道化と紡ぐ世界   作:雪夏

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六話です。タグ少々変えました。

 追加:横島ハーレム 一刀ヒロイン未定

 あと、今回は賛否両論といいますか。そういう内容になっています。

一言:恋姫ブランド凄いですね。お気に入り数とUAが伸びる伸びる。


六節 驚愕は止まらない

 

 

 

 

 

 袋詰めの美少女を華麗に救出した青年。その名は、横島忠夫。襲いかかる賊どもを相手に、怯むことなく……

 

「はーい、お兄さんは黙っていてください。話が進まないので」

 

「はい……」

 

「それで、鳳さんはどうして袋の中に? まさかとは思いますが、袋の中でお昼寝していたら荷物と間違われて……なんてことはありませんよね?」

 

 何処からともなくマイクを取り出し語りだした横島を、風は冷たくあしらう。それに対し寂しそうな顔をする横島だったが、助けた少女――鳳士元の話を聞くことが大事だと風と少女の話に耳を傾ける。

 

「あ、えっと私はその……近くの私塾の先生に贈り物をしようと思って。あ、私生徒なんですけど。それで、お金の足しになればと摘んできた薬草を買い取って貰ったんです。それから、お店を出て……そしたら急に真っ暗になって」

 

 そこまで言うと、その時の恐怖を思い出したのか小さく震える。いきなり袋に詰められたのだから、当然の反応である。

 どうしたものかと風が横島の方を見ると、横島が先程まで袋の口を縛っていた縄で男を縛り上げているところであった。

 

「ん? どうかした?」

 

「いえいえ、何でもないのです。ささっ、お兄さんは続きをどうぞー」

 

 妙に手際よく縛る横島を見た風は、士元へと向き直る。縛られていく男を見て、男の処遇を早急に決めるべきだと判断したからである。関わりあいになりたくないからそうした訳ではない。……きっと。

 

 風が振り向くと、士元も縛られてゆく男を見ており、男に危害を加えられることがないと判断したのか先程までの恐怖はなくなっているようである。それどころか、横島の手際のよさに感心しているようである。

 

「(切り替えが早いですねー。軍師向きですね)それで、その男はつき出すとしてですねー。風たちは此処に来たばかりでして。つきだすにしても、兵を呼ぶにしても詰所が何処か皆目検討がつきません。それに、余所者の言葉を何処まで信じてくれるか。ですので……」

 

「それなら、薬屋に行きましょう。詰所に行くより近いですし、兵士さんが買い物に来ていました」

 

「……そですねー。風たちの元々の目的地も薬屋ですし、兵士さんが居るのならそちらに向かいましょう」

 

 風の言葉をさえぎり、提案する士元。それを聞いた風は、士元と二人で薬屋へ向かうことにする。士元を一人で向かわせないのは、近いとは言え一人で行動するのはまだ不安だろうという風の気遣いである。

 

「ではでは、風は士元さんと薬屋にいるという兵士さんを呼びにいきますので。お兄さんはその人を見張っていてくださいねー」

 

「おう。早く戻ってきてくれよ。縄で身動きが取れないおっさんといるより、仲徳ちゃんたちみたいな、美少女と一緒の方が楽しいかんな」

 

 男を縛り終えた横島が笑いながら答えると、風も笑みを浮かべて答える。

 

「では、ゆっくり行くとしましょうか…「おいっ!」……冗談ですよ。それじゃ、行きましょうか」

 

 横島のツッコミを軽やかにかわしながら、風は士元と共に薬屋の方へと歩いていくのだった。

 

 

 

 横島(と男)から離れ、薬屋へと向かった風たち。道中、士元が風に名を尋ねる。

 

「あの、お名前を伺っても? それと、助けて頂いたお礼もしないといけましぇ……せんし」

 

「……おお、私としたことが、自己紹介がまだでしたねー。私は程仲徳。お兄さんは……そうですね、お兄ちゃんと呼んであげてください」

 

「お、お兄ちゃん……ですか?」

 

「ええ。お兄さんの名前はちと“特殊”でしてー。私が勝手に教えていいものか判断がつかないのですよ。……それに、その方がお兄さんも喜ぶでしょうし」

 

