隻眼の猛将、恋姫無双の世界へ   作:恭也

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今回は前書きと言うより注意です。

アンケートを前話から取ってますが感想に書くのは規約違反になります。最悪連載出来なくなってしまいますのでアンケートの回答は活動報告かメッセージにお願いします。



本編ですが新たな原作キャラが出ます。


第十話 女はよく解らんな

町に帰ってきて、華琳達と模擬戦をしてから3年程経過した。

俺は14歳になり華琳達は12歳だ。

あの模擬戦以後俺は3人を真名で呼ぶようにした。3人の喜び様は凄かった。

 

更に俺は父達に働きかけ、町の長を正式に華琳に引き継がせた。病に伏していた華琳の母、曹嵩様は遠く離れた村に静養という名目で隠居して貰い、父に付き従う様に手筈を整えた。

それにより俺も夏侯家を継ぎ正式に華琳の下に就くことになった。華琳は従兄の俺を下にはしたくないと言ったがそれでは後から来る者達に示しがつかないので断った。華琳は不満そうだったが公私混同は良くないんだと説得して公時の際は兄様とは呼ばせない様にした。

 

 

俺の立ち位置だが軍師兼任武将になっている。今は軍師がいないから仕方無い。

まあ今は俺、華琳、春蘭、秋蘭の4人しかまともに政務や討伐の指揮を出来る者がいないんだ。一応文武官の募集はしているが滅多に来ない上に期待外れな奴しか来ない。これに関しては地道にやっていくしかないな。

 

 

しかし・・・解ってはいたが漢王朝の衰退がこれ程までになるとはな。今洛陽にいるまともな奴は何進位だろう。孫堅は江東に戻された様だし、あの馬鹿も親共々ギョウに飛ばされたらしい。いよいよ乱世の始まりが見えてきたな。

しかし今の俺達に出来る事はこの町の事だけだ。すっかり寂れてしまった町を再び活性させる為に出来ることをやっていくしかない。

俺は手始めに町の警備を充実させる事にした。警備がしっかりしていれば町で狼藉を働く奴も少なくなる。そうすれば自然と人が集まるからな。

まず俺は兵達に分担を割り当てて常に町を見回る兵がいるようにした。当然発案した俺自身も見回りに参加する。手が空いてる時には春蘭と秋蘭にも手伝ってもらう。

兵達は将を見る。将が動けば兵も動くが将が動かなければ兵だって動かない。だから将である俺や春蘭と秋蘭が行動すれば兵達も積極的に動いてくれる。

やはり効果はあったな。兵達は怠慢無く警備に打ち込んでくれてる。まあ怠った兵には春蘭から厳しい修練が待っているからな、それもあるだろうな。

 

 

さて、俺の周りでは少し・・・いや、かなり対応に困る事が続いている。

華琳、春蘭、秋蘭がやたらと俺に絡んでくる。それはまだいいんだが・・・。

 

 

 

「兄様、こんなのはどうかしら?」

 

「冬兄、似合う?似合う?」

 

「兄者、これは私に合うだろうか?」

 

 

 

俺の前では華琳、春蘭、秋蘭が様々な服を着ては俺に見せてくる。3人も女だ、それはまだいいんだが・・・。

 

 

(何故俺は椅子に縛られてるんだ!?そして3人は俺の前で堂々と着替えるな!!これは尋問か!?拷問か!?)

 

 

俺は椅子に縄で縛り付けられ身動きが取れず、3人が俺の前で服を着替えるのを見せつけられている。

そりゃ子供の頃は一緒に風呂に入ったりはしたが、3人は育ってるんだ。眼のやり場に困るんだ。3人共少しは恥じらいをもってくれ・・・。

 

 

「兄様はこんな服は好きかしら?」

 

(華琳・・・服は似合うんだが下が短すぎだ・・・見えちまうぞ・・・。)

 

 

「冬兄、どうだ?似合うか?」

 

(春蘭・・・恥じらいをもってくれ・・・肌をさらしすぎだ・・・。)

 

 

「兄者・・・こんなのはどうだろうか?」

 

(秋蘭・・・お前が一番まともだと思ってたが・・・俺に何を求めてるんだ・・・。)

 

 

最近の3人の俺への態度には本当に困る。一体俺に何を求めてるんだろうか?

