私が希望ヶ峰学園から出られないのはモノクマが悪い!   作:みかづき

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新世紀銀河伝説再び! 装甲勇者を大地に立て! 中編②

「本気で掴みやがってあのメスゴリラめ」

 

ヒリヒリというより

クッキリと赤くなった手の箇所を擦りながら、私は娯楽室を出た。

赤い目を光らせながら腕を掴むとか、どこのホラー映画だよ。

こっちは完全に涙目じゃねーか。

無理だと思ってはいたが、想定以上のオチだった。

あの人、なんでも器用にこなす才能はあるけど、意外に脳筋だよな。

本当は、格闘技とかの方が向いてるんじゃないのかな。

まあでも、その分野ではあの人がいるから無理だろうけど・・・。

 

改めて今の自分の状況を客観的に見直してみる。

舞踏会にでるような中世ヨーロッパを連想させるゴスロリ系の服。

まるでこの時のために整えたような髪形。

手には”部員募集中”の紙。

 

とたんに恥ずかしくなってきた。

いや、ホントマジ無理。

晒し者ってレベルじゃねーぞ!どうしてこうなった!?

ぼっちでコミュ障の私が部員募集とか、どんな罰ゲームだよ!まあ、罰ゲームだけど・・・。

 

(クソ、あのクズどもが・・・!)

 

和やかに今の私の状況を談笑する山田とセレスさんの姿が脳裏の鮮明に映る。

ブザマに勧誘に失敗する私の姿を語り嗤うアイツらの姿が・・・。

クソ!だんだんとムカついてきた。

上等じゃないか!

いっそのこと本当に部員の一人でも勧誘してアイツらの鼻を明かしてやる!

追い詰められ変なテンションになりながら、私は1Fへ向かう階段を降りた。

 

(とりあえず、あの人達にアタックしてみるか・・・)

 

そんなことを思いながら、個室に向かう廊下で、偶然にもまさにそのターゲットに出会った。

 

「あ、智子ちゃんだ!こんにちわ!」

「うぬ、黒木か、久しいな」

 

朝日奈さんと大神さん。

 

高校生体育会の頂点に君臨する2人がこちらに向かって歩いてくる。

片手にバックを持っていることから、恐らく2Fのプールに向かうのだろう。

大神さんはトレーニング室かな?

午前中にいつも練習しているのは知っていたけど、

午後練もしているとは、なんというか・・・本当にさすがとしか言いようがない。

さすがオリンピック候補と世界最強の格闘家である。

いや、彼女達からすれば当たり前のことなんだけどね。

 

「ほえー智子ちゃん、カワイイ!どうしたのその格好!」

「え、あ、そ、その、ちょっとイメチェンしてみようと・・・うへへ」

 

朝日奈さんの言葉に顔を赤らめる。

裏表のない彼女がそう言ってくれたらならば、今の私・・・満更じゃない!?

 

「まるでセレスのようだな」

「まあ・・・ね」

 

大神さんの言葉で現実に戻る。

そうです。あのクソ女に無理矢理着せられました。

イジメです。私、今、イジメを受けてるんです!

そんなことを叫びたい衝動に駆られた。

だが、そんなことを言ってしまった日には、

この人を疑うことを知らない善人の2人は、

私を救出するために動き出すだろう。もう大騒ぎである。

それに、残念ながらイジメではない。

なんだかんだで、あれは正当な勝負であった。

実力差があり過ぎただけだ。

 

「ところでその手にもっている紙は何かな?」

「あ、え、えーとこれは・・・」

 

朝日奈さんの言葉で本業を思い出した。

そうだ。私はこの2人を勧誘にきたのだ。

脳筋とか、格闘家とか、ゴリラとか・・・

べ、別にそんな言葉から連想したんじゃないからね!

人柄を考えれば、まさに彼女達のような善人こそふさわしい人材。

そう思っただけだ。

 

「じ、実は・・・私達、部活やってって、ほ、ほら2Fの娯楽室で、娯楽部というのを」

「あ、最近聞いたよ、それ!確か山田とセレスさん達が何かやってるって!」

 

うん・・・あのクズどもとね。

 

「そ、それで、今、新メンバーを募集してて・・・あ、あの、も、もし、よければだけど・・・」

 

ドギマギしながら私は勧誘の言葉を口にする。

ふさわしい人材などと、何やら上から目線で言ってみたが、

冷静になり、常識をもって考えたならば、十中八九無理な話である。

相手は、あの朝日奈さんと大神さん。

高校生体育会系の頂点だぞ!何を間違えたら、娯楽部などに入ってくれると思ったのだ、私は!?

いくら善人だからと言っても、限度ってものがあるだろ。

 

「も、勿論、無理だとわかってるから・・・あの、その」

「うん、いいよ!」

「だ、だよね!いいよね!アハハハ・・・え!?」

 

あっさり断られたと思って、笑ってしまった直後、絶句した。

 

(え、いいよ・・・って言わなかったこの人?)

