東方吸血王   作:龍夜 蓮@不定期投稿

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レン「それで今回遅れた言い訳は?」

龍夜「現実が辛くて全然進まなくて・・・来年には吸血王終わらせるから堪忍してくだぁさい(涙)」

アイ「という訳で遅れてしまって本当に御免なさい、という訳で本編をどうぞ」


巫女と終始神(改)

あれから二月程経った、相変わらず状況は芳しくないがレンは他勢力の実力者達と話し合いを進めていた。歪みが起きない様に正史の歴史の通りに異変が起きる様にする為レンは動いていた。ハデスは冥界で封印式の維持、アイは紅魔館メンバーの動向を監視している。取りあえず目立った変化は起きてないものの現状維持の状況が続く。極夜の意識は戻らないが歪みの進行を遅らせる為事に従事する三人だった。

 

そんなある日アイとハデスに呼び出された、大事な用があるとの事でレンは一旦仕事を中断し永遠亭へと向かった。無人の病室へ入ると二人は既にいた。レンに気付くと既に二人は怒ったかのような、呆れたかのような視線で椅子に座るように促す。

 

何か怒らせることでもしたっけ?と考えつつ椅子に座るレン。暫く無言の状態が続いたがレンは呼び出した理由を二人から聞く為に口を開いた。

 

「取り敢えずさ、いい加減睨むのやめて呼び出した理由話してくれないか?」

 

レン自身暗い雰囲気での会話は望んでいなかった為そう言ったつもりだったのだが、その言葉でアイは「はぁ」と重い溜息を一つ吐くと、レンに対して苦言を呈した。

 

「あのさ、お兄様私言ったよね?辛い事背負い込まないでくれって何かあったら頼ってほしいって。どうしてまた抱え込もうとするの?」

 

「・・・ハデスから聞いたのか」

 

「少しだけね、流石に全部は話していないよ。君の立場の事もあるし何より私達も覚悟を決めないといけない問題だからね・・・」

 

「それで呼び出した理由はそれを聞きたかったからか?」

 

「それもあるけど・・・それ以外にも聞きたかった事があるの」

 

アイは一呼吸置き、核心を突く様な表情でレンに問いかける。

 

「お兄様、永遠亭で顔合わせして以来霊夢に会いに行こうとしないのは何でなの?」

 

「・・・世界が違うとは言え、未だに会うのず気まずいって理由じゃ駄目か?「駄目、というかお兄様がそんな理由で会いに行きたくないとか絶対ないでしょ?」やっぱり駄目か・・・まぁ、俺自身何処かで見切りを付けて会いには行きたかったんだけどな」

 

視線を反らし頭を掻きながらバツが悪そうな顔でレンは話し始めた。

 

「まぁ・・・その、あんな別れ方しちゃった身だし?それに別の世界とはいえ同じ姿をした少女に昔の様に接するっていうのも・・・」

 

「あーっもう!肝心な所でうじうじうじ・・・神社に居候していた時期もあったのになんでそんな卑屈な考え方しかできないの!?」

 

「いや、居候していたって言うが一日寝る場所提供して貰っただけなんだけど「口答えしない!」はい、すいません・・・」

 

(肝心な所で言い返せないのがレンの弱みだね、立場的には私達の上司なのによくもまぁあそこまでズバズバ言えるものだよ・・・)

 

『まぁ、永く過ごしてきた家族だからこそここまで親身になって考えてくれている。出会った当初から比べればアイも随分と丸くなったな』と思いながらハデスは口元に笑みを浮かべその光景を暫くの間眺めていた。

 

 

 

 

 

「というわけできちんと霊夢と話す事、それができない限り暫くの間口聞いてあげないんだからね」

 

「分かったよ・・・後で博麗神社に「今から行くの」え、いや今日はまだ仕事が・・・「行くの!」はい、分かりました・・・」

 

