バカと魔王と澱の神   作:アマガキ

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アウター勢が出てきますよ


第二十四話 ヨモツイクサと龍の影と氷帝ペンギン

「皆さーん、ここにスライムに負けた勇者がいますよー!」

 

散々な言いようである。

当の勇者と言えば、

 

「くっ・・・・・・・真琴おまえってやつは・・・・」

 

しかし事実なので言い返せない。

 

「ひぐっ・・・・・プ二・・・・・うぐっ・・・・」

 

吾、名護屋河さんはあれがトラウマになったようだ。

 

「本当に鈴蘭情けないわね、魔王のくせに」

 

真琴先輩ってもしかして毒舌なのかな?

 

「魔王じゃなくて、候補ですよー」

 

今いるのは地下四階。

なんかやけに天井が高いな。

 

「鈴蘭は泣いてばっかり。長谷部君はスライムに負けて。伊織貴瀬は・・・・まあどうでもいっか」

 

「だったら聞くがな。貴様にはいったい何ができるのだ!!」

 

「何にもできないからこうしてあんたたち頼ってるんでしょうが!!」

 

完全に逆切れだけど一理あるなあ。

 

「正論なの」

 

コクコクとリップルラップルがうなずく。

 

「まあ、一理あると思います」

 

「ほらやっぱりスライム好きはこういうわ」

 

別にスライム好きかどうかは関係ないのでは?

 

「違いの分かるリップルラップルなの」

 

そういいながらリップルラップルは相変わらず先頭を行く。

あの後僕が頼むとスライムは道をあけてくれた。

やっぱりスライムはかわいいよ。

 

「それとこの階にはトラップが仕掛けられているの」

 

そういってリップルラップルは上を見る。

つられて僕らも上を見ると、

 

巨大なつり天井が音もなく落ちてきた。

 

「ほんとにあんたの家はどうなってるのよ!!」

 

「くそっ我が屋敷ながら巧妙な罠だ」

 

「そんなこと言ってる場合か!!」

 

「死にたくないですうーー!!」

 

「・・・・・・死にたくない!」

 

「うわああああああー!!」

 

各々悲鳴を上げながら逃げる。

しかし僕は気付いた。

 

「あれ!?リップルラップルがいない!!」

 

僕は見たくなかったのだが、グロテスクな光景を想像してしまいながら、後ろを見た。

 

しかしつり天井はリップルラップルがぎりぎり当たらない位置で止まっていた。

 

「このトラップはぎりぎりで止まるようになっているジョークなの」

 

それを聞いて僕は安心した。

いや、本当にリップルラップルが無事でよかった。

にもかかわらずみんながリップルラップルに怒気を向けていた。

 

「まあまあ、落ち着くの」

 

なんかみんな聞いてないな。

 

「無事だったことを喜ぶべきなの」

 

そういってコクコクとうなずく。

確かにそうだよね。

それでもみんなの怒気は収まらない。

あっ、みんなリップルラップルが原因だから怒っているのか。

大人気ない。

こんな小さな子のいたずらで怒るなんて。

そうこう考えているとリップルラップルがぴゅーっと走っていった。

っていうか、速い。

 

「待てー!!」

 

反射的に吾、名護屋河さんが追いかける。

 

「康太、追って」

 

「・・・・・・了解」

 

走りでした康太はあっという間に吾、名護屋河さんを追い抜き、リップルラップルに追いつきつかんで・・・・・・・・・・・消えた。

 

「あっ!落としあーなーー」

 

吾、名護屋河さんもそれに続くように消えていった。

 

「どうするんです?」

 

「どうしようかしら?」

 

困ったことになった。

 

 

 

 

 

「どうして逃げた!!」

 

今名護屋河がリップルラップルに怒っている。

しかしここはいったい何階だ?

 

「そうやって何でもかんでも人のせいにするのは悪いことだ!!」

 

「そんな事実は確認されないの」

 

ああ言えばこういうで説教になっていない。

さらに今の状況のほうが問題だ。

 

何故ならモンスターに囲まれている。

それも並みのモンスターではなく、一体一体がAクラスの強力なモンスターだ。

こんなものはEナンバーが全員で一匹やるのも怪しいだ。

 

「えっと、どうしよう?」

 

「鈴蘭ミサイルで・・・・」

 

「弾切れだっ!」

 

「・・・・・・大体ここは何階だ?」

 

「リップルラップルここのこと詳しいんでしょ?」

 

「大体ここは地下八階なの」

 

万事休すということか。

その時妙な足音が聞こえてきた。

 

ひたっ。ひたっ。

 

なんだ?