 

「さくらちゃんも一緒に入ろう!」

「ウヌ、構わぬぞ」

 

ニコニコ笑う朝日奈さんに大神さんが頷く。

え、何、この展開・・・?

予想外のことに私は絶句した。

1人くらいは・・・とは願ってはいたが、まさか2人も入部してくれることになるとは。

 

「兼部かぁ~中学時代が懐かしいな」

 

そう言って、朝日奈さんは、中学時代のことを語りだした。

すでに水泳部で全国レベルで活躍していた彼女は、その他にも

テニス部、バスケ部、サッカー部、果てはアイスホッケー部に所属していた。

 

「なんか頼まれたら断れなくて・・・」

 

当時のことを思い出し、悪戯っ子のように舌を出した。

どの部においても、助っ人というよりも、もはやエースとして活躍してしまったらしい。

まさに超高校級の彼女らしい逸話だった。

断れなかった・・・というのも、彼女の温厚な人柄を表していた。

今回の件も、そんな気持ちから引き受けてくれたのだろう。

うーん、本当にいい人だな。最初に彼女達を勧誘してよかっ・・・

 

「それになによりも・・・」

「ん?」

 

 

    ――――試合に勝つのって楽しいもん!

    

 

 

そう言って、笑う彼女からぶわっと何か闘魂のようなものを感じた。

 

(あ、あれ・・・?)

 

何か根本的なズレのようなものを感じ、私の背中に冷や汗が流れ落ちた。

 

「で、黒木さん。娯楽部って何をするところなの?教えて!」

「え、あ、そ、そうだね・・・え、えーと・・・」

 

嫌な予感のせいで反応が遅れてしまった。

娯楽部で何をやるか、か・・・。

あのクズどもとの思い出が脳裏を過ぎる。

 

「特になにも・・・部屋の中でだらだら喋ったり、ゲームしたり、お菓子食べるくらい・・・かな」

 

今までを振り返り、嘘偽りなく正直に語った。

そうだ・・・私達は特に何もしてはいない。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

マジマジと私を見つめた後、

一瞬、助けを求めるように大神さんに視線を移した後、再び、朝日奈さんは私を見つめた。

その時の彼女の様子を例えるならば、

朝日奈さんという純粋無垢な妖精が、

茂みに潜むゴブリン族の私を見つけてしまった・・・ような。

 

「え、何これ!?これ、同じ生物なの・・・!?」

 

と、まさにそんな瞳だった。

これだ。悪い予感はこれだったのだ。

超体育会系と底辺文化系の決して埋まることのない溝。

彼女と私とでは、求めるものの根本が違いすぎるのだ。

 

「ゴメン!さくらちゃん!私・・・智子ちゃんが言っていることが本当にわからないの。

何もしないって何!?それでどうして部活なの!?

そもそも、部室は服を着替える場所だよ。その場所でなんでゲームとかしてるの!?」

 

朝日奈さんは、うろたえる、を通り越してもはや怯え始めていた。

よくよく考えたら、朝日奈さんは、常に動き続け、何かしている人だった。

そんな彼女にとって部室とは、ただ着替えるだけの場所なのだ。

残念ながら彼女は、娯楽部には合わないだろう。

ならば・・・大神さんだけでも。

チラリと大神さんを見る。

 

大神さくら。超高校級の“格闘家”

 

見てくれはともかく、なかなかの常識人である。

私がぶつかってプロティンコーヒーを落とした時も許してくれたのがポイントが高い。

 

「落ち着くのだ、朝日奈。我らも部室でできることはあるだろう」

 

そう言って朝日奈さんを落ち着かせる大神さん。

おお、さすが常識人!これならば・・・

 

「筋トレがあるだろう。つまり、黒木達の言うゲームとは筋トレのことなのだ」

「そーか!さすが、さくらちゃん!」

 

腕を組み堂々と言い切る大神さんに朝日奈さんが満面の笑みでガッツポーズをとる。

 

 

「うん・・・あの、その・・・変な部に勧誘して本当に申し訳ありませんでした・・・」

 

 

私は、その場で深々と頭を下げた後、

不思議そうに見つめる二人に背を向け、歩き出した。

うん、カルチャーというか次元が違い過ぎた。

誰も悪くない。

そう・・・誰も悪くないのだ。

 

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

 

「どうしよう・・・さっそく当てがなくなってしまった」

 

通路の壁に背を預けて私は作戦を練り直していた。

最有力候補の2人に断られた、というか断ってしまった。

部室崩壊覚悟で入部させるべきだったのだろうか。

今さらながら、後悔し始める。

というか、あのクズどものニヤケ面が頭にチラつく。

 

(やはり、誰でもいいから入部させて・・・)