とまぁ、こんな調子で約二時間の説教が終わり博麗神社に行く事が強制的に決まってしまった。立場的にはレンのほうが上なのに肝心な所で強気になれないのはアイに対して未だに甘いのが原因なのだろう、まぁ考えていても本人の前では絶対口にできない事なのだが。

 

「じゃあ、行ってくるから後の仕事頼むな」

 

「あぁ、気をつけて」

 

「すぐ帰ってきても駄目だからね、みっっちり話してきてよ」

 

「はいはい、分かってるよ。それとアイ」

 

――ありがとな

 

「・・・お礼はいいから、早く行ってあげなよ。時間無くなるよ?」

 

「そうだな、それじゃ改めて行ってきます」

 

 

――――――

 

 

「本当によかったのかい?いつもの君なら無理を言ってもレンに付いて行くと思ったんだが・・・」

 

レンがいなくなった後、ハデスさっきの事についてアイに問うた。別の世界とはいえ霊夢に対して負い目があったレンの背中を押すなんて事は今まではなかった。だからこそハデスは個人的に気になったのだ。

 

 

「お兄様はどうあっても自分の幸せを取ろうとしない、何があっても他者の幸せの為に自分を犠牲にする。今回もそう・・・極夜を危ない目に遭わせた事に強い責任を感じている。霊夢に会うのを躊躇っていたのもそれが原因じゃないかって思ってさ」

 

「私達は罪を背負い業を背負い生きている身だ、だけどレンは背負うべきでない罪まで自分で背負ってしまう・・・それは彼にも言えていると思うけどね」

 

レンと極夜、生まれも生き方もその不器用さも全てが似ている二人の神。数奇な運命で出会った彼らはが数えきれない年月を生き世界を見てきた。だからこそ本当の意味で彼らを救える者はいない、これからもこの先もその様な人物は現れないだろう。他の者が経験した事のない地獄を見てきたのだから・・・

 

少し間を置きアイは言葉を続けた。

 

「私はお兄様の為に何かしてあげたかった。その結果私は神王として傍でお兄様の苦しみも悲しみも一緒に背負って生きたいと思った・・・まぁ、内緒で神王になっちゃったから後でこっぴどく怒られたけど私はこの選択を後悔してはいない。生き方は自由に決めたかったからね」

 

「自由か・・・まぁ、選択するのは個人の自由だし別に今更私から何も言う気はないが本当にその選択で合っていたのかい?君が望むならあの世界に残ってフランの家族になってあげる事もできたと思うがね。レンの支えになろうとして自分の人生を棒に振るなんて傍から見れば愚かでしかないよ」

 

「私は『狂気』なんていう普通の人間社会では『異端』と呼ばれる物から生まれた、『フランドール・スカーレット』の狂気が生み出した存在でしかなかった。そんな私に存在意義をくれたのはお兄様だけ・・・愚かなのは否定しないよ。『レン・リュウヤ』に依存する事でしか生きる意味を見いだせない愚かで可哀そうな吸血鬼だもの」

 

悲しそうな表情でアイは語り続ける。

 

「可哀そうな私は暗闇で誰かが手を差し伸べてくれるのを只待っていただけ『フランを守る』なんて理由を盾にして誰からも受け入れられない現実から逃げていただけの臆病者でしかなかった。縋る物が無くなれば私は壊れてしまう、私を知る存在が居なくなれば本当の意味で孤独になってしまう・・・だから私は極夜を救いたかったんだと思うんだ。私と似ていたから・・・」

 

「だから私は愚か者でいいの、道化と呼ばれてもいい。私を知る存在が幸せに生きてくれればただそれだけで、それ以上は望まない。例えそれが当人が望まない結末だったとしても・・・ね」

 

彼女は受け入れてくれた少女を裏切り、『レン・リュウヤ』を守る影として神王になった。その罪は決して消える事はない。彼女もまたレンや極夜同様、『消せない罪』を背負う存在。終わる事のない『永遠』を享受し例え他者から嫌われようとも大切な物を守る為に力を振るう。果たされない約束を・・・少女の笑顔を胸に抱いて現在を生きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ついに来てしまった』と内心ビクビクしながら鳥居の前まで来ていた。しかし、ここで突っ立っていても何も変わらないので仕方なく鳥居を潜り境内の前まで向かう。変わらない姿、変わらない容姿でそこに少女は居た。

