「社長、一回家に帰るから、携帯返してください」
鈴蘭が伊織の屋敷から去った翌日のことである。
「そうだな。ほれっ」
渡された携帯を見るとちょうど着信していた。
「もしもし」
『あっきひさ~!ひっさしぶり~!』
「あっ、カッコ」
『ずっと鈴蘭も明久も電話出てくれないし~』
「ごめんごめんちょっとごたごたで」
『ふ~ん。でももう春休だね~』
「えっ?」
『だから春休み~』
ばっとカレンダーを明久が見ると確かに今日は春休である。
しかしその直後にもっとひどい事実が付きつけられる。
『でもでも~、明久振り分け試験休んじゃったからFクラスだよね~』
明久の通う学校は成績でクラスが決まり設備も変わる。
しかし振り分け試験の途中退席者や欠席者は無条件に無得点となり、自動的に最低ランクのFクラスになるのだ。
「お、終わった・・・・・」
『まあまあ、気にしな~い。さすがに親友二人をほっといたりはしないから~』
「えっ?」
『なんと、私無記名で出したのだ~』
「じゃあ、来年もよろしくね」
『その前に明日遊ぼうよ~』
「いいね。じゃあ僕んちでゲームする?」
『やるやる~』
「じゃ、雄二たちにも声かけるから」
『りょ~か~い』
「ということでいいですよね?社長?」
「ああ、しかしリップルラップルに送って行ってもらえ」
「どうしてですか?」
「車を出しては時間がかかりすぎる。あとリップルラップルの申し出だが護衛だそうだ」
(こんなことを言い出すなど今までのリップルラップルからは考えられんのだが)
「わかりました」
さて雄二たちにメールしないと。
って雄二くらいしかメールない。
秀吉も康太もないなんて・・・・・
雄二のも心配するメールじゃないし。
秀吉くらい心配してくれてもいいのに。
そのあとリップルラップルに連れて行ってもらって家に帰った。
翌日
「明久その子はなんだ?」
遊びに来た雄二の第一声がそれだった。
「この子は、「さらってきたか?」・・違うよ!!」
「そうかついにロリコンをこじらせて「違うから!!」」
「じゃあなんだ?」
「えっとこの子は、「妹なの」」
リップルラップルの発言を聞き雄二は携帯を取り出す。
「ちょっと待ったその携帯は何!!」
「ああ?警察にかけるんだろ?」
「待つんだ雄二誤解を解かせて!!」
「どうしたのかの?」
そういって秀吉がドアを開けて家に入ってきた。
「玄関口で何をしとる?外にまで声がひ・・・・・・・」
リップルラップルがそこで目に入ったようだ。
妙に顔が引きつっている。
いつものポーカーフェイスはどこ行った。
「明久、その子はいったい・・・・・・・」
「今雄二にもちゃんと説明しようとしたところで、だから雄二もちゃんと聞いてよね!!この子はリップルラップルって言って「妹なの」じゃない!!」
うわー秀吉も引いている。
「・・・・・・・・・・明久そいつはいったい」
いつの間にか康太も現れていた。
しかも康太の顔から表情が死んでいる。
そんなに僕が憎いか!
「だからこのこは「妹なの」違うよー」
「警察を呼ぼう!!」
雄二が真顔で言ってる。
パトカーはちょっと嫌なのに。
「まあそろそろ明久をいじるのはやめるの。話が進まないの」
「リップルラップルのせいでしょ!!」
気を取り直して、
「で?その子はどういう事情でここにいるんだ」
考えてなかった。
「え・・・・・と「誘拐されたの」もうそのネタはいいから!!」
「ほんとのところはなんなんじゃ?」
「まあ、心配するようなことではないの」
三人を見ながらリップルラップルが言う。
「まあ、妹のようなものとでも思ってくれればいいの」
「結局そこなのおおおおおお!!」
そこからはぎすぎすした空気がなくなり楽しくゲームした。
ちなみにカッコは
『ちょっと急用入ったからドタキャンするにゃ~』
と言っていた。
リップルラップルがゲームで負けつづきバットを取り出して壊しかけたりしたが何とか終わった。
そんな感じの日々が僕の春休だった。
一巻分はこれで終わりです。
次回からは新章
新学期 ついに試験召喚戦争という第三世界の領域に踏み込んだ技術が使われたものができる二年に なった
「仕事だ■■」
「・・・・・・・俺は関東機関局員だ」
「うちの学校ってそんなんなんですか」
「ドラゴン・・・・・・・・」
第二章「バカと局員と龍の火」
感想待っています。