 

そんなことを思っていた時に、“ちょうどいいの”が走ってきた。

 

「おう十神!調子はどうだ?」

 

「貴様!なんだその口の利き方はッ!?」

 

まるで近所の小学生にほろ酔い気分のおっさんが声をかけるレベルの気軽さで

声をかけた私に、急ブレーキをかけた十神は、直後、激昂した。

 

「馴れ馴れしいぞ、貴様!この俺を誰だと思っているのだ!」

「誰って・・・陸上部の人だっけ?毎日走ってるし」

「貴様ッ~~~ッ!!」

 

私の軽いジャブに十神はますますヒートアップした。

本当に煽り耐性0だな、コイツ。

 

「それより、今、部員募集してるんだよ。入ってくれ。陸上部と兼部でいいから」

「あくまで陸上部を押し通す気か、貴様は!」

 

おお、若干ツッコミらしいものを返してきた!?

もちろん、偶然だろうけど、あの十神なのだから。

 

「娯楽部だと?ああ、あの娯楽室でたむろしている貴様らクズどものことか?」

 

腕を組み、十神は見下すように笑った。

挑発しているつもりだが、まあ・・・事実なんだよなぁ。

 

「断る!貴様らクズどもと俺がつるむはずなかろう」

 

メガネを指でクイッと調節しながら、十神は答えた。

そのふてぶてしさから、どうやらいつもの調子に戻ったようだ。

 

「あっそ」

 

それに対して、私は限りなくどうでもいい、という感じでそう言った。

十神が娯楽部に入るはずがないことは最初からわかりきっていた。

ちょうどいいタイミングで走ってきたから声をかけただけだ。

 

「もう行っていいぞ。箱根山目指して頑張れよ」

「グッ・・・!」

 

まるで犬をあしらう様に”シッシ”と手を振る私に、十神は血管を浮かべる。

 

「先ほどからおふざけが過ぎるぞ、下民が!この俺の名を言ってみろ!」

 

十神は再び激昂し、北○の拳に出てくるヘルメットを被った奴みたいなことを言い始めた。

部活には入れねーわ。

瞬間湯沸かし器みてーだわ。

ホント、めんどくせーヤツだな、コイツは。

 

「ああ、なんとか財閥だっけ?未だに当主を助けにもこない」

 

なんかしつけーから、ちょっと遊んでやることにした。

 

「当主と同じで使えねー奴らの集まりだよねぇ?来年には潰れてんじゃねーの?

いや、もうないから助けにこれないんだ。ああ、きっとそうだ。アハハハ」

 

敢えて大げさな身振りをして、嘲笑する。

内容としてはかなり辛らつかもしれないが、

実際に、当主を殺人鬼に誘拐されて、何もできないまま今日に至っている。

私の指摘は間違っていない。

だが、十神は今にも血管がブチ切れそうな顔をして、プルプル震えている。

コイツを見ていると、

ふと弟との掛け合いを思い出す。

アイツはクールキャラぶってたから、

なんだかんだで、私が挑発してもほとんどスルーしやがったんだよな。

それに比べて・・・である。

十神に視線を戻す。

私が投げた挑発というボールは、全て十神にストライク。

百発百中。

十神は、今にも襲い掛かりかねない剣幕である。

挑発に乗りやす過ぎだろ、コイツは。

 

「ヌゥ・・・!」

 

このタイミングで十神は例の帝王の眼差し(笑)を発動し、私を威嚇してきた。

 

「・・・ぷッ」

 

私は堪えきれず吹き出した。

当時はビビッてしまったが、

今、この状況においては、ただ面白いだけだ。

つーか、このタイミングでそれはやめろよ。マジ腹が痛い。

 

「貴様ァ~~殺されたいのか!」

 

失笑を浮かべる私に十神は声を荒げた。

あ、コイツ、ついに脅迫を始めましたよ。

 

「え、何?今、殺すって言わなかった?」

 

逆に、私はニヤつきながら、十神に近づいていく。

 

「別にいいぞ、私を殺しても。ほら、殺れよ。ホラホラホラ!」

 

むしろ大歓迎だった。

そもそも、私がこれだけ十神に舐めた態度がとれるのは、

死ぬことをまるで恐れていないからだ。

それどころか、むしろそれを望んでいた。

 

「まあ、私を殺したら、お前もすぐに処刑だけどな。仲良く心中してみるか?」

「ぐッ・・・!」

 

私の指摘に十神は言葉を詰まらす。

外の世界においては、私の命と十神財閥の御曹司様とでは、

命の価値において、それこそ天と地ほどの差がある。

十神からみれば、私の命など虫けら以下だろう。

だが、この閉ざされた世界では違う。

十神と私の命は、まったくの等価。

完全に対等であった。

唯一違いがあるならば、それは十神は私と正反対であること。

死にたくない、のだ。

生きたい。死ぬのなんて絶対に嫌だ!なんとしても助かりたい!