 

「遅かったの。奴が来てしまったの」

 

そうリップルラップルが言っている。

どこか悔やむような口ぶりだ。

そして俺の感が危険を伝えてくる。

 

「奴って・・・・・何?」

 

「とても古い話なの」

 

ひたっ。ひたっ。ひたっ。

 

だんだんと近づいてくる。

 

「彼は南の果てで生まれたと言われているの。彼はその圧倒的な力を持って当時の魔王の側近にまで上り詰めたの。そうして大陸全土を支配するまでのなったの」

 

「うそぉ・・・・・・そんなに強いの?」

 

「そう、魔王以上の暴虐を繰り返した魔人なの」

 

「また魔人?」

 

ちょっと待て。

今の話はおかしすぎるぞ。

魔王の側近の魔人。

 

「その名は皇帝イワン・トビノフスキー」

 

魔王以上の暴虐を繰り返した・・・・・・・

そんなことができるのは・・・・・・

異界の徒とまで言われる・・・・・

 

「・・・・・・アウター」

 

最上級の魔人。

それしかいない。

 

二人には聞こえていないみたいだ。

 

ひたっ。ひたっ。ひたっ。ひたっ。

 

「えっ後ろ?」

 

「略してイワトビーなの」

 

背後にそれは立っていた。

しかし・・・・・・・

 

「・・・・・・ペンギン?」

 

「でかっ」

 

巨大な皇帝ペンギンが立っていた。

いや・・・・・これがアウターか?

こんな外見で?

 

「あの・・・・・リップルラップル・・・・・大陸って南極大陸?」

 

「さすが魔王候補なの。鋭い洞察なの」

 

いやな予感はする・・・・・・

しかしこんなただの巨大なペンギンがそんなに危険なのか?

 

「ぐぎるえええぇええ!!」

 

「危ないの」

 

そのペンギンが鳴いた瞬間俺と名護屋河はリップルラップルに突き飛ばされた。

 

「ペンギンなんだから・・・・・・そんな別によけなくても・・・・・・」

 

「またきたの」

 

またリップルラップルに突き飛ばされた。

小さい割に力がある。

 

が、そこで驚くべきものを見ることになった。

ペンギンの翼がやすやすとAクラスの魔物を切り裂いていた。

やはり本当にアウターなのか?

 

「き、来たあああああああ」

 

「避けるの」

 

そういってリップルラップルは俺と鈴蘭をつかみイワトビーを躱しざまに、イワトビーをつかんだ。

イワトビーはそのまま扉に突っ込んでいく。

そしてぶつかる直前で急ターンをする。

そこでリップルラップルが手を離したために俺たちは扉をぶち破り外に出た。

 

「・・・・・・ひどい目にあった」

 

「右うう、もうお母さんのところに帰る・・・・・・・・」

 

名護屋河は泣いている。

しかしこの屋敷はどうなっている?

地下八階にアウターがいる屋敷なんてわけが分からんぞ?

 

「もうここまでくれば大丈夫なの」

 

確かに階段は目の前だ。

さらにイワトビーは扉からこちらをうかがうだけでやってこない。

 

「だから捨て台詞でも吐いてみるの」

 

「・・・・・・何?」

 

「ばーか」

 

ひたっ。

移動しようとしていたイワトビーの足が止まる。

ひたひたひたひたひた。

 

「リップルラップルのばかーっ!!」

 

「反省するの」

 

あわてて階段を駆け下りることになった。

 

 

 

 

地下五階。

 

明久の目の前でこの階のボスのような魔物が倒れていった。

と言っても倒したのは長谷部先輩なのだが。

 

「先輩大丈夫ですか?」

 

「ああ、すっごく疲れてるはずなんだけど全然負ける気がしないんだ」

 

「ふうん、長谷部君ってホントに勇者だったのね」

 

「なんだよ。最初から言ってんだろ」

 

このフロアにはより取り見取りなぐらいモンスターがいた。

真琴先輩曰く魔物の学者が見たら発狂するほどだったらしい。

ふつうは同じ場所に現れることがないモンスターが無差別に表れるらしい。

それも長谷部先輩が倒せるランクB程度でなかったから問題ないらしい。

 

「ふっレベルが上がって浮かれてるようでが生きて帰れなければ元も子もないぞ」

 

社長は悪の組織として長谷部先輩のパワーアップは面白くないらしい。

 