 

 

 

 

かれこれ2刻ほど3人の服選びに付き合わされ、精神的に参ったが警備を休む訳にはいかない。俺は町の見回りをしている。

見回りを始める前に比べれば商人が町に出入りする様になってきた。こう眼に見える成果があれば兵達もやり甲斐を覚えるだろう。

 

そんなことを考えながらふと細い路地に眼をやると1人の娘が籠を売っていた。何故そんな場所で籠を売っているのか気になり声をかけることにした。

 

 

「見せて貰えるか?」

 

 

俺が話しかけると娘は驚いた様だが俺の言葉を理解したのか何度も頷いた。

 

「・・・いい籠だな・・・手作りだな?」

「はい・・・私の邑の人達が作りました・・・。」

 

 

どうやらこの町まで売りに来たらしいな。

 

 

「どうして広い通りで売らないんだ?これ程いい籠ならすぐ売れるだろう?」

「そ・・・それは・・・。」

 

 

何やら口ごもっているがどうしたんだろうか?

 

それは娘の顔や腕を見て気が付いた。この娘にはあちこちに傷跡があるのが見えた。その傷跡を隠すためにこんな場所で売っていたのか・・・。

 

「その傷跡で恐れられるか、兵に追い出されるかと思ったのか?」

「えっ・・・!?はい・・・。」

 

 

娘は俯きながら肯定した。成る程・・・華琳達と同じ位の年だろうが傷跡を見られたくないが籠を売らないといけない・・・だからこんな場所で売っていたか。

 

 

「そんなことは無いしさせないさ、堂々と表通りで売ったらいい。」

「えっ・・・どうしてそんなことを言いきれるのですか・・・?」

「ん・・・?俺が警備の指揮をしているからだ。」

「・・・えええええっ!?」

 

 

 

 

表通りに移動させたら案の定籠は直ぐに売れた。娘は俺の後ろに隠れていたが次第に自分から客寄せをする様になった。

そして最後の籠が売れたので後片付けを手伝ってやっていると娘が話しかけてきた。

 

 

「あの・・・ありがとうございました。」

「俺は何もしてないさ、いい籠だったから売れたんだ。」

 

 

本当に俺は何もしてない、ただ籠を表通りで売るようにさせただけだ。

 

 

「あの・・・これからもここで籠を売ってもよろしいでしょうか・・・?」

「勿論だ、何時でも構わないぞ。もし兵や誰かに何か言われたら夏侯恩子雲の許可があると言ってやれ。」

「あ・・・ありがとうございます!!」

娘は深々と頭を下げた。そんな大した事ではないんだが・・・まあいいか。

それよりも・・・。

 

 

「1つ無礼を承知で聞いてもいいか?」

「・・・傷跡の事ですよね?」

「ああ・・・何故君の様な若い娘がそんな傷跡を・・・?」

「これは・・・友を庇って受けた傷なんです・・・。」

 

娘は話してくれた。

邑が賊に襲われた時、逃げ遅れた2人の友を救う為に賊に挑み、傷だらけになりながらも戦ったと。

 

 

「・・・そうだったのか・・・済まないな、聞いてしまって。」

「いえ・・・そんな・・・。」

「だが・・・尚更傷跡を隠さず堂々としていればいいぞ。」

「えっ・・・どうして・・・?」

「友を守って受けた傷ならその傷跡は友を守った証だ、隠さず胸を張ればいいんだ。」

「友を守った・・・証・・・。」

「そうだ、堂々と胸を張って言えばいい、この傷跡は誇りだとな。」「・・・う・・・ううっ・・・。」

 

突然泣きだした娘に俺は困惑した。そしたらいきなり泣きつかれた。

「お・・・おい!?なんでいきなり泣くんだ!?」

「ううっ・・・だって・・・だって・・・初めてだから・・・うわああああん!!」

 

 

(そうか・・・こいつはずっと悩んでたんだな・・・誰にも打ち明けられなくて苦しんでたんだな・・・)

 

 

「お前、名は?」

「・・・グスッ・・・楽進・・・文謙・・・真名は・・・凪です・・・。」

「いいのか?真名を預けて?」

「はい・・・グスン・・・。」

 

(楽進か・・・もう俺の知る武将が女なのには驚かないが・・・正義感の強さは変わらない様だな・・・。)

俺は心の中で苦笑していた。

 

 

それから凪が落ち着くまで好きにさせてやった。落ち着いてから凪は慌てて俺から離れたが顔が赤かったな、風邪でも引いたのか?

 

 

その後屋敷に戻ったら俺が見知らぬ娘と抱き合っていたという誤解が広まっていてそれを揉み消すのと華琳達の機嫌を直すのにかなり苦労させられた。なんで俺がこんな目にあうんだ・・・!?

 




凪登場&フラグ立ちました。

戦や政務、また気遣い等は完璧な恩さんですが女心は全く分からない鈍感っ振りです。

ちなみに3人の恩さんを思う強さは

秋蘭>華琳>春蘭

です。
いかがでしょうか?

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