たとえ、クラスメイト全てを犠牲にしてでも!

事実、コイツはそう宣言している。

コイツはそういうヤツだ。

傲慢で冷酷で小ざかしい・・・そんなヤツなのだ。

だからこそ、コイツは下手なことはしない。

感情に任せて暴力を振うことはできない。

計算してしまうから・・・

私が殺されてた時に、疑われてしまうから・・・

だから、コイツは何もできない。だからこそ、私は強気に出れる。

 

「おい!どうした!?プルプルしてねーで、何とか言えよ!」

 

めっちゃウキウキした顔で私は十神を挑発する。

 

「クソ雑魚!かませメガネ!タキシード着て走ってんじゃねーよ!このド変態が!」

 

思いつく限りの言葉を全て使い罵倒してやった。

構うものか。

どうせ私が殺されるとしたら、犯人は十神に間違いない。

ならば、生きている内に出来る限り嫌がらせをしてやる。

 

「き~さ~まァアアアア~~ッ!!」

 

十神はブチキレの針を振り切った。

その表情は、まるで王を殺されたと勘違いしたキ○ラアントの護衛軍みたいな、

決して人類とは分かり合えないことを確信するには十分な貌だった。

というか、

写メとって拡大プリントして玄関に貼れば凄い魔よけになりそうだな、この顔。

 

「・・・チッ覚えていろよ!黒木智子!」

 

突如、何かに気づいたような表情で十神は私に背を向け走り出した。

 

(勝った・・・!)

 

十神を後姿を見送りながら私は内心ガッツポーズをとる。

まさかあの超高校級の“御曹司”十神白夜からマウントを取れる日が

こようとは外の世界にいた時には夢にも思わなかった。

しかし、あの十神が私相手に逃げるだろうか・・・?

いや、あり得ない。

負けを認めるくらいなら、アイツは私を今、殺しているはず。

ならば、逃げた理由は1つしかない。

なんだろう・・・たとえ嫌いなヤツだろうと、

クラスメイトとしての理解が深まっているようだ。

監禁生活も長くなってきたしなぁ・・・。

そんな感慨に浸りながら、私は後ろを振り返る。

 

(さぁ、今日はどっちだ?)

 

その直後、まるで競走馬が最終コーナーを曲がったようにソイツはやってきた。

 

 

  腐川冬子もしくはジェノサイダー翔!

  

 

十神を追い続ける悪夢の永久機関。

今のアイツは一体、どっちの人格なのだろうか?

私は近づいてくるヤツを見るため目を凝らす。

もし腐川ならば、罵倒の言い合いに備える必要があるからだ。

はじめに仕掛けてきたのは腐川からだった。

交差際に

 

「喪女!」

 

そう言って駆け抜けやがった。

次にヤツが走って来た時、今度は私が

 

「根暗・・・!」

 

そう言ってやった。それが今に至る罵倒合戦の成り立ちだった。

私はずっと考えていた。

どうして、腐川冬子に生理的な嫌悪感を持つのか。

ある日、冷静になってヤツの要素を整理してみた

 

「メガネ」「文学少女」「恋に夢中」

 

おいおい、コイツ完全に中学時代にいたコミなんとかさんと一緒じゃねーか!

完全に一致した。

こりゃ好きになれるわけねーわ。

それからの私は何の躊躇もなく腐川を罵倒することにしたのだった。

というわけで、今回も腐川ならば、先手を打って・・・いや

 

「ヒャッハ~~~~ッ」

 

どうやら違ったようだ。

 

「ヘイ!チビッ子!」

 

今回の人格は、殺人を止めた殺人鬼。ジェノサイダー翔のようだ。

私は迫り来るジェノサイダーを前にして、ゆっくりと右手を上げる。

 

「ハッ!」

 

ジェノサイダーが跳躍した直後、ハイタッチの小気味いい音が廊下に響く。

ジェノサイダーは振り返ることなく走り続け、私も振り返ることなく歩き出した。

これはいつから始まったのだろうか?もう覚えていないや。

ジェノサイダー翔は殺人鬼。

たとえ殺人を止めたからといえども、その事実は消せない。

外の世界に帰ったら彼女は捕まるだろう・・・ついでに腐川も。

 

(でも、私は今のジェノサイダーのことが・・・ちょっとだけ・・・好きだ)

 

もし人格の統合が行われるならば、私はきっとジェノを応援するだろう。

頑張れよ!ジェノサイダー!

負けろ!腐川!