「なんだと!」

 

長谷部先輩も食って掛かっちゃった。

これじゃあ話が進まない。

 

「はいはい。二人ともそこまでにして。落とし穴に落ちた三人が心配でしょ!リップルラップルはともかく鈴蘭は戦闘能力がないし。康太も長谷部君には遠く及ばないの。さっさと行くはよ」

 

 

 

 

 

 

地下六階

 

階段を下りた僕たちは拍子抜けした。

なんせそこには魔物の一匹もいなかった。

あったのはただただ広大な空間とちょっと昔風な建物があるだけだった。

下の回への階段もすぐ近くにあった。

 

「取りあえずあの家行ってみますか?」

 

「そうね。こんなとこにってのも不思議だから」

 

「罠の可能性はないのか?」

 

長谷部先輩の疑問ももっともだ。

それを受けて社長のほうを見る。

 

「だから僕はこの地下ダンジョンに関しては完全に把握していない。ここまで来るのも初めてなんだ」

 

しょうがないので結局入ってみた。

 

「これはまるでリップルラップルがあらしたみたいだな」

 

あれ帰った室内を見て社長が言った。

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、しかし誰かが昔住んでいたかのようだが、」

 

「こんなところに住んでいた人がいるんですかね?」

 

「生活用品それも戦前くらいのね」

 

「テレビもないぞ」

 

「こっちは宴会場みたいですね」

 

結局何もわからなかった。

 

「とりあえずここには命の気配がないな」

 

「そうね。下に行きましょう」

 

結局謎が増えただけで下に行くことになってしまった。

でもなんとなく居心地がよさそうだった。

 

 

 

 

 

 

地下七階

 

はっきり言って六階とほとんど同じだった。

ただし家がない。

しかし何かの気配がする。

 

「これはなんかいるな」

 

「は?」

 

気が付くとそこにその男が座っていた。

 

「なんかうるさいと思えば、勇者様か・・・・・・そりゃ目も覚めるわな」

 

裾のちぎれた着流し姿に、滝のようなみだれ髪。

 

「誰だ?!」

 

「ほむらさんと呼べ」

 

その人はそういった。

 

「それにしても勇者だけでなく、明久や坊主までいるとはな。それにしても坊主はでっかくなったな」

 

「なんだと・・・?僕は貴様なんぞ知らんぞ?」

「僕のことを何で知ってるんですか?」

 

この場で僕のことは名指しで、長谷部先輩のことは勇者って呼んでたから、坊主ってのは社長のことだろう。

 

「そりゃ、明久のことはリップルラップルから聞いてるからな」

 

「じゃあなぜ僕の幼少期を知っているかのように話す?!」

 

「ん・・・・・・そうか!なぁんだ、そうかそうか!こいつぁいい!なぁに、だったら何も言うもんか」

 

「何を言っても無駄そうだな」

 

「この奥に行かせてもらっていいか?」

 

社長が自分のことを聞くのをあきらめたところで長谷部先輩が言った。

っていうかリップルラップルと知り合いなんだなこの人。

 

「いんやこの先は通行禁止だ」

 

「なら無理やりにでも通る」

 

そういって長谷部先輩は剣を抜いた。

 

「お前さんにゃ無理だよ」

 

ずがん!

ほむらさんの手には金棒が握られていた。

それが床にめり込んでいる。

 

「わかっているはずだ勇者さんよ。今のお前さんじゃおいら達にゃかなわねえ。絶対に。お前さん自分のことをよく見てみろよ相当な脂汗かいているぜ」

 

横を見ると確かに長谷部先輩は震えている。

 

「おいらの後ろ・・・・・見えるかい?」

 

そこにいたのは何か大きな塊だった。

 

「そんな・・・・・・こんな巨大な魔物知らないぞ・・・・・・」

 

なんだかとても大きな力の塊。

一瞬、それが赤い龍に見えた。

 

「・・・・ドラゴン」

 

「やっぱりそこまで見えたか」

 

「は?ドラゴン?」

 

「その・・・・・・一瞬だけあれが赤い龍に見えたんですよ」

 

「まあおいらはあれの番をしていてな。だからここを動く気はないし、とおす気はない」

 

「一つ聞いていいか?」

 

「なんだ?」

 

「明久の力の正体について知っているのか?」

 

そういえばぼくが魔殺商会に残っているのはそれが理由だった。

 

「いんや知らないねぇ」

 

「そうか」

 

「あんたいったい何なんだ?」

 

そこで長谷部先輩がもっともな質問をした。

 

「難しいなあ・・・・・・鬼だとかヨモツイクサだとか呼ばれたこともあったけどよう・・・・・」

 

ヨモツイクサって・・・・・?!