 横島が喜ぶかどうかはさておき。風が言う“特殊”というのは、横島に真名がないことに関係する。風たちはこれまでの道中で、親や親しい者以外は“忠夫”と呼ばないと聞いている。その為、横島の真名に相当するのは“忠夫”であると判断している。

 横島は気にしないだろうが、真名文化で育った風たちにとっては軽々しく呼ぶことは躊躇われる“忠夫”という名。その為、横島忠夫と紹介するのを辞め誤魔化したのである。

 

 

 

 

 その後、薬屋に到着した風は説明を士元に任せ、自分はしっかりと目当ての薬を購入する。そして、たまたま薬屋に買い物に来ていた兵士を引き連れて戻って来た風たちが見たのは、地元の子供たちと一緒に遊ぶ横島の姿。

 士元を襲った男は、首から上だけを土から出した――端的に言うと、埋められていた――状態で気を失っていた。

 

 

 何処か引きつった顔で、掘り出した男を連行していく兵士に別れを告げ、風と士元は改めて子供たちと横島の方を見る。先程までは嬉々として穴掘りを手伝っていた子供たちだったが、現在はどういう流れを辿ったのかは不明ではあるが、子供たちが横島に向かって将来の夢を語っていた。

 

『私は素敵な旦那様のお嫁さんになるのー』

「素敵な旦那かー。お兄さんが立候補しようかなー」

『ていちょうにおことわりします』

「即答!?」

『お兄さんはちょっとお金と縁がなさそうで……お金も大事だって先生言ってました』

「そこだけ現実的!?」

 

 

『オレは金持ちになって、腹いっぱい飯を食うんだー』

「おー、そんときはオレにも奢ってくれな!」

『えー、自分の食い扶持くらい自分で稼げよ。男だろ?』

「……はい」

『すぐ人に施しを求める奴は、心が卑しい奴だって先生言ってたぜ? 男なら人に施すことができるような余裕を持ちなよ』

「……はい、仰る通りで」

 

 

『オレは兵士になって、この街を守るんだ!』

「お、そっか。ガンバれよ」

『兄ちゃんもガンバれよ! 真っ先に死にそうな顔してるし!』

「余計なお世話だ!」

『人の気遣いを無下にする奴は、いざって時に誰も手を差し伸べてくれなくなるって先生言ってた』

「……」

 

 

 子供たちの語る夢というのは、もう少し微笑ましいものではなかっただろうか。きっと横島はそう思っているのだろうと風は思う。隣りの士元を見ると、彼女も横島と同じくらい引きつった顔をしている。もしかしたら、子供たちのいう先生に心当たりがあるのかもしれない。というか、彼女が通っている私塾の先生がそうなのだろう。

 先生について追求してみようかと風が考えていると、何やら子供たちが騒がしい。どうやら、横島の夢が聞きたいようでおねだりをしているようである。

 

 

「オレの夢? 聞いて驚け! オレの夢はな……美人の嫁さんを貰うことだ! それで、自堕落に生きていけたら最高だな」

 

 

 高らかに宣言する横島。その夢を聞いた風と士元は、呆れと苦笑をその顔に浮かべる。子供たちより、子供みたいな夢を持っていると。

 

 子供たちはといえば……横島に畳み掛けるように言葉をかけていた。

 

『夢見るのはいいけど……現実見ようぜ? 兄ちゃんの顔じゃなー』

『お金と縁なさそうだし、無理じゃないかな』

『爺になったときに財産があれば、財産目当てで寄ってくるんじゃね?』

『それって、お爺さんになるまで無理ってこと?』

『あー、兄ちゃんだしな。きっと、苦労して長年貯めたお金も騙されて……』

『いや、貯まる前に騙されてるって。つまり、兄ちゃんには無理ってことだ』

『お兄ちゃん。夢見るのはいいけど、現実から逃げちゃダメだよ?』

『ほら、元気出せって。兄ちゃんがいい人だってのは、オレらが分かってるから』

『そうだぜ。騙されたからなんだってんだ。強く生きなきゃ!』

 

 子供たちの間では、横島が美人の嫁を貰うのは不可能だと判断されたらしい。口々に無理だと告げる子供たち。それと同時に、落ち込み始めた横島に慰めの言葉を口にしていることから、横島を傷つける意図は皆無であったらしい。

