しかし妥協はしないので誤字・脱字や表現方法の指摘などはドシドシ下さい。
人の人生なんてモノは、実に儚く脆いモノだ。特に変わった「何か」がなくても、何の前触れもなく崩れていく。俺なんかが良い例だ。花の大学生、バイト先も決まり順風満帆な生活を続けるはずだった自分。
それがどうだ？
今やオンのつくボロ屋敷で寝泊りし、名前の割りにハード且つ将来が絶望的な人種になってしまった。それも一人称を俺から私に変えるか真剣に悩まねばならない事態も併発している。
その名は『魔法少女』
これがお菓子作ってたりリリカルマジカルしていたならば、まあ百歩譲って許容できる。だが、現実は非情である。魔法少女は魔法少女でも、マミったり本体が石コロにされてる壮絶なほうの魔法少女である。しかも住所は魔女の巣窟見滝原。
悲観的な考えが先行しているがこれはこれで悪くはない。むしろ本体を石に変えるだけで超常の力を使えるのだ。この点はキュウべえに同意してやってもいい。自分の魂の存在証明など出来はしない、曖昧なものだ。弱点が出来るとはいえ、身体の変調等は魔法で物理的に――魔法で物理とはおかしいが――直せるというのは魅力的だ。
加えて自分には他の魔法少女にはない圧倒的なアドバンテージがある。なんと、魔力の源であるソウルジェムの濁りが勝手に浄化されていくのだ。天上の祈りもびっくりなキュウべえ泣かせの能力である。具体的に言うなら五回の戦闘での濁りが四時間と少しで浄化される。
そして何よりその戦闘法だ。自分の魔法少女としての能力は良くわからないが、物の出し入れが出来る倉庫があるのはわかっている。そしてその中身が規格外だということも。適当に引っ張り出した剣は鉄を豆腐のように両断し、同じく出した槍は明らかに柄から刃まで金属だというのに羽より軽い。試しに出来るかとＡＵＯスタイルで武器を射出してみたらあら不思議。実験用の木偶にした使い魔が跡形もなく消し飛ぶ始末。むしろ威力が強すぎて裏路地が穴だらけという惨状になってしまい、魔法で修理するのに苦労した。
身体能力も超人の域に達しており、頭の中でしか出来なかった動きが易々とできる。しかも指一本から足の指先まで、非常に繊細な動きが可能だ。ハエを掴むくらいなら余裕だ。気色悪いのでやりたくないが。
しかし、例えそんな力が使えたとしても自分は人間である。父母や兄姉に会えねばホームシックになるのは時間の問題だった。悲観的な考えに及んでしまったのはそのせいでもある。生きていくだけなら自分の空間倉庫にある金で十分だ、トランクケースに詰め込んでみたが確実に億単位はある。数えるのは煩わしいのでやってはいないが。
それでも家族に会えないのはやはりつらい。知り合いもいないのでスポーツをする感覚で使い魔掃除をするくらいしかストレス発散ができない生活はキツいものがある。
因みに魔女はまだ一回しか戦ったことがない。アニメとは言えあの首チョンパを見て軽々しく挑む馬鹿はいないと思いたい。戦った一回とて人間が犠牲になりそうだったので仕方なくである。ＡＵＯスタイルで蹂躙するだけで勝利できたのは意外だったが、それで慢心するのは本物の英雄王だけだ。いや、或るいは最初から慢心しているか。
そんなわけで、今日も今日とて使い魔掃除。憂さ晴らしに雑魚を蹂躙するだけの簡単なストレス解消法です。汚物は消毒、ついでに使ったことのない武器のために少々の木偶を残しておくのも忘れてはいけないだろう。武器の振るい方一つにしても、筋力は足りていようが技量が足りていないのだ。有事の為に鍛錬しておくに越したことはないだろう。
マンションやビルの屋上を飛び移り現場に到着。今日も張り切ってお掃除しましょと屋上から裏路地を見下ろす。ここから掃射してしまえば早い、上からならば安全で尚且つ使い魔が蹂躙される寸劇を見下ろせる。
･･････と思ったが人が襲われているようだ。先も述べた通り如何せん武器射出は火力が高すぎる。人間までミンチにしてしまっては気分が悪いし、しかも何より救出対象は女の子だ。これが男だったりした場合は結構粗雑に扱う自信がある。老人の場合は別だが。
とりあえず飛び降りながら女の子に近づこうとしている使い魔に武器をばら撒く。それだけで目晦ましになるし、適当に撃ち出しても爆風で黙らせる事が出来るからだ。被害者の近くに降り立ち様子を確認。意識はあるし怪我もない。何が起こっているか今一わかっていないようだが。呆然としたその子に近づき横抱きにして跳躍。両側の壁を利用して連続で壁蹴りを行い、使い魔の包囲から脱出する。