 

「それって黄泉の国の衛士じゃん」

 

「さあな。まあ、言ってみりゃ澱よ」

 

「澱?」

 

「そうよ。もう浮かぶこともないもんだよ。静かに暮らしてるだけで悪さしようって気は別にねぇよ。だからここで遊ぶのは言いが俺らみたいなのにあったら言うことは聞いてくれよな」

 

「あんたみたいなのって他にもいるのか?」

 

「そうだな・・・・・そういや根の国の姫さんがさっき下に行ったな」

 

姫?

 

「もしかしてみーこさんのことか?」

 

「そういや今はそう名乗っているんだったか。悪いこた言わねぇ。ようやく堕ちようってんでおいらも後ろのやつも安心してるんだ。」

 

ほむらさんが怖がるほどなのみーこさんって・・・・・・。

 

「ほむらさん一つ聞いてもいいですか?」

 

「なんだ?」

 

「上の階もこことおんなじ感じですけど誰かいたんですか?」

 

「今はいないやつと白いのがな」

 

「?」

 

「そうそう、明久下にいるやつにあったらよろしく伝えてくれ」

 

「はい」

 

そうしてほむらさんは見えなくなった。

 

「あんたたち一体どうしたの?」

 

「あれ?そういや真琴先輩しゃべってませんでしたね?」

 

「何で何もないのにしゃべるのよ?」

 

「は?」

 

「あんたたちみんなあっち見ながら固まっちゃうは、長谷部君は剣を抜いて動かなくなるはさっさと行くわよ」

 

そのまま真琴先輩は階段に向かった。

 

「えっとどういうことでしょう?」

 

「おそらく真琴には姿を見せなかったのだろう」

 

「そういうことか」

 

「クソガキや僕が俗世から闇の世界を隠すのと同じことだ。ただ真琴は知識としては知っているのだがな。それでもなお隠したというほどだということだ」

 

そういって歩き出した社長に僕らもついていった。

 

 

 

 

 

 

地下八階

 

今回はいきなり広いところに出たりはしなかった。

しかし通路に魔物が出現したりもしない。

 

そうして歩いていると目の前に巨大な檻のようなものが現れた。

 

そしてその扉のようなものと横にあるスイッチである。

 

「これどういうことでしょう?」

 

何せそのスイッチには『押すな 危険』と書かれていたのである。

存在を全否定するような言葉だ。

 

「うーん。やっぱり押すなって書かれると押したくなるわよね」

 

「だから押すなって書いてるだろ!!」

 

何しろそこにはぎっしりモンスターが詰まっていた。

見るからにやばそうなモンスターがである。

 

「こいつらは全部Aクラスモンスターだぞ。さすがに俺でも手に余る」

 

「ええ、勇者のくせに情けない」

 

「無鉄砲で仲間を死なせるようじゃ勇者失格だろ」

 

どうやらさっきのことが引いているみたいだ。

 

「おい!もう一枚プレートがあるぞ」

 

社長の言葉にそちらに目をやる。

 

『地下九階への近道 あの世への近道

 皇帝イワン・トビノフスキーここに眠る』

 

「まだ死にたくないですし避けていきましょう」

 

「もし鈴蘭たちがここに落ちてたらどうするのよ」

 

「ここに落ちてたらさすがに生きちゃいないと思うんだが」

 

ひたっ。

 

「何言ってるのよ。あそこのモンスターのおなかを掻っ捌けば赤ずきんみたいに出てくるかもしれないでしょ」

 

「不本意ながらクソガキに同感だ。ここの連中はどう見ても丸呑みにしてくれるような奴らじゃない」

 

ひた。ひた。

 

「何言ってるんですか。リップルラップルがいるんですよ。仮にここに落ちたとしてもとっくに脱出してますよ」

 

ひた。ひた。ひた。

 

「お前のそのリップルラップルに対する信頼度の高さはなんだ?」

 

ひたっ。ひたっ。ひたっ。ひたっ。

 

「っていうか、さっきからひたひたうるさいのよ!?」

 

振り向くとそこに巨大なペンギンがいた。

 

「「「は?」」」

 

「いやーんっ?!カッワイーーーーー!!」

 

真琴先輩がペンギンに抱き着いた。

 

