バカと魔王と澱の神   作:アマガキ

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予告詐欺になってしまいました。

雑ですがどうかよろしく。

あと感想よろしくお願いします。


第十六話 ドラム缶

「社長が帰って来いって?」

 

「うん」

 

死屍累々に聖騎士が倒れ伏す中明久は鈴蘭に聞く。

このありさまは鈴蘭が来たことで聖騎士が動揺したことに起因する。

そのすきを突き伊織がトラップを発動させ、大量の水をぶちまけた。

あとは明久が鈴蘭をつかんで逃げ、びしょ濡れの聖騎士に放電ナイフを最大出力照ればそれで一網打尽であった。

 

「あーあ。もうバッテリーが空っぽだ」

 

そんなことを話していると

 

「二人とも早くしたほうがいいですよ」

 

みーこまで現れた。

 

「「分かりました」」

 

そして移動を開始したのだが、割かしのんびりしていた。

 

「そういや、みーこさんっていったい何者なんですか?」

 

前々から気になってたので明久が聞く。

 

「もしや幽霊とか?」

 

鈴蘭が聞いてみる。

 

「そう。知ってしまったのね・・・・・」

 

「いやいや知りません。何も知らないんで」

 

鈴蘭がビビりまくるのを見てみーこはふっと笑う。

 

「たあくんは魔人だって言ってたんだけど」

 

「魔人ってなんですか?」

 

「たあ君が言うには体内に魔導力を持った人のことだって」

 

「はあ」

 

よく分かっていないという風な声を鈴蘭は出す。

 

「あれ?そういや吾川さんも不意打ちの魔導力とかいうのを持ってるんだよね?」

 

「不意打ちじゃなくて負位置ね。でもじゃあ私も魔人?」

 

「「うーん?」」

 

そんなことを考えていると、急に切迫した伊織の声が蛾通信機から聞こえてきた。

 

『鈴蘭、明久、さっさと走れ!!』

 

「どうしたんです?!いきなり?!」

 

『クソ!あのイカレがそっちに向かった』

 

「「え?!」」

 

と同時に銃声がとどろき窓ガラスを何かが叩きつけた。

防弾ガラスがきしみ、そしてひびが入り始める。

 

「やばっ」

 

明久が鈴蘭を連れてあわてて逃げようとするが、すぐに窓は砕け散った。

 

「見つけたっすよ。鈴蘭さん」

 

窓から飛び込んできたクラリカが言った。

拳銃の弾倉を入れ替えながらクラリカは走ってくる。

が、普段からは考えられないような動きでみーこが鈴蘭とクラリカの間に割って入る。

間髪入れずクラリカが発砲するも金属音からゲートボールのスティックのようなものでみーこは防いでいるようだ。

 

「翔希さん!!」

 

クラリカが叫ぶと今度は廊下の角から翔希が走り込んできた。

 

『軍曹切れぇ!!』

 

伊織の叫びに呼応して沙穂が現れ勇者に切りかかる。

沙穂の剣を受け止め、はじいた翔希は驚愕する。

 

「何て剣だ!?」

 

その後打ち合いの末に何とか沙穂の剣をたたっきり、みぞおちにつきを入れて意識を奪った。

 

 

 

 

一方クラリカは拳銃ではらちが明かないとみても一方の手に持った杖をかざして叫ぶ。

 

「雷撃!」

 

杖の先がストロボのように閃光を放ち目をくらませる。

 

「斥!」

 

その一瞬のすきに衝撃波を放ちみーこを倒した。

が、クラリカの手にはナイフが三本刺さっていた。

 

 

 

明久は目の前の戦闘にただ圧倒されるだけだった。

正確無比に銃弾をばらまくクラリカさん。

それらすべてをはじくみーこさん。

目にもたまらぬ剣戟をお互いに繰り出す沙穂さんと長谷部先輩。

ただレベルの差に圧倒され何もできないことに危機感を持った。

このままでは状況が悪くなった時に自分では何もできないことに。

そしてクラリカが閃光を放ったときにとっさにナイフを投げていた。

そして・・・・・・

 

 

 

「ああああああああああ!!」

 

その声は明久の口から出たものだった。

クラリカの手からはだくだくと血が出てきた。

自分がクラリカを傷つけたことにショックを受けていた。

 

「明久、お前自分のやったことをわかっ・・・・・」

 

「斥!」

 

壁に叩きつけられた明久は自分のしたことにさいなまれながら意識を失った。

 

 

 

クラリカは倒れた明久を眺めながら傷の手当てをしていた。

 

「クラリカ、大丈夫なのか?」

 

翔希は心配そうな顔である。

 

「大丈夫っすよ。」

 

「そうか、しかし明久は大丈夫なのか?」

 

もちろん翔希が聞いたのは体のことではない。

心の問題のほうだ。

あまりのことに翔希も怒鳴ってしまったが、そのあとのショックを受けた表情を見たので優しい性格であろうことは感じ取っていた。

 

「まあ初めて人を傷つけたらああもなるんじゃないっすか。そっからたち名をれたらたぶん勇者になれますよ。明久君は」

 

「そうかもな」

 

そこで翔希は先ほど戦った少女のことを思い出す。

 

「そういやこの子はなんだったんだ?いきなり切りかかってきたけど?」

 