 

「お、久しぶりじゃねーか、智子っち!」

 

その声に私の思考は現実に引き戻された。

久しぶりに聞くその馴れ馴れしい声に、忌まわしい記憶が呼び覚まされる。

あのふざけた占いで危なく10万円を騙し取られるところだったのだ。

 

「なんか山田達と面白いことやってるそーじゃねーか!」

 

ヌケヌケとして、さわやかな笑顔で、

超高校級の“占い師”葉隠康比呂が私に声をかけてきた。

 

「確か娯楽部とか・・・おお、それだべ、それ!」

 

葉隠は私の持っている”部員募集中”の紙を指差した。

 

「なかなか面白そうじゃねーか!俺もちょうど暇してたしな」

 

何かを考えながらうんうんと頷く葉隠。まさか、コイツ・・・

 

 

「俺も娯楽部に入れ――」

 

 

その瞬間、私はすぅと紙を回転させた。

 

「ちょ!?え、ええ!?」

 

驚く葉隠の横を私はスタスタと歩いてゆく。

 

「ちょっと待ってくれ!智子っち!俺も娯楽部に」

「え、ああ、ゴメン。今、新入部員は募集してないんだ」

「え、でもその紙は」

「ああ、うん・・・たった今、募集は打ち切ったんだ」

 

葉隠の声を振り切るように私は歩を進め、次第にその声は遠のいていった。

冗談ではない!

お前のような輩を入部させたら最後、乗っ取れられて、

娯楽部がいつの間にか怪しい占い勧誘サークルになってしまうではないか。

私達はクズはクズだが、他人を陥れ、その生き血を啜るようなクズではないのだ。

 

 

 

葉隠を振り切ったのを確認した後、

私はどうしたものかと思案する。

もうほとんどのクラスメイトに声をかけてしまった。

もうここいらでいいのではないか?

娯楽室に戻ろう。

アイツらに結果を報告して、好き勝手に笑われよう。

ムカつくがまあ、仕方がない。

 

そんなことを思いながら、2Fへの階段へと足を踏み入れた時

 

「あ・・・」

 

 

そこに、彼はいた――――

 

 

「苗木・・・君」

 

 

階段の踊り場の壁に手をかけて・・・

 

彼は・・・苗木君はそこにいた。

 

「黒木さん?」

 

私の存在に気づき、苗木君は振り返った。

 

「・・・久しぶり」

 

彼は以前と変わらぬ笑顔を私に向けてくれた。

 

苗木君が踊り場の壁に手をつけている理由を私は知っている。

セレスさんが以前言っていた

“まだ希望を諦めていない愚かな人達”が誰なのか私は知っている。

 

苗木君は決して希望を捨てないから―――

 

きっと今も、壁に抜け道がないかを探していたのだろう。

そういう人なのだ。

どんな時も希望を諦めない・・・私の知る苗木君はそういう人だった。

 

彼にとっては、希望は笑ってしまうほど近くにある当たり前のもので・・・

私にはそれが、眩しくて・・・苦しくて・・・あまりにも遠かった。

 

だから・・・いつも彼から逃げてしまうのだ。

何度となく、話しかけてくれた苗木君を振り切り、その前から逃げた。

 

希望から逃げて、逃げて、逃げ続けてきたのだ。

 

だけど・・・

 

改めて、自分の格好を思い出す。

今さら、どの面下げて逃げ出せというのだ。

それこそ、ピエロだ。

 

もう・・・ここらが限界のようだ。

私は、意を決して、階段上がる。

 

「うん・・・久しぶり」

 

苗木君と向き合って言葉を交える。

本当に久しぶりだ。なんかドキドキしてきた。

 

「な、苗木君は元気そうだね」

「うん、なんとかやってるよ」

 

苗木君と話すのはあの日以来。

無様に自殺に失敗したあの日以来だ。

その時、私は苗木君を騙した。

水を取りに行かせて・・・その隙に逃げた。

その後ろめたさのため、私はあの日のことに触れるつもりはなかった。

苗木くんも・・・たぶんそのことに気づいているのだろう。

当たり障りのない話が続く

 

「でも本当に久しぶりだよね、一瞬別人かと思った。イメチェンしたの?」

「い、いや、これは、その・・・ば、罰ゲームというか・・・」

 

もちろん、この話題に触れないはずはないよね。

もうお恥ずかしい限りで。

 

「なんか、セレスさんみたいだね」

「ですよねぇ~」

 

ゴスロリといったらセレスさんの代名詞。

私なんかが着ても・・・

 

「うん、結構似合ってると思うよ」

「え!?」

 

マジ・・・!?

朝日奈さんに続き、苗木君にまで褒められた!?

もしかして、私、本当にイケてるのかも。

ヤバイ、なんか顔が熱い。

 

「でも、若干前髪パッツンだよね」

「こ、これは、せ、セレスさんのせいで・・・!」

「アハハハ」

 

苗木君は悪戯っ子のように笑った。

オチはそこかぁ~。

山田と同じじゃねーか!

あの女、何が髪を切るのが得意だよ!嘘ばっかじゃねーか!

