隻眼の猛将、恋姫無双の世界へ   作:恭也

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だいぶお待たせしました。

何とかやっていきますよ。


第二十話 若虎と夏侯恩

外はすっかり暗くなったが、今俺がいる長沙の外れにある小さな街の城は賑やか……いや、騒々しいな。

孫堅に誘われてこの街に来て城に通されて、宴が始まった時にはまだ日は出ていた。それからずっと宴が続いているが、既に孫堅と黄蓋と俺しかいない。少ないながらもいた他の文官や武官は早々に席を立ち、雛里は飲むなと言ったのに酒を飲んで酔い潰れてさっき俺達の客間に運んだ。雛里には今後酒は絶対に飲ませないと誓う、まさかあんなに悪酔いするとはな……。

 

そんな訳で今この広間には俺達3人しかいないのだが……。

 

「夏侯恩~、もっと飲みなさいよ~。」

「いや……飲んでるぞ……。」

「遠慮するでないわ、ほれ、もっと飲め。」

「だから飲んでるぞ……。」

「なによ~、あたしの酒が飲めないってのかい~。」

「堅殿ばかりでなく儂の酒も飲まぬか。」

「そんなにまとめて飲めるか……!!」

 

 

ずっとこんな感じだ。この2人はかなり酒癖が悪い上にやたら絡んでくる。俺も酒は好きだが騒がしく飲むよりは静かに飲む方が好きなんだが、この2人のせいでそれは出来ない。

それにこの2人は酒癖が悪い上にやたらと飲みまくっていて、回りには酒の入っていた器や壺が散乱している。一体どれだけ飲んでいるのか……この2人には付き合いきれんな。

俺は席を立つ、酔った孫堅が俺に絡んでくる。

 

「夏侯恩~、何処行くのよ~、もっと飲みなさいよ~。」

「酔いを冷ましに行くだけだ、2人で好きなだけ飲んでいろ。」

 

俺はそう言って広間を出ると風に当たりに城壁へと足を向けた。

 

 

 

雪蓮視点

 

馬を飛ばして母様の城に急いだけど途中で冥琳の馬が持たなくて仕方無く速度を落としたら暗くなっちゃったわね。城に着いて馬を預けてから母様と夏侯恩がいるだろう広間に向かう足取りは思わず速くなっちゃう、でもそこで私の勘が城壁へ行けと訴える。自慢じゃ無いけど私の勘は外れた事が無いわ、私が方向を変えると当然冥琳が止める。

 

「雪蓮、何処へ行くつもりだ?」

「え~、厠よ厠、冥琳も一緒にしたいの?」

「はぁ……早く行ってきなさい、私は先に行ってるわ。」

「は~い、母様と祭によろしくね~。」

 

私は逸る気持ちを抑えて城壁に向かう。直ぐそこの筈なのにその道程はとても長く感じたわ。

そして見つけた、城壁に佇む男、私の憧れた人を。

 

「……やっと……やっと会えたわ……夏侯恩……。」

 

 

 

雪蓮視点終了

 

「……やっと……やっと会えたわ……夏侯恩……。」

 

声をかけられ振り向くと、そこには俺と歳は同じ位の女がいた。褐色の肌に桃色の長い髪、目のやり場に困る服、そして雰囲気や纏う覇気は孫堅ととても似ている。

 

「……お前は……。」

「あ……そうよね……覚えてないわよね……私は……。」

「……孫策……だろう?」

「孫策…………えっ……!?」

「数年前洛陽で会っている……よくはしゃぐ子供だったな。」

「貴方が落ち着き過ぎなだけだと思うわよ……でも……覚えてくれてたんだ……。」

「孫堅によく似ているからな。」

「そっか……覚えててもらって光栄だわ……私、ずっと貴方に憧れてたのよ。」

「……俺に憧れていた……?」

 

(俺と孫策の関わりは洛陽でのほんの僅かな物だが、俺に憧れるとはどういう事だ?)

 

「私は江東の虎の娘よ?覇気を感じとれるし人を見る目位持ってるわ、幼かったといえね。」

「ならその目に俺はどの様に写ったんだ?」

 

他人から自分がどう見えたのか気になった俺は孫策に聞き返す。その答えは……。

 

「真の強さと気高さ……それと、真っ直ぐな信念と願い……それを感じたわ、正に英雄よ……貴方らは。」

 

 

俺の予想を遥かに超える評価だった。

 

「そこまで言ってもらえるのは有りがたいが……英雄は言い過ぎだと思うが……。」

「いいえ、間違いないわ……今の貴方を見て確信したわよ、貴方は間違いなく英雄たる男よ。」

 

 

英雄は流石に買い被り過ぎだと思うが……まあ他人からどう見えているのか分かっただけでもいいか。

そう考えていると孫策からとんでもない事を言われる。

 

 

「ねぇ、貴方は人の下にいるべきじゃないわ、私達の上に立たない?」

「……いきなり何を言ってるんだお前は……。」

「貴方は英雄よ、下にいるべきじゃないわ、貴方だって上に立ちたいでしょう?」

「……俺は自分を英雄だと思ってないし上に立ちたいとも思ってない。」

「……それ……本気で言ってるの……?」

「俺は陳留太守曹孟徳の配下、夏侯子雲だ。それ以上でもそれ以下でもない。」

 

 

俺がそう言うと孫策は一瞬かなりの覇気を放ったが直ぐに抑えて俺に背を向ける。

 

 

「そう……なら今は諦めるわ……今はね……。」

 

 

そう言ってクスリと笑う孫策を見て俺は思った。

 

 

(今は……か……孫策伯符……小覇王の名は偽り無しか……。)

 

 

 

俺はこの時直感した。孫策こそ俺達の最大の障壁になるのではないか……と。

 

 

 

その頃宴をしていた広間では孫堅と黄蓋が正座させられて周瑜にくどくどと説教されていて、翌日2人が周瑜の監視の元悲鳴をあげながら溜まっていた政務をさせられたのは余談だ。




孫策の心にも嫉妬が芽生えました、対象は冬椿よりも華琳に向きます、要は羨ましいんです。


最近創作意欲が上がらないです。恋姫熱が冷めた訳じゃないのに……やっぱり思いつきで書き始めたからでしょうか……。
でも何とか、遅くなってもいいから続けようと奮起してるこの頃です。

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