「ええと・・・・・・この不自然な波形は導化猟兵っすね」

 

「導化猟兵?」

 

「そうっす。魔導力を埋め込んだ人間っていうか・・・・わかりやすく言えば改造人間ってとこっすね」

 

 

 

鈴蘭は戸惑っていた。

 

(確かにいるにはいるって言ってたけど・・・・・)

 

伊織は明久の質問に対して改造人間はいるにはいると答えた。

しかし鈴蘭はあまり真剣に受け取っていなかった。

しかし目の前の沙穂は改造人間らしい。

こんな女の子を改造したのだという。

鈴蘭は伊織のことが全然わからなくなった。

 

 

 

翔希はクラリカの言葉を聞きイヤホンを手に取った。

 

「伊織聞こえているか?」

 

それはありありと怒気の込められた声だった。

 

『ああ。感度は良好だ』

 

「俺はお前のことは悪党だが、最後の一線くらいは超えないやつだと思っていた」

 

『そうか』

 

「どうやら違ったようだな」

 

『しかし沙穂は・・・・』

 

「こんな年頃の子を改造していったいどういうつもりだ!!」

 

『・・・・・・』

 

「お前のとこにこのまま明久や鈴蘭を置いていたらどうなるかわかったもんじゃない!!だから連れ

て行く!!後輩まで改造されるなんてまっぴらごめんんだ!!」

 

『・・・・・・』

 

伊織は何も言わない。

 

「おま・・・・」

 

『では教会に連れて行ったところでどうする?』

 

「それはっ」

 

『貴様にできるようなことなどない。鈴蘭を教会に引き渡して、聖女に祭り上げることになるだけだ。それとも鈴蘭と明久を連れて協会から逃げるか?まあ、できんだろうが』

 

「くっ・・・・」

 

何も言えない翔希にさらに伊織は畳み掛ける。

 

『ああ、あと一つだけあったな。聖女になり損ね魔王となった鈴蘭を貴様自身で殺すというのが』

 

伊織に追い詰められた翔希には迷いが見え始めていた。

 

『まあいいだろう。連れて行くなら連れて行け』

 

 

 

「え?」

 

あまりのことに鈴蘭はつい間抜けな声を出してしまった。

自分の身柄を渡さないために今まで戦っていたはずである。

なのにそれを連れて行くなら連れて行けとは・・・・・

 

『鈴蘭君に仕掛けた自爆そ・・・・何でもない』

 

「ちょっと待て!今の何?!」

 

鈴蘭がどなるが伊織は取り合わない。

 

『なんでもないと言っている。それともう手榴弾で自決しろとも言わん。聖女になろうとする最高のタイミングで邪魔して魔王にしてやるから』

 

「まあそんなことならありっこないので鈴蘭さんはもらっていきますよ」

 

クラリカもそれに乗って勝手に話を進める。

 

「そんなかってな・・・・」

 

ドカンッ

 

ドラム缶のようなものが落ちてきて鈴蘭の意識を奪った。

 

『さっさと持っていくがいい』

 

 

 

「ミッションコングラチュエイション!!翔希さんお仕事終了ですよ」

 

クラリカははしゃぐが翔希の表情は浮かない。

 

「クラリカ、さっき伊織が言っていたことは・・・・」

 

「そんなの心配ないっすよ」

 

そうはいっても翔希の表情は晴れない

 

「しかしな・・・・」

 

「いいからあたしは鈴蘭さん連れてくんで明久君やそこの女の人らは頼んだっすよ」

 

「はあ・・・・」

 

そういえばと翔希はクラリカの行動を思い返す。

彼女は自分が出るのを妙に遅らしていた気もする。

そのせいか聖騎士は全滅していた。

伊織に卑怯な手でも使われたのだろう。

しかし三人もどうやって運べばいいのだろう?

 

「すみません」

 

かんがえごとをしていると声をかけてくるものがあった。

見ると先ほどクラリカにやられた女の人だった。

 

「えっと大丈夫ですか?」

 

「なんとか・・・・」

 

まったくこんな人に戦わせるなんて伊織のくそったれ。

 

「こんな私にも勇者様は優しくしてくれるんですね」

 

「えっと・・・・」

 

いきなりのことに翔希は戸惑う。

 

「伊織様にはひどい目に合わされてばかりで」

 

「それは・・・・大変でしたね」

 

伊織の悪逆に何とも言えない翔希。

その注意は完全にみーこにのみ向けられていた。

 

その後ろにいやな笑いを浮かべた伊織がいたのにも気付かず。

 

 

 

 

落とし穴に落ちていた騎士たちは壁を削って何とか脱出していた。

そこにクラリカが現れる。

 

「隊長さん、翔希さん知らないっすか?」

 

「勇者殿がどうかしたのか?」

 

「さっきから見当たんないんすよ」

 

「君はお目付け役だろう?!」

 

「うう、翔希さん現実にはリセットボタンはないっすよ」

 

悲しそうにクラリカがみる館のほうにはどこにいたのかというほどモンスターがわいていた。

 

「くそっ、撤退だー」

 

滅すべきモンスターを前にしてるにもかかわらず、さしもの聖騎士団も撤退せざる負えなかった。

 




冬休み全然かけませんでした。

次回は一月十七日までで投稿します。

次回 第十七話 「苦悩と答え」

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