今さらながら涙目である。

 

「・・・黒木さんが元気そうで安心したよ。今はセレスさん達と?」

「うん・・・なんというか、いろいろあって」

 

本当にいろいろあった。

なんでこんなことになってるか、自分でもよくわからねーや。

 

「そ、そのことなんだけど。

じ、実は私達、今、娯楽部という部活をしていて・・・それで」

 

話題が娯楽部のことになった以上は、このことに触れないわけにはいかない。

私は、手に持っていた募集チラシを苗木君に見せる。

 

「い、今、新しい部員を募集してて・・・その・・・もし・・・よければ、だけど・・・」

 

顔をほのかに汗ばみ、喉に渇きを感じた。

紙を持つ手が少し震えている。

考えもしなかったけど、もし苗木君が娯楽部に入ってくれるならば、私は・・・

 

「・・・ごめん」

 

少しの沈黙の後、苗木君は申し訳なさそうに答えた。

 

「まだ・・・やらなければならないことがあるから」

「そ、そう・・・い、いや、うん大丈夫!ぜ、全然大丈夫!気にしなくていいから」

 

・・・私は何を勘違いしていたのだろう。

久しぶりに苗木君と話して・・・浮かれて・・・馬鹿丸出しだ。

苗木君と私は違う。

私と・・・希望を捨てた私達と苗木君は違うのだ。

そんなこと・・・最初からわかっていたはずじゃないか。

 

「じゃ、じゃあ、私はこれで・・・」

 

いたたまれなくなり私は苗木君から背を向け、階段を下りる。

まるで逃げるかのように。何かを恐れるかのように。

これ以上、彼と話していたら、きっと・・・

 

「黒木さん」

 

呼び止めるその声に振り返る。

 

「・・・君のせいじゃないよ」

 

苗木君は私を見つめてそう言った。

優しい眼差しでその言葉を続けた。

 

 

「不二咲君達のことは、あれは・・・君のせいじゃないよ」

 

 

それは、きっと・・・私が最も聞きたくなかった言葉だった。

恐れていたのは、これだった。この言葉だったのだ。

 

「違・・・うよ」

 

私は言葉を振り絞り、それを否定した。

 

「あ、あれは・・・私・・・だよ。全部・・・私のせいなんだ」

 

声が震えていた。それでも私は言葉を続ける。

それを答えることは、私にとってただ一つの義務だった。

 

「ちーちゃんを・・・殺したのは、私だよ。みんなを絶望に堕したのは、私なんだ」

 

これだけは・・・否定しない。

この事実だけは譲るつもりはなかった。

その罪を受け入れることだけが、

クズに残されたたった一つの誇りだった。

 

そう・・・ちーちゃんを、大和田君を、石丸君の心を・・・殺したのは私なのだ。

 

「全部・・・間違いだったんだ。

私がちーちゃんと出会ったことも。私が希望をもったことも・・・」

 

そう、私がいなければあんなことにはならなかった。

私が・・・希望なんて持たなければ、みんなは・・・

 

 

 

   ―――それは・・・違うよ。

   

 

 

その言葉は・・・学級裁判でクロを撃ち抜く言弾を放つ時の言葉。

絶望の闇を撃つ抜く雷鳴のような彼の言葉は、とても穏やかで・・・優しかった。

 

「黒木さん・・・それは違うよ」

 

苗木君は、もう一度、その言葉を私に向けた。

 

「黒木さんは間違ってる。僕はそれを知っている。だって・・・」

 

彼の瞳にはほんのわずかの揺るぎもなかった。

 

「だって、僕は不二咲君の笑顔を知ってるから」

 

苗木君はその理由を語り始めた。

 

「学級裁判で石丸君が言ったこと。あの時、僕も彼と同じことを思ったんだ」

 

裁判で、私が絶望に堕地かけた時のことを思い出す。

私を引き止めた石丸君の言葉を・・・ちーちゃんの笑顔を。

 

「このコロシアイ学園生活が始まってから・・・不二咲君はいつも怯えていた。

いつも泣きそうな顔で・・・今にも消えてしまいそうなくらい儚く見えた。

そんな彼が、ある日を境に変わった。

その顔に笑顔が戻っていたんだ。

ある日、偶然、食堂で不二咲君と二人きりになったことがあって・・・

その時、ずっと気になっていたことを聞いたんだ。

一体、何があったの?そう聞いたんだ」

 

私は苗木君の言葉に聞き入る。

苗木君とちーちゃんが話す様子が脳裏に浮かんでくる。

 

「不二咲君は笑ってこう言ったよ」

 

 “友達ができたんだ”って

 

「その友達に勇気をもらったって。自分の弱さと絶望と戦う勇気を。

だから、自分のやれることを頑張ると。

それでいつか、その人にもらった恩を返したい・・・そう笑って答えてくれたんだ」

 

ちーちゃんの笑顔が・・・脳裏を過ぎる。

 

「だから・・・僕は君を否定する。

君の言ったことを否定する。君の思っていることを否定する」

 

その否定の言葉は限りなく優しい声だった。

 

「不二咲君にあんな素敵な笑顔を与えた君たちの出会いが・・・

その全てが間違いであるはずがない。

例え、ボタンの掛け違いで、その結末が絶望だったとしても・・・

それでも、僕は断言するよ!

