隻眼の猛将、恋姫無双の世界へ   作:恭也

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だいぶ時間が開いてしまいました。
恋姫英雄譚のキャラとかを見てどうしようかと考えたりバイトが忙しかったり色々ありましたがなんとか執筆始めた続けております。

今回は噂の賊との戦いですがあっさりしてます。
後冬椿さんは少なめです。


第二十二話 対峙する冬椿、寂しがる雛里

俺が果物を投げた賊。そいつは雛里とそれほど背丈の変わらない少女だった。かなり長い黒髪に背丈程ある鞘に入った細身の剣を背に背負い、身なりはぼろぼろで薄汚れていてとても普通の少女が身につける様な物じゃない。つまりこの少女が件の賊で間違いないのだろう。

だが今目の前にいる少女は俺が不意打ち気味に投げた果物が額に当たったらしく、へたりこんで額を押さえているが。

 

「うぅ~…痛いです~…。

「その、なんだ…すまなかった…。」

「い、いえ……はうあっ!?」

 

俺がつい普通に謝ると少女は慌てて距離を取り背の剣に手をかける。俺も念のため腰にある剣を抜く。

 

「食べ物かお金を…置いていくのです!!」

 

少女は俺に接近しながら剣を抜いて横凪ぎに斬りかかってくる。その速さはかなりの速さで普通の奴が初見で防ぐのはかなり難しいだろう。だが俺にははっきり見えているから剣の軌道に合わせて俺の剣を動かせば容易に防げる。

少女は俺が防いだのに一瞬戸惑った様だがすぐに間合いを取りまた斬りかかってくるがそれも防ぐ。それが何度か繰り返される。

どうやらこの少女は速さや気配を消す事に関してはかなりの物だが力が無いのと剣術の知識が無いのだろう。剣をただ闇雲に振るしか出来ず、長い剣を大振りするため剣に振り回されている。やはりこの少女が今まで返り討ちに合わなかったのは間近まで気配を消して接近出来た事と初見では防ぎ辛い速さの賜物だろう。それが通じない相手だったらこの少女に勝ち目は万に一つも無いのは明らかだ。

 

しばらくの間少女の攻撃を防ぎ続けていると動きが眼に見えて落ちてきた。既に肩で大きく息をしているし何度も剣を落としそうになっている。これ以上続けるのは酷だろう、俺は気を静めて周辺に気配を徐々に同化させていく。

さて、相手には俺がどう見えているか…。俺には驚愕の表情をしている少女の表情がはっきりと見えていた。

 

 

???視点

 

私は困惑してました。隠れてた私の気配を感じ取るだけじゃなく私の速さすら完全に捉えてた目の前の剣を持ったお兄さんに。

これまで私が襲った人の中には少ないけど私の気配に気付く人はいました。だけど私の攻撃を最初から防げる人はいませんでした。だから最初の私の攻撃で怯んだ所を食べ物を奪ったり、荷物を置いて逃げる人ばかりだったから今までやってこれました。

けどこのお兄さんには全然隙がありません。でもこのお兄さんを逃したら私は生きていけない。だから私は必死に剣を振りました。でももう限界で…そしたらふとお兄さんの気配が小さくなってるのに気付いてお兄さんを見ました。

私は驚きました。お兄さんが少しずつ透けていくからです。最初は私が疲れて変な風に見えたのかと思ったけどお兄さんがどんどん透けていって私の目がおかしい訳じゃないのがわかりました。そしてお兄さんが透けていくと気配もどんどん小さくなってるのに気付いて私はもう混乱してました。私よりも凄いこのお兄さん、私は既に疲れきってフラフラ、もう奪う事も逃げる事も出来ません。

それでも何とか逃げようと少し逸らした視線をもう一度お兄さんに向けたら…そこにお兄さんは居ませんでした。慌てて周りを見回したけどどこにも姿は無く気配すら感じられません。

 

「すまんな、少し寝ててくれ。」

 

どこからかお兄さんの声がしたと思ったら痛みを感じて…私の意識は途切れました。

 

 

???視点終了

 

 