 

霊夢はレンに気付かず、只黙々と掃き掃除を行っていたが近づいてくる足音に気付き顔を上げた。これが初対面という訳ではない、霊夢が意識を取り戻した後に顔合わせとアイが迷惑をかけた事も含めて謝りに行った時レンは霊夢と少しだけだが会話をしていた。しかしあの時はお互いぎこちなく何を話していいか分からなかった為多少強引にレンが会話を切り、それ以降は会話をする事は無くなってしまった。

 

アイがこうして背中を押してくれた以上、何かしら進展を得なければと思っていたレンだったが、『き、気まずい・・・何話せばいいんだろうか・・・』と前回と同じ心境だった。しかしこのままじゃ駄目だと自分を叱咤し口を開いた。

 

「傷の調子はどうだ?まぁ、全戦全勝で異変解決している君に聞くのも無粋だとは思うが・・・」

 

「もうすっかり完治しているのでお構いなく、それで今日は何の用で来たんですか?」

 

「いや最近はここの生活にも慣れてきたがここには一回も来た事がなかったから一度くらいは顔を出しておこうかなとね」

 

「物好きですね、忙しかったんじゃないんですか?」

 

「アイやハデスが仕事を代わってくれれてな、暇になったんだよ」

 

(まぁ、本当は強引に行かされただけなんだけどな)

 

「そういえばレンさんに聞いておきたい事があったんですよ」

 

「俺に?」

 

「父さん・・・いや、『星屑極夜』と過ごした時の話を聞きたいんです」

 

悲しげな表情で頼んでくる彼女にレンは心が痛んだがその願いを聞き入れ極夜との修行中の出来事を彼女に話し始めた。

 

 

―――――――

 

 

「・・・とまぁ、こんな所かな。神力、魔力、気といった力のコントロールなりなんなりいろいろあいつに叩きこんだ。文句も言わず最期まで全力なのは凄かったな、大艇の奴ならすぐに逃げ出すものなんだがね」

 

「やっぱり凄いですね・・・ていうか実戦向きばかりなのはどうしてなんですか?『スペルカードルール』もありますし実戦で戦う事なんて幻想郷では本当に極稀ですよ?」

 

「この世界の住民ならそれが普通なのかもしれないが俺達は違う。常に殺し合いの中で生きている様な物だからな・・・非殺傷前提のトレーニングは『慢心』しか生まない。死と隣り合わせだからこそ実戦形式でトレーニングする必要がある」

 

「殺し合いの中で『非殺傷』なんて生易しいものはない。この世界ではパワーバランスを保つ為に『掟』を作って妖怪達を縛っているんだろうけど、外じゃ掟なんて存在しないからな・・・常に『弱肉強食』が当たり前だ」

 

その言葉に霊夢は何も言えずに黙ってしまう。この世界では当たり前だった『掟』は外では・・・極夜が生きていた世界にはない。常に死と隣り合わせの毎日、どれだけ辛く苦しいのか実戦経験が少ない彼女でも分かる。この世界の『(ルール)』が作られたのは当初『八雲紫』の理想だった『人と妖が共存する世界』を目指した結果生まれたものだった。当然反対の意見を示す者も多く居た、それが原因で戦にも発展した事もあった。そしていつも中心で戦っていたのは彼女の育ての親でもある極夜だった。

 

博麗の巫女である彼女は歴代の巫女の中でも『鬼才』と恐れられる程強い、だがそれは今の『掟』の上での戦いだからこそだ。自分に傷を負わせた少女に『甘ちゃん』と言われ弱さを指摘された今では周りからいくら評価されても持て囃されても素直に喜ぶ事もできない。それ程今の『博麗霊夢』の心は『アイ・スカーレット』に叩きつぶされた敗北感で埋め尽くされていた。