不二咲君の笑顔を知ってるから・・・

だからこそ、僕は言うよ!“それは違うよ!”って。

モノクマが何を言ったって、僕はそれを否定する。

“それは違うよ!”って。

それが例え、黒木さんでも・・・何度だって言い続ける。

君達の出会いが間違いなはずがないって」

 

不二咲君はきっと・・・

 

 

    ――――君と出会えて幸せだったって。

 

 

「・・・・・・。」

 

私は、ただ無言でその言葉を聞いていた。

優しい言弾に撃ち抜かれて・・・

ちーちゃんの笑顔が心に溢れて、何も答えることができなかった。

 

 

「待ってるから・・・君がもう一度、希望に戻ってくるのを・・・僕は信じてるから」

 

 

苗木君は笑顔でそう言った後、階段を下りていった。

私は、その場に立ち尽くしていた。

ちーちゃんの笑顔が何度も脳裏を過ぎり、涙がこぼれ落ちそうだった。

 

 

私が恐れていたこと・・・それは苗木君の優しい言葉・・・じゃなくて。

その優しい言葉を受け入れ、自分を許してしまいそうになること・・・だったんだ。

 

だから私は・・・

 

 

 

その時、何者かの視線に気づき、上を見上げる。

 

「あっ!」

 

2Fの入り口の影から、私を見ていたその人物は、小さな声を上げた。

その人物の驚く顔は、なにより希少な本日のベストショットだろう。

 

「別に盗み聞きするつもりはなかったの。たまたま・・・あ!?」

 

霧切さんはいつものポーカーフェイスに戻り、姿を現した・・・瞬間

 

 

私は背を向けて逃げ出した―――

 

「なんで逃げるの!?待て!待ちなさい!」

 

自分でも何故逃げるのかよくわからなかった。

すごく恥ずかしいところを見られた・・・という感覚があったからだろうか。

 

「ああ!痛いわ!」

 

突如、悲鳴が聞こえ、振り返ると、霧切さんが胸を抑えて踊り場でうずくまっていた。

 

「誰かに突き飛ばされた時の傷が急に痛み出して・・・」

「え・・・!?」

 

例の日に、私を止めようとする霧切さんを盛大に突き飛ばしたことがあった。

 

あの時のことか―――

 

「だ、大丈夫、ご、ゴメンね!わ、私・・・」

 

慌てて彼女の元に駆け寄る・・・その瞬間。

 

「ええ、もう大丈夫」

「は!?」

 

彼女は何事もなかったように、すくっと立ち上がった。

 

「え、でも、き、傷は?」

「治ったわ」

「え、でも・・・」

「治ったのよ」

「え、ええ・・・」

 

こ、この女・・・嵌めやがった。

ぬけぬけと私を罠に嵌めた霧切さんは、

悪びれることなく、相変わらずのポーカーフェイスを続けていた。

 

「なぜ、逃げたの?」

「い、いや・・・なんなく」

 

本当に理由などない。

 

「そ、そっちこそ、なぜ呼び止めたの・・・?」

「特には。敢えて言えば、逃げたから。もし探偵なら謎が呼んだから・・・かしら」

 

そっちもないのかよ。

そして、なぜ例えが探偵なのか。まあ、いいけど。

 

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

 

場を沈黙が支配する。

正直、話題が思いつかない。

コミュ障が2人きりならある意味必然の展開か。

 

「今日の天気は・・・晴れかしらねぇ?」

 

突如、天気の話題を振ってきた!?

 

「い、いや、どうだろうね。外に行かないとわからないし」

 

これ完全に話題に詰まった時の展開じゃねーか!

というか、私、これと同じ話題を舞園さんに振ったことあるし!

 

「そうね・・・もう正直になりましょう。コミュ障が2人揃ってはどうにもならないわ」

 

私の表情を見て、霧切さんは溜息をついた。

潔く認めたのはある意味すごいけど、私も一緒にコミュ障認定!?

 

「ええ、私には一般的な会話で話を弾ませる能力はまるでないわ。

それも、からっきし、これっぽっちも。

推理の時は、自分でも不思議なほどに頭が冴えて、

いろいろな話題が頭に浮かんでくるけど」

 

推理をしている時の彼女を思い出す。

生き生きと容疑者から情報を引き出すあの時の彼女を。

確かに・・・彼女の言葉は真実だ。

そして、悔しいがコミュ障なのは、私も同じだ。

この展開の責任は私にもあるのだ。

そもそも・・・霧切さんは、私と話して、何かメリットはあるのだろうか?

