でもギリギリです。
食事を終えて昨日の教室のような部屋でミーティングとなった。
「昨日我々の仲間になった吾川鈴蘭君と吉井明久君です。2人とも挨拶してください」
昨日と同じビジネスマン風の伊織が言う。
「えっと吾川鈴蘭ですよろしくお願いします。」
「吉井明久です。よろしくお願いします。」
ぱちぱちと拍手したのは黒板のわきにいるみーこだけだった。
「二人とも席に着け」
席順は教卓から見て左から無気力そうな表情でボーっとしている白井沙穂、鈴蘭、明久、口より下が机で隠れているリップルラップル、だった。
「オリエンテーションというか座学だ。しっかり学べ。」
「はい」
「まあ君たちの質問に答えるほうが覚えもいいだろう。特に座学と聞いてすぐ眠くなってるバカガキにはな。」
「はいっ、寝てません」
寝かけた明久も起きたところで鈴蘭が質問する。
「えっと・・・・・・悪の組織ってどういうことですか?」
「語感のままに思え」
答えになってなかった。
「戦闘員とかっているんですか?」
次に明久がバカな質問をした。
「いるにはいるが今は使えん。」
いるようだ。
「・・・・・じゃあ世界征服でもするんですか?」
伊織がボタンを押す。
ザバーッと大量の水が鈴蘭に降りかかる。
「バカか?君は。できるならとっくにやってる。」
((やるんだ・・・・・))
「具体的には・・・・」
と言って貴瀬はリップルラップルのほうを見る。
が、リップルラップルはフルフルと首を振る。
「まだ君らには知る資格がないそうだ。」
そこで明久が再び質問する。
「改造人間とかはいるんですか?」
このバカは特撮か何か勘違いしているらしい。
「いるにはいるが・・・・」
(なんで吉井君の予想が当たるんだろう?)
「もう質問はないか?」
「あります。えーと。二十億稼げる状況ってのは?」
「そうだな・・・・・・・君たちはファンタジーというものがわかるか?」
「・・・・ゲームとかなら」
鈴蘭が答える。
「それで構わん。ゲームでも漫画でも構わん。物理法則を超えた不可思議な力そういうものが実際に存在し、魔導力の支配する世界があると思え」
「へ?」
鈴蘭は話についていけてないようだ。
明久に至ってはすでにオーバーヒート寸前である。
「分かりやすく説明してやる。」
と言って伊織は線を四本書く。
「まず第一世界と呼ばれる一般の世界がある。君たちのいるいわゆる表の世界だ。」
そういって伊織は一番上を指す。
「次が第二世界と呼ばれる階層だ。これは結構簡単に入ることもできる。いわゆる裏社会というやつだ暴力団などがその最たるものだ。」
なかなかわかりやすく今度はすんなり頭に入る。
「そして第三世界。これから君たちが生きていくことになる世界だ。世俗を離れ魔くらい喰らわれる世界だ。」
「「?・・・・?・・・・?」」
どうもこの辺が理解しきれないらしい。
「みーこが浮くのは当z・・・・・・」
「ええええええええぇぇぇぇぇ!みーこさんが浮いてるぅぅぅぅぅ!!!!!!」
どうやら明久は気づいてなかったらしい。
「明久、話が進まん。」
「すみません。でも・・・・・・」
「あれはそういうものだ。この闇の世界ではみーこはうく、逆に僕たちは浮かないと言い換えてもいい。そう言う不思議なものがあると分かったか?」
「じゃあ、魔法とかもあるんですか?」
「あるな」
「そういうのが使えるようには」
明久は夢いっぱいといった感じで聞く。
「ほぼ無理だな。」
肩透かしを食らったように明久はなる。
「才能があれば可能性がないことはないが、そうでないものは幼少期からの修練が必要となる」
「じゃあ」
「ないの」
リップルラップルがとどめを刺した。
「まあ、才能がなくとも執念だけでどうにかなる場合もあるからやるだけやってみろ」
明久は心に傷を負いながらに、ゲーム好きゆえに状況を飲み込んだのに対して鈴蘭はいまだ困惑していた。
「いえ・・・・・・でも・・・・・・」
呑み込みの悪い鈴蘭に対して業を煮やした伊織はスイッチを押した。
ガン!
