隻眼の猛将、恋姫無双の世界へ   作:恭也

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比較的スムーズに纏められました。

今回夏侯恩は出ませんが懐かしいキャラが出ます。

被お気に入りが気付けば千を超えました、皆様ありがとうございます。


第十三話 華琳の新たなる決意とかつて邂逅した者達

華琳視点

 

私は春蘭と秋蘭を連れて兄様が商人達との話し合いに使っていた広間に向かっている。話を聞かせてくれる商人との約束は一刻後だったけれど、閉じ籠もってた秋蘭を引っ張り出すのにかなり手間取って半刻程遅くなっちゃったわ。

その秋蘭だけど兄様がいなくなったのが相当堪えてるみたいね。無理もないわ、秋蘭は兄様が大好きなんだから何も告げずに去られたら悲しむに決まってるわ。兄様ったら戦や政の事には信じられない位色々気付けるのに、ホントこういう事には無頓着と言うか鈍感と言うか……私達の好意に全然気付かないなんて……馬鹿……。

 

そんなことを考えながら広間に着くと、扉の前にはあの商人が立っていた。

 

「御待ちしておりました、少々お時間がかかっていましたが、やはり夏侯淵様が?」

「ええ、秋蘭を引っ張り出すのに手間取ってね、待たせたかしら?」

「いいえ、こちらも準備に少々手間取りまして、さあ、お入りください。」

 

 

広間に入ると、そこには壁に隙間無く沢山の地図が貼ってあり、沢山の書や竹間が山積みされてあった。私も春蘭も秋蘭もこの広間の異常な感じに圧倒されたわ。

 

「驚かれましたか?私もこれ程までの大陸の情報は見たこともありませんでしたよ。」

「……教えて……兄様は……何故こんなことを……?」

「夏侯恩様は、全ては乱世を勝ち抜く為だと仰られてました。」

「……乱世を勝ち抜く……?」

「はい、夏侯恩様は先の先まで見越しておられます。漢王朝の権威は今や無きに等しく、私腹を肥やす者や暴利を貪る者ばかり、いずれ大きな乱が起こり時代は乱世に進んでいくと仰っていました。」

「ええ……そしてその乱世を、私は覇道で突き進むわ。」

「しかし夏侯恩様は今のままではいずれ現れる強敵に踏み潰されるとお考えです、乱世を勝ち抜くには優秀な人材がもっと必要だと仰っていました。」

「……じゃあ兄様がいなくなったのは……!?」

「はい、夏侯恩様は優秀な人材を探す為、そしていずれ戦で進むであろう土地を自ら見極める為に陳留を離れられました。この事はご自分の兵や街の住人達には既にお話しております。」

 

 

(やってくれるわね……兄様……知らないのは私達だけ?これじゃ慌ててた私達がいい笑い者じゃない……。)

 

 

「夏侯恩様は曹操様達に話さなかった理由も仰っていました。未だに甘えがある3人に試練を与えなければ成長は無い、もし俺が戻る迄に俺の予想以上の成長が見られたら3人の望みを叶えてやる、とも仰っていましたよ。」

 

 

(……ふふふ……兄様……今の言葉は私の心の火に大量の油を注いだわよ……絶対に兄様の予想を越えてみせるわ!!)

 

 

「どうやらお話したのは間違いでは無かった様ですね、夏侯恩様の危惧も杞憂だった様です。」

「ええ、ありがとう、お陰で兄様が必ず帰ってくることも分かったし、優秀な人材も来る様だし、兄様から必ずご褒美を貰わなくちゃいけないしね。」

「冬兄からのご褒美!!必ず貰いましょう、華琳様!!」

「兄者……私も頑張ります……必ず帰ってきてください……!!」

「それは何よりです、では私はこれにて。」

 

 

兄様……私達は必ず成長するわ……だから兄様……必ず無事で帰ってきて……じゃなきゃ許さないんだから……!!

