バカと魔王と澱の神   作:アマガキ

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予定通りに投稿です。

あとこれ以降は日曜に投稿をなるたけしていく予定です。





第3話 面接と金属バット

夜明け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久や鈴蘭を乗せた車は深い森を抜けた岸壁に立つ1件の屋敷にたどり着いた。

 

最近テレビでよく見る神殿の神々しさとは正反対の屋敷がそこにはあった。

 

「社長ここなんですか?」

 

「くくっ。売れない探偵が主人公の物語にあるだろう?自宅兼事務所というやつだよ」

 

「はぁ?」

 

(売れない探偵?)

 

鈴蘭も納得できないながらについていくが、

 

「車はこのままでいいんですか?」

 

「構わんおいておけ」

 

「沙穂ちゃんは?」

 

「しばらくは用もないから、寝かしておいてやれ。」

 

そうして入った屋敷の内装はすさまじいものがあった。

 

レッドカーペット、シャンデリア、鎧の置物、絵画などなど古風ながら豪勢な内装に2人は目を見張

った。

 

「悪の組織って儲かるんだね」

 

「そういう問題じゃないと思うけど・・・・・・」

 

「さっさと来い二人とも」

 

 言われるままに伊織に二人がついていくと彼は廊下に並ぶたくさんのドアのうちの一つを開き言っ

た。

 

「さっ、入社試験をするぞ」

 

「「へ?」」

 

「使えるか使えんかテストするといっている。さっさと席につけ」

 

明久はためらうことなく席に着いたが、そこで鈴蘭は1つ疑問を持った。

 

「あの・・・・テストに落ちたらどうなるんですか?」

 

「あっ」

 

やはり明久は気づいてなかったようである。

 

残念そうなそぶりを見せながら伊織は答える。

 

「君たちを公安に突き出さねばならん」

 

「「ええぇぇーーーーー!!」」

 

「えーとはなんだ僕だって日本国民だ。そうする義務がある」

 

「そ、そんな・・・・・・」

 

「受かればいいだろう?っと明久なにナチュラルに窓から逃げようとしている!!」

 

窓から今まさに飛び降りようとしていた明久を伊織が止める。

 

「席について待ってろ」

 

そう言って部屋を出て行った。

 

ちなみに現在明久と鈴蘭のいる部屋はなぜか学校の教室のような部屋だった。

 

前のほうにはなぜかスイッチの付いた教卓。

 

そして移動式の黒板。

 

さらにパイプの足をした机といすが10セットほどあった。

 

明久と鈴蘭はそれぞれどんな試験官が来るのかと考えていたが、ドアが開いてはいってきたのは伊織貴瀬だった。

 

「それではー。これより伊織魔殺商会(いおりまっさつしょうかい)の入社試験をはじめマース。」

 

「「まっさつ?」」

 

二人の疑問の声が重なる。

 

それに対して伊織はスイッチを押すことで応えた。

 

「痛いー」

 

すると、鈴蘭、明久それぞれの頭上に金ダライが降ってきた。

 

「何なんだい君たちは?。入社を希望する会社の名前すら知らなかったのか?本来なら帰ってもらうとこだよ?」

 

「はいぃ」

 

鈴蘭はたらいの直撃を受けたこともあってうなだれる。

 

「しかし明久、君はなかなかやるじゃないか」

 

明久には愉快そうに声をかけた伊織を不思議に思って横を見ると、明久はたらいを避けていた。

 

「こんなこといつものことですし。」

 

「そうか。えーっと。吾川鈴蘭君に吉井明久君ね?」

 

手元のクリップボードを見ながら言う。

 

「君たち学校の部活は何をしてましたか?」

 

「陸上部です。」

 

「得意種目は?」

 

「トラック競技は大体」

 

どうも伊織にとってこれは遊びみたいなものらしい。

 

「吉井君、君は?」

 

「何にもやっていませんでした。」

 

「そうか。最近読んだ本は?」

 

