのかしらねぇ。だけどオラの親友を痛みつけた事だけは許せねぇぞ!」

 怒りに滲んだ拳を突き出す。

 ニヤリとチョコットは笑む。タンタンとフットワークして身構える。

 それに合わせて孫悟空も半身を前に、臨戦態勢を取る。

 

「行くぜ――――ッ!!!」

 

 チョコットは地を蹴り、その後から衝撃波が吹き上がった。

 孫悟空は見極め、突き出された拳を掌で受け止める。力比べしつつ睨み合った。

「だあっ!!」

 チョコットは振り上げた蹴りを放つ。が孫悟空は片方の腕を盾に受け止めた。

 一旦、間を離して再び両者はぶつかり合い、拳と蹴りの応酬で鬩ぎ合う。

「そんなものかよ?」

 チョコットの拳が孫悟空の腹を穿つ。「ぐふ……」腹を抱え仰け反る孫悟空。

 追い討ちと薙ぎ払う蹴りが孫悟空の頬を捉えた。

 そのまま吹き飛ぶが「界王拳10倍!!」と叫び、真紅のオーラを纏って舞い戻った。

「……と!」

 辛うじて真紅に包まれた拳を受け止めるチョコット。

 界王拳すら受け止める鬼の少年に孫悟空は驚きを隠せなかった。強敵だと肌で感じ取る。

「へっへっへ、ソンゴクウとやらなんか急に強くなったなー」

 余裕ぶって孫悟空の猛攻を凌いでいく。

「しゃあねぇ! 20倍だッ!!」

 ボウッと真紅のオーラが勢いを増し、強烈なフックがチョコットの頬を強打した。

「が……がっ!」

 吹っ飛ぶチョコットへ追い討ちをかけるべき更に加速。寸前で遠回りするように弧を描く。

 チョコットは身を翻し、咄嗟に孫悟空の拳を受け止めた。

「しゃあっ!」反撃に出るべき蹴りを放つが、孫悟空は遠回りして弧を描いた。

 しかしそれに食らい付くようにチョコットは瞬時に間合いを詰め、ドカッと孫悟空の顎を蹴り上げた。

 

「った~~~~!」

 顎を押さえながら、宙返りしつつ道路に着地した。

 宙に浮いたままチョコットは自信有り気に「へへ」と鼻下を指ですする。

 それでも息を切らしている鬼の少年に孫悟空は気付くと構えを解いて仁王立ちで突っ立つ。

 戦意を放棄したかのようなさっぱりした笑みを見せた。

「な、なんだよ~~~~! もう降参か?」

「いやぁ、正直ここまでとは思ってなかった。おめぇはホントにすげぇ奴だな」

 呑気な孫悟空の言葉にチョコットは「え? へへへ」と頬を赤らめて鼻を伸ばす。

 

「じゃあサービスとしてこちらも見せてやっからな」

 

 そう言うと、握り締めた拳を腰へ引き、前屈みに踏ん張りを利かせて「はあっ!」と一喝した。

 ボンッ! 周囲へ煙幕を吹き散らす。

「あ……お前……それ鬼神か!!?」

 チョコットは驚きに震えながら孫悟空へ指差した。

 孫悟空の黒髪は逆立った金髪へと変化していて、黄金のオーラが噴き上げていた。

 

「こいつがスーパーサイヤ人だ!」

「ス、スーパーサイヤ人!? 俺たち鬼の一族である"鬼神"じゃねぇのか!!?」

「詳しい話は後ですっぞ。んじゃ続きな」

 サッとチョコットは警戒深く身構える。しかし地上にいた孫悟空は姿を消していた。

 ズドン! 孫悟空の拳がチョコットの腹を深々と潜り込んだ。

「ご……がっ! がはっ……!!」

 予想以上の重い一撃に苦悶の声を上げ、頭上に生えていた立派な一本の角は引っ込み小さな二本の角に戻った。オーラは収まり、だらんと手足をぶら下げた。

「わりぃな。チョコット……」

 孫悟空は肩に抱えた鬼の少年に笑みを零した。




 界王拳デターw つうか出したかったんですw
 本当は30倍にまで引き上げたかったけど短めにするように切り上げました。
 ちなみにチョコットの戦闘力は孫悟天やセルjrよりチョビと弱い程度。
 ピッコロとどっこいどっこいかもしれませんw

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