カン!
カン!
「・・・・・いっ痛あい」
鈴蘭にあたった金ダライはバウンドし、明久に当たり、さらにリップルラップルに当たった。
明久に至ってはさっきの精神ダメージも相まって完璧にへこんでしまっている。
その横でリップルラップルはきょとんとした様子だったが、
次の瞬間どこからともなく取り出したバットを伊織に投げつけた。
そのバットは見事に伊織に命中。
「何をする?!」
「いたいの!」
「痛いのは僕だ!」
今度は金ダライをぶつけるリップルラップル。
これも命中し痛烈なダメージを与える。
「口答えは、よくないの」
「・・・・・・・っ、すみませんでした」
よくわからないが妙な上下関係があるようだ。
「今回はこれで済ませておくの」
じゅうぶんなこうげきにおもわれたがそうでもないらしい。
「大体君たちの学校の試験召喚システムもオカルトやらファンタジーだろうが」
「確かにそうですね。」
「ようやく理解したようだな。散々話がそれたが生き延びられればいくらでも見られる話だ。そうしたものがあるから第一世界で我々は優位に立っていられる。奴ら神殿教会もな」
「「あっ」」
テレビでは神殿教会のものが奇跡などを見せていることがある。それも種を明かせば魔導力なのだろう。
「あのくだらん集団さえ人心を支配できる。君でも二十億稼げるわけだ。」
「はぁ・・・・あれ?さっきからご主人様生き残るとか言っていますけど私死ぬんですか?」
その時明久は何か違和感を感じた。
「命あるものはいつか死ぬがこの世界ではその確率が異様に高くなる」
「って、吾川さん何で社長のことご主人様なんて呼んでんの!!!!」
「今の会話で突っ込むところはそこか?!」
「命くらい週に何度も狙われています」
それもそのはず、明久たちの通う文月学園ではもてない男たちの僻みから生まれたFFF団という組織があるのだ。
そこで明久は一級異端者なのだ。
今やカッコと仲良くしゃべっているだけで裁きの対象になる始末である。
(ちなみに鈴蘭とも回数は少ないがお隣さんということもあり、しゃべる機会が結構あるのだが、その場を狙われたことはない)
もてることを鼻にかけるような男の敵の裁きに積極的に加わる。
「そ、そうか。まあ昨日お前が意識を失った後そう呼ぶように教育しただけだ。」
明久の発言に若干伊織は引き気味なようだ。
「まあ、第一世界だと命に値はつけられないというが、君たちのこれからかかわる世界は命がレート換算できるようなところだと思え」
(相場とかあるんだ)
「しかし自分の命の値段を決めるのは君たち自身だ。鈴蘭、君が二十億稼ぐと宣言したんだ。あとは証明するだけだ」
「はい!・・・・・・・・・ところでこの会社は神殿教会と何か関係あるんですか?」
「ない。今のところは全くない」
その時派手な着メロが教室に鳴り響く。
「もしもし僕だが・・・・・・・・・そうか」
電話に応対した伊織がこちらを向いた。
「座学はここまでだ。次は実地研修をするぞ」
明久には魔法の才がないと判明しました。
さてどのように明久は戦っていくのか?
まあ、作者にちゃんと考えはあります。
明久の立ち位置やその他もろもろを思いついたからできた本作なのでその辺に抜かりはありません。
どっちかというと雄二の立ち位置にこの前困っていたくらいです。
話は変わりますが仮面ライダー鎧武の放送が始まりましたね。
作者が本・サイトで調べたところ、
L.S.01 ヒマワリ
L.S.02 マツボックリ
L.S.03 ドングリ
L.S.04 メロン
L.S.05 パイン
L.S.06 イチゴ
L.S.07 オレンジ
L.S.08 バナナ
L.S.09 ブドウ
となっているようですね
次回投稿は10月13日日曜日を予定しています。
感想・質問・要望(できる範囲のことならやります)・カップリング予想・能力予想などは感想・活動報告で受け付けています。
次回 第6話 空飛ぶ氷砂糖