いや、ないと即答できる。

出会いから今に至るまで、私は彼女にずっと迷惑をかけてきた。

その自覚は私にはある。

彼女にとって、私は煩わしくて迷惑極まりない存在以外の何者でもないのだ。

 

「・・・確かに、私はあなたと話すことで得られるメリットはない・・・そう思うわ」

 

私の表情から私の考えていることを読んだのだろうか・・・?

霧切さんは、私に向かってはっきりとそう言い切った。

 

「私にとって、黒木さん・・・あなたは出会いから今にいたるまで、正直迷惑なことしかない」

 

その瞳に何の偽りもなかった。

故に、かなりへこむ。

いや、まあ、自分でもわかっていたけどさぁ・・・

 

「でも、それでも黒木さん。私は・・・」

 

 

   ――――あなたのことを認めているのよ。

   

 

その意外過ぎる言葉に、私は自分の耳を疑った。

 

「あなたが私に土下座したあの時・・・

私があなたに抱いた感情は何だったのか、黒木さんは推理できるかしら?」

 

あの時のことを思い出す。

勢い余って額をぶつけたのは痛かったな。

あれは私にとってまさに一世一代の土下座だった。

でも、あんなことをされた相手は一体どんな気分だったのだろう。

少なくとも嬉しいなんてことはないだろう。

見下された・・・に違いない。

 

「憐れみや軽蔑・・・そう思っているならその推理は間違っているわ」

 

彼女の気配のようなものが変わるのを感じた。

私が答えるまでもなく、その視線や表情のほんの少しの動きで

私が考えていることを読んだのだろう。

これも才能なのだろうか?

一瞬、セレスさんの笑みが浮かんだ。

 

「・・・妬み、よ。

あの時、私は明確にあなたに嫉妬したのよ。自分でも驚くほどに」

 

嫉妬・・・それはむしろ自分より格上の

何か自分にないものを持っている相手に抱くもので・・・

わけがわからない。

地面に這いつくばる虫みたいなあの時の私に、なぜそんな・・・

 

 

   ――――あなたには・・・大切な人がいるから。

    

 

「同じ年齢の女子の目の前で、人目も憚らずに・・・

あなたは土下座して私に助けを要請した。

プライドも何もかも投げ捨てて・・・私に縋りついてまで

あなたは不二咲君の仇を討とうとした。

大切な人のために・・・あなたはそれをすることができた。

驚いたわ、本当に。

あの瞬間、あなたは私の推理を超えたの。

すごいな・・・って、正直思った。

私にはきっと同じことはできなかったから。

そして、嫉妬したわ・・・そんな大切な人がいるあなたに」

 

霧切さんは語り続ける。

透き通った瞳で私を見つめながら。

それは本心なのだろう。

短い付き合いだけど、私は彼女はどんな人間なのか少しだけ知っている。

霧切さんは、嘘をつける人ではない。

 

「私にはそんな人はいないから・・・

いえ、いたかもしれない。もう・・・忘れてしまったわ」

 

「・・・?」

 

それは私にではなく、自分に言い聞かせるような呟きだった。

友達や両親と不仲になった・・・ということなのだろうか。

それくらいしか私には想像がつかなかった。

 

「少し喋りすぎたみたいね・・・もう行くわ」

 

彼女は階段を戻っていく。そしてふと止まった。

 

「苗木君じゃないけど・・・私も思うの」

 

霧切さんは振り返ることなく私にその言葉を向けた。

 

「あなたと私と苗木君の3人で

また一緒になって何かやれる日がくるかもしれない・・・と。

今度は推理じゃなくて・・・クラスメイトとして。私の勘がそう言っているわ」

 

その言葉を残し、彼女は再び階段を上っていく。

 

「そ、それは・・・す、推理じゃないの?」

 

なぜ・・・呼び止めてしまったのだろうか?

自分でも驚いていた。私は一体何を言って・・・

 

「あら、推理のきっかけには勘はつきものなのよ。それに・・・」

 

霧切さんは振り返り私を見つめる。

 

 

「私の勘って結構当たるのよ」

 

 

ポーカーフェースの彼女はそう言ってほんの少しだけ微笑んだ。

 

霧切さんが去った後も、私はその場に立ち尽くしていた。

 

「う、うう・・・」

 

動けば涙がこぼれてしまうから・・・必死で耐えていたのだ。

私には泣く資格などない。

私はクズ。どうしようもないクズなのだ。

 

それなのに・・

 

 

 

 

 

     「みんな・・・優しい人ばかりだ・・・」

     

     

 




【あとがき】


次話から心を削っていきます


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