気配を断ち気を周囲に同化させて素早く少女の背後に回り込み首に軽く手刀を当てて少女を気絶させる。ゆっくり前に倒れる少女を支えてその場に寝かせてやる。

少女の身なりはかなりボロボロで薄汚れている、かなり長い間この森で生きていたのだろう。この少女に何が起こったのか…直接聞いてみなければ分からないが、これはいい拾い物かもしれない。

少女の身を隠す能力はかなりの才能だ、ちゃんと育ててやれば偵察や斥候として大いに活躍出来るだろう。しかしそれには少女がその道を選んでくれなければならない、無理に押しつける訳にはいかないからな。どうしたものか。

そんな事を考えていると森の出口の方が騒がしくなっているのを感じた。俺は考えるのを止めて少女を担ぎ上げると森の出口に向かって歩きだした。

 

 

 

雛里視点

 

 

私は走る馬に必死でしがみついてます。

冬椿さんが森に現れるという賊の気配に感じて馬を降りてから馬を先に行かせました。その馬に必死にしがみついてます。

一応冬椿さんに馬術は教わってちょっとだけなら操れる様にはなりました、だけどこんなに速く走らせた事は無いです。もう振り落とされない様にしがみつくのに精一杯でとても手綱を握れません。

このまま止まらなくて遠くまで行っちゃって冬椿さんとも離ればなれになっちゃって…考えただけで涙が出てきちゃいました。

ところが馬の走る速さが少しずつ遅くなってるのを感じて私はゆっくり目を開いて前を見ました。すると森の出口が見えたので私は何とか馬を止めようと手綱を握ろうとしたけど手が届きません。

それでも馬は出口に近付くにつれどんどん遅くなっていって森を出た所で止まりました。

 

「あ…ありがとう…止まってくれて…」

 

私はちょっと怯えながら馬にお礼を言いました。すると馬はそれに答える様に短く小さく嘶きました。まるで私の言った事が分かるみたいで不思議な感じがしました。

 

それからしばらく冬椿さんを待っていると森と反対の方から地響きが聞こえてきました。そっちを見ると、騎馬の集団がこっちへ来るのが見えました。最初は賊かと思ったけど、先頭の二人以外の兵装が蓮虎さんの所にいた兵と同じ兵装をしてるのを見て建業の駐留軍だと予想がつきました。

その軍は森に近づいて来ると私の姿を確認したらしく動きを止めました。そして先頭にいた二人だけが私に近づいて来ました。一人は武器を持っているから間違いなく武官、もう一人…あの胸の大きい人は多分軍師…。

その軍師らしき巨乳の人が更に私に近づいて来ます、武官の人は何かあった際の護衛でしょう。

 

「すみませぇ~ん、こんな場所に一人でどうしたんですかぁ?」

 

なんかほんわかした喋り方です、見た目もほんわかしてます、でも胸が…胸が揺れてます。

 

「え…えっと、一緒に旅をしてる人を待ってます…」

「森を抜けて来たんですかぁ?噂になってる賊に出くわしませんでしたかぁ?」

「はい…一緒に旅をしてる冬椿さん…子雲さんが私を先に逃がしてくれて…」

「一人で対峙しているの!?直ぐに救援に行かなくては!!」

 

巨乳の軍師の人の後ろに控えてた武官…何処と無く蓮虎さんや雪蓮さんに似てる人が慌てた様子で兵に指示を出し始めました。

 

「蓮華様~、救援は必要無いみたいですよぉ~」

「何言ってるのよ、これまでも腕の立つ武芸者達が返り討ちに合ってるのよ!?」

「そうですけど~、中から誰が歩いて来ますよぉ?」

 

軍師の人がそう言ってそこにいた全員が森の方に注目しました。

私も同じく森の方を振り向いたら…私と同じ位の女の子を担いだ冬椿さんが歩いて来るのが見えました。




時間がかかった割には短くてすいません。

感想にもあった孫堅さんですがこの孫堅さんは英雄譚は無視します。
ただ何人か考えてるオリキャラと被らずいいなと思うキャラはいるので出せたらいいなとは考えてます。

次話ですが最初から遅くなる事を明らかにしておきます。なんとか続けていきますのでよろしくお願いいたします。

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