「またでっかいペンギンだなあ」

 

「こんなものまでいるのか家の地下は?」

 

「えっと・・・・・・」

 

(なんだろう・・・・・・・このペンギンがプレートの皇帝だと思えて仕方がない)

 

「ぐぎぎゅるぐぅぐぎるぅぅぅ(こんなところで会うとはな明久。それと見違えたぞ小僧。)」

 

「僕のことを知ってるの?」

「貴様のようなペンギンを僕は知らんが」

 

「何言ってるんだお前ら?」

 

「いきなり何を言ってるの?」

 

「ぎぎゅるえぎぎぐるぅぅ(忘れたとは言わさんぞ小僧)」

 

「だから知らんと言っている。貴様こそペンギンの分際で僕を小僧などと」

 

「ちょっと待ってあんたたちこのペンギンの言うことがわかるの?」

 

「わからないんですか?」

 

反射的に聞き返してしまった。

 

「はあ?」

 

「つまり君たちには聞こえないんだな?」

 

「ええそうよ」

 

「クソガキもか?」

 

「ああ」

 

「僕は聞こえますよ?」

 

「ぐぎゅるぐぇえ(小僧は伊織の当代だからな)」

 

「へぇー。そうなんだ」

 

「なんなのよ?」

 

「僕は伊織の当代だからわかるらしい」

 

「ふーん。長谷部君はそんなのないの?同じ神殺しの血筋でしょ?」

 

「まさか聞こえたことないぜそんなもの」

 

「当たり前だ。神殺しの中でも長谷部と天白はまだ本流の名護屋河に近いからな。それに対して伊織だけは断固として力を持って落とす名護屋河に対して・・・・・・」

 

「どうかしたの?」

 

「いや君らには関係ない話だ」

 

「じゃあ僕も伊織の血を引いてたりするんですか?」

 

「さあな。君の過去が謎だらけなせいで血がつながっているかもわからん」

 

「過去が謎だらけってどういうことだよ?」

 

「ってか社長何で知ってるんですか?」

 

「一応調べたからな」

 

「で、吉井君の過去が謎だらけなのは?」

 

「こいつは今の親に拾われるまでの記憶がない」

 

「「は?」」

 

「まあ、そういうことです」

 

「「・・・・・・・」」

 

「そういえば記憶と言えば社長もそうですよ」

 

「だから何度言わせる僕は記憶喪失などではない」

 

「ぎゅうぐるぎぃい(そうか、無理もないな小僧)」

 

「一体貴様が僕の何を知ってるというんだ」

 

「ぎゅるぐげぇ(もういうことはない)」

 

「そうか」

 

「それよりリップルラップルたちですよ」

 

「ぐぎるぇえぐぎぎゅるぅぐぎぃい(リップルラップルなら二人人間?を連れて俺にちょっかいをかけてから下に行った)」

 

「そっかありがとう」

 

「なんて?」

 

「下の階に行ったといっている」

 

「ぐぎるぇえぐぎゅる(下まで案内しよう)」

 

「重ね重ねありがとう」

 

「案内してくれるらしい」

 

「ぐるっぐぎぇえ(が、この娘が邪魔で動けない)」

 

「小娘どいてやれ」

 

「ええー。私この子連れて帰る」

 

「そのペンギンが動けないと言っているんだ」

 

「ええー、でも」

 

「大体真琴おまえE0とか神器とか言っていたのはいいのかよ」

 

「あっ、忘れてた」

 

「さっさと行きましょうよ」

 

「じゃあ、本来の目的が終わったらこの子もつれていく」

 

「ぎぎゅるぐぅぎゅぇ(俺はここから動けん)」

 

「こいつはここから動けんそうだ」

 

「えーー」

 

「いいか大体こんなところにいるペンギンがただのペンギンなはずがないだろ」

 

「仕方ないわね」

 

ようやく真琴先輩はペンギンから離れた。

そして十階への階段に案内してもらった。

 

「ありがとう、イワン。それとほむらさんがよろしくって」

 

「ぐぇ」

 

 

 

「ねえ、最後のイワンってどういうことよ?」

 

「え?だって皇帝イワン・トビノフスキーでしょ?」

 

「は?」

 

「だからプレートに書いてあったじゃないですか」

 

「えっとじゃあ、あの檻の主ってこと?」

 

「そう思ってたんですけど?否定しませんでしたし」

 

 




春休みに書き溜めたので明日も投稿ありますよ。

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