 

 そんなやり取りを見ていた風の口元に笑みが浮かぶ。

 

 いい大人が子供相手に拗ねてみせたり、子供に慰められる姿は間違っても格好良いとは言えない。誰が見たとしても、情けないとしか思わない姿。その筈なのに、風は横島を情けないとは思わなかった。それどころか、彼を評価している。

 

(何というか、お兄さんらしいと思ってしまいますねー。まだ、出逢って間もないというのに)

 

 風が視線を向ける先。彼らは今、横島を中心に笑いあっている。横島はあっという間に、子供たちと打ち解け、その上好意まで抱かれているようである。

 

(暖かな陽光のように、人の心にあっという間に入り込む。とても得難い才。少々スケベさんなのが難点ですが……これは決まりですかねー)

 

 

 

 風が横島たちを見て考えている間、彼女の隣りに立っていた少女――鳳士元は今日の出来事について考えていた。

 

 鳳士元――真名を雛里という少女は、通っている私塾を優秀な成績で卒業することが決まっていた。それに際し、お世話になった先生に贈り物をしようと学友たちと計画したことが全ての始まりであった。

 

 贈り物はすぐに決まった。隣町の古書専門書店にある古書を購入し、手作りの菓子と一緒に贈ることにしたのである。

 古書は、雛里の親友の一人である諸葛孔明が買いに向かった。隣町とはいえ距離があるので、彼女は商隊に帯同して。予定通りなら、明後日に戻ってくる予定である。

 そして、雛里はもう一人の親友と一緒に菓子作りを担当することとなったのだが、そこで問題が発生した。予期せぬ事態のせいで、僅かに材料費が不足してしまったのである。

 

(まさか、先生が厨房に入ってくるなんて……。普段、料理は私たちがしていたから油断しました。そのせいで、材料をダメにしちゃったし……)

 

 先生――水鏡――に贈り物の存在を慌てて隠そうとした結果、材料が宙を舞った時は親友と二人で呆然としたものである。そこで、厨房の片付けを親友に任せ、不足分を補う為に雛里は薬草を採取して薬屋に売ったのである。

 

 そこからは、横島たちに説明した通りである。急に視界が真っ暗になり、担ぎ上げられた。今までの勉強の成果なのか、そんな事態だというのに妙に冷静に判断していた。自分は人攫いにあったのだと。理解したあとは、恐怖に震えることしか出来なかった。彼女は、自分の非力さも理解していたから。

 

 

 そんな彼女が、再び日の光を目にしたとき目の前にいたのは、困った顔をしている横島の姿。それが、雛里と横島の出逢いであった。

 横島の第一印象は、優しそうな人。困り顔をしていた為に眉が下がっていた事、想定していた人攫い――顔面傷だらけの大男――とは似ても似つかぬ姿が、余計にそう感じさせたのかもしれない。

 

 次に思ったのは、凄い人。雛里は袋の中で、ジッと外の様子を伺っていた。怯えながらも脱出する機会を伺っていたのである。だからこそ、気づくことができた。横島と男が争う音が一切しなかったことに。そして、雛里はごく自然に地面へと下ろされたということに。

 この二つが示すこと。それは、横島が音もなく男の意識を刈り取ったということ。それも、担がれていた雛里に一切の衝撃を与えずに。武をおさめていない雛里には、それは人智を越えた御技に感じられた。

 

 実のところ、この時雛里の体は振動を感じていたし、男が小さく悲鳴をあげる声を聞いている。しかし、人攫いにあって恐怖していた雛里の精神は、それらを認識することはなかったのである。その為に、このような勘違いが生じたのである。

 

 では、横島はどのようにして雛里を助けたのか。それは、横島以外の何者にも真似は出来ない方法である。そして、彼にとってはごく簡単なことであった。

 

 まず、美神たち相手に繰り返した覗きの日々で身につけた、周囲に気配を溶け込ますという絶技を使い男に背後から近づく。そのまま、男と同じ速度で走りながら、袋に手を添える。最後に、膝カックンをして男の態勢を崩すと同時に、“栄光の手”を発動。男が手を離した隙に袋を奪い去り、“栄光の手”を伸ばし男に足払いを仕掛けたのである。その後はトンズラする予定だったが、男が気絶した為、それがなされることはなかった。