「今日、教科書を読む予定でした。」

 

「そんなことは聞いてない。鈴蘭、君は?」

 

どうも明久が相手だと調子が狂うようだ。

 

芝居がかった口調がとれてきている。

 

「山本五十六とかエルウィン・ロンメルの伝記です。」

 

「変わった本が好きなんだねえ?」

 

「いえ伝記が好きなだけです。」

 

鈴蘭は不幸な生活が長かったために苦労を経て何かを成し遂げた人の伝記を読んで「こんな私でもいつかはきっと」と夢想するのが好きだったのだ。

著名な人物はあらかた読んでしまったために最近は軍人が続いていただけだった。

 

その後面接らしい脈絡のない質問が続いた。

 

「あなたはじぶんが20億稼げるとほんとにおもっていますか?」

 

「え・・・・・・・・と。稼げる方法があるなら稼ぎたいです。」

 

「なぜあの時死ぬほうを選ばなかったんですか?」

 

「死ぬのは・・・・・・・やっぱり怖いですし、それに友達を巻き込みたくなかったし。」

 

「そうか。では、最後の質問だ。」

 

伊織はいやらしげに笑いながら言った。

 

「君達は神を信じているか?」

 

いきなりのことで明久は戸惑っていた。

 

しかし鈴蘭が突如息せき切って話し出したので何も答えられなかった。

 

「いたらどうして私はこんなに不幸なんですか?あの詐欺司教が言うような本当に平等な、永遠に平

和な世界が来るなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいままで不幸だった私はなんなんですか?!」

 

詐欺司教という言葉で明久も思い当った。

 

最近テレビによく出てくる神殿教会というものを。

 

なんでも東京には1年ほど前からヘブンズゲートというものが発生している。

 

神殿教会によるとそこから神が下りてきて、完璧に平等で完璧に平和な世界になるらしい。

 

「くくっ、まあそうキレるな。僕に言われても仕方がない。」

 

その時ノックがされてドアが開いた。

 

 

 

 

青みがかった黒髪の5歳くらいの女の子が入ってきた。

 

その子はこちらを見ずにまっすぐに伊織のもとに近づいた。

 

「どうしたリップルラップル?今は面接をし・・・・・・」

 

 

 

ぱがぁっ!

 

 

 

女の子(リップルラップルというらしい)は伊織を手に持った金属バットで殴りつけた。無表情に。

 

「何をする!!」

 

「車ベこべこなの」

 

「あれは僕がやったのではない!そこの子・・・・・・」

 

ぱがぁっ!

 

「ぎゃああぁぁぁ!」

 

「言い訳はよくないの」

 

フルフルと首を揺らしながら制裁を終えた。

 

そしてこちらに近づき、

 

「まあ、がんばるの」

 

と鈴蘭に言った。

 

次に明久を見て、

 

 

 

 

 

 

 

 

ぱがぁっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

手に持ったミ○ノの金属バットで殴った。

 

さらに間髪入れずに殴り続ける。

 

「おいやめておけリップルラップル。一般人だぞ」

 

当の明久はだんだん意識がなくなってきていた。

 

 

(なにこれ?FFF団よりもヤバい。)

 

 

「あほ面にむしゃくしゃしてやったの。私は悪くないの」

 

 

 

(悪の組織って半端ないんだな)

 

 

 

「まあ部屋には連れて行って置くの。心配しないでいいの」

 

 

 

(あっ、なんか引きずられてる)

 

 

 

しかし部屋を出るところでいったん止まった。

 

 

 

「とどめを忘れていたの」

 

 

 

 

 

ぱがぁ!

 

 

 

 

 

そうして明久は意識を失った。

 




どうでしたか?

キャラ紹介にリップルラップルを追加しておきました。

感想・質問・ご意見があればお書きください。

作者の元気のもとになります。

次回投稿は今週日曜となる予定です。

座談会的なことはやっぱりあったほうがいいんでしょうか?

次回もまた見てください

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