 

 

 

 

 

 

冀州ギョウ

 

「私が今日より袁家当主になりました袁本初ですわ!!兵の皆さん!!皆さんの命、この地の平和の為に、袁家の繁栄の為に、この袁本初に貸してください!!」

「オオオオオオオォォォォォッ!!」

「麗羽様……変わったな……。」

「そうだね……何があったんだろう……?」

「それは麗羽にしか分からない事よ、私達は変わらず麗羽を支えるだけよ。」

「そうだな、あたい達は今まで通りに。」

「麗羽様に付き従っていくだけだね。」

「さあ、猪々子さん、斗詩さん、桂花さん、このギョウの地を更に発展させて行きますわよ。」

「「「ハッ!!」」」

 

(子雲さん……洛陽で最後に会ってからもう何年経ったでしょう……洛陽で子雲さんが真名を預けて下さらなかったのは私が世間知らずで傲慢だったからだと私は考えています。子雲さんの仕えている曹操さんには及ばないかもしれませんが、私なりに頑張っています……次にお会いする事がありましたら、その時こそ真名を預けて頂ける様に、私も精進して参りますわ……。)

 

冀州ギョウ、豫州陳留に勝るとも劣らぬ平穏な地なり。

 

 

 

 

 

荊州某所 水鏡学院

 

 

「ねぇねぇ雛里ちゃん。」

「どうしたの?朱里ちゃん。」

「ずっと気になってたんだけど、どうして一ヶ所誰も座らない席があるんだろう?」

「そう言えば誰も座らないね、あの席。」

「うん、誰の席なんだろう?」

「気になるのかしら?」

「はわわ!?水鏡先生!?」

「あわわ!?いつの間に!?」

「あの席はね、ある男の子……いいえ、年齢的には青年と言うべきかしらね。」

「はわわ!?男の人の席なんでしゅか!?」

「あわわ!?もしかしてこの学院が女の子しかいないのに女学院じゃないのはもしかしゅて!?」

「ええ……その青年が来るのを私はずっと待っているのよ。」

「……水鏡先生、その男の人は先生から見てどれ位凄かったんでしゅか?」

「そうね……出会ったのはもう10年位前だったけれど、既に今の2人位の知を持っていたわね……。」

「そ……そんなにしゅごかったんでしゅか……?」

「ええ……それに彼は努力を怠らないわ……もしかしたら今の大陸で一番の知になっているかも……。」

「……そんなに凄い人がいるなんて……もっと頑張らなきゃ……。」

「……そんなに凄い人がいるなんて……会ってみたいな……。」

「ふふふ……きっといつか会えるわ……彼が来てくれればね……。」

 

 

 

 

水鏡学院にはまだ見ぬ知者に対抗意識を持つ少女と憧れを抱く少女がいた。

 

 

 

 

荊州南部長沙

 

 

「うははははーっ、今日からこの地は妾の物なのじゃーっ!!」

「流石美羽様、作戦大成功ですねーっ。」

 

「堅殿、これからどうするのじゃ?」

「……私の短慮で折角の領地を失っちまった……皆には悪いが再起を期すまで江東各地に散ってくれるかい……?」

「……やむを得ないでしょう……雪蓮は私が何とかします。」

「済まないね冥琳、祭は私に付いてくれ、蓮花と小蓮には穏、頼むよ。」

「わかりました~。」

「本当に済まないね皆……しばらくは苦汁を舐めさせられるが、私達は必ずまた立ち上がる、その時まで私に付き合ってくれ……。」

「堅殿……行きましょうぞ……。」

「ああ……冥琳、穏、娘達の事……よろしくな。」

「「ハッ!!」」

 

 

 

 

江東の虎は自らの過ちにより、袁術に領地を奪われ再起を目指す身になっていた。

 

 

大陸各地に乱世の兆しが徐々に現れて来ていた。




懐かしいキャラや初登場キャラを出して見ましたがいかがでしょうか?


既に何人かのオリキャラ案を頂きました、本当にありがとうございます。
皆様もこんなキャラを出して欲しい、このキャラはこの陣営にして欲しい等活動報告やメッセージにお寄せください。


次回はある方と再開します。

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