 

 

 ……こうして横島の所業を確認すると、強ち勘違いではない気がしてくる。

 

 

 

 

 横島に助けられたあとは、薬屋でしどろもどろになりながらも事のあらましを説明したり、戻ってきて埋まっている男に驚いたり、水鏡が街に来た時たまに遊んでいる子供たちが横島にあっさりと打ち解けていることに驚いたりと忙しかった。

 

 そういえばと、雛里は昨夜星を読んだ時のことを思い出す。運命が始まる日と出ていて、親友と二人ではしゃいだのを思い出したのである。正確には、『運命』『異性』『出逢い』『仲間』『大きな変化』である。大きな変化をもたらす、運命の出逢い。

 

(きっと、あの人のことだ……。あの子たちが懐いているくらいだから、本当に優しい人みたいだし……助けてもらったし。うん、決めた)

 

 重大な決意を胸に、雛里は一歩踏み出す。未だ名も知らぬ彼――横島――と、自身の道を重ねる為に。

 

 

 

 

 

 再び子供たちに弄られていた横島は、自分に向かって歩いてくる雛里に気づくと、背中に乗っていた子供を下ろし雛里に笑顔を向ける。

 

「お、戻ってきてたのか。男はそこに埋めといた……って、いないな? もしかして、オレ逃しちゃった?」

 

『さっき兵隊さんが掘り起こして連れて行ったよー』

 

「あ、そうなの?」

 

 よかったーと息を吐く横島に対し、雛里はかしこまった態度で礼をすると口を開く。

 

「お、お兄ちゃん!」

 

「いやいやいや! 何で!?」

 

「お兄ちゃんと呼んだ方が喜ぶって……それに、名前を伺っていませんし」

 

 雛里の態度に何を言われるのかと、身構えていた横島だったが雛里の言葉は、彼の予想の斜め上をブチ抜いていった。慌てて何故そういったのかを尋ねれば、名前を知らないからと言われる。そう言えば、名乗っていなかったと思った横島が、名乗ろうと口を開きかける。

 

「お兄さんは“(おう)子考(しこう)”さんと言うのですよ」

 

「え?」

 

 横島の名乗りを遮るようにして、風が“横子考”が横島の名前だという。風がどうしてそのようにしたのか横島は分からなかったが、風の瞳が真剣だったことから話を合わせることにした。

 

「そ、そう! “横子考”って言うんだ! 宜しく!」

 

 但し、極めて不自然だったが。この横島の反応には、子供たちも哀れみの眼を向ける。不自然すぎて、偽名ですと白状しているも同然であったからである。

 対して、雛里の方はと言うと風との会話を思い出し納得していた。公の場で口にする訳には行かないのだろうと。細作にしてはお粗末であるので、お忍びで来たどこかの権力者の子息、もしくは巷で噂になっている“天の御使い”かもしれないと考えたのである。“人智を越える”力で助けられたと思っているので尚更である。

 

「それでは、子考様」

 

「様!? いいよ、呼び捨てで!」

 

 改めて、雛里と向き合った横島だったが様付けされて驚く。時と場合、相手――メイドさんとか――によっては嬉しく感じるかもしれないが、子供が見ている前で見た目幼い少女に様と呼ばせることは、横島にすれば完全にアウトの状況だった。

 

「子考様は命の恩人ですので。あのまま、攫われていれば私はどうなっていたことか。想像したくはありませんが、肉体は生きていても私という人格は死んでいたかもしれません」

 

「いや、そうは言っても……。呼び捨てがダメなら、さん付けで呼んでくれないかな」

 

 尚も様にこだわろうとする雛里に、話が進まないと思った風が口を挟む。

 

「士元さん。お兄さんは、気さくな方ですのでかしこまった関係が苦手なのですよ。ここは妥協されては? 話も進みませんし」

 

 風の言葉を聞いた雛里は、横島を見る。見られた横島は、風の言う通りだと激しく首肯する。その姿を子供たちが真似しているのを横目に、雛里は分かりましたと告げると、本題へと進む。

 

「子考さんはこれから何をされるのですか?」

 