後は簡単、未だに第一射の衝撃で混乱している雑魚の群れに向かって一斉掃射。一匹残らず塵となったの確認した後は女の子を降ろして一件落着。そのまま去ってもいいのだが、詰めを甘くすると痛い目見るのは自分だ。魔女の口づけがないか適当な質疑応答をして確かめる。これで回答が虚ろだったり、支離滅裂なことを言い出したら首筋の確認というのがいつもの流れだ。
「怪我はないか？」
「えっ、あ、う、えっと、その･･････」
･･････かかってなさそうだ。目が虚ろなわけじゃないし、どっちかと言うと緊張しているように見える。まあ、こんな非日常がいきなり目前に来ればと考えれば妥当な反応だろう。
「焦ることはない。ゆっくり、気楽に話せばいいさ。」
いや、本当に微笑ましいなこの子。キョドってるあたりが特に。高校入学時の自分を思い出す顔色だ。一目見て緊張しているとわかる。
「えっと･････怪我は、ないです。」
「そうか、それならいいんだ。裏路地はさっきみたいなのが時たま湧く、
出来る限り近づかないようにな。さ、表に出れば日常だ。ここで起きた
ことはなかったことにして、平穏を謳歌するといい。」
と言いつつ女の子の背を押す。こちらに振り向いているため横顔が見えるが中々の美少女だ。絶世の、と付くほどではないが、肌理細やかな短めの黒髪と整った顔はクラスで三番目以内に入っているであろう水準だ。
それは良いとして･･････歩いてくれてはいるが、何か言いたい事でもあるのだろうか。こちらを向いたままの顔は困惑と不安を表している。しかしこっち側の事情を伝えるのも憚られる。そも、内容が信じ難い上に一度話すと細かい所まで説明しなければならない。仮に魔法少女の表側の事情だけ教えたとしたら、キュウべえを見つけて――もしくは見つけられて――契約する可能性がある。
それ故、話すならいつかは魔女化することまで話さねばならない。まかり間違って「契約しましたー」なんて嬉しそうな顔で言われたら罪悪感で死にたくなること間違いなしだ。
結論、殆ど何も話さずさようなら。それが一番良いのだ。
「一方的で悪いが、こちらのことは知らない方がいい。
いつ何時死ぬか分からない非日常を過ごしたくはないだろう？
どんなにつまらん日常でも、失ってしまえばそれで終わりだからな。」
その言葉を聞くと下を向いてしまう女の子。脅しているようで悪いが事実だ。これに関しては実体験である、むしろ俺が何をした。なんだっていつ死ぬか分からん上に明らかにヤバイのが来る見滝原なんぞに居なければならないのか。まあ今の屋敷からの転居方法なんて知らんし、ガキ一人で引越しや部屋探しは不可能なのでそれが理由なのだが。しかも今の棲家を守る為にはワルプルギスを撃退しなければならないという絶望感。俺にどうしろと･･････
思考が横流れしてしまったが、まあ話さないのが吉ということだ。
「じゃあな、白くてキモい小動物には気をつけろよ。
連中、耳障りのいいことばかり吐くからな。」
少女が俯いている間に助言だけ残してさっさと離れることにする。あまり人と一緒に居すぎると人肌が恋しくなってしまうのがこの頃の悩みだ。何とかしないとな･･････。
ネタ？解説
・これがお菓子作ってたりリリカルマジカルしていたならば
ドレミもなのはもこっちよりは希望が溢れている。
・魔法で物理的に～
魔法といってもあくまで物理現象。起こる過程が非科学的なだけ。
・ソウルジェムの濁りが勝手に浄化されていく
チートその一、ＭＰ自動回復。
公式で濁りを取れる技持ってるまどかさんって一体･･････
・具体的に言うなら五回の戦闘での濁りが四時間と少しで浄化される
オンライン的な意味で
・倉庫の中身
チートその二。伝説級の武器もちらほら。
お金、近代兵器や雑貨など大概の物が入っている。
・ＡＵＯスタイル
Fateの慢心王から。
能力もそれっぽく、ステータスは高いが技量はそれほどでもない。
・実験用の木偶にした～
ん！？ 間違ったかな･･･
・家族に会えないのはやはりつらい
独立してない甘えんぼさん、もしくはファミコン。
・ハエを掴むくらいなら余裕
スタプラさんほど器用ではない。
・黒髪の美少女
主人公は知らないがスピンオフのキャラである。
・白くてキモい小動物には気をつけろ
言わずと知れた外道生命体。しかし呼称が酷い。