 

「だが、この世界はとてもいい所だと思うよ」

 

そう言ってレンは立ち上がり空を見上げる。

 

「『掟』で縛られているとはいえ人里の人間達は何不自由なく暮らせているし余程の事がない限り大きな事件も起きない・・・とてもいい所だ。あいつと賢者がこの世界を今までずっと守ってきたのがよく伝わってくる」

 

「俺達はどうあっても望んだ結末に導く事なんてできない。何かしらの『犠牲』と『代償』を払ってきた。今までもそしてこれからも・・・」

 

神としての在り方、存在意義・・・それらを背負う目の前の人物にただただ霊夢は圧倒されていた。そして同時にどうしてそこまで強いのかが気になった。

 

「・・・どうすればレンさんの様に強くなれますか?」

 

「俺は君が思う程強くないよ。君が俺を強いと思うのならそれは大きな勘違いだ」

 

「でも貴方は父さんに修行をッ「修行を付けていたのは個人的に頼まれたからだ、そうでなければここまで肩入れはしてはいない」じゃあどうして・・・」

 

「じゃあ逆に聞くが君の言う強者とは誰を指す?」

 

「父さん・・・『星屑極夜』です」

 

「成程ね、まぁ確かに極夜はこの世界でも屈指の実力者だ。そういう意味ではあいつは強者の部類に入るだろう。だがあいつは俺同様強くない」

 

「本当の強者は例えどんな状況でも『甘さ』を捨て非情になれる存在・・・さっき出した問いに対しての俺の答えはこうだ」

 

「甘さを捨てる・・・」

 

理解できなかった、頭では理解しえない回答だった。だが何故かその答えを否定する事が今の自分にはできなかった。この異変で出会った三人の存在意義を否定してしまいそうな気がしたからだ。

 

「俺の事を周りは強者の部類に入れるがそれは違う・・・俺は決して強くない。どれだけ力を持っていてもどれだけ強かろうと、守れなければ意味がない」

 

「守れない自分に苛立ったよ、殺したい程に。だが自分は世界に縛られている・・・だから死んで楽にもなれない。世界が・・・それを許そうとはしない」

 

「だからこうして俺は現在(いま)を生き世界を見て回っている、それで誰かを救える訳じゃないが今はこうする事でしか生きられない・・・そうする事でしか俺は何故自分が生きているのかの『存在意義』すら見い出せないんだよ」

 

 

―――これでもまだ、俺が強いと思うか?




龍夜「という訳で今回も遅れてしまって本当にすいませんでした、駄作者こと『龍夜 蓮』です」

レン「吸血王の投稿を去年と同じ日にしてるんじゃねぇよと『レン・リュウヤ』です」

アイ「社会人になってから余り休めなくなっているのは分かるけど時間見つけて書きなさいよと『アイ・スカーレット』だよ」

レン「それで今回の話は俺と霊夢の話だった訳だが、入れる意味あったか?カットして本題入ったほうがよかった気もするんだが」

龍夜「まぁ、それでもよかったんだけど次話の話と時系列がごっちゃになりそうだったから一応書いたのよ。当初はカットして進める予定だったけど『あれ、これだと流石に話の流れ的に不味くないか?』って思ったからね」

レン「それでいつになったら吸血王終わるんだよ、前々から思っていたけどお前思いつきだけで作って後の事考えてないって計画性無いにも程があるぞ・・・」

龍夜「後二、三話で終わる予定だから・・・(震え声)ていうか今更だけどやっぱり小説書くの向いてないね自分。特に戦闘シーン有りの物語とか俺にはハードル高すぎたって思うよ・・・」

アイ「だからって私とお兄様の祖龍録も無かった事にしないでよ。最初から書き直してでもきちんと掘り下げて完結させなさい」

龍夜「はい・・・忙しいけどなんとか頑張ります・・・」

レン「という訳で今回はここまでです。投稿ペースが安定しない駄作者ですが、どうか来年も宜しくお願いします」

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