「え~と、水鏡女学院ってとこに行って……そのうち治安が良さそうなところで仕事でも探すかな。ま、取り敢えずは仲徳ちゃんたちと一緒に行くつもりだけど。次は何処って言ってたっけ?」

 

「次ですかー? ()()ちゃんたちは洛陽に行くと決めてますねー」

 

「洛陽……そうですか」

 

 先の予定を聞いた雛里は、やはりと小さく呟く。そして、おもむろに膝をつくと横島の眼を見つめて告げるのであった。

 

 

「私の名前は、鳳統士元。姓は鳳、名は統。字を士元と言います。どうか私を、子考さんの旗下に加えてください!」

 

 

「え? 旗下って……? それに鳳統って……あの!?」

 

 急に大声を出した横島に、雛里はビクッと肩を震わせる。それでも、立ち上がらず横島からの言葉を待っている。

 

 その雛里の姿を見ながら、横島は困惑していた。旗下に加えるということの意味も分かっていないが、それ以上に雛里の名前である。

 

 鳳統士元。諸葛亮孔明と並ぶ知恵者であり、鳳雛と呼ばれていた劉備軍の軍師。

 

 かの有名な赤壁の戦いにおいて、連環の計の要を担った人物の一人。

 

 そして、主君劉備の馬に乗っていた為に、主君に間違われ全身に矢を受け若くして命を落とした人物。

 

 それが横島の知る鳳統という人物である。

 

 横島が今まで彼女が鳳統であると、気づかなかった理由は簡単。横島が読んでいた漫画では、鳳統の出番はそこまで多くなかったことに加え、孔明や他の登場人物に比べ字で呼ばれる描写が極端に少なかったのである。

 つまり、横島の頭には士元という字は刻まれていなかったのである。

 

 

 しばし、驚愕していた横島であったが袖を引かれたことで、意識を戻す。引かれた方向を見ると、風が小さく手招きをしている。屈んで耳を貸せと言っているのである。

 横島がしゃがむと、風は横島の耳元で話を始める。

 

「お兄さん、お兄さん。士元さんは、一緒に付いていきたいと言っているのですよ」

「ああ、一緒に洛陽に行きたいってことね。オレは構わないけど、仲徳ちゃんたちはいいの?」

「風は構いませんよ。稟ちゃんたちも構わないというでしょうね」

 

 横島の驚愕の理由を知りえない風は、横島が旗下と言う言葉が分からず返事をしないと思ったのか、雛里の言葉の意味を説明しに来たようである。最も、色々省いた説明だった為、横島には雛里が一緒に旅をしたいと言ったのだと理解したようである。

 

 風たちも問題ないと言ったことだしいいかと、横島は軽い気持ちで返答する。その瞬間、風がにやりと笑ったのを目撃した人物はいなかった。

 

「じゃ、士元ちゃんも一緒に行こうか?」

 

「は、はい! ありがとうございましゅ……うう、最後に噛んじゃった。せっかく、頑張ったのに……」

 

 

 

 

 

 

 ―おまけ―

 

「そういえば、士元ちゃんって魔法使えたりする?」

 

「魔法……ですか?」

 

「そ。何か手から出せたりしない? それか、箒で空を飛べるとか」

 

「手から? それは“気”のことですか? 私は使えないです。それに、箒で空を飛ぶとか、妖術使いみたいなことも出来ません」

 

「そっかー、魔女じゃないのか」

 

 そう呟く横島の視線は、雛里の頭の上にある帽子に注がれていた。

 

 

 




 六話です。雛里ゲットだぜ! の回。朱里は名前だけ。きっと、戻ってきたら雛里がいないという事実に、はわわと言ってくれることでしょう。
 また、ご都合主義な感じ全開です。星読みとかその最たるものでしょうね。まぁ、古の時代は星占いを政治に取り込むことはよくある話ですし、いいかなと。

 あと今更ですが、基本的に地の文は真名で書き進めます。但し、作中で真名が出てきた者だけです。真名が未登場の場合は、字が基本となります。

 次回は、雛里たちの親友が出ます。半オリキャラ? ってやつですね。

 水鏡女学院の場所。雛里が星読みをする及び、その結果。
 これらは拙作内設定です。

 ご意見、ご感想お待ちしております。
 活動報告の関連記事は【恋姫】とタイトルに記載があります。

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